映画「土竜の唄」シリーズのファイナルだ、みなで、バッチ来い!
監督・三池崇史×脚本・宮藤官九郎×主演・生田斗真で映画化された、高橋のぼるの人気コミック「土竜(モグラ)の唄」シリーズ第3弾。
ある日突然、通称「土竜(モグラ)」と呼ばれる潜入捜査官になるよう命じられた巡査・菊川玲二のアクションコメディ作品です。
笑いあり涙ありのアクションコメディ。ズッコケ巡査なのにモグラに抜擢された菊川玲二を、生田斗真がハチャメチャにはじけて熱演するシリーズもファイナルを迎えます。
犯罪組織との決着がついて、潜入捜査官としての目的が果たせるのでしょうか。騒動の一連をネタバレを交えてご紹介いたします。
CONTENTS
映画『土竜の唄 FINAL』の作品情報
【公開】
2021年(日本映画)
【原作】
高橋のぼる
【脚本】
宮藤官九郎
【監督】
三池崇史
【音楽】
遠藤浩二
【主題歌】
関ジャニ∞『稲妻ブルース』
【キャスト】
生田斗真、鈴木亮平、岡村隆史、菜々緒、滝沢カレン、吹越満、遠藤憲一、皆川猿時、岩城滉一、仲里依紗、堤真一
【作品概要】
高橋のぼるの人気コミック『土竜の唄』を、生田斗真主演で実写映画化したアクションコメディシリーズの完結編。
1作目『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』(2014)、2作目『土竜の唄 香港狂騒曲』(2016)に続き三池崇史監督が手掛け、脚本は宮藤官九郎が担当しました。
玲二役の生田斗真のほか、ベテランキャストでシリーズお馴染みの、堤真一、仲里依紗、吹越満、遠藤憲一、皆川猿時、岩城滉一といったメンバーが集結。加えて、1作目に出演の岡村隆史、2作目に出演の菜々緒も登場しました。新キャストには鈴木亮平、滝沢カレン。
映画『土竜の唄 FINAL』あらすじとネタバレ
潜入捜査官の菊川玲二(生田斗真)。ある日気がつくと、孤島の絶壁で素っ裸で磔にされていました。
「なーにー!」と驚く玲二。カモメが玲二の下半身に塗りつけられたチーズを狙っています……。
そもそも玲二の潜入捜査の狙いは、日本最凶の犯罪組織数寄矢会の会長轟周宝(岩城滉一)を逮捕することでした。
轟周宝に気に入られ、これまでにも命を落とすかもしれない危険な闘争にも参加。そして、最終的には轟を守るボディーガードの役目まで仰せつかうようになりました。
今回も、轟に随行しイタリアまでやって来たのですが、その本当の目的は、轟周宝が企む過去最大の取引額6000億円の麻薬密輸の現場を取り押さえようというものでした。
ところが、肝試しのように、イタリアの麻薬密輸組織のメンバーにカモメとのバトルを強制的にさせられたのでした。
このバトルの様子がイタリア組織からも気に入られた玲二は、その後無事に帰国し、厚生労働省のジャスティストリオに捜査内容を銭湯で報告します。
菊川玲二は、警察学校創立以来の最低の成績で卒業した劣等生です。交番勤務を命じられも、5年の勤務歴の中でも始末書枚数は、ぶっちぎりのワーストワン。
スケベで真面目で堅い警官のイメージとは相反する玲二ですが、庶民のために働くという意味では、まっすぐ過ぎるほどまっすぐな熱血漢。
その内面に目を付けられたのか、ある日突然、通称“モグラ”と呼ばれる潜入捜査官に任命されたのです。
玲二は、いい加減にモグラをやめて普通の警官に戻りたいと思っていますが、今回の麻薬密輸を阻止し、轟周宝を無事に逮捕できたら、潜入捜査任務はファイナルだといいます。
「ファイナルって、やっぱりまた続編とか、ナシだかんね」。玲二の本音がこんなところで出ます。
玲二の得た情報では、麻薬は検問に引っかからないよう、パスタに溶け込ませて輸入されることになっています。3日後に横浜港で取引をすることになっていました。
銭湯にいた玲二でしたが、兄弟分となった犯罪組織組員の日浦からスマホに電話があり、クーデターがおこったというので、あわてて服を着て日浦組事務所に戻りました。
組に戻ると、兄弟の契りを結んだ日浦組の組長日浦匡也(堤真一)が怖い顔をして待っていました。自分よりも下の子分たちが取り押さえられ、菊川組をつくると玲二が言ったと言うのです。
「なーにー」とまたしても驚く玲二。殴られ取り囲まれて、死も覚悟したとき、花火が空にあがりました。
「ハッピーバースデー!」なんと、日浦が玲二の誕生日を祝ってくれたのです。
日浦は轟周宝の手下ですが、弱者をいたぶる麻薬を嫌い、麻薬で収益をあげて裕福になろうとする轟周宝のやり方が気に入りません。
