連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile155
ドラマ『イカゲーム』(2021)が異例のヒットを見せ、「死の運命」に立ち向かう作品群に再び注目が集まるようになりました。
そんな「死の運命」をギミック過多に描き、恐ろしくもどこか面白く映し出した大人気ホラー映画「ファイナル・デスティネーション」シリーズ。
今回はシリーズ第1作となる『ファイナル・デスティネーション』(2001)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
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CONTENTS
映画『ファイナル・デスティネーション』の作品情報
【日本公開】
2001年(アメリカ映画)
【原題】
Final Destination
【監督】
ジェームズ・ウォン
【脚本】
グレン・モーガン、ジェームズ・ウォン、ジェフリー・レディック
【キャスト】
デヴォン・サワ、アリ・ラーター、カー・スミス、クリステン・クローク、ショーン・ウィリアム・スコット、アマンダ・デトマー、チャド・ドネッラ、トニー・トッド
【作品概要】
ドラマシリーズ「ミレニアム」や「X-FILE」で監督や脚本を務めたジェームズ・ウォンが製作した劇場映画デビュー作。
映画「バイオハザード」シリーズで原作キャラのクレアを演じたアリ・ラーターがヒロインを務め、映画『キャンディマン』(2021)でキャンディマンを演じたトニー・トッドが、物語のキー・パーソンを演じました。
映画『ファイナル・デスティネーション』のあらすじとネタバレ
修学旅行として10日間のパリ旅行へ向かうアレックスは、自身の誕生日が飛行機の出発時間になっていることや飛行機事故で死亡した歌手の曲を気にしてしまうなど、不安が募っていました。
飛行機に搭乗し自身の席に座ったアレックスは同級生と席を交換しますが、座席に着いたテーブルの部品が破損してしまいます。
その後、離陸した飛行機は突如制御を失い爆発、という悪夢を見たアレックス。
目を覚ましたアレックスは今が同級生と席を交換する前だと気づき、交換する予定の座席のテーブル部分が破損していることで飛行機の爆発が正夢であると確信し発狂。
騒ぎ立てるアレックスと同級生のカーターはつかみ合いの喧嘩となり、クルーによって飛行機を連れ出されてしまいます。
アレックスの親友トッド、カーターの彼女テリー、勤勉なクレア、遅刻してきたビリー、そして引率教師のヴァレリーは2人の喧嘩の仲裁のために飛行機を降りたことで、再度の搭乗を許されず次の便まで空港で待つことになります。
ヴァレリーに夢の話をするアレックスでしたが、その話を聞いたカーターはさらに怒り掴み合いの喧嘩となってしまいます。
次の瞬間、同級生を乗せ飛び立った飛行機は爆発し、取り残されたアレックスたちは、飛行機の爆発を事件と疑うFBIに取り調べを受けます。
爆発することを事前に察知したアレックスや彼らと親しいわけでもないにも関わらず飛行機を降りたクレアは、、特に嫌疑をかけられていました。
両親の迎えで家へと帰ったアレックスは、ニュースで飛行機に乗った乗客全員が死亡したと知ります。
数ヶ月後、同級生の追悼式に参加するアレックスでしたが、ヴァレリーやトッドの両親はアレックスを疑っていました。
その夜、トッドは浴室で足を滑らせ、その拍子にロープを首に巻きつけ死亡。
アレックスは弾け飛んだ雑誌の破片に「トッド」と字が残っていたことに不安を覚え、トッドの家へと走るとそこには救急車が駆けつけており、トッドが息を引き取っていることを知りました。
現場にクレアがいたことが気になり翌日彼女の家を訪ねると、彼女も同じ不安を抱えていたと話し、トッドの死体を確認するために安置所へと忍び込みます。
安置所内で担当者のウィリアムと出会った2人は、ウィリアムから死神が与えた死の筋書きを変えたことで、死神の怒りを買ったと言い、必ず死が再び襲ってくると忠告。
アレックスはクレアと死には必ず前兆があると考えますが、その場にカーターとテリーが現れ再び喧嘩になりかけます。
するとテリーがよそ見をしながら道に出たことでバスに轢かれ、死亡してしまいました。
映画『ファイナル・デスティネーション』の感想と評価
「死」と言う運命に立ち向かう物語
ホラー映画で「死」を登場人物にもたらすのは、狂気に取り憑かれた人間や怨霊、もしくは怪物や動物であることが一般的です。
しかし、大人気となりホラー映画界で一時ブームとなった本作では、「死」を登場人物にもたらすのは「死神」という目に見えない存在。
「死神」は戦闘能力が高くても、肉体が頑丈でも、直接立ち向かい打倒することの出来ない曖昧な存在であり、それゆえに絶望的とも言えます。
それでも主人公たちは生きることを諦めず、「死神」が用意した「死の筋書」を打破する術を模索。決して諦めない若者たちの奮闘に、冷や汗と熱気を感じる力強さを感じるホラー映画でした。
連鎖が続く衝撃のギミック
主人公たちは飛行機事故という「死の運命」を回避したことで「死神」に付け狙われることとなり、「死神」はなんとしてでも彼らを殺害しようと躍起になってします。
「死神」はあの手この手で殺害するため、落ちているものや環境そのものを凶器とし、あらゆる方向から殺害を試みてきます。
床に落ちた洗剤で足を滑らせ、貼られた洗濯用のロープを凶器として利用したりするなど、回りくどすぎるギミックは見ていて不謹慎ながらも面白く、連鎖だらけのギミックはシリーズの定番ともなりました。
周りのすべてが凶器に見え、鋭利な刃物はちゃんと閉まっておこうと思わせてくれる作品です。
まとめ
ホラー映画の定番シリーズとなった「ファイナル・デスティネーション」シリーズ。作品は5作まで製作されました。
果たして「死の運命」を逃れるのは存在するのか、そして明らかになる「死の順番」の法則とは。
恐ろしくも面白い『ファイナル・デスティネーション』は、軽く観ることに適したホラー映画好きに必見の作品です。