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タイ映画『Sisters』あらすじと感想レビュー。Jホラー×アクションの融合で魅せるピンゲーオ監督の異色作|TIFF2019リポート25

  • Writer :
  • 村松健太郎

第32回東京国際映画祭「CROSSCUT ASIA♯06 ファンタスティック!東南アジア」上映作品『Sisters』

2019年にて通算32回目となる東京国際映画祭。令和初の開催となった本映画祭は、2019年10月28日(月)に無事開会の日を迎え、11月5日(火)までの10日間をかけて国内外の様々な映画が上映されました。

そして本映画祭の特集の一つにして、様々な切り口で各地のアジア映画を紹介する「CROSSCUT ASIA #06 ファンタスティック!東南アジア」にて上映された作品の一本が『Sisters』です。

『マッハ!!!!!!!!』『トム・ヤム・クン!』などのムエタイアクション映画で知られるプラッチャヤー・ピンゲーオ監督が手掛けたホラーアクション作品である本作。タイの伝統的な怪物譚をJホラー的な色付けで描いていきます。

【連載コラム】『TIFF2019リポート』記事一覧はこちら

映画『Sisters』の作品情報


(C)2019 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

【上映】
2019年(タイ映画)

【監督・原案・製作】
プラッチャヤー・ピンゲーオ

【脚本】
フォー・レッド・フルーツ

【出演】
プロイユコン・ロージャナカタンユー、ナンナパット・ルートナームチュートサクン(ミューニック・BNK48)、ラッター・ポーガーム

【作品概要】
東南アジアにおいて昔から語り継がれてきた、“ガスー”または“クラスー”と呼ばれる怪物。

それに立ち向かう少女の闘いを、『マッハ!!!!!!!!』『トム・ヤム・クン』など、ムエタイアクション映画によって国内外で人気を博してきたプラッチャヤー・ピンゲーオ監督が映画化。

Jホラーテイストとダイナミックなアクションで魅せる武闘派ホラー映画です。

またメインキャストの一人として、人気アイドルグループ「BNK48」のメンバーである“ミューニック”ことナンバット・ルートナームチュートサクンが出演しています。

キャストのプロフィール


(C)2019 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

プロイユコン・ロージャナカタンユー

2016年の『#BKKY』で映画デビュー。本作は彼女にとって二作目の映画出演作となります。

また不慣れなアクション撮影に対しても、トレーニングを積み重ね見事に演じ切りました。

ナンナバット・ルートナームチュートサクン(ミューニック)

バンコクを拠点に活動する人気アイドルグループ「BNK48」のメンバーであり、愛称は“ミューニック”。

本作が映画デビュー作であり、オーディションによってメインキャストの座を勝ち取りました。

ラッター・ポーガーム

プラッチャーヤ・ピンゲーオ監督の『マッハ!無限大』にも出演した経験も持つ女優。

テレビ番組での歌披露によって注目を浴び、16歳でアルバムをリリースするなど当初は歌手活動を展開。

その後女優としても活動を開始し、他の出演作品にはライアン・ゴズリング主演作『オンリー・ゴッド』(2013)、ジェイソン・ステイサム主演作『メカニック・ワールドミッション』(2016)など。

映画『Sisters』のあらすじ

十数年前。漢方医で呪術師の女性は自分の妹が“ガスー”と呼ばれる怪物であると信じ、彼女が怪物化しないように常に妹のそばにいました。

妹はやがて一人の男性と恋に落ち、少女を生みます。ところが、ガスーの群れに襲われたことで姉妹は命を落とし、妹の夫も半身不随になってしまいます。

そして現代。呪術師の娘ウィーナーと妹の娘モーラは女子高生になっていました。

実際には従姉妹の関係である二人ですが、あくまで姉妹として育てられてきました。

ウィーナーはいずれガスーとして覚醒するであろうモーラの監視、そして彼女に迫る邪悪なガスーの群れに対抗できる多くの呪術と知識を、幼い頃から身に着けさせられて来ました。

様々な自分の夢や理想を犠牲にしなくてはいけない生活に不満を感じるウィーナー。

ですが、モーラが覚醒を始め、更にかつて自分たちの母親たちを襲ったガスーの一団が迫ってくることを知ると、闘うことを決意します。

映画『Sisters』の感想と評価


(C)2019 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

「タイのホラー映画」と言えば、ハリウッドでもリメイクされたオキサイド&ダニー・パン兄弟の出世作「THE EYE」3部作、落合正幸監督がハリウッドデビューを飾った『シャッター』のオリジナル『心霊写真』など、そのクオリティの高さはホラー映画ファンの間では知られています。

本作を手掛けたのは、『マッハ!!!!!!!!』『トム・ヤム・クン』などムエタイアクション映画で知られるプラッチャーヤ・ピンゲーオ監督。ホラーテイスト作品を手掛けるのは今回が初ですが、キレとケレン味のある映画作りを得意とする監督ならではの、ハッタリの利いたガールズアクションホラーとして完成しています。

東南アジアで伝承されてきた魔物“ガスー”をめぐる物語である本作は、そこまでタイの歴史や宗教的な価値観、倫理観を知らなくても充分に楽しめる作り、そして知っていたらより一層楽しめる作りにもなっています。

前半はひたひたと恐怖が忍び寄るようなドラマで見せ、後半は盛り沢山のアクションによってストーリーを加速させていきます。残酷な描写に関しても変な遠慮をすることなく、クライマックスではしっかりとヒロインたちが血まみれになったりもします。

日本の目の肥えたホラー映画ファンでも楽しめる映画であると確信しています。

まとめ


(C)2019 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

監督のコメントによると、本作のアイデア自体は『マッハ!!!!!!!!』以前から温めていたものということですが、「BNK48」というアイドルグループの誕生が、作品の完成を予想外な形で加速させた感もあります(製作会社としてもBNK48は名を連ねています)。

賛否ありますが、現在の日本の心霊系ホラー映画は「アイドルが主演を務める」というフォーマットをとることで、製作が成り立っているという側面も垣間見られます。

「アイドルが主演を務めた」という現在のJホラー作品との共通点を踏まえると、映画『Sisters』は日本でも知られる人気アイドルグループのメンバーがメインキャストを務めているのみならず、「ティーンエイジャーの少女(しかもほぼ制服姿)」という設定のキャラクターを演じていることにも共通点を見いだせます。

そして本作におけるホラーモチーフである怪物“ガスー”のろくろ首にも似た凶悪なビジュアルは、一目でわかる恐怖感を人々に与え、ホラーモチーフとして多くの名キャラクターを生み出してきたJホラーのDNAを感じることができます。 

【連載コラム】『TIFF2019リポート』記事一覧はこちら


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