モグラとなって反社会組織の世界に飛び込んできた玲二の男気を素早く感じ取り、義兄弟の契りを結んで、轟周宝暗殺計画を玲二にも手伝ってもらいたいと思っています。
過去には轟周宝とバトルを繰り返し、両足を切断せねばならないほどの大怪我をしましたが、武器ともなるような最強の義足をつけて、闘いの場に復活してきました。
蝶柄の衣服がトレードマークで、パピヨンと呼ばれています。
モグラの玲二は、轟周宝は生きて逮捕しなければいけません。それには、義兄弟である日浦を騙していたことを謝らねばなりません。
その日はいつ来るのか。玲二が気をもんでいるところへ、轟周宝の息子轟烈雄(鈴木亮平)がシェフの修業をしていたイタリアから帰国しました。
轟烈雄は頭もいいのですが、大柄で暴力的な男でした。シェフの経験からか、パスタに溶け込ませた麻薬を取り出す方法をあみだしていて、無事に検疫を通り抜けたパスタから麻薬を取り出し、粉にして売りさばくつもりです。
轟周宝も烈雄の計画は万全だから、と太鼓判を押します。取引の日、玲二はパスタを運ぶトラックの助手席で荷物を番人を命じられました。
映画『土竜の唄 FINAL』感想と評価
生田斗真が惜しみなく魅せる肉体美
「土竜の唄」シリーズ1作目、2作目を通して、すっかりお馴染みになった菊川玲二の全裸シーン。
玲二演じるジャニーズの生田斗真がここまでやるのかと驚くほど、大胆な構成で惜しげもなく、裸体を披露してくれているのが見どころの一つです。
また、厚生労働省のジャスティストリオに報告する場所は銭湯です。みなタオル一枚の裸で話をし、最後には最新版の『土竜の唄』ラップバージョンで踊り出すという、ノリノリのシーンも本作ならではものでしょう。
1作目、2作目でも、このファイナルでも、こんなユニークな場面もあり、ハチャメチャな潜入捜査ぶりは笑いを誘います。
しかし、おふざけばかりの潜入捜査員ではありません。玲二本人は、警察官に似つかわしくない落ちこぼれのダメ警官なのですが、その精神は弱者を守ろうとする正義感に溢れたものでした。
それは犯罪組織の世界にも通用するものであり、菊川玲二は、犯罪組織組員にも惚れられるという男だったのです。
「玲二を演じている時は無敵になれる」と公言する生田斗真にとって、菊川玲二役がこれまでにないハマり役となったのは、本作を観てもよくわかることでした。
新旧キャストが入り混じって盛り上げる
『土竜の唄 FINAL』では、力量あるキャストが勢ぞろいしているのが目を引きます。新キャストはもちろん、復活キャストもいて、かなり豪華な顔ぶれとなっていました。
本作で復活キャストとして挙げるなら、1作目登場の岡村隆史と2作目の菜々緒がいます。
岡村隆史は今回は麻薬輸送のトラック運転手として雇われた猫沢という役どころ。生活のために反社会組織で働くしかないという猫沢の持論は、玲二の怒りを誘います。
電撃ムチを扱う女性殺し屋を演じた菜々緒。2作目で玲二から手痛い仕打ちをうけ復讐に燃えています。
岡村隆史、菜々緒の両名は、本人のキャラと被るキャスティングです。特に殺し屋を演じるスタイルのいい菜々緒のアクションは、お色気もあり、目を見張るものがありました。
一方、今回の新キャストは、鈴木亮平と滝沢カレン。まず滝沢カレンの役が、警視庁組織犯罪対策部長というから、本人のイメージとのギャップにビックリします。
色仕掛けも使いこなし、冷静沈着に物事を進める男性顔負けのスーパーレディを淡々とこなす滝沢カレンもまた、立派な俳優と言えます。
そして、本作最凶の敵、轟烈雄を演じるのは、鈴木亮平。大きな体にヤクザ特有のエゴと冷たさをにじませた表現力は、ベテランの風格があり、登場するだけで圧倒されました。
ベテラン勢のキャストで印象深いのは、パピヨン・日浦を演じた堤真一です。このパピヨンという男、ヤクザなのに麻薬を扱って資金を蓄えることに大反対。
彼の義足から繰り出す人間離れしたアクションも、本作を一層面白くしています。
役どころとしても俳優としても、なくてはならない存在のパピヨン。彼の今後がどうなるのか、玲二ならずとも気になることでしょう。
まとめ
1作目、2作目、そしてこのファイナル。本作だけみても十分話の流れはわかりますが、全作通してみればもっと潜入捜査官の面白みがわかるでしょう。
惜しげもなくさらけ出された生田斗真の裸体も素敵で、加えて菊川玲二という役に惚れ込んだ生田斗真の意気込みが伝わってくる作品でした。
特別任務が終わって普段の日常にもどった菊川玲二ですが……今一度、「俺は潜入捜査官土竜だ、バッチ来い!」と叫ぶ雄姿を見たいものです。