Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2025/07/14
Update

映画『美しい夏』あらすじ感想と評価レビュー。イタリアを舞台に描く一人の少女が大人へと成長する青春ムービー|映画という星空を知るひとよ265

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第265回

イタリア文学界の最高峰のストレーガ賞受賞のチェザーレ・パベーゼの名作『美しい夏』が映画化されました。

1938年、戦争の影が静かに迫るトリノで出会った対照的なジーニアとアメーリアという2人の女性を通し、少女が少しずつ大人になっていく過程が繊細に映し出されます。

イタリアの女性監督ラウラ・ルケッティが、原作小説を現代的な感性で映画化し、青春の輝きと残酷さを活写

アリーチェ・ロルヴァケル作品のミューズであるイーレ・ヴィアネッロが16歳のジーニアを演じ、モニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルの実娘の新星ディーヴァ・カッセルが、自由奔放なアメーリアを演じています。

映画『美しい夏』は、2025年8月1日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『美しい夏』の作品情報


(C)2023 Kino Produzioni, 9.99 Films

【日本公開】
2025年(イタリア映画)

【原作】
チェーザレ・パベーゼ:『美しい夏』

【原題】
La Bella Estate

【監督・脚本】
ラウラ・ルケッティ

【出演】
イーレ・ヴィアネッロ、ディーヴァ・カッセル

【作品概要】
イタリアのチェザーレ・パベーゼが1940年に執筆した名作小説『美しい夏』を、女性監督ラウラ・ルケッティが映画化。

戦争の足音が迫るトリノを舞台に、年上の女性との出会いを通して少しずつ大人になっていく少女の姿をみずみずしく描き出します。

墓泥棒と失われた女神』(2023)『天空のからだ』(2011)など作品の出演で知られるイーレ・ビアネッロがジーニアを演じ、アメーリア役には、モニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルを両親に持ち、ディオールのアンバサダーも務める世界が注目する新星ディーヴァ・カッセルが抜擢され、スクリーンデビューを果たしました。

映画『美しい夏』のあらすじ


(C)2023 Kino Produzioni, 9.99 Films

1938年、田舎からトリノに出て、お針子として洋裁店で働く16歳の少女ジーニア。同居する兄は、文学を志して大学に進学したのに学費が続かず休学し、街灯修理の工員をしています。

ジーニアは、自分の人生に何か楽しいことが起こらないかと思っていますが、一歩踏み出す勇気も機会もないままに、都会の慌ただしい生活に流されて、どこか焦燥していました。

そんなある日、ジーニアは兄の友人たちと湖畔でピクニックをしている時に、3つ年上の美しく自由奔放に生きるアメーリアと出会います。

画家のモデルとして生計を立てるアメーリアによって、芸術家たちが集う新たな世界への扉を開かれ、ジーニアは大人の階段を上り始めます。

思春期真っただ中のジーニアと、既に自立した女性としてたくましく生きるアメーリアの2人が、互いの姿に自分の未来と過去を映しながら、徐々に惹かれ合っていきますーー。

映画『美しい夏』の感想と評価


(C)2023 Kino Produzioni, 9.99 Films

本作の主人公は、トリノの町でお針子として働く16歳のジーニアです。

彼女は、何か変化を求めながらも一歩を踏み出す勇気がなく、時の流れに身をまかせたままの生活を送っていました。そんな時に知り合ったのが、絵のモデルをして生計をたてている美しい年上女性のアメーリアです。

彼女はジーニアとは正反対。自由奔放な考えの持ち主で何ものにも縛られない生き方するアメーリアに、ジーニアは次第に惹かれていきます。

兄に付き合いを反対されても、恋人らしき人ができても、アメーリアに対するジーニアの思慕の念は募るばかり。

自分の正直な気持ちを持て余し、周囲の人々との関わりや仕事の責任などに翻弄されながらも、ジーニアは次第に大人へと成長していきます。

思春期を迎えた少女が大人の女性へと成長する心の葛藤が、丁寧なストーリーできめ細かく描かれていることに驚くことでしょう。

イタリアの町の美しい風景に加え、お針子として働くジーニアたち女性陣の服装などもファッショナブルに描かれ、主役を演じるイーレ・ヴィアネッロとディーヴァ・カッセルの凛とした美しさを引き立てています

スクリーンデビューを飾る、アメーリア役のディーヴァ・カッセルにぜひ注目してください。

まとめ


(C)2023 Kino Produzioni, 9.99 Films

本作の原作は、イタリアのチェザーレ・パベーゼの名作『美しい夏』です。イタリア文学界の最高峰のストレーガ賞受賞の名作が、女性監督ラウラ・ルケッティによって、スクリーンに登場。

思春期から大人へと成長する少女と、その憧れの女性の繊細な感情が交差する瑞々しい青春ドラマが展開します。

映画『美しい夏』は、2025年8月1日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

ストーリーも背景も題名通り、美しい夏の物語をどうぞお楽しみください。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



関連記事

連載コラム

映画『カルロス・カイザー サッカー史上最も奇妙な成功者』あらすじ感想と評価解説。ドキュメンタリーで描く“サッカーをしない最も有名な選手”の物語|映画という星空を知る人よ298

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第298回 1980年代~1990年代にジーコやベベト、ロマーリオらのチームメイトとして、フラメンゴ、フルミネンセ、ヴァスコ・ダ・ガマなどのプロのサッカーチーム …

連載コラム

西原孝至映画『シスターフッド』内容解説と考察。劇中のメモ書き「私たちは花ではなく、花火である」を解く|映画道シカミミ見聞録37

連作コラム「映画道シカミミ見聞録」第37回 こんにちは、森田です。 今回は3月1日からアップリンク渋谷より全国順次公開される映画『シスターフッド』を紹介いたします。 本作を通して、自分が自分らしく生き …

連載コラム

韓国映画『毒戦 BELIEVER』感想とレビュー評価。リメイクで本家元ネタをしのぐ大胆な脚色は必見!|コリアンムービーおすすめ指南14

姿なき麻薬王を追え! 韓国で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウオー』、『デッドプール2』を抑え、初登場1位! 観客動員500万人突破の大ヒットを記録。 ジョニー・トー監督の香港ノワール作品の代表作『 …

連載コラム

『教皇選挙』あらすじ感想と評価レビュー。英アカデミー賞4冠のレイフ・ファインズ主演作ミステリーは宗教界の闇を描く|映画という星空を知るひとよ249

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第249回 レイフ・ファインズ主演で贈る、新ローマ教皇の座をめぐる極上のミステリー『教皇選挙』。 映画『教皇選挙』は、2025年3月20日(木・祝)TOHOシネ …

連載コラム

『パルフュメア』ネタバレ結末あらすじと感想評価の解説。サスペンスミステリーで描く“嗅覚”を失った女性刑事と“愛を生み出す香水”を求める調香師の奇妙な関係|Netflix映画おすすめ111

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第111回 嗅覚を失った女性刑事と、猟奇的な犯行を繰り返す天才調香師の、奇妙な関係を描いたドイツのミステリー映画『パルフュメア 禁断の調香』 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学