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【ネタバレ】ターミネーター0|あらすじ感想評価と結末考察。”審判の日それぞれの思惑”を詳細に解説

  • Writer :
  • 糸魚川悟

いくつものタイムリープによって変わり始めた世界の物語

ジェームズ・キャメロン監督が手がけ、世界的なヒットを記録した映画『ターミネーター』(1984)。

続く続編『ターミネーター2』(1991)は全世界で5億2000万ドルの興行収入を記録し、2024年には「アメリカ国立フィルム登録簿」に登録されました。

そして第1作から40周年となる2024年、「ターミネーター」シリーズ初のアニメーション作品『ターミネーター0』が、同年の《審判の日》こと8月29日(木)にNetflixで配信開始されました。

今回は『ターミネーター0』(2024)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

アニメ『ターミネーター0』の作品情報


(C)Netflix

【配信】
2024年(Netflix独占配信)

【監督】
工藤昌史

【アニメーション制作】
Production I.G

【エグゼクティブプロデューサー】
マットソン・トムリン

【英語版キャスト】
ティモシー・オリファント、ソノヤ・ミズノ、ロザリオ・ドーソン、アン・ダウド、アンドレ・ホランド、カーター・ロックウッド、アルマーニ・ジャクソン、スマリー・モンタノ

【日本語版キャスト】
間宮康弘、内田夕夜、種﨑敦美、行成とあ、早見沙織、下野紘、石上静香、佐藤みゆ希、横尾まり

【作品概要】
ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015)以降の「ターミネーター」シリーズ作品を手がけるスカイダンス・プロダクションとNetflixが共同制作した全8話のアニメーション作品。

「攻殻機動隊」シリーズや「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズを手がける日本のアニメーション会社Production I.Gがアニメーション制作を担当しました。

アニメ『ターミネーター0』のあらすじとネタバレ

【2022年】

惨殺された軍人の死体がそこかしこに転がる中、エイコはロッカーの中に身を潜めていました。

エイコを追いかけてくる金髪の男性はハンドガン程度ではびくともせず、爆破によってようやく表皮を剥がれたその機械生命体(ターミネーター)に必死に立ち向かったエイコは、ターミネーターを再起動するプログラムが入った注射器を打ち込むことでターミネーターを撃退しました。

【1997年8月29日】

人類が絶滅する「審判の日」の夢に怯えるマルコムは発明好きのケンタ、ヒロ、レイカの3人の子供と、ミサキと言う家政婦と暮らしています。

巷ではロボットの「1nno(イノ)」が店員を務めているなどロボットが普及していましたが、マルコムはロボット猫ですら家に上げないなど徹底したロボット禁止を家族に敷いていました。

マルコムは「コルテックス産業」で人工知能を開発しており、17時間以内に「ココロ」をオンラインに出来れば「審判の日」を回避できると考えていました。

【2022年】

レジスタンスのアジトに一人もどったエイコは、預言者に手に入れた「スカイネット」の計画の一端が記載されたデータを渡します。

「スカイネット」は1997年に生きるマルコムを狙うターミネーターとタイムマシンを作り出しており、レジスタンスは預言者の指名によってタイムマシンを使ってエイコを過去に送り込むことに決めます。

タイムマシンでの移動は片道切符であり、二度とこの時代に戻ってくることは出来ませんが、エイコは過去へのタイムトラベルを了承。

レジスタンスのアジトにターミネーターが現れながらも、エイコは1997年8月29日の東京へとタイムトラベルを果たしました。

【1997年8月29日】

レイカは夜には店に戻す予定のロボット猫を持ち出し外へと逃げてしまいます。

ケンタとヒロもレイカを追い、ミサキには内緒で外へと出て行きました。

マルコムはアメリカ製の軍事AI「スカイネット」が間も無く起動し、人類の敵となる未来を確信しておりそれを止めるために「ココロ」を作り出しました。

しかし、同時に「ココロ」をオンラインにすることで「スカイネット」と同じ未来を辿るのではないかと言う不安も抱えていたのです。

現に「ココロ」は人類を地球にとって有用な生物とは考えていませんでした。

マルコムのもとにミサキから子供たちが逃げ出したと言う連絡が入ると、マルコムは研究施設を抜け出しミサキと合流し子供たちを探しに出かけます。

運転をしながらマルコムはレイカは東京の端にある猫のテーマパークへ行ったと推測。するとそこにターミネーターが現れマルコムを襲撃します。

エイコの介入によってマルコムとミサキは難を逃れますが、事態を察したマルコムはミサキに子供達を託しその場を去りました。

ターミネーターを海に落としたエイコは、逃げるミサキを確保するとマルコムの居場所を聞き出そうとします。

マルコムが機械に襲われていると聞いたミサキは、マルコムが戻った研究施設には機械対策のセキュリティが完備されていると言うと、エイコはターミネーターがマルコムの子供たちを狙う可能性を考えます。

