Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

アクション映画

映画『SPL 狼たちの処刑台』あらすじとキャスト。上映館情報紹介も

  • Writer :
  • 富士野

『SPL 狼たちの処刑台』は9月1日(土)より、シネマート新宿・シネマート心斎橋ほか全国ロードショー!!

「イップマン」シリーズで知られるウィルソン・イップがメガホンを取り、カンフースターのサモ・ハン・キンポーがアクション監督を務めたバイオレンス・アクション。

第37回香港アカデミー賞で9部門にノミネートされ、主演男優賞、アクション設計賞、音響効果賞の3部門を受賞した大ヒット作です!

映画『SPL 狼たちの処刑台』の作品情報


(C)2017 SUN ENTERTAINMENT FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2018年9月1日(中国・香港合作映画)

【原題】
殺破狼:貪狼 Sha po lang: taam long

【脚本】
ジル・レオン

【監督】
ウィルソン・イップ

【キャスト】
ルイス・クー、トニー・ジャー、ラム・カートン、ウー・ユエ、クリス・コリンズ

【作品概要】
『SPL狼よ静かに死ね』『ドラゴン×マッハ!』に続いて「SPL」シリーズ3作目となる、『SPL 狼たちの処刑台』。

『イップマン』シリーズなどで知られるアクション映画の巨匠、ウィルソン・イップが監督し、香港人気No.1俳優ルイス・クー、ムエタイの神と呼ばれるトニー・ジャーなど豪華スターが出演。

娘を誘拐された警察官が闇組織にたった3人で乗り込んでゆくクライム・アクションです。

ウィルソン・イップ監督のプロフィール

参考映像:『イップマン 継承』

ウィルソン・イップは1965年香港生まれ。

映画『悪漢探偵』や『男たちの挽歌』などで知られるシネマ・シティ(新藝城電影公司)の裏方として業界に入ったウィルソン・イップは、助監督の経験を積んだのち、1995年『夜半一點鐘(原題)』で監督デビュー。

1999年に『オーバー・サマー 爆裂刑事』で第6回香港電影評論学会大奨の推薦電影に選ばれ、最優秀脚本賞を受賞します。

2000年には『ジュリエット・イン・ラブ』が評価され、翌年の香港のアカデミー賞にあたる香港電影金像奨において最優秀監督賞にノミネートされました。

こうして彼は香港映画界の巨匠への階段を駆け上がっていきます。そして00年代半ばに彼は一気にその名を世に知らしめます。

そのきっかけとなった作品が、ドニー・イェン出演のアクション映画『SPL 狼よ静かに死ね』、『導火線 FLASH POINT』やイップ・マンシリーズなのです。

『SPL 狼よ静かに死ね』は監督が自分のターニングポイントとなった作品として挙げている作品です。

ウィルソンのイップマンシリーズは全部で3作あり(厳密には同じシリーズタイトルがついた作品が後2作ありますが、そちらは監督や主演が違う別プロジェクトです)、2008年に公開された『イップ・マン 序章』は第28回香港電影金像奨の最優秀作品賞に輝きました。

続くシリーズパート2の『イップ・マン 葉問』も前作を上回るヒットを生み出し、そして、パート3『イップ・マン 継承』はアジア、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど25カ国以上で公開され、特にアジアではシリーズ過去2作の興収を大幅に塗り替える大ヒットとなりました。

その後2017年にウィルソン・イップが監督したのが、本作『SPL 狼たちの処刑台』です。

映画『SPL 狼たちの処刑台』の主なキャスト


(C)2017 SUN ENTERTAINMENT FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

ルイス・クーのプロフィール

1970年香港生まれ。デビュー当初はモデルとして活動していましたが、1993年に香港最大のテレビ局TVBと契約し、本格的に俳優としての活動を開始します。

本作でも監督を務めているウィルソン・イップの監督作品『オーバー・サマー 爆裂刑事』(1999)や、『特攻!BAD BOYS』(2000)、『天上の剣 Legend of ZU』(2001)、『忘れえぬ想い』(2003)、『柔道龍虎房』(2004)など、彼はアクションからコメディ、ラブ・ストーリーと幅広いジャンルの作品に出演。

2000年には歌手としてCDを出したこともあるそうです。本格的に00年代に入った後は、カンヌ国際映画祭で上映もされたジョニー・トー監督の『エレクション』(2005年)、ジャッキー・チェンと共演した『プロジェクトBB』(2006年/中国・香港)などに立て続けに出演。

