マックス・チャン主演による異色のサスペンスアクション『無敵のドラゴン』
心にトラウマを抱えた刑事が、連続殺人事件に挑む、アクション映画『無敵のドラゴン』。
『パシフィック・リム アップライジング』「イップ・マン」シリーズのマックス・チャン主演。演出は『メイド・イン・ホンコン』のフルーツ・チャン監督が務めます
香港映画お馴染みのカンフーアクションに、サスペンス様子を融合させた、異色の作品とも言える、映画『無敵のドラゴン』をご紹介します。
映画『無敵のドラゴン』の作品情報
【公開】
2020年公開(香港映画)
【原題】
The Invincible Dragon
【監督・脚本・製作】
フルーツ・チャン
【キャスト】
マックス・チャン、アンデウソン・シウバ、ケビン・チェン、アニー・リウ、ラム・シュー
【作品概要】
心に闇を抱えた刑事、ガウ・ロンが、婚約者を拉致した連続殺人事件の犯人を追い詰める、アクション映画。
主演に「イップマン」シリーズの他、『パシフィック・リム:アップライジング』など、世界で活躍する「香港アクション界の最強兵器」とも呼ばれる、アクション俳優マックス・チャン。
監督と脚本は『メイド・イン・ホンコン』で知られる、フルーツ・チャン。
映画『無敵のドラゴン』のあらすじ
香港警察のガウ・ロンは、幼い頃に、頭が九つある龍と遭遇した過去を持ち、龍の刺青を体に刻んでいる男です。
ですが、龍と遭遇した話を、幼い頃から誰も信じてくれないという、辛い過去を持ち、心に闇を抱え、情緒不安定な面がありました。
ある時、マフィアの潜入捜査をしていたガウ・ロンは、追い詰めたマフィアのボスに、龍の刺青を馬鹿にされた事に激高し、街中で銃を乱射します。
マフィアのボスは逮捕しましたが、街中での奇行が問題視されたガウ・ロンは、香港警察から左遷され、全職員が20名の、田舎の警察署の署長となります。
ガウ・ロンは、マカオの富豪の娘で、医師であるウォンの精神鑑定を受けながら、恋人の女性警官ニンとの結婚を進めるなど、新たな環境で、前向きに生活していました。
しかし、ガウ・ロンの赴任直後から、女性警官を狙った不可解な事件が多発します。
ガウ・ロンは、チームを組み、近隣を捜索しますが、恋人のニンが捜索チームに入っている事を、ガウ・ロンは危惧します。
そこへ、犯人と思われる男の目撃情報が入り、捜索隊は現場に向かいますが、誤報であった事が分かります。
逆に手薄になった、捜索隊の待機車両が、フード姿の人物に襲われ、車内にいたニンが連れ去られます。
ガウ・ロンは、フード姿の人物を、あと一歩まで追い詰めますが、銃を発砲され道路に倒れてしまい、取り逃がしてしまいます。
事件から1年後。
犯人逮捕に失敗したガウ・ロンは、警察を辞め、ボクシングの世界で生きていました。
ガウ・ロンは、ニンが生きている事を信じ、ボクシングの試合の合間に、夜の街を1人で捜索していますが、目はくぼみ、頬は痩せこけた姿となり、更に情緒不安定となっていました。
ガウ・ロンが警察を退職して以降、女性警官が襲われる事件は起きていませんでしたが、同様の手口での殺人事件が、マカオで発生します。
狙われたのは、香港の時と同じ、女性警官でした。
かつて、ガウ・ロンの部下だったモウ刑事は、マカオの捜査に参加しようとしますが、マカオ警察のチョウ警視に邪魔されます。
それでも、事件解決を諦めきれないモウ刑事は、マカオで試合をしていた、ガウ・ロンを訪ねます。
映画『無敵のドラゴン』感想と評価
連続する殺人事件に、恋人を失った刑事が挑む、アクション映画『無敵のドラゴン』。
本作は、サスペンス色の強いカンフーアクション映画と言う、異色の作品となっています。
かなり風変りな作品となっており、主人公のガウ・ロンは、情緒不安定というキャラクターで、序盤は痩せこけた風貌と、全く表情を変えない無表情さが、何とも言えない不気味な雰囲気を出しています。
更に、突然自分の首を絞め始めるなどの奇行も多く、見ていて不安しか感じない主人公となっています。
この、ガウ・ロンが挑むのは、多発する連続女性警官殺人事件で、ガウ・ロンは事件に巻き込まれた婚約者を失うという、重くて悲しい展開が続きます。
なのですが、レディとのカンフーアクションが始まる中盤から、重苦しい雰囲気は変化していき、クライマックスのシンクレアとの戦いは、世界一高いバンジージャンプアトラクションを舞台に、高所恐怖症のガウ・ロンが、妙な笑顔を浮かべ始めるなど、突然ハイテンションな展開となります。
これまで、終始無表情だったガウ・ロンが、いきなり笑い始めるので、これはこれで、不安しか感じません。
そして本作は、最終的にガウ・ロンが逃がしてしまったシンクレアが、九つの頭を持つ龍に襲われるという、驚愕の展開で幕を閉じます。
香港映画で「ドラゴン」がタイトルになっているカンフー映画はたくさんありますが、本当のドラゴンが出て来て、敵を倒してしまうという展開は、個人的に初めて見ました。
現代を舞台にした刑事ドラマなので、異様さが際立っています。
本作は、序盤の重厚なサスペンスの雰囲気からは想像ができない、とんでもない展開で終わるラストまで、カンフーアクション映画としては、型破りの凄い作品となっています。
まとめ
型破りなカンフーアクション映画『無敵のドラゴン』。
ですが、クライマックスの、ガウ・ロンとシンクレアの戦いは、かなり見応えがありました。
シンクレアを演じるのは、格闘技団体UFCで活躍したアンデウソン・シウバで、ガウ・ロンを演じるマックス・チャンのスピーディーな攻撃を、力でねじ伏せるという、「スピードVSパワー」の戦いは必見です。
また、ガウ・ロンとレディが、脱線してひっくり返る電車の中で、ガラスが飛び散る中でも戦い続けるなど、カンフーアクションシーンの演出は、かなりのこだわりを感じます。
カンフー映画にサスペンスを融合させ、とんでもない方向に着地する本作は、世界的なアクションスター、マックス・チャン主演作という点も含め、カンフー映画好きの方は、観て損の無い作品となっていますよ。