Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

アクション映画

Entry 2020/03/24
Update

香港映画『無敵のドラゴン』ネタバレあらすじと感想。ラスト結末に迎える衝撃と型破りな展開とは⁈

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

マックス・チャン主演による異色のサスペンスアクション『無敵のドラゴン』

心にトラウマを抱えた刑事が、連続殺人事件に挑む、アクション映画『無敵のドラゴン』。

『パシフィック・リム アップライジング』「イップ・マン」シリーズのマックス・チャン主演。演出は『メイド・イン・ホンコン』のフルーツ・チャン監督が務めます

香港映画お馴染みのカンフーアクションに、サスペンス様子を融合させた、異色の作品とも言える、映画『無敵のドラゴン』をご紹介します。

映画『無敵のドラゴン』の作品情報


(C)2019 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved

【公開】
2020年公開(香港映画)

【原題】
The Invincible Dragon

【監督・脚本・製作】
フルーツ・チャン

【キャスト】
マックス・チャン、アンデウソン・シウバ、ケビン・チェン、アニー・リウ、ラム・シュー

【作品概要】
心に闇を抱えた刑事、ガウ・ロンが、婚約者を拉致した連続殺人事件の犯人を追い詰める、アクション映画。

主演に「イップマン」シリーズの他、『パシフィック・リム:アップライジング』など、世界で活躍する「香港アクション界の最強兵器」とも呼ばれる、アクション俳優マックス・チャン。

監督と脚本は『メイド・イン・ホンコン』で知られる、フルーツ・チャン。

映画『無敵のドラゴン』のあらすじ


(C)2019 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved
香港警察のガウ・ロンは、幼い頃に、頭が九つある龍と遭遇した過去を持ち、龍の刺青を体に刻んでいる男です。

ですが、龍と遭遇した話を、幼い頃から誰も信じてくれないという、辛い過去を持ち、心に闇を抱え、情緒不安定な面がありました。

ある時、マフィアの潜入捜査をしていたガウ・ロンは、追い詰めたマフィアのボスに、龍の刺青を馬鹿にされた事に激高し、街中で銃を乱射します。

マフィアのボスは逮捕しましたが、街中での奇行が問題視されたガウ・ロンは、香港警察から左遷され、全職員が20名の、田舎の警察署の署長となります。

ガウ・ロンは、マカオの富豪の娘で、医師であるウォンの精神鑑定を受けながら、恋人の女性警官ニンとの結婚を進めるなど、新たな環境で、前向きに生活していました。

しかし、ガウ・ロンの赴任直後から、女性警官を狙った不可解な事件が多発します。

ガウ・ロンは、チームを組み、近隣を捜索しますが、恋人のニンが捜索チームに入っている事を、ガウ・ロンは危惧します。

そこへ、犯人と思われる男の目撃情報が入り、捜索隊は現場に向かいますが、誤報であった事が分かります。

逆に手薄になった、捜索隊の待機車両が、フード姿の人物に襲われ、車内にいたニンが連れ去られます。

ガウ・ロンは、フード姿の人物を、あと一歩まで追い詰めますが、銃を発砲され道路に倒れてしまい、取り逃がしてしまいます。

事件から1年後。

犯人逮捕に失敗したガウ・ロンは、警察を辞め、ボクシングの世界で生きていました。

ガウ・ロンは、ニンが生きている事を信じ、ボクシングの試合の合間に、夜の街を1人で捜索していますが、目はくぼみ、頬は痩せこけた姿となり、更に情緒不安定となっていました。

ガウ・ロンが警察を退職して以降、女性警官が襲われる事件は起きていませんでしたが、同様の手口での殺人事件が、マカオで発生します。

狙われたのは、香港の時と同じ、女性警官でした。

かつて、ガウ・ロンの部下だったモウ刑事は、マカオの捜査に参加しようとしますが、マカオ警察のチョウ警視に邪魔されます。

それでも、事件解決を諦めきれないモウ刑事は、マカオで試合をしていた、ガウ・ロンを訪ねます。


(C)2019 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『無敵のドラゴン』ネタバレ・結末の記載がございます。『無敵のドラゴン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
ガウ・ロンは、モウ刑事に捜査への復帰を依頼されますが、当初はこれを拒否します。

