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映画『エベレスト3D』ネタバレあらすじ感想と評価解説レビュー。実話の実写化に“一流の登山家たち”も舌を巻く映像表現を刮目せよ!

  • Writer :
  • 薬師寺源次郎

実話に基づく究極の極限体験!

エベレスト史上、最悪の遭難事故を豪華キャストで映像化。

圧巻の映像美で描かれる雄大なエベレストと圧倒的臨場感で描かれる自然の驚異に注目の一作です。

探検家、ロブ・ホールに引率され“世界の山頂”エベレストに挑むツアー客たちはそれぞれの想いを糧に過酷な環境の中、訓練を繰り返し、確実に登頂へ向け準備を進めていきます。

しかし、これまでと打って変わって多くの登山隊が集まる上、他の登山隊との連携が望めない中、ロブは確実に客たちの安全を守るため、旧知の仲であるスコット・フィッシャーと協力しエベレストに臨みます。

そして、迎えた登頂当日、運命の歯車はゆっくりと動き始めます。

1996年に起こったエベレスト大量遭難事故を当事者であり著名な探検家であったロブ・ホールの視点で描く映画『エベレスト 3D』をご紹介します。

映画『エベレスト 3D』の作品情報


(C)Universal Pictures

【公開】
2015年(アメリカ・イギリス合作)

【原題】
Everest

【監督】
バルタザール・コルマウクル

【キャスト】
ジェイソン・クラーク、ジョシュ・ブローリン、ジョン・ホークス、ロビン・ライト、エミリー・ワトソン、キーラ・ナイトレイ、サム・ワーシントン、ジェイク・ギーレンホール、森尚子、アン・フーラ・シェルパ、トーマス・M・ライト、マーティン・ヘンダーソン、トム・グッドマン=ヒル、ペンパ・シェルパ、イングパール・E・シーグルズソン、マイケル・ケリー、ティム・ダンティ、マーク・ダーウィン、エリザベス・デビッキ、バネッサ・カービー、ディミトリ・ゴリトサス、マイカー・A・ハウプトマン、クライブ・スタンデン、ミア・ゴス

【作品概要】

世界最高峰、エベレストで起きた1996年の大量遭難事故を当事者の一人であるロブ・ホールの視点を中心に描いた映画『エベレスト 3D』。

監督を務めるのは『ザ・ディープ』(2012)などで知られるバルタザール・コルマウクル。

主人公の探検家 ロブ・ホールを演じるのは、『猿の惑星: 新世紀』(2014)『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015)で知られるジェイソン・クラーク、奇跡の生還を果たすベック・ウェザーズに『ノーカントリー』(2007)『アメリカン・ギャングスター』(2007)のジョシュ・ブローリン、ロブのライバルでありよき友、スコット・フィッシャーには『ブロークバック・マウンテン』(2005)『ナイトクローラー』(2014)などのジェイク・ギーレンホールが出演、豪華キャストにも注目です。

映画『エベレスト 3D』のあらすじとネタバレ


(C)Universal Pictures

1996年、ベテラン登山家で登山ツアー会社アドベンチャー・コンサルタンツ(AC隊)を営むロブ・ホール(ジェイソン・クラーク)は世界最高峰、エベレストへの登頂を希望する客を募り、登山ツアーを実施します。

ツアーに参加したのは妻の反対を押し切り参加した医師、ベック・ウェザーズ(ジョシュ・ブローリン)、三つの仕事を掛け持ちし登山費用を捻出、一度、エベレスト登頂を断念した経験を持つダグ・ハンセン(ジョン・ホークス)、ツアー客最高齢のジョン・タースケ(ティム・ダンテイ)、ツアー客最年少ながら豊富な経験を持つスチュアート・ハッチスン(ディミトリ・ゴリトサス)アメリカ人のルー・カシシケ(マーク・ダーウィン)、ツアー客の中で紅一点でありながら六大陸最高峰を制覇した難波康子(森尚子)、アウトドア雑誌のジャーナリスト、ジョン・クラカワー(マイケル・ケリー)。