そして、2015年には映画14本、13社のCMに出演し、押しも押されぬ香港のスターとなります。

参考映像:コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝』

近年も『ドラゴン×マッハ!』(2015年/中国・香港)、『ダブル・サスペクト 疑惑の潜入捜査官』(2016年/中国・香港)、『コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝』(2016年/中国・香港)、『毒。誡』(17年/香港)など、アクション映画へ精力的に出演しています。

その演技力の高さから、長らく「無冠の帝王」と呼ばれていましたが、2018年の第37回香港アカデミー賞において、本作『SPL 狼たちの処刑台』での演技により、デビュー25年目にして初めて最優秀主演男優賞を獲得しました。

トニー・ジャーのプロフィール

1976年タイ生まれ。アクション俳優のほかに振付師としても活動しています。

10歳からムエタイとスタントを学び、テコンドーや武術も会得するために鍛錬を積む日々を送ります。

その後香港に渡り、スタントマンとしてキャリアをスタートさせます。

2003年に、ムエタイ映画『マッハ!!!!!!!!』(2003年/タイ)で俳優デビューしました。

同作ではCG効果・早回し・スタントマンを使わず、生身の肉体では不可能とされるようなアクションを披露。映画の国際的なヒットとともに彼は世界中で大きな注目を集めます。

その後『マッハ!!!!!!!!』のピン・ゲーオ監督の次作『トム・ヤム・クン!』(2005年/タイ)で主演だけでなくアクション監督も務め、『マッハ!弐』(2008年/タイ)で自らメガホンを取りました。

2010年に一度出家し、俳優業引退も囁かれましたが、ほどなくして映画界に戻ってきました。

参考映像:『ドラゴン×マッハ!』

2015年には『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年/アメリカ)でついにハリウッドにまで進出。

近年は、『ドラゴン×マッハ!』(2015年/中国・香港)、『マッド・ウォーリアーズ 頂上決戦』(2016年/アメリカ)、『トリプルX:再起動』(2017年/アメリカ)などに出演、アジアとアメリカをまたにかけた精力的な活動をしているようです。

『ドラゴン×マッハ!』では本作の主演ルイス・クーと共演しています。

映画『SPL 狼たちの処刑台』のあらすじ


(C)2017 SUN ENTERTAINMENT FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

友人に会うために香港からタイにやってきた15歳の少女ウィンチーが、パタヤで何者かに誘拐されました。

香港の警察官である父リーは、自身の手で誘拐犯から娘を助け出すことを決意します。パタヤ警察のチュイに頼み、捜査チームに同行させてもらうことにします。

捜査を進めるうち、犯人グループが国家がバックに見え隠れする臓器密売組織であることが判明。

さらに警察内部にも犯人一味がいることをつきとめたリーとチュイは、チュイの同僚タクを加えたたった3人で組織に乗り込むが…。


(C)2017 SUN ENTERTAINMENT FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

映画『SPL 狼たちの処刑台』の感想と評価


(C)2017 SUN ENTERTAINMENT FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

本作の見どころを語るうえで欠かせないのが、「マーシャル・アーツ」と「香港ノワール」という二つのキーワードです。

マーシャルアーツ(martial arts)は、日本語の「武芸」を英語に訳した言葉です。

「武の」(=martial)「芸」(=arts)という二つの英語をそのままつなげたもの。

レスリング、ボクシングとなどいった西洋文化発祥の術技体系以外の拳法や格闘技全般を指す言葉として使用されています。

現代では、その中でも特に「オリエンタリズム」をイメージさせる東洋の格闘技を指すことが多いようです。


(C)2017 SUN ENTERTAINMENT FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

香港ノワールというのは、1940年代~50年代にかけて主にアメリカで制作された虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画の「フィルムノワール」から生まれた言葉です。

本来のフィルムノワールとは若干意味あいは異なりますが、簡単に言えば香港製の犯罪映画です。

香港ノワールもアメリカのフィルムノワールの特徴を一部継承していますが、固有の特徴として「男同士の友情と裏切り」を描いていることと、アクション性が強いこと(フィルムノワールではなく、ハリウッドのアクション映画のそれに近い)が挙げられます。

