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映画『悦楽共犯者』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • Moeka Kotaki

チェコ出身のヤン・シュヴァンクマイエル監督。『不思議の国のアリス』を独自に描いた『アリス』(1988)や、人を食らう木が登場するチェコの民話を基にした作品『オテーサネク 妄想の子供』(2000)を始めとする長編。

主人公は何と肉片という不思議な世界の『肉片の恋』(1989)や、暴力的なサッカー試合とそれを観賞する男を描いた『男のゲーム』(1988)など魅力的な短編も多く制作しています。

食事のシーンが多いのですが決まって食べ物がどれもまずそうなこと、時にグロテスク、シュールな笑いが散りばめられた世界観、ストップモーションアニメを用いた目をみはる映像などが彼の作品の特徴です。

今回はご紹介するのはヤン・シュヴァンクマイエル監督による映画『悦楽共犯者』(1996)です。

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映画『悦楽共犯者』の作品情報

【公開】
1996年(日本劇場未公開 : チェコ、イギリス、スイス合作映画)

【原題】
Spiklenci slasti

【監督】
ヤン・シュヴァンクマイエル

【キャスト】
ペトル・メイセル、ガブリエラ・ヴィルヘルモヴァー、バルボラ・フルザノヴァー、アナ・ヴェトリンスカー、イジー・ラーブス、パヴェル・ノヴィー

【作品概要】
6人の男女が自らの悦楽を満たす機械を淡々とシュールに描いた作品が『悦楽共犯者』。シュヴァンクマイエル監督は本作を「マルキ・ド・サド、マゾッホ、ルイス・ブニュエル、マックス・エルンスト、ブルーク、フロイトのエロティックな趣味人たちに捧げる」と語っています。

『アリス』(1988)『ファウスト』(1994)に続くシュヴァンクマイエル監督長編第3作目である『悦楽共犯者』は、前2作に続き実写とアニメーションを融合した映像も見どころの1つです。

映画『悦楽共犯者』のあらすじとネタバレ

アパートに住む中年男性ピヴォイネはある日、ポルノ雑誌ばかり扱っている書店に入りました。

書店店主クラは店番をしながら何か機械を制作しています。

雑誌を購入しアパートに帰宅したピヴォイネの元へ郵便配達員マールコヴァが現れ、「日曜日に」とだけ書かれた手紙を渡して立ち去ります。

その様子をピヴォイネの隣ぬ住む中年女性のロウバロヴァが見ていました。

マールコヴァはそのままアパートの階段の陰に隠れて、鞄から取り出したパンをちぎって小さな球を何個も作ります。

再び外出したピヴォイネは黒い傘を数本購入しました。

その店内には不審な動きをするヒゲを蓄えた男性ヴェトリンスキーがいます。

店を閉めた書店店主クラは奥の部屋でテレビをつけ、女性ニュースキャスターアンナをじっと見つめます。

帰宅したピヴォイネは生きた鶏とナイフを持って隣の中年女性ロウバロヴァを訪ね、彼女は躊躇することなく鶏の首を裂きました。

部屋に戻ったピヴォイネは鶏を調理し、購入した雑誌や粘土、むしった羽などで鶏の頭そっくりの被り物を作っていきます。

ヒゲ男ヴェトリンスキーは街中を歩き回って、指サックや毛皮の一部など触感に特徴のある気に入った物を万引きして帰宅します。

そのまま離れに向かう彼の様子を、妻でキャスターのアンナが家の窓から見ていました。

そのアンナに焦がれるクラは作り物の女の腕を取り出し、テレビに取り付けられたの機械に数本装着しました。

ニュースが始まり、画面にアンナが映るとさも彼女に触れられているかのように機械を動かします。

外出したアパートの中年女性ロウバロヴァはゴミ箱から藁を拾い、ロウソクを購入します。

その間に鶏の頭を作ったピヴォイネはこっそり彼女の部屋に侵入、傘の布を裂きミシンで縫い合わせ、コウモリの羽根のような翼を作り、衣服も数枚失敬して部屋に戻ります。

以下、『悦楽共犯者』ネタバレ・結末の記載がございます。『白い恐怖』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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そしてやってきた日曜日。ピヴォイネは大きな鞄に鶏の被り物や弁当などを入れ、盗んだ衣服を着せた人形に袋を被せて部屋を出ました。

