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Entry 2018/03/28
Update

『パタリロ! スターダスト計画』あらすじネタバレと感想。原作のリスペクトを考察

  • Writer :
  • 森谷秀

『花とゆめ』(白泉社)で1978年より連載開始から2018年現在40年。

個性派俳優・加藤諒の主演で2度舞台化され、2018年秋に実写映画版の公開も決まった長寿ギャグ漫画『パタリロ!』。

今回は1983年に公開された劇場版アニメーション作品『パタリロ!スターダスト計画』のについて振り返ってみようと思います。

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1.劇場版アニメ『パタリロ!スターダスト計画』の作品概要


©︎東映・魔夜峰央『花とゆめ』白泉社

【公開】
1983年(日本映画)

【原作】
魔夜峰央『花とゆめ』(白泉社)

【監督】
西沢信孝

【キャスト(声の出演)】
白石冬美、曽我部和恭、藤田淑子、戸田恵子、田島令子、永井一郎、池田昌子、滝口順平、大塚周夫、小林清志、野島昭生、古川登志夫

【作品概要】
1978年に連載開始され、1982年にテレビアニメ化された魔夜峰央原作の漫画『パタリロ!』の劇場版アニメーション作品。

原作者の魔夜峰央は本作で主題歌と本人役でも出演。監督はテレビ版アニメ『銀河鉄道999』や『SLAM DUNK』で知られる西沢信孝。

脚本は加山雄三の「若大将」シリーズやクレイジー・キャッツ映画で知られる田波靖男。

2.劇場版アニメ『パタリロ!スターダスト計画』のあらすじとネタバレ

世界各国で相次ぐダイヤモンド強奪事件の魔の手が、遂にマリネラ王国にも及びます。

クモ型のスパイカメラを見つけた国王のパタリロと、MI6諜報員のバンコランは調査に乗り出し日本へ向かいました。

パタリロとバンコランは、クモ型カメラを製造した企業の社長を追い詰めますが、何者かによって銃殺されてします。

不審な影を追うバンコランでしたが、彼の目の前に現れたのはかつての愛人ビョルンに瓜二つの美少年でした……。

ビョルンはバンコランの手によって銃殺されていました。

しかし、バンコランの頭からビョルンのことが離れません。これにバンコランの現在の愛人マライヒは嫉妬します。

一方、殺された社長が最期に遺した「ジークタランテラ」という言葉から、事件の背景にタランテラの異名をとる科学者シュゲルグ博士がいることを突き止めます。

そんな中、バンコランの元に謎の美少年から電話がかかり、バンコランは待ち合わせ場所のテムズ川まで行きます。

そこに現れたのはビョルンに瓜二つの美少年。謎の美少年の口から“スターダスト計画”の名を聞くパタリロたち3人。

パタリロは雇った間者猫の調査から、美少年の正体がビョルンの双子の弟・アンドレセンだという事を突き止めます。

アンドレセンはシュゲルグ博士の命を受け、NASAケネディー宇宙センターへ。ロケットをハイジャックし宇宙へ飛び立ちます!!

その報を聞いたパタリロ、バンコランとマライヒ。そして、ついにシュゲルグ博士が姿を現します。

シュゲルグ博士は「48時間以内に秘密組織タランテラに降伏しなければ大都市を破壊する」と全世界に向け声明を発表。

手始めに東京を雹(ヒョウ)の嵐で壊滅させてしまいます。

以下、ネタバレ

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『パタリロ!スターダスト計画』ネタバレ・結末の記載がございます。『パタリロ!スターダスト計画』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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シュゲルグ博士が進める“スターダスト計画”とは、ダイヤモンドを宇宙に運び絶対零度の状態にし、大気圏の摩擦熱で溶けないよう熱伝導率の低い物質でコーティングし地球に降下させます。

保護物質が溶けた絶対零度のダイヤモンドが雲を凍結させ巨大な雹を降らせるというものでした。

この脅威の作戦に国連加盟国の大半はタランテラに降伏する事を決定します。

地球の危機にパタリロ、バンコラン、マライヒ、パタリロが開発したロボット・プラズマXはロケットで宇宙に。アンドレセンが乗るロケットを追いかけます。

アンドレセンはダイヤモンド発射装置を地球に向けて撃ってしまいます。

パタリロとプラズマXは時間跳躍(タイムワープ)!!

