Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2023/06/07
Update

インド映画『スルターン』あらすじと感想評価。マフィアのひとり息子が100人の子分たちを更生させようと奮闘するさまを歌と踊り満載で描く!|インド大映画祭IDE2023・厳選特集2

  • Writer :
  • 谷川裕美子

連載コラム『インド大映画祭IDE2023・厳選特集』第2回

「インド映画同好会」による『インド大映画祭 IDE 2023 in K’s cinema』が、6月17日(土)~7月7日(金)の21日間、新宿K’s cinemaにて開催されます。

『インド大映画祭 IDE 2023』では、ヒンディー映画、タミル映画、マラヤーラム映画などから、3本の日本初公開作を含む12作品が用意されています。

『インド大映画祭 IDE 2023』ラインアップから、歌と踊り満載の楽しい1作『スルターン』をご紹介します。

【連載コラム】『インド大映画祭IDE2023・厳選特集』一覧はこちら

映画『スルターン』の作品情報


『スルターン』(C) Dream Warrior Pictures

【公開】
2023年(インド映画)

【監督・脚本】
バッキヤラージ・カンナン

【出演】
カールティ、ヨーギ・バーブ

【作品概要】
バッキヤラージ・カンナンが監督を務める歌と踊り満載の爽快な娯楽作。

『囚人ディリ』(2021)のカールティ、『ダルバール 復讐人』(2021)のヨーギ・バーブが出演します。

父の死去によって家を継ぐ事になったマフィア1人息子のスルターンが、100人の子分らに真っ当な道を歩ませようと悪戦苦闘するさまがコミカルに描かれます。

映画『スルターン』のあらすじ

1986年マドラス。マフィアの家にひとり息子のスルターンが生まれました。母は彼を生んですぐに亡くなりましたが、子分たちに愛されスルターンはすくすくと成長します。

2021年。家業を嫌ってムンバイでロボット工学を学んだスルターンは、2年ぶりに実家に帰って大歓迎を受けました。

しかし帰省中、父はスルターンの目の前で敵の手によって撃たれてしまいます。息子を撃たれた女性の嘆き悲しみようを見たスルターンは、父にマフィアをやめてほしいと言いますが、父はできないと答え、家族同然の手下たちを見捨てないでほしいと息子に頼みます。

翌朝、スルターンは父が亡くなったことを知ります。警察による偽装襲撃だったことを知ったスルターンは警視総監に会いに行きました。強硬手段に出ようとする総監に、スルターンは部下を更生させるまで時間をくれるよう話をつけます。

父に代わって家を継いだスルターンは、暴力を排除し、家族同然の100人の子分らに真っ当な道を歩ませるために奮闘しますが…。

映画『スルターン』の感想と評価

マフィア一家に生まれたひとり息子のスルターンの活躍を涙と笑いで描く、生命力にあふれた楽しい一作です。

マフィアになることを嫌い、ロケット工学を学んで起業を前にしたスルターンは、久しぶりに実家に帰省して父と家族同然の子分たちに大歓迎されます。

大盛り上がりの歓迎のダンスシーンは、これぞインド映画!と思わせる最高の楽しさです。

その後も、ことあるごとに大勢が歌いながらダンスを繰り広げて楽しませてくれます。

しかし、突然何者かに襲撃され、父は亡くなってしまいます。父から子分たちを見捨てないでくれと頼まれたスルターンは、一家を新たな形に作り直そうと考え、暴力を一切なくして子分たちに新たな生き方を教えようと決心しました。

そうはいっても、これまで暴力だけに頼って生きてきた彼らを更生させることは容易ではありません。

しかし、スルターンは母代わりに自分を育ててくれた子分たちを自分の家族として心から愛しており、自分の帰る家を守りたいという強い思いで、この難問に立ち向かいます

子分たちもまた、スルターンに命さえ捧げられるほど深いの無償の愛を捧げます。両者の深い絆に胸打たれることでしょう。

頭のよいスルターンがマヌケな子分たちをうまくまとめながら、新たな道を進んでいくさまは痛快です。シリアスな泣かせどころと、笑いを誘うコミカルなシーンの対比が楽しい最高の娯楽作となっています。

ユーモラスに描かれるスルターンの純情な恋も、大きな見どころです。

『インド大映画祭 IDE 2023』とは?


