大人気スパイアクション映画「007」シリーズの番外編!
アーヴィン・カーシュナーが監督を務めた、1983年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/ネバーセイ・ネバーアゲイン』。
世界各地に根を張る巨大犯罪組織「スペクター」による北大西洋条約機構(NATO)の核ミサイル強奪事件が発生。
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドがその核ミサイルを奪還する姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
ショーン・コネリーが12年ぶりに初代ジェームズ・ボンド役を演じる、「007」シリーズの番外編『007/ネバーセイ・ネバーアゲイン』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『007/ネバーセイ・ネバーアゲイン』の作品情報
【公開】
1983年(イギリス・アメリカ合作映画)
【原作】
イアン・フレミングの小説『サンダーボール作戦』
【監督】
アーヴィン・カーシュナー
【キャスト】
ショーン・コネリー、キム・ベイシンガー、クラウス・マリア・ブランダウアー、バーバラ・カレラ、マックス・フォン・シドー、バーニー・ケイシー、アレック・マッコーエン、エドワード・フォックス、パメラ・セイラム、ローワン・アトキンソン、ヴァレリー・レオン、ロナルド・ピックアップ、ミロス・キレク、パット・ローチ、アンソニー・シャープ、プルネラ・ジー、ギャヴァン・オハーリー、ビリー・J・ミッチェル、サスキア・コーエン・タニュジ、シルヴィア・マリオット、ロバート・リエッティ、ヴィンセント・マーゼロ、マニング・レッドウッド、デレク・デッドマン、ジョアンナ・ディケンズ、ルーシー・ホーナック
【作品概要】
『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980)のアーヴィン・カーシュナーが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作はイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングの小説『サンダーボール作戦』で、イアン・フレミングと同名小説の原作者の1人であるケヴィン・マクローリー、本作の原案担当ジャック・ウィッティンガムの3人が共同執筆したオリジナルストーリーをベースとした、「007」シリーズの番外編です。
「007」シリーズのショーン・コネリーが、『007/ダイヤモンドは永遠に』(1971)から12年ぶりに初代ジェームズ・ボンド役に復帰し演じます。
映画『007/ネバーセイ・ネバーアゲイン』のあらすじとネタバレ
世界は冷戦真っ只中。「007」こと英国情報局秘密情報部「MI6」の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドは、大好きなドライのウォッカ・マティーニとステーキ、白パンなどで怠惰になった体を鍛え直すべく、「007」復帰トレーニングを受けていました。
ジャングルに築いた要塞を敵のアジトに見立て、「テロリストを倒し、誘拐された富豪の娘を救出する」という実戦形式のトレーニングを受けたものの、ボンドは娘が敵に洗脳され寝返ったことは推測できず、娘にナイフで刺されて失敗。
そのトレーニング映像を見たMI6の部長であるMにグチグチと嫌味を言われたことに対し、ボンドは「あなたがMに就任して以来、出番がなく実働0。スパイ学校で講義をするぐらいしかやっていない」と、現場に出れないことへの不満を口にします。
これに対しMは、「君の上司として忠告する。ロンドン近郊にある療養施設“シュラブランド療養所”へ行って、厳しいダイエットに規則正しい運動をして、君の敵である体内の有毒分子(ボンドの好物のこと)を一掃してこい」と命じました。
一方その頃、対諜報活動・テロ・復讐・搾取を専門とする巨大組織「スペクター」は、世界を征服するべく、ある作戦を実行に移そうとしていました。
それは、スペクターの幹部マキシミリアン・ラルゴが考案した「アラーの涙作戦」。「アラーの涙」とは、不毛の砂漠を嘆いた予言者アラーの涙で作ったと言われている伝説の井戸のことです。
スペクターの首領エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドは、ラルゴを作戦の最高責任者に任命し、他の幹部への説明を命じます。
作戦の説明を命じられたラルゴは、まず初めに、米国空軍の通信将校ジャック・ペタチ大尉をヘロインで手懐け、スペクターの従順な僕にすること。
次にジャックに外科手術を施し、ジャックの右目の眼紋を米国大統領のものと一致させる。そのジャックの身柄は間もなくシュラブランド療養所へ送られる、と皆に話しました。
そしてラルゴは、スペクターNo.12のファティマ・ブラッシュに彼の世話を頼みました。
一方、シュラブランドへやって来たボンドは体力増強のため、医師や理学療法士、栄養士から厳しいトレーニングを受けていました。
それに素直に従っているかと思いきや、ボンドは理学療法士たちの目を盗んで、スーツケースの中に隠しておいた好物たちを味わっていました。
さらにボンドは、自身の性的魅力で虜にした担当の美人療法士とベッドイン。しかし向かいの病室から、大きな怒鳴り声と物騒な物音が聞こえて飛び起きます。
病室を抜け出し、声と音が聞こえた向かいの病室を覗くボンド。その病室にいるファティマと、ジャックが義眼を使って秘密の特訓をしているところを目撃します。
翌日。ボンドに秘密の特訓を見られたことを知ったファティマは、巨漢の殺し屋を差し向け始末しようとしました。
しかし激しい乱闘の末、ボンドは巨漢の殺し屋を返り討ちにしたため、その企みは失敗に終わってしまいました。
