2000年に公開された『TAXi2』、爆走タクシーがヤクザの陰謀に巻き込まれ、パリの街でカーチェイス
カーアクション・コメディーが中心のフランス映画『TAXi』の第2作め。前作同様、壮絶でスリリングな新感覚のカーアクションが繰り広げられます。
爆走タクシードライバーのダニエル、今度はヤクザの陰謀に巻き込まれ、誘拐された日本の防衛長官救出任務を手伝う羽目に!?
果たしてダニエルは親友、エミリアンと共に防衛長官を救うことができるのか? 長官と共にさらわれたエミリアンの恋人、ぺトラの運命は?
パリを舞台にしたプジョー・406と三菱・ランサーエボリューションⅣのデットヒートにも注目の『TAXi 2』をご紹介します!
映画『TAXi2』の作品情報
【公開】
2000年(フランス映画)
【原題】
TAXi 2
【監督】
ジェラール・クラブジック
【キャスト】
サミー・ナセリ、フレデリック・ディフェンタール、マリオン・コティヤール、エマ・シェーベイ、ベルナール・ファルシー
【作品概要】
大人気カーアクションシリーズの第2弾となる『TAXi 2』、脚本、製作は引き続き、リュック・ベッソンが務め、新たに監督をジェラール・クラブジックを起用、主要キャストも続投しています。
タクシー運転手、ダニエルがマルセイユ警察の面々と共に、誘拐されてしまった日本の防衛長官を救出するため奔走する姿を描きます。
映画『TAXi 2』のあらすじ
フランス、マルセイユ郊外でラリー選手権が開催されていました。
優勝を狙うジャン=ルイ・シュレッサーとアンリ・マーニュのペアは後ろから近づく車に気が付きます。
その車はライバルのラリーカーではなく、タクシーであることに二人は驚きます。
そのタクシー、プジョー・406のハンドルを握るダニエル・モラーレス(サミー・ナセリ)は産気づいた妊婦とその夫を乗せ病院へ急いでいました。
前を走るラリーカーを「観光客がチンタラ走っている」と評するダニエルはジャンとアンリの車をあっさり追い抜きます。
驚く観客を尻目に病院に到着したタクシーに医師が駆けより、妊婦の様子を確かめるとその場でお産させると言い出します。
この後、予定があると困り顔のダニエルですがどうすることもできず、早く生まれることを祈るだけ……。
そこにダニエルの恋人、リリー・ベルティノー(マリオン・コティヤール)から電話がかかります。
この日、リリーはダニエルを両親に紹介するつもりで自宅にダニエルを招いていました。
妊婦の喘ぎ声を、他の女と「お楽しみ中」と勘違いするリリーですが、やっと生まれた赤ん坊の泣き声で誤解は解け、ダニエルはリリーの家へ急ぎます。
その頃、マルセイユ警察の刑事、エミリアン・クタン=ケルバレーク(フレデリック・ディーファンタル)は27回目の運転免許の路上テストに合格していました。
しかし、教習車は本屋に突っ込んでいました。
路上テストの度に建物に突っ込むエミリアンにノイローゼを起こした試験官が厄介払いのために免許を交付していましたが、何はともあれエミリアンは念願の運転免許を手にします。
マルセイユ警察、署長のジベール(ベルナール・ファルシー)は間もなくマルセイユにやってくる日本の防衛長官の警護を任されていました。
ジベールはエミリアンを始め、全署員に警護に万全を期すように命じ、長官を出迎えに空港に向かいます。
リリーの家に到着したダニエルはリリーの両親と対面、リリーは両親にダニエルは医師の見習いだと説明、ダニエルもリリーに話を合わせ必死にごまかします。
軍人であり、将軍の地位にあるリリーの父、エドモンド(ジャン=クリストフ・ブ―ヴェ)はダニエルを疑いの目で見ていましたが、いざ食事を始めると、自身の武勇伝を語るのに余念が無くなります。