ヒゲ男のヴェトリンスキーは、盗んだ品々を組み合わせ器具を作っていましたが、材料が足りずに街へ車を走らせています。

目当てのものを見つけ、鍵を抜かずに慌てて車から降りたヴェトリンスキー。

そこへピヴォイネがやってきて乗り込み、山中へと走り去って行きました。

なにやら古い建物に入った中年女性ロウバロヴァは、椅子の上に水の入ったタライを置き、ロウソクを用意し、クローゼットに入ります。

出て来た彼女はピヴォイネそっくりの人形を放り投げたり、鞭を振りかざして楽しみます。

逃げ惑っていた人形も藁が出てくるまで鞭打たれるとぐったりして動かなくなりました。

その頃山中に到着したピヴォイネは傘の翼と被り物を装着し、椅子に縛り付けたロウバロヴァそっくりの人形の周りをぐるぐると回っていました。

ピヴォイネは持ってきたランチをしつつ人形を虐め、飛び上がって大きな岩を落とします。

郵便配達員マールコヴァはパンの球を鼻と耳の穴から体内に入れ悦楽に浸っていました。

夫に相手にされていないアンナは鯉を飼い始め、マールコヴァが配達したパンの球を鯉に食べさせます。

ヒゲ男ヴェトリンスキーは、ようやく完成した器具に全身をまさぐられ、うっとりとした表情を浮かべていました。

書店店主のクラも機械を完成させます。

テレビにアンナが映りスイッチを入れると作り物の腕がクラの体を撫で回し、すると画面の向こうの彼女も喘ぎ出します。

アンナは鯉を放したタライに素足を入れ、足を吸われて恍惚としているところでした。

街に戻って来たピヴォイネを見つめるアンナ。鯉に見入る配達員のマールコヴァ。

ポルノ雑誌が並んでいたクラの書店には機械専門誌ばかりが並び、そんなクラは鶏の被り物を作っています。

ピヴォイネがアパートに帰るとパトカーや、救急車が取り囲み物々しい雰囲気になっていました。

運ばれて来たのは頭部が血まみれになったロウバロヴァの遺体。彼女の部屋の床にはピヴォイネが人形に落とした岩がありました。

クローゼットの毛皮に頬ずりをしていた刑事が振り向くと、それはヒゲ男のヴェトリンスキーです。

彼らの嗜好は次の相手へ移り変わったのでした。

ピヴォイネが部屋に戻ると椅子の上に水の入ったタライが置いてあり、ピヴォイネはゆっくりと服を脱ぎます。

彼を誘うかのようにクローゼットの戸が開いたところで、この映画は幕を閉じます。

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映画『悦楽共犯者』の感想と評価

何から書き始めていいか分からないほどの怪作なのですが、大きな魅力の1つはシュヴァンクマイエル監督ならではの映像です。

ストップモーションとリアルの映像を組み合わせた表現は、不思議でシュールな世界観を一層盛り上げています。

鞭から逃げまどう人形や鳥の頭を被って怪鳥男と化した男性。

またぬめぬめとした鯉、タワシの肌触り、パンをちぎって丸めたあの固さなど、音や映像を駆使して感覚全体に訴えかけてきます。

6人の登場人物はそろいもそろった変態たちです。

特殊な性癖を持ち、日曜日の“自慰の日”に向けて一週間探求。せっせと道具を揃え、機械を作り、満を持して行為に及ぶ。そんな変態たちをおかしな人物としてではなく、淡々と映しているところがこの映画の最大の魅力です。

人間の三大欲求といえば睡眠欲、食欲、性欲。悦楽、快楽のためならば人間は想像以上にクリエイティブになれるのかもしれません。

せっせと物作りに励む彼らを見ていると、地球上のありとあらゆる発明物は“変態”たちから生まれてきたのではないかと思わされます。

しかし1人の登場人物が死亡し、彼らの嗜好が次の相手へ移り変わっていることを考えると、最後のラストにはぞくっとせずには入られません。

まとめ

一見孤独に見える彼らですが、実は皆つながりを持ち、気付かぬうちに影響しあっています。

性癖に限らずなかなか人には言い出せない特殊な癖や趣味を持っている人。

似たような人たちは社会に潜んでいて、その想像力と創造性がどこかで交錯し、密かに何かをまた生み出しているのかも…。

自分の悦楽を追求して新しいものを作る、彼らの変態っぷりに笑って驚愕する傑作『悦楽共犯者』。

その驚きの結末までお見逃しなく、ぜひヤン・シュヴァンクマイエル監督の独特の世界観に浸ってみてください。

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