Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

アクション映画

Entry 2020/04/20
Update

映画『ランボー ラスト・ブラッド』感想評価と解説レビュー。“完全結末”とタイトルの意味に込めたスタローンの真意とは

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『ランボー ラスト・ブラッド』は2020年6月26日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー!

元グリーンベレーのエリート戦闘員ランボー。ベトナムで背負った戦う宿命は、いつまでも彼に付きまとうのでした…。

2008年に公開された映画『ランボー/最後の戦場』から12年、アクションスターのシルベスター・スタローンの代表的なシリーズ作品の一つである『ランボー』が、ついに本作で終幕を迎えます。

主人公ジョン・ランボー役をシルベスター・スタローンが担当、その他にパス・ベガ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、アドリアナ・バラーサ、イヴェット・モンレアル、オスカル・ハエナダら本作の舞台性に合った実力派俳優が共演、シリーズの最終章をしっかりとささえています。

スポンサーリンク

映画『ランボー ラスト・ブラッド』の作品情報


(C)2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

【日本公開】
2020年(アメリカ、スペイン、ブルガリア合作映画)

【原題】
RAMBO:LAST BLOOD

【監督】
エイドリアン・グランバーグ

【脚本】
シルヴェスター・スタローン

【キャスト】
シルヴェスター・スタローン、パス・ベガ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、アドリアナ・バラーサ、イヴェット・モンレアル、オスカル・ハエナダ

【作品概要】
アクションスター、シルべスター・スタローンの「ロッキー」と並ぶ代表作「ランボー」シリーズの完結編。ランボーが人身売買カルテルにさらわれた友人の孫娘を救い出そうとする中で巻き込まれる最後の戦いを描きます。

監督を務めたのは『キック・オーバー』(2012)を手掛けたエイドリアン・グランバーグ。キャストには主演を務めるスタローンの他に、『レッド・バレッツ』(2011)などのパス・ベガ、『朝食、昼食、そして夕食』(2010)などのセルヒオ・ペリス=メンチェータ、アドリアナ・バラーサ、イヴェット・モンレアル、オスカル・ハエナダらが名を連ねています。

映画『ランボー ラスト・ブラッド』のあらすじ


(C)2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

数々の戦いを終えて故郷のアリゾナに戻ったジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)は、家族のような絆で結ばれた古い友人のマリアと、その孫娘ガブリエラと共に、実家の牧場で平穏な毎日を過ごしていました。

しかしある日、失踪した父親の消息を追って、ガブリエラはランボーに内緒でメキシコへ出向きます。そこで彼女は父を探すことに協力してくれた旧知の友人と対面します。

しかし友人はガブリエラを裏切り、彼女は人身売買カルテルに誘拐されることに。そして娘同然の彼女を救うため、ランボーは逃れられない戦いの場へ向かうことになるのでした。

スポンサーリンク

映画『ランボー ラスト・ブラッド』の感想と評価


(C)2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

1982年に一世を風靡した映画『ランボー』。その原題は「FIRST BLOOD」であり、今作は「ラストブラッド(LAST BLOOD)」とシリーズを完全に締めくくったタイトルとなっています。

「ランボー」シリーズは、主演のシルベスター・スタローンにとっては「ロッキー」シリーズとともに彼をアクションスターとしての地位を不動にした絶対的な存在であります。

「ロッキー」シリーズは全部で6作の作品からなっていますが、実は5作目の『ロッキー5/最後のドラマ』とラストとなる『ロッキー・ザ・ファイナル』という2作は続きの物語ではなく、後者の作品は『ロッキー4/炎の友情』からの流れをくむリブート版的な意味合いで製作されたといいます。

『ロッキー5/最後のドラマ』は第11回ゴールデンラズベリー賞10部門中の7部門にノミネートされるという、かなりの酷評を得ており、それでも16年という長い月日の後にこの映画を見せることになったのは、このシリーズ自体の終わらせ方に何らかの悔いを持っていたからであることが推測されます。

その意味では、スタローンにとって同じく長いシリーズとなったこの「ランボー」シリーズについても、その物語の幕の引き方については非常に慎重な姿勢をとっていたことが推測されます。


(C)2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

「ランボー」シリーズでは、どのストーリーでもあくまでランボーはアメリカの特殊部隊グリーンベレーのエースであったこと、そしてベトナムで一生消えない大きな傷を負ったことで物語が展開。

その中で、行き場のない怒りと共に生き、天涯孤独だった彼が、シリーズ初となる”家族”との幸せを手に入れ、そして守り抜くために、どのような戦いを見せ、どのような結末を迎えるのか?がこの『ランボー ラスト・ブラッド』で描かれるわけですが、この物語に関し製作サイドがどのような終わらせ方考えたのかが焦点となってきます。