(C) Reliance Entertainment

『インド大映画祭 IDE 2023』は、20年以上インド映画を主にアジア映画を探求し続けている特定非営利活動法人「インド映画同好会」が、言語・文化が各地域によって変わるヒンディー映画、タミル映画、マラヤーラム映画などから「他の追随を許さない」ラインアップを揃えたインド映画特集を作ったものです。

2019年から5回目を迎える『インド大映画祭』では、12作品のラインアップのうち、日本初公開となる『サーカス』『ラストファーマー』『ガルギ 正義の女神』の3作品も取り揃えました。

『インド大映画祭 IDE2023 in K’s cinema』は、2023年6月17日(土)~7月7日(金)東京の新宿K’s cinemaにて公開されます。

「インド大映画祭 IDE2023 in K’s cinema」公式サイトはコチラ→

まとめ

『インド大映画祭 IDE 2023 in K’s cinema』上映作品の1つである『スルターン』をご紹介しました。

個性豊かな子分たちとの掛け合いや、美しい女性との出会い、そしてインド映画ならではの踊りとダンスに魅入られる一大エンターテイメント作品です。

果たしてスルターンの努力は実るのでしょうか。最後まで目が離せません。

『インド大映画祭 IDE 2023 in K’s cinema』は、6月17日(土)~7月7日(金)の21日間、新宿K’s cinemaにて開催されます。

「インド大映画祭 IDE2023 in K’s cinema」公式サイトはコチラ→

【連載コラム】『インド大映画祭IDE2023・厳選特集』一覧はこちら



関連記事

連載コラム

【ネタバレ】ジャック・リーチャー シーズン2|あらすじ感想と結末の評価解説。キャストのアラン・リッチソンが正義のアウトローを熱演|Amazonプライムおすすめ映画館25

連載コラム「Amazonプライムおすすめ映画館」第25回 2023年12月15日(金)よりAmazonプライムビデオで配信されたアメリカのサスペンス・アクションドラマ『ジャック・リーチャー~正義のアウ …

連載コラム

『迫り来る嵐』ネタバレ解説と監督ドン・ユエの演出を考察。激動の中国で不安定な人間心理を描く|サスペンスの神様の鼓動7

こんにちは、映画ライターの金田まこちゃです。 このコラムでは、毎回サスペンス映画を1本取り上げて、作品の面白さや手法について考察していきます。 今回ピックアップする作品は、香港返還に揺れる激動の中国を …

連載コラム

映画『水の影』あらすじと感想レビュー。実話事件に触発された性犯罪の問題にある深層に切り込む|フィルメックス2019の映画たち4

第20回東京フィルメックス「コンペティション」出品『水の影』 2019年にて記念すべき20回目を迎える東京フィルメックス。令和初となる本映画祭が開催されました。 そのコンペティションに出品された作品の …

連載コラム

タイ映画『ホームステイ』感想レビューと評価。BNK48チャープランの初演技と“誰にでもある青春”の思い出|蟹江まりの映画ともしび研究部2

連載コラム「蟹江まりの映画ともしび研究部」第2回 こんにちは、蟹江まりです。 連載コラム「蟹江まりの映画ともしび研究部」の第2回目に取り上げるのは、2019日10月5日に公開された『ホームステイ ボク …

連載コラム

映画『今はちょっと、ついてないだけ』原作小説ネタバレ感想とあらすじ結末の評価解説。伊吹有喜による過去から前に進む再生の物語【永遠の未完成これ完成である29】

連載コラム「永遠の未完成これ完成である」第29回 映画と原作の違いを徹底解説していく、連載コラム「永遠の未完成これ完成である」。 今回紹介するのは伊吹有喜の小説『今はちょっと、ついてないだけ』です。玉 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学