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Entry 2022/01/16
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映画『ドリームプラン』あらすじ感想と評価解説。ウィル・スミスがテニス世界チャンピオン姉妹の父を演じる感動のヒューマン作品|映画という星空を知るひとよ87

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第87回

映画『ドリームプラン』は、2022年2月23日(水・祝)より全国ロードショー。

『ドリームプラン』は、最強のテニスプレイヤーと称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界チャンピオンに育てた父親の実話を基に描いたドラマです。

優勝したテニスプレイヤーが大金の賞金を手にする姿を見て、自分の娘たちをテニスプレイヤーに育て上げようと決意した父リチャード・ウィリアムズを、ウィル・スミスが熱演。

2人の娘を世界チャンピオンにするために書いたという78ページの計画書に添って、父の念願のプランは着々と実行されていきます。

計画の実現はどのようにされていったのでしょうか。夢を実現させる父親の姿は必見。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『ドリームプラン』の作品情報


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

【日本公開】
2022年(アメリカ映画)

【原題】
King Richard

【脚本】
ザック・ベイリン

【監督】
レイナルド・マーカス・グリーン 

【製作】
ウィル・スミス、ティモシー・ホワイト、トレバー・ホワイト、セリーナ・ウィリアムズ、ビーナス・ウィリアムズ

【音楽】
クリス・バワーズ

【キャスト】
ウィル・スミス、アーンジャニュー・エリス、サナイヤ・シドニー、デミ・シングルトン、トニー・ゴールドウィン、ジョン・バーンサル

【作品概要】
映画『ドリームプラン』は、世界最強のテニスプレイヤーであるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹の実父の『夢への計画書』を基にして、レイナルド・マーカス・グリーン監督がまとめました。

この実話の映画化を熱望し製作と主演を務めるのは、『バッドボーイズ』(1995)や実写映画の『アラジン』(2019)などで人気・実力共にハリウッドのトップを極めたウィル・スミス。

テニス未経験のリチャードが、2人の娘が生まれる前から独学で作った「計画書」(ドリームプラン)と、その計画を信じ続けた娘たちと父や家族の絆が描かれています。

2人の世界チャンピオン誕生の知られざる秘密を描いた感動作です。

映画『ドリームプラン』のあらすじ


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

リチャードは、ビーナスとセリーナの姉妹が生まれる前に、TVで優勝したテニスプレーヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿を見ました。

これだと閃いた彼は、「娘を最高のテニスプレイヤーにしよう!」と決意します。

テニスの教育法を独学で研究し、「世界チャンピオンにする78ページの計画書」も作成しました。

娘たちを車に乗せ、毎日テニスコートで練習します。夕方になると即、連れて帰り、学校の勉強をさせて早めに就寝させます。

有名なテニスコーチに娘たちのプレーを見てくれるように直談判もし、娘たちにチャンスを与えました。

お金もコネもない劣悪な環境下で、途方もない苦難、周りからの批判を受けながらも、誰もが驚く常識破りの“ドリームプラン”を実行し続けます。

映画『ドリームプラン』の感想と評価


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

世界最強テニスプレイヤー姉妹

我が子を世界一のテニスプレイヤーに育てる! 無謀ともいえる夢の実現に向かって、父リチャードが前進します。

父のスパルタとも言える「計画書」によって、世界最強と称されるテニスプレイヤーのビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹が誕生しました。

ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹は、女子プロテニス界のトップに10年以上にわたって君臨しています。

ビーナスはテニス界の世界4大大会制覇を7回、セリーナは23回、オリンピックでは2人合わせて5つの金メダルを獲得。

記憶に新しいのは、2021年の全豪オープン女子シングルス準決勝のセリーナと大坂なおみとの試合ではないでしょうか。

大坂に敗れたセリーナですが、試合後に両者がお互いをたたえ合う姿にファンも熱狂しました。これはとても美しいスポーツマンの姿です。

本作は、テニス界ではその名をとどろかす姉妹プレイヤーの栄冠を手にするまでの道のりを、父・リチャードの夢に添って描かれました。

この実話に感銘を受けたウィル・スミスは、リチャードを演じるにあたり、常にショートパン姿で娘たちに接し、実際のリチャードの心を理解していったようです。

ストーリーもさることながら、父であり娘たちの専任コーチ兼マネージャーのリチャード演じるウィル・スミスの熱演も目が離せません。

ドリームプランに伊達公子も賞賛


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

日本の元女子プロテニスプレイヤーの伊達公子が本作へメッセージを寄せています。

ビーナスとセリーナの強さの理由が、これほどまでの幼少期からの長期的綿密な計画があったことに驚かされます。何度か2人と対戦する機会もありましたが、あのテニスに向き合う姿勢も、家族の強い絆と想いがあるから実現できたのでしょう。なによりリチャードを演じるウィル・スミスさんが、コーチを務める父親の特徴をよく捉えています。ドキュメンタリーさながらのこのヒューマン・ストーリーは、テニス好きはもちろん誰もの心に響くはずです。

多くの人々の注目を浴びていたビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹。その強さの秘密とチャンスを掴み取る強運に驚くことでしょう。

リチャードの姉妹への教育はただのスパルタではありません。試合相手にはちゃんと礼を尽くし、プレイにおいては常に謙虚な心を持つように指導しています。

また、姉妹は幼少期の頃からテニスの練習に加えて学校の勉強も決して手を抜いたりしていません。

このあたり、「勝つこと」だけを要求するような指導方法とは少し異なります。リチャードの指導は、彼が信じる信仰に基づいたハートフルなものでした。

相手に勝つことはもちろん大事ですが、それ以前に相手への敬意があるからこそ、彼女たちのプレイは観客をひきつけると言えます。

こうして文武両道を制したスポーツ選手の鑑ともいえる驚愕のリチャードの「ドリームプラン」が完成!

姉妹のためのプランですが、まず姉ばかりに注目され、妹は少々嫉妬したり落ち込んだりします。

そんな姉妹のぎくしゃくした気持ちもリチャードのプランは修正し、みごとな人格形成も成し遂げます。

それによって世界チャンピオンになった姉妹のプレイは、彼女たちの栄光の影にある家族の絆や謙虚な心がにじみ出て、人々に感動を与えるものとなりました。

本作は、「夢はきっと叶えられる!」という明るい希望をもたらせてくれる作品なのです。

まとめ


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

テニス界のビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界チャンピオンに育てあげた父親の実話を基に描いた映画『ドリームプラン』をご紹介しました。

姉妹の実父リチャードそのもののように演じ切ったウィル・スミスや、本番さながらに緊張感走るテニスプレイをするキャストたちによって、映画のドリームプランも達せられたと言えます。

テニスをやる人もそうでない人も、一つの目標に向かって家族が一致団結して突き進む姿に感動することでしょう。

映画『ドリームプラン』は、2022年2月23日(水・祝)より全国ロードショー。

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。

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