上機嫌で話をするエドモンドですが、突然なった電話に話を遮られます。エドモンドは間もなく到着する防衛長官の出迎えを忘れていました。
慌てて飛び出すエドモンドですが、家を出た瞬間に車はトレーラーと衝突。車は走行不能になってしまい、ダニエルは無傷だったエドモンドを送ることにします。
プジョーに乗り込むダニエルはスイッチ類を操作、変形するプジョーにエドモンドはいぶかしみますが、アクセルが踏み込まれるとそんなことを気にする余裕はありません。
ダニエルは見事なハンドルさばきで次々と車を抜き去り、空港まであと少しのところにやって来ました。
防衛長官を乗せた飛行機はすでに着陸しようとし、そのことをエドモンドから知らされたダニエルは近道をすると言います。
道を外れ、フェンスへ向かい加速するプジョーは傾斜を利用しジャンプ、車体の両脇からせり出した翼で滑空したプジョーは空港の滑走路に着陸、飛行機よりわずかに早く到着しました。
なんとか面目を保てたエドモンドはフランス国防大臣や警護のジベールやエミリアン、エミリアンの恋人で同じく刑事のぺトラらと防衛長官を出迎えます。
中でも流暢な日本語で出迎えたぺトラに防衛長官を始め皆が驚きました。その様子を遠くから監視する日本人の男たちの姿がありました。
映画『TAXi 2』感想と評価
前作のヒットを受けて製作された本作『TAXi 2』はかなり弾けた作品になっています。
具体的な例を挙げると、本シリーズの目玉、カーアクションとド派手なチェイスに尽きます。クライマックスのカーチェイスの舞台は、マルセイユからパリに移して大激走。
一般車両の間を縫うように繰り広げられる逃走劇もさることながら、ダニエルたちとヤクザを追っていたパリ警察の大クラッシュの場面も見せ場の一つになっていました。
もう一つの見せ場は、ダニエルの駆るプジョーがエドモンドを乗せ、本当に「ぶっ飛んで」しまった場面。
「まさか」と思う反面、予想していなかった展開に驚かされました。
パリでのカーチェイスシーンのラストへの布石となっている演出も見事でした。
本作では、キャラクター達も前作に比べ、ぶっ飛んでいます。中でも特筆すべきは、ジベールではないでしょうか。
前作ではちょっと間抜けな役どころだった訳ですが、本作では最大の“おバカキャラ”として描かれています。
特にユニークなのは、おかしな“いで立ち”で、倉庫内に侵入してきたチンピラを捕まえようとする場面。
降下用のロープを切ってしまい、飛び降りて負傷するという結末に、どこから突っ込んでいいのか見ているこちらが悩むくらいでした。
その他にも出てくるキャラクターに一癖も二癖もあり、「次は何をやらかすんだろう?」と、先が読めない展開に好奇心を煽られました。
そんな中で、冷静で的確な判断をしている主人公・ダニエルでさえ、一般人から到底理解できないスピード狂だというのが、皮肉に感じられる作品でした。
まとめ
本作、『TAXi 2』はモータースポーツが盛んなヨーロッパ、とりわけ、ラリーレースが根強い人気を誇るフランスならではの演出が多く見られ、モータースポーツファンを沸かせました。
中でも、ダニエルのプジョー・406とヤクザたちが乗る三菱・ランサーエボリューションⅣの対決に胸を躍らせた人は少なくないのではないでしょうか。
プジョーと三菱は奇しくも、世界ラリー選手権(WRC)のグループAで鎬を削りあいました。
また、『TAXi 2』が公開された2000年にプジョーが久しぶりにWRC優勝を果たすまで、日本勢がタイトルを独占した黄金時代が続いていただけに、本作での406とランエボⅣの対決は、車が主役である本作で、この「キャスティング」は意図的なものと感じます。
そんな、モータースポーツファンにとっても粋な計らいが『TAXi 2』が大ヒットした要因の一つになったのは間違いありません。