そしてガイドのハロルド・ハリス(マーティン・ヘンダーソン)、マイク・グルーム(トーマス・M・ライト)というメンバーでAC隊はエベレストを目指します。

また、ロブの妻、ジャン(キーラ・ナイトレイ)は赤ん坊を妊娠しており、不安に感じるジャンにロブは必ず帰ると約束します。

ベースキャンプへに無事到達した一行を出迎えたのは、AC隊のチームマネージャーのヘレン・ウィルトン(エミリー・ワトソン)と専属医師のキャロライン・マッケンジー(エリザベス・デビッキ)、シェルパ頭のアン・ドルジェ(アン・フーラ・シェルパ)でした。

ベースキャンプを見て回るロブは、例年になく、登頂に臨む隊が多く混雑する様子や、なかには登山経験の浅い人間が見受けられることから一抹の不安を抱きます。

そんな時、ロブと同じく、登山ツアー会社、マウンテン・マッドネス(MM隊)を営み、古くからの友人であるスコット・フィッシャー(ジェイク・ギーレンホール)と出会います。

AC隊はエベレスト登頂に向け低酸素、低気圧、低気温の環境に順応するため、訓練を開始、過酷な状況に苦しむ面々でしたが、訓練をこなしていきます。

しかし、そんな訓練からベースキャンプに戻るとき、とあるクレバスを渡る一つのハシゴにいくつもの隊が殺到し、渋滞が生じてしまいます。

その場にとどまることが命を脅かす原因になるエベレストで無用な事故、犠牲を避けようと考えたロブはベースキャンプで他の隊の隊長を集め、エベレスト登頂を敢行する日をずらそうと提案します。しかし、他の隊は聞く耳を持ちません。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『エベレスト 3D』』ネタバレ・結末の記載がございます。『エベレスト 3D』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
ロブは、旧知のスコットに互いの隊が協力して登頂をめざすことを持ち掛けます。

スコットはこれを承諾、二人は入念に計画を立てます。山頂へ向け出発する前夜、ロブはジャンから妊娠した赤ん坊が女の子であることを知らされます。

思い思いの夜を過ごした一行は翌朝、エベレスト山頂へ向け出発します。そんな中、MM隊のメンバーが体調を崩し、下山することになり、スコットが付き添います。

ロブはスコットの動向を聞こうと無線で連絡を取り、メンバーを送り届け、隊に追いつこうとスコットが休むことなく登ろうとしている事を知ります。

スコットを案じ、止めようとするロブですが、スコットは聞く耳を持たず、ロブもまた、スコットの言葉と経験を信じ、それ以上、言及することはありませんでした。

また、ロブは嵐が向かっていることをヘレンから無線で聞かされます。

最期のキャンプ地、第4キャンプに到着すると嵐の影響か、悪天候でしたが数時間後、天候は回復、AC隊とMM隊は山頂へ向け出発します。

一方、スコットは追いついてきたものの、体力が回復せず、数時間休んだのち、追いかける決断をし、第四キャンプに残ります。そんな中、ベックは視力の低下に見舞われます。

ロブはしばらく様子を見て症状が回復したら登るよう、回復しなかった降りるよう指示します。しかし、ベックは混濁する意識の中、ロブの指示を聞き違え、ここで待つようにと理解してしまいます。

両隊がエベレスト最大の難所、ヒラリー・ステップに差し掛かると、本来、張られているはずのロープが張られておらず、急遽、ハロルドとMM隊のガイドであるアナトリ・ブクレーエフ(イングヴァール・E・シーグルソン)、ニール・ベイドルマン(トム・グッドマン=ヒル)が協力してロープを張ります。

しかし、ロープを張るまでの寒さと疲労に耐えきれず、ルー、ジョン、スチュワートが脱落します。

何とか新たなロープをヒラリー・ステップに張り直し、予定より数時間遅れではありましたが一行はエベレストの山頂に到達します。

遅れてロブも登頂、仲間たちと喜びを分かち合います。しかし、ロブは姿を見せなかったベックはルーたちと共に下山したと思っていました。

下山を開始する一行でしたが、あらかじめ準備していたはずの酸素ボンベの中身がすべて空のものと入れ替わっており、酸素不足の危機に陥っていました。

一方、遅れてやってきたスコットと山頂で合流したロブはスコットの体調がよくないことを感じすぐに下山させます。また、下山の途中、遅れていたダグと合流、時間がかかりすぎたため、下山させようとしますが、登頂を諦めきれないダグに付き添い、再び山頂を目指します。