一方、アンドレセンと対峙するバンコラン。

アンドレセンの口から、ビョルンが最後に書いた手紙にはバンコランを愛していたことしか書かれていなかった事、その手紙に触れアンドレセン自身もバンコランを愛してしまった事を聞きます。

バンコランはアンドレセンに向け発砲!!

ヘルメットが割れたアンドレセンは宇宙に放り出され、星屑となります。

パタリロは自身の先祖と子孫を召喚し3人で力を合わせ、凍結した全世界の雲をタイムワープさせ地球の危機を救います。

シュゲルグ博士のスターダスト計画は失敗に終わり、彼は協力者であった大魔神に処刑されます。

平和が訪れた地球。バンコランとマライヒは安堵します。

しかし、マリネラ王国にパタリロの姿はありません……。

パタリロとその先祖、子孫とプラズマXは現代に戻らず原始時代に留まって、ダイヤモンドを掘っているのでした。

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3.劇場版アニメ『パタリロ!スターダスト計画』の感想と評価

テレビアニメからの劇場版ということもあり、初見の人には人間関係などが少しわかりにくいかもしれません。

しかし48分という短い時間の中に『パタリロ!』のエッセンスが十分に取り込まれており、尚且つテンポよく鑑賞できる作品なっています。

本作の重要な要素の1つに“少年愛”があります。

主要人物の2人、美少年キラーの異名をとるMI6諜報員のバンコランと美少年マライヒは恋人同士です。

本作はバンコランのかつての恋人ビョルンが話の縦軸になります。

何故ギャグ漫画の本作に“少年愛”というきわどい要素が入っているのかですが、これについては当時の少女漫画誌の背景を説明する必要があります。

今でこそBL(ボーイズラブ)漫画というジャンルが確立されていますが、連載当時の1978年にはそのような言葉、ジャンルはありませんでした。

しかし、少女漫画界に竹宮恵子の『風と木の詩』、萩尾望都の『トーマの心臓』という少年愛を描いた二つの漫画が登場します。

この二つの漫画は今日のBLの源流ともいうべき作品で(現行のBL漫画と大いに違いはありますが)、この2作の流行が本作『パタリロ!』にも影響しているのです。

少年愛の要素はテレビアニメ版でも避けることなく描かれ、それもゴールデンタイムで放送されていたのですから、驚きです。

ただし、マライヒをはじめとする美少年キャラは藤田淑子、戸田恵子ら女性声優の方が務めています。

参考映像:巨匠ルキーノ・ヴィスコンティ監督『ベニスに死す』(1971)

また、本作に登場する双子の美少年ビョルンとアンドレセンですが、この二人の名前は映画『ベニスに死す』(1971)に登場する美少年タジオを演じ、70年代の美少年の代名詞的存在ビョルン・アンドレセンからとられています。

次にギャグに関してですが、当時の世相・風俗が多分にパロディとして取り込まれています。

本作『パタリロ!スターダスト計画』の中では、『スーパーマン』『ゴルゴ13』『宇宙戦艦ヤマト』『エコエコアザラク』などのパロディが登場します。

バンコランがMI6の諜報員という設定も、「007」シリーズの影響でしょう。

また原作者・魔夜峰央が劇中に登場するなど、メタ的なギャグも含まれています。

まとめ

少年愛という耽美的な雰囲気、パロディやメタフィクションといったギャグが同居する独特な世界が魅力の『パタリロ!』。

実写映画版ですが、キャストは加藤諒、青木玄徳、佐奈宏紀、脚本は個性派俳優の池田鉄洋、監督は小林顕作と主要メンバーは舞台版からの続投になります。

個性的な原作が、個性的な配役、スタッフでどのような個性的な映画に仕上がるのか楽しみです。この機会に原作、アニメ版に触れてみるのはいかがでしょう。

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