ランボーの深い家族愛に泣かされる最終章
シルヴェスター・スタローン主演の大人気シリーズ「ランボー」の完結編。娘のように愛する少女・ガブリエラのために、ランボーが命をかけて憎き敵に挑みます。
監督は『キック・オーバー』(2012)のエイドリアン・グランバーグ。スタローンが脚本に参加しています。
共演はパス・ベガ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、イベット・モンレアルほか。
実の父に会いたい一心でひとりでメキシコに行き、闇の組織に拉致されてしまったガブリエラ。父親代わりに彼女を育ててきたランボーは、危険を顧みず救出に向かいます。
愛と悲しみに満ちた迫力のアクション映画の魅力をご紹介します。
CONTENTS
映画『ランボー ラスト・ブラッド』の作品情報
【公開】
2020年(アメリカ映画)
【監督】
エイドリアン・グランバーグ
【脚本】
マシュー・シラルニック、シルヴェスター・スタローン
【編集】
トッド・E・ミラー、カーステン・カーパネック
【キャスト】
シルヴェスター・スタローン、パス・ベガ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、アドリアナ・バラッザ、イベット・モンレアル、オスカル・ハエナダ
【作品概要】
シルヴェスター・スタローンの「ロッキー」に並ぶ代表作「ランボー」のシリーズ第5弾にして完結作です。
主演のシルヴェスター・スタローンが脚本も務めています。監督は『キック・オーバー』(2012)のエイドリアン・グランバーグ。
娘同様に愛して共に暮らしてきたガブリエラを救出するために、メキシコの凶悪な犯罪組織にランボーが一人立ち向かいます。
共演はパス・ベガ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、イヴェット・モンレアルほか。
映画『ランボー ラスト・ブラッド』のあらすじとネタバレ
グリーンベレーの戦闘エリートとして活躍していたジョン・ランボーは、いまだベトナム戦争の悪夢にさいなまれています。
ランボーは祖国アメリカへと戻り、故郷のアリゾナの牧場で古い友人のマリア、その孫娘ガブリエラとともに平穏な日々を送っていました。
しかし、友人ジゼルから自分の実父がメキシコにいることを聞いたガブリエラは、会いに行きたがります。父親が悪人だと知っているランボーとマリアは引き留めますが、ガブリエラはメキシコに一人で行ってしまいました。
ガブリエラはジゼルと再会し、父のマヌエラのもとに連れていってもらいますが、父は妻と子に愛情を持っていなかったと言い、二度と来るなと言い放ちます。
傷ついたガブリエラをジゼルはクラブに連れていきました。しかし、そこでガブリエラはメキシコの人身売買カルテルに拉致されてしまいます。
娘のように愛するガブリエラを救出するために、ランボーはすぐにメキシコへと向かいました。
映画『ランボー ラスト・ブラッド』の感想と評価
牧場で迎え撃つ迫力満点の決闘シーン
完膚なきまで叩きのめすアクションシーンが最大の見どころの「ランボー」シリーズ。本作でも息をつかせぬハードな決闘シーンに息を飲みます。
ガブリエラを助けにアジトに向かったランボーは、敵に見つかって暴行を受け、アリゾナの自宅を知られてしまいます。しかし、この展開こそが、本作の真骨頂ともいえる決闘シーンへの呼び水となっていることに後に気づかされるのです。
ガブリエラを殺されたランボーは怒りに燃え、自分の牧場にありとあらゆる罠を仕掛けて敵を招き入れます。
日本の昔の忍者屋敷や、敵への罠を仕掛けた城をやや思いださせるものの、多数の爆弾や殺すための罠の残忍さは比較になりません。
その手口の多さやためらいの無い残酷さは、ランボーの苦しいほどの怒りを表しています。
これまでの彼の戦闘で得た経験のすべてが詰まった、決して敵を許さない仕掛けに恐怖を感じることでしょう。
そして、最後まで頭のウーゴを殺さずに追い詰め、地獄の苦しみを味合わせるランボー。「これが俺の痛みだ」という言葉通り、彼の思いは怒りよりも悲しみ苦しみの方がずっと強かったに違いありません。
クレジットでは、これまでのランボーシリーズの映像が、彼自身の記憶のフラッシュバックかのように映し出されます。
若かりし頃のランボーの姿や思い出のシーンの数々に、ファンの胸を熱くする演出です。
娘同様に育てたガブリエラへの深い愛
本作で際立つのは、ランボーに芽生えた人間らしい感情です。これまで孤独に生きてきたランボーは、旧友のマリアとその孫娘ガブリエラという家族を得ていました。
特に父親代わりとなって育ててきた少女ガブリエラに対する深い愛情に心打たれることでしょう。
大学進学によって旅立つこととなったガブリエラに向かい、何度も「寂しくなるな」と話しかけるランボー。彼がとうとう心底から愛する人間に出会えたことに感動せずにはいられません。
しかし、純粋でまだ子供のガブリエラには、世の中の怖さがわかりませんでした。ランボーらが止めるのも聞かずに、彼女は実父に会いたい一心からメキシコへ単身で行ってしまいます。
その後、彼女が受けた残虐な仕打ちにはただただ胸が痛みます。ガブリエラの苦痛と、それを知ったランボーの怒り。とうとう愛するガブリエラを亡くしたランボーは、悲しみのどん底に突き落とされます。「なぜ、俺じゃない」という彼の慟哭に、胸が引き裂かれます。
その後、マルティネス兄弟の弟の首を切り落とし、兄の心臓をえぐり取ったランボー。その凄惨さに身震いしますが、彼の怒りと悲しみを思えば無理もないことだったかもしれません。
そして、ランボーはこの激しい戦いに身も心も傷つきながらも、家族の思い出を残し続けるために、生きて戦い続けることを誓います。
死を選ぶことなく、何が何でも生き抜くのだという強い意志こそがランボーの魅力だと改めて感じさせるラストシーンです。
まとめ
ランボーの家族愛の深さと、激しい復讐アクションシーンに目を奪われるシリーズ完結作『ランボー ラスト・ブラッド』。
孤独に生きてきたランボーがやっと手に入れた娘が、思いもかけなかったひどい犯罪に巻き込まれてしまいます。その理不尽な運命にショックを受けながらも、人の運命はいつどうなるかわからないのだとつくづく思い知らされる一作です。
ガブリエラを守り切ることができなかったランボーが、彼女との思い出を守るためにこれからは生きると決心する様に心を揺さぶられます。
悲しみの中に未来を感じさせてくれたランボーは、これからもファンの心に生き続けることでしょう。