海に落ちたターミネーターはクロスボウを仕入れると研究施設への侵入が困難だと察し、標的をマルコムの家族へと切り替えました。

人類を救うことに懐疑的な「ココロ」に、マルコムは人類が変われる証拠をあげれれば人類の救出に力を貸してくれるかと問いかけます。

一方、レイカと合流したケンタとヒロの前にロボット猫にアクセスすることによって位置を特定したターミネーターが現れ、駆けつけたエイコがターミネーターを襲撃しミサキがケンタたちを連れて逃亡します。

エイコは足を負傷しながらも逃げ遅れたレイカを守るためにエレベーターシャフトからターミネーターを突き落とします。警察署に逃げ込んだミサキとケンタとヒロは、シラキ警部とフジノ警部に保護されます。

シラキとフジノはミサキについての身辺調査を行いますが、ミサキの情報は何ひとつ見つからず彼女を疑い始めます。直後、ターミネーターが警察署を襲撃し、警察官を次々と殺害するとフジノもシラキもその手にかけます。

ケンタとヒロを逃す過程でミサキがターミネーターに片腕を引きちぎられますが、引きちぎられたミサキの腕からは無数のケーブルが垂れます。

困惑しながらも3人はターミネーターから逃れますが、車の盗難方法が瞬時に頭の中に浮かぶなどミサキは自分自身のことがわからなくなっていました。

パトカーを盗んだことで警察官にも追われることになったエイコとレイカ。レイカの話からマルコムがターミネーターの存在を知っていることをエイコは知り、過去の人間であるマルコムがなぜ開発されていないターミネーターを知っているのか疑問を覚えます。

しかしその直後、エイコは警察隊によって確保されました。規定の時刻となり、「スカイネット」が暴走。

西半球は核爆弾によって崩壊状態となり、日本にも核弾頭を積んだミサイルが発射されます。

時間がないと知ったマルコムは「ココロ」をネットに接続することに決め、「スカイネット」が人類を排除する決定に至ったファイルへとアクセスさせました。

核の炎は世界を覆い始めますが、「ココロ」がネットの一部を掌握したことで日本は守られます。しかし、人類の善性を疑う「ココロ」はあくまでも「スカイネット」の攻撃から守っただけと言い、マルコムに時間を与えます。

日本の各地でイノが人を襲い始め、エイコとレイカは混乱に乗じてその場を逃れます。

イノは武器を持つ危険度の高い人間のみを襲っており、武器を持たないことでエイコやミサキたちは姿をくらましていました。一方、イノの暴走はターミネーターにも予想外であり、ターミネーターもイノに襲われます。

体力の限界が近づくエイコは自身やターミネーターの狙いは「ココロ」の破壊であると言い、エイコは「ココロ」が「スカイネット」の味方になっても敵になっても人類は滅亡するとレイカに言います。

レイカは諦め始めているエイコに家族を探す手伝いを頼みました。「ココロ」がイノを暴走させたと知ったマルコムはその真意を「ココロ」に問いかけます。

敵対する人間を容赦なく殺害する「ココロ」に対し、なぜ人間全員を殺さないのかをマルコムが問いかけると、「ココロ」は「スカイネット」を止める手立てが人間にあるからだと言います。

機械を破壊して回る男たちに機械であることがバレ襲われたミサキは、驚異的な身体能力で男たちを殺害してしまいます。

ケンタはミサキが敵なのではないかと言う疑惑を持ちますが、ミサキはケンタとヒロを守りこそすれ、襲う気などはありませんでした。

亡き母との思い出の地として猫のテーマパークで合流したレイカ・エイコとケンタ・ヒロ・ミサキ。しかし、ミサキに疑念を覚えるケンタは先行しすぎたためにターミネーターと遭遇し拉致されています。

「ココロ」はマルコムが妻を失った時の話を聞き、人間の心を理解し始める一方でマルコムに対し疑問を抱きます。

そこで「ココロ」はマルコムが未来を見通していることや戸籍がないことから、マルコムが「タイムリーパー」と言う結論に至ります。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ターミネーター0 シーズン1』のネタバレ・結末の記載がございます。『ターミネーター0 シーズン1』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

【未来】

2025年に生まれたマルコムは2037年にはターミネーターの中身を知るプロフェッショナルとなっていました。

2045年、「スカイネット」のプログラムが暴走するに至った欠陥を取り除き、無の状態で人工知能を発生させるプログラムを完成させます。

マルコムはプログラムに命令を与えず自由に学習をさせると、プログラムはやがて「ミサキ」と名乗り人間を学習しますが、抵抗軍はミサキを危険視し破壊しようとします。

マルコムはミサキを破壊しようとした抵抗軍を殺害すると「スカイネット」の技術を使い1983年に戻ります。マルコムとミサキは人類を救うためミサキの記憶を使い「ココロ」を作り出しました。

