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Entry 2021/06/15
Update

『閃光のハサウェイ』ネタバレMS考察評価。2/3部でのクスィーガンダムVSペーネロペーの勝敗も予想!

  • Writer :
  • 薬師寺源次郎

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は2021年6月11日(金)よりロードショー!

機動戦士ガンダム』の富野由悠季監督が手がけた小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』をアニメーション映画化した3部作の第1部がついに劇場へ。

本記事では『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』から、「機動戦士ガンダム」シリーズにおいてのもう一人の主役、MS(モビルスーツ)にクローズアップ。

登場したMS等の各機体を解説するのみならず、“宿命”ともいえる対決が今後も描かれてゆく機体Ξ(クスィー)ガンダム、ペーネロペーを性能の観点から比較・考察していきます。

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』作品情報


(C)創通・サンライズ

【公開】
2021年(日本映画)

【監督】
村瀬修功

【キャスト】
小野賢章、上田麗奈、諏訪部順一、斉藤壮馬、古谷徹、津田健次郎、石田由依、落合福嗣、武内駿輔、松岡美里、沢城千春、種崎敦美、山寺宏一、川上洋平、磯部寛之、白井眞輝

【作品概要】
機動戦士ガンダム』(1979)の生みの親である富野由悠季が執筆した小説を原作に『虐殺器官』(2017)の村瀬修功が監督を、歴代ガンダムシリーズ同様サンライズがアニメーション制作を担当。

人気声優の小野賢章が主人公ハサウェイを演じ、ヒロインのギギ役を上田麗奈が、ライバルとなるレーン役を斉藤壮馬が担当します。

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のあらすじ


(C)創通・サンライズ

「シャアの反乱」こと第二次ネオ・ジオン戦争から12年が経過した、宇宙世紀0105。地球連邦政府の腐敗は地球の汚染を加速させ、強制的に民間人を宇宙へと連行する非人道的政策「人狩り」も施行されていた。

その中で反連邦武装組織「マフティー」は、連邦政府の高官を暗殺するというテロ行為による抵抗を開始。そのリーダー「マフティー・ナビーユ・エリン」の正体は、一年戦争も戦った連邦軍大佐ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノアだった。

アムロ・レイとシャア・アズナブルの理念と理想、意志を宿した戦士として道を切り拓こうとするハサウェイだが、連邦軍大佐ケネス・スレッグと謎の美少女ギギ・アンダルシアとの出会いがその運命を大きく変えていく……。

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』登場機体解説

グスタフ・カール00型

キンバレー部隊(後に「キルケー部隊」に改名)の主力MSであるグスタフ・カールは、これまでの連邦軍主力量産機の延長線上に位置し、ジムやジェガンの設計思想を引き継いだ機体になっています。

設定上では運用試験のため先行配備されたグスタフ・カール13型(『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダムNT』に登場)は機体がグレー系のカラーリングだったのに対し、本作に登場するグスタフ・カール00型は正式採用された機体であり、量産仕様化にあたってフレーム構造が全面的に変更され、ブルー系のカラーリングが施されています。

歴代の量産機に比べ機体骨格が大型化したうえ、重装甲のため一見すると重鈍なイメージを受けますが、大出力ジェネレーターを採用することにより俊敏な機動を可能とし、劇中でもメッサーの素早い動きに追従して見せています。その一方で大気圏内での単独飛行はできないため、その際にはケッサリアと合わせて運用されています。

武装は一般的なビームライフルやビームサーベル等ですが、劇中では両手にビームライフルを装備した機体が登場し、量産機らしい汎用性を見せています。

ケッサリア/ギャルセゾン

MSを空中運搬するための「サブ・フライト・システム」と呼ばれる支援機として連邦軍が運用していたケッサリアと、敵対するマフティーが運用していたギャルセゾン。

ケッサリアは円形に近い形状が特徴的で、横列に2機のMSを搭載することが可能なのに対し、ギャルセゾンは一部を除いて直線的な形状が目を引き、縦列に2機のMSを搭載するという差異が見られます。

武装はどちらも小口径の機銃が装備されており、戦闘能力自体は低くあくまでサポートのための機体です。その反面コックピットがMSよりも広く、MSパイロットの作戦行動以外での居住スペースとして使用されたり、人数は限られるものの兵員輸送の目的で使用されることもあります。

劇中ではハサウェイとギギがケッサリアで休む場面が描かれていることからも、機能性に優れた支援機であることが分かります。

ペーネロペー


(C)創通・サンライズ

連邦軍が発注、アナハイムエレクトロニクスが開発した最新鋭MSであり、第5世代のフラッグシップ機である「ペーネロペー」は、本体となるオデュッセウスガンダムにフィックスド・フライト・ユニット(FFユニット)を装備した呼称となります。