その頃、別の山でガイドをしていたAC隊のガイ・コター(サム・ワーシントン)はエベレスト山頂付近に人影が見える事、天候が急変しそうなことをヘレンに伝え、ロブと長く連絡が取れていないことを知ります

登頂を果たしたダグを連れ、下山するロブでしたが、酸素切れでダグが動けなくなってしまいます。

一方、康子と下山するマイクは途中で蹲るベックを発見、視力の悪化が戻らないベックを下山させます。誰かに酸素を持ってこさせようとするロブですが、あらかじめ手配していたはずの酸素がないことを知ります。

そのことを知ったハロルドは自身も酸素が付きながらもロブとダグを助けに向かいます。同じく、ロブの状況を知ったヘレンやガイはダグの救助は別の人間に任せ、ロブに下山するよう勧めますが、ロブは聞き入れません。

その様子を知ったガイは自身もロブとダグ救出のためエベレストへ向かいます。一方、スコットは下山中に動けなくなってしまいます。

同行していたシェルパのロプサン・ジャンブ(ペンバ・シェルパ)にアナトリヘ酸素を持ってくるよう伝言を頼み、ロプサンを先に下山させます。その頃、ベースキャンプを猛烈な嵐が遅い、その嵐はやがて下山している面々を襲います。

その嵐の中、ダグは崖から落下、スコットは、嵐の中、呼吸がままならず二人は命を落とします。ハロルドは途中で見つけた酸素ボンベをもってロブのもとにたどり着きますが、激しくなる嵐の中で二人は動けなくなってしまいます。

アナトリや他のMM隊のメンバーと合流したマイク、ベック、康子ですが、激しくなる嵐の中、動けなくなってしまいます。アナトリは動けるメンバーを第四キャンプへ連れ帰ると、マイクたちを助けに引き返します。

ベースキャンプに到着したガイは状況をヘレンから聞かされます。

急ぎ、取り残されている人たちを救助するため、救助隊を編成しますが嵐とにと日没の影響ですぐに救出に向かうことが出来ません。唯一、動けるアン・ドルジェが酸素をもってロブとハロルドの元へ向かいます。

嵐を耐えるロブとハロルドですが、ハロルドは意識の混濁から突如、暑さを感じ、防寒着を脱ぎ始め、突如吹いた強風に煽られ、滑落、姿を消します。

一方、道中で何度も動けなくなった人たちを何度も第四キャンプへ運んだアナトリでしたが、ベックと康子を連れ帰る事が出来ませんでした。

夜が明け、ベースキャンプで気をもむガイとヘレン、キャロラインの元にロブから連絡が入ります。嵐で動くことが出来きず、弱音を吐くロブにガイは衛星電話をジャンと繋ぎ、無線越しにジャンの口からロブを励まさせます。

気力を取り戻し、下山を始めるロブでしたが、ロブ救出に向かっていたアン・ドルジェから嵐が強くなり引き返す旨の連絡がベースキャンプに飛び込みます。

絶望的な状況をヘレンから聞かされたジャンでしたが、ジャンはもう一度ロブと話させてほしいとヘレンに伝えます。何とかロブを励まそうとするジャンですが、ロブは自身が助かる見込みがないことを悟り、ジャンに別れの言葉を告げます。

その言葉にすべてを悟ったジャンはロブに「愛してる」と告げますがその返事は帰ってくることはありませんでした。嵐が収まり、意識を取り戻したベックは自力で第四キャンプまで戻ります。

しかし、ベックの容態は悪く、麓の病院までおろすことが出来ません。その知らせを聞いたベックの妻、ピーチ・ウェザーズ(ロビン・ライト)はネパールのアメリカ大使館にヘリコプターを手配しベックを助けるよう掛け合います。

