連載コラム『自主映画監督・大久保健也のニッポン頂上作戦』
第6回「『Cosmetic DNA』主演女優:藤井愛稀さんについて」
皆様、お疲れ様です。『Cosmetic DNA』の監督の大久保健也です。そろそろお名前、覚えて頂けましたでしょうか、大きく久しく保ち、健康なり、大久保健也です。どうぞよろしくお願い致します。映画監督です。
本記事の趣旨に入る前に告知いいでしょうか。7月14日の10時に『Cosmetic DNA』の諸々の情報解禁されました。
劇場公開は2021年10月9日の土曜から新宿K’s cinemaさんで、特報映像&ポスタービジュアル、公式サイトも解禁になりました。
『Cosmetic DNA』公式Twitterもバリバリ動き出しました!
いやあ、いろいろ解禁されましたね。どうでしょうか。メキメキ観たくなってきましたでしょうか。僕も段々観たくなってきました。とても楽しみですね!!
今後またガンガンあたらしいナウい情報、どんどん楽しい告知イベント等、大企画して参りますので是非チェックしてほしいです。絶対に楽しませます。映画丸ごとお祭り騒ぎ、是非是非馬鹿騒ぎしてほしいです。
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CONTENTS
『Cosmetic DNA』主演女優:藤井愛稀さん
さて、今日は『Cosmetic DNA』の主演・藤井愛稀さんについてお話します。
僕は本作で監督、脚本、撮影、照明、美術、編集等を全部やっているが故に、まるで役者に興味のない映像派監督だと思われるのも心外なので、ここで藤井さんについて、お芝居についてのお話をしたいと思います。
まず、僕は役者ありきで映画を撮っています。生身の人間がもたらす本物の芝居が、映画内世界のリアリティをどこまでも果てしなく引き上げることを信じています。この肌感覚はアニメーション(ロトスコープ、パフォーマンス・キャプチャアニメ等は除く)では絶対に出せない。
鬼滅の刃がめちゃくちゃ売れて、シンエヴァもめちゃくちゃ売れて、実写映画監督を目指す自分としてはやはり悔しい。アニメーションに勝ちたい。生身の人間の凄みが伴った芸術で勝ちたい。そんな気持ちで日々実写映画を撮っています。
藤井さんのことは『Cosmetic DNA』の脚本を書く遥か前から存じ上げていました。いろいろな映画の中での彼女のお芝居は非常に繊細で、それでいてピッタリと地に足を付けている。映画内世界のリアリティを引き上げるお芝居です。
何よりお芝居の中に「私かわいいでしょう?」的自意識がないのがすごく好きで、いつか自分の映画に出てほしいなと思っていました。
さて『Cosmetic DNA』の脚本を書き終えた時、主人公・東条アヤカは誰がいいだろうという話をキャスト兼プロデューサーの西面辰孝さんと話していた時のこと。あれは確かコメダ珈琲での出来事でした。
ふと、本当にふと稲妻のように「東条アヤカは藤井愛稀さんがぴったりじゃないか!!!」と頭を過ったのです。
当時の藤井さんは、しっとりとした純情な女の子、みたいな役柄を演じることが多く、そういうパブリックイメージが定着しつつありました(あくまで主観の話ですが)。そして、僕はそういう役者さんにこそクソ男共をぶっ潰す、性格ちょっぴり難ありアーティスト肌のウルトラクールビューティー&ファッキンオーサム美大生・東条アヤカを演じてほしかった。
僕は映画監督として、映画プロデューサーとして、役者さんに毎回似たような役柄ばかりお願いし続けるのは失礼なことだと思っています(異論は直筆の手紙でお願いします)。
毎回、毎回、全く違う役柄を役者さんに振り続ける。その役者さんが身についてしまったパブリックイメージを突き破るような役をやってもらう。あるいは役者自身がそういう役を探す、書いて生む。それを死ぬまで繰り返す。そういう役はきっと手癖では演じ切れないので、かなりしんどいでしょうし、かなり精神的にもやられることでしょう。でも、それが演じること、役者でいることの本質だと思います。
監督業にも同じことが言えます。毎回、毎回、似たようなテーマ、似たような映像スタイルで似たような映画を撮っていても、ある種のスキルは身に付くと思いますが表現者とは言えない。
ストーリーテラーとは言えない。毎回、毎回、一瞬、一瞬、自分の手癖ではできない、自分にとってストレスで胃に穴があくぐらい難しい表現、物語に向かっていくべきだと思います。
話が逸れましたが、そういう経緯で僕は藤井さんに会って、是非とも「東条アヤカを演じてほしい」とお願いしました。
現場での藤井さんは本当に頼もしかったです。
藤井さん、学生時代に死ぬほど「映画」のこと勉強なさった方なんだなとひしひし感じました(だからこそ『血を吸う粘土~派生』など商業映画の主演もされている)。
映画の監督も一度経験があるそうで、このアングルでこう撮るとああなる、役者がこう動くとカメラにはこう映る、というようなロジックが思考の中で出来上がっていて、そういった「現場を俯瞰する」感覚を生かしながら、ちょうど「映画の現場における芝居」の理想と現実の狭間でお芝居をしてくださる。
ただ場数踏んでいいお芝居をしてくださるだけの役者さんとは違う、素晴らしい役者さんだなあと思いました。
何より藤井さんは瞳の奥がとても綺麗に、繊細に、芸術的に濁っています。
僕が好きで、リスペクトできて、今後も機会があれば一緒に映画を作りたいなと思う人は大体瞳の奥がこのように綺麗に濁っています。まるで急須で淹れたような濁りの旨みです。
次回の「自主映画監督・大久保健也のニッポン頂上作戦」は…
今後、定期的に大久保健也が自らを連載コラム通して、インディーズ映画『Cosmetic DNA』の魅力を更新していきます。
『Cosmetic DNA』の劇場公開を終えるまで、粛々と続けていこうと思います。全ての劇場公開が終わった時、それまでの連載コラムの記事を全部読んだという人は自己申告してください。自己申告は大事です。
【『Cosmetic DNA』公式Twitter】
@CosmeticDna
【『Cosmetic DNA』公式facebook】
https://www.facebook.com/CosmeticDna/
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大久保健也監督プロフィール
1995年生まれ、大阪育ち。中学時代より自主映画の制作を始め、60本以上の映像作品を制作。近年は様々なアーティストのMVなどを手がける傍ら、自主映画の制作を行っている。
2021年秋公開予定の『Cosmetic DNA』は初の長編監督作となる。
映画『Cosmetic DNA』のあらすじ
化粧を愛する美大生・東条アヤカ(藤井愛稀)は、ある日クラブハウスで出会った自称映画監督・柴島恵介(西面辰孝)に性的暴行を受ける。
泣き寝入りせざるを得ない状態に精神的に病んでいくアヤカだったが、大学院生のサトミ(仲野瑠花)、アパレル店員のユミ(川崎瑠奈)と出逢うことで少しずつ自我を取り戻していく。
しかし、柴島の次なる標的がユミであることを知ったアヤカは突発的に柴島を殺害。やがて死体処理を行う最中に人間の血液こそが理想の化粧品であることに気付くが……。
大久保健也監督へ応援のメッセージをお寄せください。
映画『Cosmetic DNA』を監督した大久保健也さんの連載コラムを読んでいただき、
*本記事は大久保健也監督がnoteに執筆したものを、監督本人に意向を伺いながら再構成した内容になっております。本文の一部の文言について編集部で追記調整した箇所があります。