小型化したミノフスキー・ユニットを装備し、大気圏内での単独飛行が可能となった初の機体でもあり、フライト・フォームへ変形することで超音速飛行が可能に。またフライト・フォームでの飛行の際には、先端となる胸部にモノアイカメラが点灯し、フライトフォーム時のメインカメラとなります。そのため劇中で登場したフライト・フォームに変形したペーネロペーは、まるで竜か怪鳥のように見えたのが印象的でした。

武装はビームライフルのほかにメガ粒子砲とビームサーベルを自在に切り替えることが可能で、両腕部にはミサイルを搭載したコンポジット・ウェポン・ユニット(複合兵装)を装備。また肩部のメガ粒子砲、フライト・ユニットの先端部にバルカン砲が四門に加え、第1部劇中では未登場ですが、パイロットの脳波により軌道を誘導するサイコミュ兵器ファンネルミサイルを備えています。

因みにビームシールドも有していますが、設定ではフライト・フォームでの超音速飛行を行う際の空気抵抗軽減のためフライトユニット先端部に展開されるとされ、あくまで超音速飛行を補助するものとして用いられます。第1部劇中で明確に描写はされていませんが、超高速飛行中に機体がオレンジ色に発光して見えていたのは、このビームシールドによるものだと思われます。

姉妹機であるΞガンダムの先発機にあたりますが、性能はほぼ互角と言っていいでしょう。

またペーネロペーは原作小説では「ガンダム」としては描かれておらず、「最新鋭高性能機であり、ガンダムの影響が垣間見える」といったようなニュアンスで記述され、初期デザインもガンダムに似た要素も持つものの、似て非なるものといった印象を受ける機体でした。しかし時代を経てのリファインにおいて、オデュッセウスガンダムの設定が確立され、ペーネロペー=ガンダムタイプMSへと変化していきました。

近年のゲーム作品の中ではフライト・ユニットをパージし、オデュッセウスガンダムの状態で戦闘を行うという演出も話題になっており、第2部・第3部でその演出が登場するかもしれません。

メッサーF01型/F02型


(C)創通・サンライズ

マフティーが使用する主力MSであるメッサーは容姿からも分かる通り、ジオン系設計思想、特に機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したギラ・ドーガなどの系譜を引き継いだ機体です。そのコクピットも、ギラ・ドーガに次ぐネオ・ジオン軍主力機として開発されたギラ・ズール(『ガンダムUC』登場)と類似したデザインになっています。

またマフティーが常套的に実行している「高高度からの降下による目標へと急接近・破壊工作」という作戦行動に適するよう、滞空時間・降下能力・滞空旋回性を高めるため、バーニアの増設などをはじめ様々な工夫が施されており、中でも脚部装甲が一部展開、補助翼のように広げることが可能な点が目を引きます。この展開する脚部装甲は第1部劇中でも描写され、ダバオの上空を自在に旋回していました。

武装はグスタフ・カール同様に一般的なビームライフル、ビームサーベル、シールドを用いていますが、ジオン系のMSとしては珍しく頭部にバルカン砲を有しているのが特徴的です。

Ξ(クスィー)ガンダム


(C)創通・サンライズ

マフティーがアデレード会議襲撃に向けアナハイム・エレクトロニクスに発注した機体であり、Ξ(クスィー)はギリシャ文字でν(ニュー)に続く文字、つまり逆襲のシャア』でアムロ・レイが搭乗したνガンダムに続く機体として開発され、暗に“アムロの意志”を引き継いでいることを示唆しています。

「ガンダム」の名を持つ機体ではありますが、それまでのガンダムと呼ばれる機体と比べると鋭角的なデザインが目を引き、胸部周辺のデザインがガンダムタイプの頭部を連想させます。またΞガンダムはアナハイム社製の機体ながらも、テロ組織のマフティーに表面上は協力していないとするアナハイムの意向から、外見上からアナハイム社製とわからないよう様々な隠蔽処理がされています。

ペーネロペー同様に大気圏内での単独飛行が可能であり、フライト・フォームへの変更により超音速飛行ができます。しかしペーネロペーがFFユニットを装備を要するのに対し、Ξガンダムは追加装備なしで超音速飛行が可能となっています。それはペーネロペーのものより、さらに小型化に成功したミノフスキー・ユニットを搭載しているためです。

武装面ではビームライフル、シールドのほか、ミサイルを両肘・両膝部に3発ずつ装備。さらにリアスカートにファンネルミサイルを装備するなど、姉妹機であり先発機ペーネロペーと同等の装備を有しています。

ビームライフルについては通常のものより発射時の初速が速く、高速戦闘に適した仕様となっています。中でも特異なのがビームサーベルで、従来のものと異なり、柄の部分からもビーム刃が伸びている「両刀」の状態になっており、格闘性能が向上されています。また放つビームやビームサーベルの刃の色が、ゲーム等で登場した際にはガンダム作品では一般的な濃いピンク色で描かれていたのに対し、映画では緑色となっているのも特徴的です。

