パニックアクション映画『ボルケーノ・パーク』は2020年11月20日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開。
サメや猛獣に蘇った恐竜、はたまた大自然の驚異…。様々な危険を伴うスリルを観光の目玉にした過激なテーマパーク。
嫌な予感しか覚えない、だからこそワクワクさせられる、映画ではお約束の設定です。
そんなジャンル映画ファンが愛して止まない、本格的なディザスター・ムービーが誕生しました。
活火山のある孤島を舞台に、災害に巻き込まれた人々を描く映画『ボルケーノ・パーク』。アクション映画の巨匠、サイモン・ウェスト監督の作品です。
迫りくる火砕流、湧き上がるマグマ、降り注ぐ火山弾。果たして誰が生き残ることができるのでしょう。
映画『ボルケーノ・パーク』の作品情報
【日本公開】
2020年(中国映画)
【原題】
天火 / Skyfire
【監督】
サイモン・ウェスト
【出演】
ワン・シュエチー(王学圻)、ハンナ・クィンリバン(昆凌)、ショーン・ドウ(窦骁)、ジェイソン・アイザックス
【作品概要】
かつて調査に訪れた火山島「天火島」で、噴火に巻き込まれ妻を失った火山学者。20年後、その島は火山のテーマパークを目玉とする、一大リゾート地に姿を変えていました。
噴火の兆候を掴んだ火山学者は、娘を救おうと危険が迫る「天火島」へ向います。南海の孤島で巻き起こる自然災害を描く、災害アクション映画です。
『コン・エアー』(1997)で監督デビュー以来、『トゥームレイダー』(2001)や『エクスペンダブルズ2』(2012)『ガン シャイ』(2017)などを手掛けた、サイモン・ウェストの作品です。
主演は『孫文の義士団』(2009)や歴史ドラマ『大明皇妃 ーEmpress of the Mingー』(2019~)のワン・シュエチー。
共演は『スカイスクレイパー』(2018)のハンナ・クィンリバン、『最後のランナー』(2016)のショーン・ドウ。
「ハリーポッター」シリーズや『スターリンの葬送狂騒曲』(2017)、『ホテル・ムンバイ』(2018)のジェイソン・アイザックスも出演の、国際色豊かなキャストが集まる作品です。
映画『ボルケーノ・パーク』のあらすじとネタバレ
東南アジアの火山島「天火島」に、調査チームの一員として訪れたタオ博士(ワン・シュエチー)。
同じく火山学者である、博士の妻スーと幼い娘のシャオモンも同行していました。しかし、突然火山が噴火します。
タオはただちに研究員に避難を命じ、離れた場所にいる妻と娘の元に車を走らせました。
娘を通りがかったトラックに乗せたものの、火山弾に吹き飛ばされたスー。
シャオモンは無事逃れることが出来ましたが、スーを助けに向かったタオの車は火山弾の爆発で横転します。
タオは動かない車の中から、火砕流に飲み込まれる妻の姿を見守るしかありませんでした。
20年後。タオ博士は大学で、たった20分に過ぎなかった噴火で大きな被害をもたらした「天火島」の災害を学生たちに語っていました。
噴火の完璧な予知など不可能だと語る博士。「天火島」は今や、火山のテーマパークを目玉にしたリゾート地に変貌していました。その危険性を説くタオ博士。
同じ頃「天火島」の火山の内部に、耐熱防護服を着て降り立ったシャオモン(ハンナ・クィンリバン)。彼女は危険な場所に、観測用のセンサーを設置していました。
彼女は父母と同じく火山学者になっていました。しかし母を救えなかったタオと確執があるのか、父からの電話に出ようとしません。
彼女はシャン教授や、同僚のチュンナン(ショーン・ドウ)やテンボーらと共に、テーマパークの為に火山を監視する仕事に就いていました。
シャオモンは観測基地に戻ると、構築した火山監視システム”朱雀”を起動します。それは亡き母の意志を継ぎ、火山災害を予知すべく完成させたシステムでした。