アメリカの要請に応えたネパール軍は高地で酸素が薄いためまともに飛行できない危険を顧みずヘリコプターを向かわせ、ベックを救出、病院に搬送されたベックは一命を取り留めます。

ヘレンやガイ、キャロラインはロブの遺体を持ち帰ることが出来ず帰国、ジャンに出迎えられます。ジャンはその後、女の子を出産、ロブの言った通り、サラと名付けました。そしてロブは未だエベレストのどこかで眠り続けています。

映画『エベレスト3D』の感想、評価


(C)Universal Pictures

“エベレスト”と言えば、登山家ならずとも、世界最高峰としてその名を知る人は多いと思います。

しかしながら、「登山に命の危険が付きもの」という一般論を遥かに超える生命の生存を一切許さない標高8000m以上の“過酷”という表現では生易しい環境のなか、命を懸けた登山家たちが挑んでいる“事実”を知る人は少ないのかもしれません。

事実、これまで多くの登山家がエベレストで命を落としています。

その中でも史上最悪の遭難事故とまで呼ばれる、1996年に起きた大量遭難事故の実話を描いた本作『エベレスト 3D』。

命の危険を冒してなお、世界最高峰の頂きに心惹かれ、何を求めて山頂を目指し、そして、何を見つけたのか、はたまた、どのように尊い命を散らしていったのかを描いたまさに“エベレスト”を表現した作品となっています。

初めに、本作は主人公であるロブ・ホールを中心に描いているため、AC隊と行動を共にしたMM隊の事が中心に語られていますが、この事故で12人もの方々が亡くなられています。

単純な人数だけなら2014年の雪崩による16人が亡くなった事故のほうが死亡者の人数が多いのですが、この事故は幾つもの本来、排除される不安要素を抱えたまま多くの隊が登頂を決行したことによるいわば“人災”の面が多くあり、この事故以降、それらを排除する制度が設けられたほど後のエベレスト登山に大きな影響を与えました。

本作ではそれらが垣間見える演出がされており、小さな不安が積み重なりやがて、大惨事へと発展していく様子を描いていました。

例えば、ベースキャンプにたどり着いたロブが滞在する人々の多さに不安を抱く様子や、同じくロブが明らかに経験が浅そうな登山者の様子にあきれる場面、どこかスコットの何気ない仕草から不調を感じさせるジェイク・ギーレンホールの演技であったり、すべてが連なった一連の出来事である事を強く印象付ける演出が見事でした。

また、作中での登山シーンや山々の様子がリアルに描かれている点も見事で、まるで自分自身がエベレストで事故に遭遇しているかのように感じられました。

それを裏付けるように本作の公開にあたり、三浦雄一郎、野口健など日本を代表する登山家がコメントを寄せていますが、いずれもエベレストを経験したり、専門的な知識を持つプロフェッショナル達が“リアルなエベレスト”と言及しているほどです。

本作を監督したバルタザール・コルマウクルはエベレストでの撮影を敢行、寒さによるカメラの故障や極限状態でのキャスト、スタッフのコンディション低下に悩まされながらもリアルを追求した成果に一流の登山家たちも舌を巻く映像が表現できたのではないでしょうか。

まとめ


(C)Universal Pictures

世界最高峰に挑んだ人々の極限状態でのサバイバルを描いた本作『エベレスト』。

作中で描かれた遭難事故以降も多くの登山家たちが挑み、時に命を落としています。

劇中でジョン・クラカワーが「なぜエベレストに登るのか」と言う問いかけをするシーンが登場しますが、登場人物たちの答えは名誉や夢、憧れなど理由は人それぞれでした。

しかしながら、自らの命を懸け、頂きを目指す強い意志が感じられ、現実に今なお、エベレストを目指す登山家たちも同じなのかと思うと登頂の成否、生還した人もそれが叶わなかった人に関わらず、すべての方の人としての強さへ尊敬と敬意を抱きます。

本作のラストで映し出されたエベレストの頂きが息をのむほどに美しく感じられたのは、そんな多くの登山家がその頂きから見る景色に憧れるからなのではないでしょうか。





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