因みに映画におけるΞガンダムは他の登場MSに比べると、原作小説に登場した初期設定に近い形でリファインされ、1989年の原作小説発行以降、ゲーム作品への登場を中心に何度もデザインのリファインが行われただけに原作ファンに感慨深いのではないでしょうか。

また過去のゲーム作品では、肩部からメガ粒子砲を発射したり、追設のミサイルポッドを装備していたりしていたため、映画続編で登場する可能性もあるのではと楽しみにしたいところです。

クスィーガンダムVSペーネロペーの:機体性能から比較・考察


(C)創通・サンライズ

本作のクライマックスで激闘を繰り広げたΞガンダムとペーネロペー。結果は一瞬の隙をついたΞガンダムが勝利を収めましたが、機体性能というよりも、ハサウェイとレーンのパイロットとしての技量差が浮き彫りになった結果のように感じられます。

二部・三部でも激しい死闘が繰り広げられることが予想されますが、この二機のどちらがより高性能で強い機体なのかを比較・考察していきます。

先発機/後発機とFFユニットの有無

姉妹機である両機はペーネロペーが先発機、Ξガンダムが後発機とされています。一般には後発機の方が、より優れた技術が採用され、先発機に比べ高性能になるのが一般的ですが、設定上両機はほぼ同時期に完成していることから、性能による差異はほとんど見られないのではも想像できます。

事実、設定上のスペックや装備している武装についてもほぼ同等という事もあり、先発機・後発機によるアドバンテージは存在しないと考えるのが無難だと感じられます。

しかしその一方で、初めてMSの大気圏内における単独飛行に成功したペーネロペーと続くΞガンダムは、共に超高速飛行が可能という特徴を持つ機体ですが、両機には“フィックス・フライト・ユニット(FFユニット)の有無”という最大の相違点があります。

ペーネロペーの超音速飛行は「オデュッセウスガンダムのFFユニット装備」が必要なのに対し、Ξガンダムは追加装備を用いず、超音速飛行が可能です。一見すると単体で超音速飛行ができるΞガンダムが有利に見えますが、オデュッセウスガンダムはオプションユニットの装備を前提とした機体ながらも、単体でも通常MSよりも高い性能を持つため、たとえ戦闘によりFFユニットを破損したとしても、即戦闘不能状態に陥るわけわけではありません。

対してΞガンダムは単体ですべての機能を有しているため、戦闘による破損によって超高速飛行はおろか、通常の飛行も不可能になる可能性があります。そのためFFユニットの有無も勝敗の決する性能差となるとは一概には言えず、あくまでのその時の戦闘状況や機体の破損状況における些細なきっかけが、2機の対決の勝敗を分けるのかもしれません。

小型化したミノフスキー・ユニット

長年の研究の末、小型化に成功したミノフスキー・ユニットを装備することにより飛行可能となった両機ですが、Ξガンダムの方がより小型化されたものを採用しています。これが前述のFFユニットの有無に繋がるのですが、このさらに小型化されたミノフスキー・ユニットが勝敗を分かつ可能性が出てきます。

設定上におけるスペックは両機同等であるため、ミノフスキー・ユニットの大小による差異は見られません。ただしスペックで見られない、稼働時間や稼働効率の上での性能差が出てくる可能性があります。

実世界でも、機械製品の小型化とそれにあたっての性能の維持/向上によって、逆に稼働可能な時間が短くなったことで稼働効率が落ち、より大型のバッテリーが必要となるなど別問題の改善が必要となったという例が存在します。仮にこの例がミノフスキー・ユニットの小型化にも当てはまるのならば、戦闘が長期戦に突入した際の飛行性能の変化が対決の行方を決することが予想されます。

まとめ


(C)創通・サンライズ

様々な側面から考察しましたが、それぞれ一長一短があり、状況の変化等を考えれば一概にどちらという事はできません。『機動戦士ガンダム』ではパイロットの技量により勝敗を決する戦闘が多いため、最後はやはりパイロットの技量にかかっているというのが、月並みながらも唯一の結論と言えるでしょう。

しかし今回の対決は「大気圏内での超音速飛行が可能な機体同士の戦闘」である以上、空を制する者が勝利を収めることは確かでしょう。

40年以上も続いてきた『機動戦士ガンダム』シリーズにおいて、30年の時を経て、ようやくアニメ化した本作『閃光のハサウェイ』。時代の流れの中で幾度もデザインが変更されながら、ようやく、アニメーションで動く姿が披露され、多くのファンの感慨もひとしおではないでしょうか。

今後発表される映画続編において、これらのMS達がどのように活躍し、大迫力かつ胸を熱くさせる戦いを見せてくれるのでしょうか。今から楽しみでなりません。






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