送られて来た地中のマグマの活動状況を見て、危険な予兆があると判断したシャオモン。
彼女はこの島のリゾートホテルの経営者ハリス(ジェイソン・アイザックス)に、テーマパークの閉鎖を訴えるべきだと進言します。
しかしより精密な観測データがそろうまで、結論は出せないと話すシャン教授。
その頃タオ博士は、「天火島」のテーマパーク完成のニュースをテレビで見ていました。
テレビは実業家のハリスが、シャン教授ら火山学者を観測チームとして雇い、火山を観光の目玉とし地熱をエネルギーとする、一大リゾート施設を完成させたと報じています。
映像を見て愕然とするタオ。「天火島」の火山の中腹に、過去には無かった隆起が形成されていました。
不安をぬぐい切れず、ハリスの下で働くチアクイに火山に迫る危険性を告げたシャオモン。
その日ハリスは本格的な施設のオープンを控え、出資者を迎えて説明会を行っていました。
噴火は当分無いと語るハリスは、出資者たちを妻チュンウェイの案内で送り出します。
リゾート施設に多額の投資をしたハリス夫妻にとって、今日の説明会は失敗を許されぬものでした。
現れたシャオモンから直接火山噴火の懸念を伝えられても、シャン教授からの報告は無いと取り合わぬハリス。
基地に戻ったシャオモンの前に、父であるタオ博士が現れます。彼は火山がまもなく噴火する危険性を確信し、娘を連れ戻しに現れました。
噴火と判断するには、より詳細なデータが必要だと反論するシャオモン。娘が完成させた監視システム”朱雀”を評価しながらも、一刻も早い避難を主張するタオ。
チュンウェイは出資者たちを、ケーブルカーに乗せて火山へ案内します。
タオはシャオモンたちのチームと共に、ヘリコブターで島の頂上に向かいました。基地に残り、観測用のドローンを操作するテンボー。
火口に到着した客たちを案内するチュンウェイ。彼女は一行と共に”バブル”と呼ばれるドーム型のエレベーターに乗り、150m下にあるマグマ付近の観光デッキに向かいます。
この危険と隣り合わせの光景こそ、「天火島」の火山テーマパークの目玉でした。
タオは娘を危険な火山に連れ出したとシャンを責めます。しかしシャオモンは、自分の意志で研究者の道を歩んでいると告げるシャン教授。
その頃チュンナンは、島の住人であるチアクイの祖父に応援され、プロポーズしようと彼女を洞窟の中の湖に誘います。
シャオモンは父タオに、母の死以降つのらせた怒りをぶつけました。しかし観測を始めた彼女に、基地に残るテンボーが火山の異常を伝えました。
現地で火山性微動を感じた観測チームメンバー。火口の観光デッキの人々に危険を伝えようと、ロープで降下するタオ。
湖に飛び込み、水中でチアクイに婚約指輪を渡したチュンナン。しかし2人も異様な振動に気付きます。
洞窟にはマグマが流れ込んでいました。水中を走るパイプを伝い、脱出を図るチュンナンとチアクイ。
観光デッキに到着したタオ博士が、皆に避難を呼びかけたその時、噴火が始まります。チュンナンとチアクイはかろうじて地上に逃れました。
噴出した蒸気に巻き込まれシャン教授は命を落とし、墜落するヘリから逃れるため、シャオモンもロープで火口に降り立ちます。
彼女が到着した時には、観光デッキは噴石に襲われ犠牲者が出ていました。人々を”バブル”に逃れさせるタオとシャオモン。
タオは観測基地の人々にも避難しろと連絡します。テンボーは皆を逃がすと、1人基地に残りました。
上昇する”バブル”にも火山弾が襲いかかります。客の前では噴火に平静を装ったハリスも、妻の身を案じ冷静さを失います。
最上部に到着した”バブル”から皆が逃れると、噴火でエレベーターは崩落しました。
最後にタオとシャオモンが乗り込むと、、2台のケーブルカーは発車します。その直後に大噴火を起こす火山。
並走して走るケーブルカーですが、火山弾でタオたちが乗る車両のケーブルが切断されます。
それに気づいたタオとシャオモンは、危険を承知で乗客を隣の車両に逃れさせます。