ですが、犯行現場を1人で訪ねたガウ・ロンは、9ミリの銃弾を発見し、犯行に使用されたのは、香港警察の拳銃であり、犯人は、ニンを連れ去った人物と同じであると確信します。

ガウ・ロンは、モウ刑事の尽力で警察に復帰。

殺害された女性警官が会員として通っていた、スポーツジムを訪ねます。

スポーツジムで、ウォンと再会したガウ・ロンは、精神治療の必要性を聞かされますが、これを無視します。

そこへ、スポーツジムのインストラクターで、「レディ」と名乗る女性と遭遇します。

レディは、捜査に非協力的で、何も答えず、その場を去りました。

さらに、ガウ・ロンは、かつて警察の親善試合イベントで戦った、元米兵のシンクレアと遭遇します。

シンクレアは、ガウ・ロンに負けた事を、今も根に持っており、再戦を要求しますが、ガウ・ロンは無視します。

ガウ・ロンは、スポーツジムで会ったレディが「婦女」を意味する、明らかな偽名を使った事を不審に感じ、尾行を開始します。

ですが、バイクに乗った謎の集団に襲われ、レディを見失います。

レディが、一連の事件に関係している事を確信したガウ・ロンですが、勝手に捜査をしている事を、チョウ警視に気付かれ、香港に強制送還されます。

しかし「レディが香港に現れた」という情報を入手したガウ・ロンは、かつての警察仲間を集め、レディの隠れ家を張り込みます。

そこへ、シンクレアからレディに連絡が入り、ガウ・ロン達の捜査状況が筒抜けだった事から、ガウ・ロンは突入を開始します。

レディの隠れ家に突入した瞬間、モウ刑事がレディの銃撃に倒れます。

ガウ・ロンはレディを追い詰め、電車内での戦いとなりますが、電車が脱線した衝撃で、レディは死亡します。

レディの隠れ家に戻ったガウ・ロンは、自分宛ての荷物を発見します。

荷物を開けると、そこには変わり果てた姿となった、ニンの姿がありました。

傷心のまま、警察署に戻ったガウ・ロンは、シンクレアの襲撃に遭います。

激しい戦いの末、シンクレアを取り逃がしてしまったガウ・ロンは、幼い頃に遭遇した龍に「これ以上、仲間を失いたくない」と懇願しますが、龍の唸り声のみが聞こえます。

ガウ・ロンは、シンクレアの過去を調べ、ある映像に行き着きます。

警察の親善試合イベントで、ガウ・ロンとシンクレアが戦った時、シンクレアの息子が撮影した映像に、一連の事件の動機が隠されていました。

親善試合イベントは、ガウ・ロンの圧勝となり、シンクレアの息子は、観戦していた婦警達に「お父さん、弱いね」と嘲笑われていました。

試合終了後の車内で、息子に敗戦を責められたシンクレアは口論となり、息子が車を降りた瞬間、トラックと衝突し命を失いました。

シンクレアは、息子を失った全ての原因は、婦警達とガウ・ロンにあると考え、復讐として、一連の犯行に及んでいたのです。

真相に辿り着いたガウ・ロンに、シンクレアから連絡が入ります。

ガウ・ロンは、シンクレアとの決着を着ける為に、スポーツジムのあるタワーに向かいます。

レディも息子も失い、自暴自棄になったシンクレアのパワーに、ガウ・ロンは押され気味になりますが、戦いの中で精神がハイな状態となり、シンクレアを圧倒します。

ですが、もう一歩の所まで追い詰めた所で、シンクレアはボートに乗って逃げ出しました。

追跡する手段が無い中、ガウ・ロンは戦闘の疲労が蓄積し、その場から動けなくなります。

ボートで逃げるシンクレアの前に、巨大な龍が出現します。

龍は、九つの頭でシンクレアを弄び、最期は尻尾でシンクレアを弾き飛ばします。

飛ばされたシンクレアは、ガウ・ロンの所へ戻り、そのまま息絶えます。

シンクレアの死から数日後、事件を解決したガウ・ロンは、ウォンの治療を受ける事を決意します。

映画『無敵のドラゴン』感想と評価


(C)2019 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved
連続する殺人事件に、恋人を失った刑事が挑む、アクション映画『無敵のドラゴン』。