それから数日後。英国内にある米国空軍基地「スワッドリー空軍基地」に戻ったジャックは、米国大統領と同じ眼紋であることを利用して、米国大統領でなければ発射できない北大西洋条約機構(NATO)の核弾頭搭載巡航ミサイルの発射命令をコンピューターに命じました。
ファティマに言われ、ジャックがやっていた秘密の特訓とは、NATOの核弾頭搭載巡航ミサイル2基の発射命令を命じるために必要な米国大統領の眼紋確認テストのことでした。
ですがジャックの役割は「核弾頭搭載巡航ミサイル2基を盗むこと」だったため、盗んだ後は用済みとなり、ファティマによって殺されてしまいました。
翌日。ブロフェルドはNATOに、スワッドリー空軍基地から盗んだ2基の核弾頭搭載巡航ミサイルの中には疑似核弾頭ではなく、本物の核弾頭が入っていることを伝えました。
その上で、ブロフェルドはNATOに「各国の年間原油購入額の25%に当たる額をスペクターに支払え」、「7日以内に我々の要求が通らない場合は、2ヵ所の秘密の場所に運んだ核ミサイルを爆破する」と脅迫します。
これを受け、NATOは自分たち以外にこの情報を知っているCIAとMI6に事件の調査を依頼しました。
Mはボンドを呼び出し、「米国は核弾頭搭載巡航ミサイルの片方を追って、米国東岸を捜索中。もう1基の標的は中近東の油田らしい」、「事件当日から行方不明となっているジャックが犯人かもしれない」と伝えた上で、NATOの核弾頭搭載巡航ミサイル2基強奪事件を捜査するよう命じました。
その後、ボンドはジャックの病室に忍び込んだ際に見た、煙草を吸うために使うマッチの包み紙にあったヤマ型のマークを手掛かりにして、世界的な大富豪ラルゴのトレード・マークであることを突き止めました。
MI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQ(本名:アルジェノン)から、「007」への復帰祝いとして、亡命してきた元ソ連の情報機関・秘密警察「ソ連国家保安委員会(KGB)」の職員から仕入れた腕時計型レーザーとロケット万年筆を持って、ボンドはラルゴがいるバハマに飛びます。
映画『007/ネバーセイ・ネバーアゲイン』の感想と評価
核弾頭搭載巡航ミサイル強奪事件を追うボンド
今回ボンドに課せられた任務は、NATOの核弾頭搭載巡航ミサイル強奪事件を捜査し、盗まれた核弾頭搭載巡航ミサイル2基を奪還すること。
ボンドとその盟友であるライターが再び共に事件を捜査していく姿、ボンドが珍しく車ではなくオートバイでカーチェイスを繰り広げていく姿、そして宿敵「スペクター」の幹部たちと激闘を繰り広げていくボンドの姿は、どれも格好良くてますますボンドの虜になること間違いなしです。
そしてなんといっても、これまでの「007」シリーズ作品ではなかった、ボンドがタンゴを華麗に踊る姿が描かれています。
ボンドが再びスペクターとの戦いに挑む物語、ショーン・コネリーが初代ジェームズ・ボンド役に復帰する作品としてこの上なく相応しいものではないでしょうか。
それに「007」に復帰しようとするボンドという設定も、ショーン・コネリーが初代ジェームズ・ボンド役に復帰することとリンクしていて、「007」ファンにとっても嬉しい作品です。
核弾頭搭載巡航ミサイルを使った世界征服を企むスペクター
ボンドの宿敵「スペクター」はNATOの核弾頭搭載巡航ミサイルを盗み、それを爆発させて欲しくなければ大金をよこせとNATOを脅迫します。
そうする理由はもちろん、スペクターが世界を征服するためです。そしてその作戦の最高責任者であるラルゴは、ジャックが米国空軍の通信将校であることに目をつけ、彼を洗脳して右目に外科手術を施し、NATOの核弾頭搭載巡航ミサイルを盗ませます。
ジャックがスペクターの従順な僕と化してしまったのは、妹のドミノが人質に取られていたからです。
ですが、ドミノ自身は物語の後半までそのことを知りません。それどころか、ラルゴは言葉巧みにドミノを騙し、自分の愛人としていたのです。
何の罪もない2人の兄妹を利用するだけして、利用価値がなくなったり真実を知って裏切ったりすれば容赦なく殺そうとする。そんな冷酷無比で残虐非道なラルゴとその行いに、観ているだけでもゾッとします。
まとめ
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、宿敵「スペクター」に盗まれたNATOの核弾頭搭載巡航ミサイルを奪還し世界の危機を救う、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
本作の製作の全権を握っていたショーン・コネリーは、実は「007」シリーズから降板表明をした長年の友人ロジャー・ムーアに本作のボンド役として白羽の矢を立てました。
しかしロジャー・ムーアの後任が見つからなかったことと、「007」シリーズの製作・配給会社として知られるアメリカのエンタテインメント企業「メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)」が破格の出演料を提示してロジャー・ムーアがボンド役の続投を決意し、『007/オクトパシー』(1983)への出演を選択したこと。
そしてショーン・コネリーの妻ミシュリーヌ・コネリーが「もうボンドを演じないなんて言わないで(ネバーセイ・ネバーアゲイン)」と言ったことで、ショーン・コネリーは12年ぶりにボンド役に返り咲くことを決めました。
ですが、ショーン・コネリーはボンド役の再演は一度きりだと思って本作に出演したため、物語のラストで「MI6に戻って世界の平和を守って欲しい」というMの依頼に対して「二度とごめんだ」と答え、華麗にウインクを決めてまとめています。
12年ぶりに復帰し、初代ジェームズ・ボンドの魅力を余すことなく熱演するショーン・コネリーの独壇場。そんな男の色気ムンムンのスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。