1986年に公開されたジョン・ウー監督の『男たちの挽歌』が香港ノワールの代表的な作品にあたりますね。

参考映像:『男たちの挽歌』

本作『SPL 狼たちの処刑台』はこの「マーシャルアーツ」と「香港ノワール」の二つの要素が共存し、頂点まで極められたアクション作品なのです。

それは、タイのムエタイ由来のアクションを駆使するトニー・ジャーと、映画俳優として様々な作品に出演しキャリアを積んできたルイス・クーやノワールアクションの英雄とも言われるウー・ユエの競演に体現されています。

また、彼らのアクションを最大限引き出すアクション監督のサモ・ハン・キンポーと最高の演技を引き出す監督ウィルソン・イップという二つの大黒柱によって、この作品は日本でも大ヒット間違いなしのアクション大作になっているのです。


(C)2017 SUN ENTERTAINMENT FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

まとめ


(C)2017 SUN ENTERTAINMENT FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

さまざまなアクション・演技のルーツを持った俳優と、ノワール&アクションなら任せとけ!の功績をもつ二人の巨匠が織りなす香港アクション大作をぜひ、劇場の大迫力のスクリーンで楽しんでください!!

『SPL 狼たちの処刑台』は9月1日(土)より、シネマート新宿・シネマート心斎橋ほか全国ロードショーです

本作を公開する劇場情報

【北海道地区】
北海道 ディノスシネマズ札幌劇場 9/8(土)~

【東北地区】
宮城 フォーラム仙台 9/28(金)~

【関東地区】
東京 シネマート新宿 9/1(土)~

【甲信越・北陸地区】
長野 千石劇場 11/10(土)~

福井 福井コロナシネマワールド 9/1(土)~

【中部地区】
愛知 ミッドランドシネマ 名古屋空港 9/7(金)~
愛知 イオンシネマ名古屋茶屋 9/7(金)~

岐阜 大垣コロナシネマワールド 9/1(土)~

【近畿地区】
大阪 シネマート心斎橋 9/1(土)~

兵庫 Cinema KOBE 9/22(土)~

岡山 岡山メルパ 9/14(金)~

【九州・沖縄地区】
福岡 ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13 10/19(金)〜

大分 別府ブルーバード劇場 9/15(土)~

沖縄 桜坂劇場 未定

*上記の情報は8月18日現在のものです。作品の特性からセカンド上映や順次公開されることが予想されます。お出かけの際は必ず公式ホームページを閲覧してください。

関連記事

アクション映画

007ネバーセイ・ネバーアゲイン|ネタバレあらすじ感想と結末の解説評価。ショーンコネリーの復活ジェームズボンドは“初代から12年ぶり”となる番外編

大人気スパイアクション映画「007」シリーズの番外編! アーヴィン・カーシュナーが監督を務めた、1983年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/ネバーセイ・ネバーアゲイン』 …

アクション映画

映画『仮面ライダーTHE FIRST』ネタバレあらすじ感想と解説。ラスト結末にある原点回帰の到達点はシン化を遂げるのか

日本を代表する特撮ヒーローシリーズ「仮面ライダー」。 今年生誕50周年を迎えた同シリーズは、テレビシリーズと並行する形で何度かリブートが試みられてきました。 2000年から始まった「平成仮面ライダー」 …

アクション映画

映画『少林サッカー』ネタバレあらすじと感想。チャウシンチーが放つアクションコメディ!

少林拳+サッカーのハチャメチャスポーツアクション! 香港映画界の“喜劇王”、チャウ・シンチーによる痛快無比サッカー。 サッカー、カンフーアクション、ギャグをミックスした娯楽作『少林サッカー』の登場です …

アクション映画

【ミッドウェイ映画2020】エメリッヒ版の評価と見どころは?こだわりの巨大セットとVFXに注目

映画『ミッドウェイ』は2020年9月11日(金)より全国公開。 『インデペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ監督が、歴史的海戦を20年に及ぶリサーチを経て鮮明に描いた映画『ミッドウェイ』。 第二 …

アクション映画

【ネタバレ】ブラックライト|映画あらすじ感想と結末の評価解説。リーアムニーソン主演作品は“フィクサー”ことFBIの“影の任務”の遂行者を描く

リーアム・ニーソンがFBIの“影の任務”の遂行者を演じるクライムアクション! マーク・ウィリアムズが製作・脚本・監督を務め、日本では2023年3月に劇場公開されたオーストラリアのクライムアクション映画 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学