しかしタオとシャオモン、そしてハリスの妻チュンウェイが残ったケーブルカーは落下します。
地上に落ち火山の斜面を滑り落ちるケーブルカー。車で逃げていたチュンナンとチアクイはそれに気付きました。
運転していた車をケーブルカーにぶつけ、停めることに成功したチュンナン。
無事だったタオたちは助け出され、車に乗り込んで先を急ぐ一行。観測基地に残ったテンボーから、噴火の状況報告が入ります。
このままだと火山から流れ出したマグマと火砕流が、ふもとの村を襲うと告げるテンボー。
残念だが一刻も早く島から逃れるしかない、と言うタオ博士。それではチアクイの祖父を含む、多くの人々を見殺しにすることになります。
タオの言葉に従わず、住民を救う道を求めるシャオモンとチュンナン。
ハリスはリゾートホテルの客に、島外に避難できる船は用意されているので、どうか落ち着くように呼びかけました。
しかし大噴火が発生すると、リゾートホテルに火山弾が次々落下し、逃れようとした人々に犠牲者が生まれます。
惨状に呆然となったハリスは、シャオモンの発した警告の言葉を思い出していました。
1人夫の元に帰ろうとしたチュンウェイに、自然の猛威を見せつけるタオ博士。「天火島」の噴火は、さらなる犠牲者を生むのでしょうか…。
映画『ボルケーノ・パーク』の感想と評価
自然災害を描いた映画といえば、昔からブロックバスター映画(大ヒット映画)の定番でした。
災害パニック映画はCG技術の発展と共に、現在はアサイラムのようなB級映画製作会社による、モックバスター映画(模倣映画、俗に言うパクリ映画)の定番ジャンルになった感があります。
B級映画の世界では、毎年のように隕石が落ちたり氷河期がやって来たり、巨大台風が発生し火山が噴火する、実に大変な時代がやってきました。
しかし災害パニック映画の見応えはやはりスケール感です。
CGでお手軽に描かれた大災害よりも、相応しい場所でロケを行い、大規模なセットを破壊し、エキストラが逃げ惑う姿にこそ、真の価値があります。
その意味で『ボルケーノ・パーク』は、古典的ディザスター・ムービーに実に忠実な作品です。
中国映画界がサイモン・ウェストを監督に招いた狙いは、将にコレだというべきものです。
火山噴火の描写に疑問がある? それは全てが、見せ場を優先にした結果です。
昼なのに夜のように見える? 多分、噴煙の影響でしょう。ともかく、細かい事を気にしてはいけません。
迫力あるスケール感と、涙ありの王道のサバイバルストーリーは大いに楽しめます。
まとめ
参考映像:『ボルケーノ・パーク』主題歌 「我是如此相信 (I Truly Believe)」
古き良きブロックバスター映画的に、災害映画の面白さを追求した『ボルケーノ・パーク』。突飛なSF設定でない描写の数々は、かえって新鮮に映るのではないでしょうか。
かつての香港映画には、エンドロールで撮影風景やNG集を紹介する作品が多くありました。
本作はそれに倣ったのか、エンドロールでメイキング映像を流し、スケール感ある映像が生まれた裏側を興味深く紹介しています。
そしてメイキングと共に、日本でもファンの多いアジア圏の大スター、ジェイ・チョウ(周杰倫)の主題歌と、彼が歌う姿も流れます。
俳優として『頭文字D THE MOVIE』(2005)や『グリーン・ホーネット』(2010)、『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』(2016)に出演、国際的に活躍するジェイ・チョウ。
ファンにとって本作は、実に貴重な作品ではないでしょうか。
なお、メイキング映像には楽しそうに演出する、サイモン・ウェスト監督の姿も映し出されます。これは映画ファンには思わぬサービス映像でした。
パニックアクション映画『ボルケーノ・パーク』は2020年11月20日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開。