本作は、サスペンス色の強いカンフーアクション映画と言う、異色の作品となっています。

かなり風変りな作品となっており、主人公のガウ・ロンは、情緒不安定というキャラクターで、序盤は痩せこけた風貌と、全く表情を変えない無表情さが、何とも言えない不気味な雰囲気を出しています。

更に、突然自分の首を絞め始めるなどの奇行も多く、見ていて不安しか感じない主人公となっています。

この、ガウ・ロンが挑むのは、多発する連続女性警官殺人事件で、ガウ・ロンは事件に巻き込まれた婚約者を失うという、重くて悲しい展開が続きます。

なのですが、レディとのカンフーアクションが始まる中盤から、重苦しい雰囲気は変化していき、クライマックスのシンクレアとの戦いは、世界一高いバンジージャンプアトラクションを舞台に、高所恐怖症のガウ・ロンが、妙な笑顔を浮かべ始めるなど、突然ハイテンションな展開となります。

これまで、終始無表情だったガウ・ロンが、いきなり笑い始めるので、これはこれで、不安しか感じません。

そして本作は、最終的にガウ・ロンが逃がしてしまったシンクレアが、九つの頭を持つ龍に襲われるという、驚愕の展開で幕を閉じます。

香港映画で「ドラゴン」がタイトルになっているカンフー映画はたくさんありますが、本当のドラゴンが出て来て、敵を倒してしまうという展開は、個人的に初めて見ました。

現代を舞台にした刑事ドラマなので、異様さが際立っています。

本作は、序盤の重厚なサスペンスの雰囲気からは想像ができない、とんでもない展開で終わるラストまで、カンフーアクション映画としては、型破りの凄い作品となっています。

まとめ


(C)2019 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved
型破りなカンフーアクション映画『無敵のドラゴン』。

ですが、クライマックスの、ガウ・ロンとシンクレアの戦いは、かなり見応えがありました。

シンクレアを演じるのは、格闘技団体UFCで活躍したアンデウソン・シウバで、ガウ・ロンを演じるマックス・チャンのスピーディーな攻撃を、力でねじ伏せるという、「スピードVSパワー」の戦いは必見です。

また、ガウ・ロンとレディが、脱線してひっくり返る電車の中で、ガラスが飛び散る中でも戦い続けるなど、カンフーアクションシーンの演出は、かなりのこだわりを感じます。

カンフー映画にサスペンスを融合させ、とんでもない方向に着地する本作は、世界的なアクションスター、マックス・チャン主演作という点も含め、カンフー映画好きの方は、観て損の無い作品となっていますよ。

関連記事

アクション映画

映画レイダース 失われたアーク|ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。ラストで目を閉じる理由と箱の正体は?人気シリーズ第1作の魅力を探る

名作アクションアドベンチャー「インディー・ジョーンズ」シリーズ第1作! スティーヴン・スピルバーグが監督を務めた、1981年製作のアメリカの名作アクションアドベンチャー映画『レイダース 失われたアーク …

アクション映画

映画『2012』ネタバレ結末あらすじと感想解説。マヤの予言である人類滅亡をローランドエメリッヒが描く

地球が滅亡するというマヤの予言を題材にしたディザスター・ムービー! ローランド・エメリッヒが脚本・製作総指揮・監督を務めた、2009年製作のアメリカのディザスター・ムービー映画『2012』。 世界中で …

アクション映画

映画『ダークタワー』あらすじとキャスト。原作者キングの感想は?

モダンホラーの帝王スティーヴン・キングの原点と言われている小説『ダークタワー』を、イドリス・エルバとマシュー・マコノヒー主演で映画化。 世界の平和を保つ塔「ダークタワー」を巡るバトルを描いたキング映画 …

アクション映画

007私を愛したスパイ|ネタバレあらすじ感想と結末の感想評価。ボンドカーはロータスエスプリで“悪役ジョーズ”登場も必見!

大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第10作! ルイス・ギルバートが監督を務めた、1977年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/私を愛したスパイ』。 「007」こ …

アクション映画

『ソングバード』あらすじ感想と評価解説。マイケルベイのプロデュースで描くパンデミックの恐怖

映画『ソングバード』は2022年10月7日(金)より全国ロードショー! パンデミックの脅威に見舞われた世界の片隅で、恋人の救出に挑む一人の男性の姿を描いた『ソングバード』。 世界的な感染拡大に包まれた …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学