『ロッキー』は負け犬根性の付いた一人のボクサーが、人との出会いや別れを通してボクシングのリングに立つ意味を描いてきました。

ところが『ロッキー5/最後のドラマ』では、最後のファイトではかつて自身が手掛けた愛弟子が自分を裏切った怒りを相手にぶつけるという、これまでの流れとは違ったテーマを見せてしまいました。

そのため改めて作られた『ロッキー・ザ・ファイナル』では、かねてから描いてきた同じテーマを踏襲するものとなっていました。

そんな点から考えると、ランボーという一人の男性が救われるという物語はあり得ないと考えられます。


(C)2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

前作の『ランボー/最後の戦場』では、ミヤンマーでの壮絶な戦いを終え生還したランボーが救われない自身の魂を抱えながらも、一人の女性から影響され帰るつもりのなかった自身の故郷へと戻りました。本作はその故郷での生活から幕を開けます。

その平穏な生活でランボー自身の人生を取り戻したと思いきや、結果として「ランボー」シリーズの一貫した流れを崩すことなく、メッセージ性の強い作品として仕上げています。

また第一作ではランボーの故郷アメリカ、そしてベトナム、アフガン、ミヤンマーと、作品ごとにその戦場を変え、そして平穏を迎えたかと思われたこの作品ではメキシコと、広いシチュエーションを与えながらも一貫したテーマを貫いてきました。

これによって、この物語が提起しようとしているテーマが非常に普遍的なものであると感じさせており、シリーズのエンディング作品としてしっかりと物語を締めくくったものとなっています。

まとめ


(C)2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

本作はこれまでの「ランボー」シリーズ同様にR-15 指定となっており、かなり大掛かりで派手な戦闘シーンの中には、思わず目をそむけたくなるような残虐シーンが絶妙なタイミングで現れます。

かつてアメリカの映画は、ベトナム戦争などの社会的な事件をきっかけに60年代後半より映画検閲に対しての大きな変化とともに発生した「アメリカン・ニューシネマ」というムーブメントが発生しました。

『ランボー』の主人公ジョン・ランボーはまさしくそのベトナム戦争の犠牲者であり、作品の残虐的なシーンから見える刺激は、ある意味そのアメリカでの歴史的な流れ、そしてその映画の歴史の流れをも同時に汲んでいます。

劇中の衝撃的なシーンは心臓の弱い方にとってはかなり刺激的ではありますが、ランボー自身の怒り、そしてこの物語の芯にあるテーマをしっかり表したものとなっているのでしょう。

映画『ランボー ラスト・ブラッド』は2020年6月26日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開されます!


関連記事

アクション映画

映画『居眠り磐音』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。松坂桃李が演じたニュー時代劇のヒロイズム

映画『居眠り磐音』は2019年5月17日(金)より全国公開! 「平成」の大ベストセラーが新たに「令和」を向かえ堂々の映画化。 切ないほど、強く、優しい“ニューヒーロー”坂崎磐音が活躍する映画『居眠り磐 …

アクション映画

映画『レッド・スネイク』ネタバレ感想とあらすじ結末の評価解説。実話を基にISISと戦う“女性だけの特殊部隊”を描く

女性だけの特殊部隊と少女の戦いを描いたハード・ミリタリー・アクション! カロリーヌ・フレストが脚本・監督を務めた、2019年製作のフランス・イタリア・ベルギー・モロッコ合作のハード・ミリタリー・アクシ …

アクション映画

映画『ザ・フォーリナー復讐者』ネタバレあらすじと感想。結末を原作とは変えた救いのある物語に

ジャッキー・チェン×ピアース・ブロスナン共演。 戦慄のリベンジ・サスペンス。 愛する者を失った男が取った行動は、実行犯への復讐だった──。 娘を爆破テロで失った中国人のレストランオーナーが、事件の真相 …

アクション映画

『ラストサムライ』ネタバレあらすじ結末と感想考察。トムクルーズと渡辺謙の共演で描く明治維新の‟武士道”

第28回日本アカデミー賞外国作品賞受賞ほか数々の賞にノミネートされた傑作時代劇! エドワード・ズウィックが脚本・監督を務めた、2003年製作のアメリカの叙事詩的時代劇アクション映画『ラストサムライ』。 …

アクション映画

韓国映画『悪人伝』感想考察とレビュー評価。キムソンギュ×マドンソク×キムムヨルの三つ巴のコリアンノワール

映画『悪人伝』は2020年7月17日(金)よりシネマート新宿ほかにて全国順次ロードショー! 本国韓国で興行収入ランキング初登場1位を記録、観客動員数300万人を超えるヒット作品となった極悪バイオレンス …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学