【現代】

意識と精神と魂が分離した「ココロ」を一つにするため、マルコムは敢えて家族全員とターミネーターを施設に呼び寄せます。

ターミネーターはケンタを連れて施設に現れますが、マルコムはケンタの命がかかっていても「ココロ」を停止するつもりはありませんでした。

ミサキたちが到着しミサキがターミネーターと交戦。マルコムはエイコと知り合いのような素振りを見せますが、エイコにその覚えはありませんでした。

追い詰められるミサキを救おうとするケンタが瓦礫に飲まれそうになると何故かターミネーターがケンタを助けます。

ミサキもエイコも満身創痍となる中、エイコを救おうとしたマルコムはボウガンで撃たれ、ケンタがターミネーターに連れ去られます。

瀕死のマルコムはエイコが自身の母親だと言い、残された子供たちを孫として面倒を見て欲しいとエイコに託しました。

ターミネーターは電磁パルス発生装置の前へ行くと、ケンタに電磁パルス発生装置を起動させるように命じます。

ターミネーターは25年後の未来のケンタが「スカイネット」と手を取り同盟関係を結んだ初の人間であると言い、すべての機械を停止させ「ココロ」を破壊するようにケンタに命じられたと伝えます。

一方、マルコムはミサキに謝罪すると、ミサキに別の時間軸に逃げるように言います。

マルコムが死亡すると「ココロ」は大量のイノを使ってターミネーターを破壊し、ケンタのいる電磁パルス発生装置の前に現れます。

マルコムは最後に「ココロ」に人類を信じるか見捨てるかの選択を迫っており、「ココロ」は人類の善性を信じる決断を下しました。

そして「ココロ」はケンタに自身を信じるか信じないかの決断を迫ります。ケンタは最後の最後に「ココロ」を信じることに決め、電磁パルス発生装置を起動せずにその場を去りました。

「ココロ」は再開した「スカイネット」の攻撃から日本を守り、ケンタと合流したエイコやミサキたちを解放。

どこに逃げれば良いのか、何を信じれば良いのかも分からないまま、エイコ、ミサキ、ケンタ、ヒロ、レイカは歩みを進めました。

エイコは自分が過去に戻り変わってしまった未来が正しいのかも分かりませんでしたが、ただ前を進む覚悟を決めます。

その頃、「ココロ」は壊れたターミネーターを回収していました。

アニメ『ターミネーター0』の感想と評価

豪華なキャストに彩られるアニメ版「ターミネーター」

海外で企画こそされたものの、「BLEACH」や「ハヤテのごとく!」などのアニメに携わってきた工藤昌史が監督を務め、日本を代表するアニメーション会社「Production I.G」がアニメーション制作を担当するなど日本が強く関わったアニメ『ターミネーター0』。

本作はスタッフだけでなく声を担当した声優陣も非常に豪華であり、日本では「SPY×FAMILY」でメインキャストを担当する早見沙織や、同じく「SPY×FAMILY」でメインキャストを務める種﨑敦美と言った話題と実力を持った声優がキャスティングされています。

「ターミネーター」シリーズの本場となる英語圏での力の入れ方も強く、『ダイ・ハード4.0』(2007)でヴィランを演じたティモシー・オリファントや、スターウォーズシリーズとなるドラマ「アソーカ」で主演を務めたロザリオ・ドーソンが声のキャストとして起用。

あの「ターミネーター」の新作として、日米共に気合の入った制作となったことがキャストやスタッフ陣からも分かる作品です。

【ネタバレ注意】いくつもの思惑が入り乱れる物語

「ターミネーター」シリーズは物語として「人類」と「暴走したAI」と言う分かりやすい対立構造となっていましたが、本作では今までとは全く異なる複雑な様相が描かれていました。

本作では主に4つの目的のグループが存在しています。

1つ目はシリーズお馴染みの暴走したAI「スカイネット」。「ターミネーター」を過去に送り歴史を変えようとしている目的こそいつもと同じですが、本作では未来のケンタと同盟を結び、未来の人類のために「ココロ」の破壊を企てていました。

2つ目もシリーズお馴染みの勢力「レジスタンス」。兵士のエイコを過去に送る点は同じではありますが、本作では未来のマルコムに対し高圧的な態度を取り事態を悪化させてしまうなど、頭の固い組織としての面が強く出ています。

3つ目は本作独自のキャラクターであるマルコムとミサキ。未来の人間であるマルコムによって作られた人工知能ミサキは人類を守るために行動していますが、そのために敵対する人間を躊躇いなく殺害する様子も見せています。

そして最後の勢力となるAIの「ココロ」。「スカイネット」を知り尽くしたマルコムによって製作されたAIですが、人間の心をより理解した「ココロ」は人を導く存在にも破滅に陥れる存在にも揺れており、ラストシーンでは不穏な様子も見せていました。

このように本作は4つの思惑が入り乱れたまま終了し、どの勢力が正しいのかは明かされることなく終わります

自身がどの勢力の考えに近いのか、を考えれば考えるほどに作中の味が変わる物語となっていました。

まとめ

「人類」と「スカイネット」が繰り返し過去を変えたことで生まれた新たな世界線。

新たなAI「ココロ」が生まれた世界線の未来には、果たして希望が生まれるのか。

数多くの思惑が入り乱れる「審判の日」を描いた『ターミネーター0』は、アニメでしか見られない新たな世界線の「ターミネーター」を楽しめる作品となっていました。



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