人気俳優の崎山つばさの映画初主演作『クロガラス1』
小南敏也が監督を務めた、2019年製作の日本のアクションエンターテイメント映画『クロガラス1』。
600万円のツケを残したまま姿をくらました常連客を1週間以内に探し出すか、それとも代わりにツケを清算するかという崖っぷちに立たされた新人ホストが、300万円の成功報酬を条件に解決屋『クロガラス』に依頼する姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
2.5次元舞台で人気を博す崎山つばさが主演を務める、問題を抱えた新人ホストら歌舞伎町の住人たちが、解決屋『クロガラス』に助けを求めるアクションエンターテインメント映画『クロガラス1』のあらすじと作品情報をご紹介いたします。
映画『クロガラス1』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【監督・脚本】
小南敏也
【キャスト】
崎山つばさ、植田圭輔、最上もが、西川俊介、出口亜梨沙、南圭介、菅田俊
【作品概要】
『娼年(2018)』『日日是好日(2018)』『星の子(2020)』など話題作の助監督を務めた、小南敏也が監督・脚本を務めるアクションエンターテインメント作品です。
ミュージカル『刀剣乱舞』などアニメ原作の2.5次元舞台で活躍する崎山つばさが主演を務め、同じ2.5次元舞台で活躍する植田圭輔や元『でんぱ組.inc』の最上もが、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の西川俊介らが出演します。
映画『クロガラス1』のあらすじとネタバレ
売れない新人ホストの和輝は、歌舞伎町の裏通りにある雑居ビルの一室で、解決屋を営む3人から仕事を依頼するかしないか、決断を迫られていました。
人間の欲望が蠢く、眠らない街・歌舞伎町、この街に住まう人々はそれぞれ複雑な事情を抱えながら、一生懸命生きようと、毎日頑張って日々を過ごしています。
ホストクラブ『EDEL』で働く和輝は、高校卒業後に就職した会社をすぐに辞め、ギャンブルにハマって多額の借金を抱えてしまいました。
そこで和輝は、一攫千金を狙ってホストクラブで働くことを決め、ナンバー入りして華々しい人生を送ろうと思いつきます。
そんな和輝の唯一の指名客である舞衣は、毎週通い続けてくれました。しかし一晩で50万円使ってくれた常連客の舞衣は、ある日突然600万円のツケを残したまま姿を眩ましたのです。
和輝は人気No.2のホストである拓海からツケの支払いを催促されます。そこへホストクラブの代表で人気No.1ホストの翔が現れ、和輝に「1週間以内に舞衣を見つけ出すか、自分でツケを支払う金を用意しろ」と命じました。
このまま客が残したツケを支払えなければ、和輝の人生が終わってしまいます。崖っぷちに立たされ、頭を抱える和輝に、ただおのおじさんという大柄なホームレスが話しかけてきました。
和輝は最初、お金をくれれば相談に乗ると言うただおのおじさんを冷たく突き放します。しかし、寮にいたホストクラブの先輩に諭された和輝は、藁にも縋る思いでただおのおじさんに相談することにしました。
すると和樹は、ただおのおじさんから高額な成功報酬を貰えれば、繁華街のどんなトラブルも解決する解決屋『クロガラス』を紹介されます。
和輝は早速、歌舞伎町の裏通りにある古い雑居ビル、その一室で殺風景な事務所を構えている『クロガラス』のところへ行ってみました。
和輝はそこで、黒斗率いる『クロガラス』のメンバーと会います。悠哉から提示された成功報酬は、回収した600万円の半分、300万円でした。
高額な金額に思わず笑ってしまう和輝でしたが、リーダーの黒斗による鶴の一声で大人しくなり、電話が繋がらない舞衣の捜索を依頼します。
ホストクラブで働きだしてからずっと指名客がつかなかった和輝は、初めて自分を指名してくれた舞衣を固定客にしようと考えていました。
純粋で上品なOLの舞衣は、ホストクラブに不慣れな自分を煽って、高い酒を注文させようとする和輝のクズな企みに薄々気づき始めます。
和輝のクズな企み、それは舞衣を風俗嬢に落としてでも、多額の金を使って貰うことでした。舞衣は和輝をナンバー入りさせるために、無理してでもツケで高い酒を注文し続けます。
和輝は舞衣が姿を眩ました日からずっと、舞衣の行方を捜していました。しかし、借用書に書かれた住所の家はもぬけの殻で、不動産会社から取り寄せた書類も全てでたらめばかり書かれていたのです。
これを聞いた黒斗たちは、ひょっとして舞衣は「計画的にツケを飛ばしているプロ」なのではないかと考えました。
そこで黒斗は、凄腕のオタク系女性ハッカーの日菜に、舞衣と和輝の唯一の接点であるホストクラブ『EDEN』への潜入を命じます。
ホストクラブが苦手な日菜は、黒斗が命じた「すぐ落とせるキャバ嬢」を演じて拓海に近づき、彼をアフターへ誘いました。
近くに停めた車から日菜の様子を監視する黒斗たちは、拓海を酒に入れた睡眠薬で眠らせた後、日菜に彼のスマホから情報を探ってもらいます。
日菜が寝ている拓海の手の指紋認証でスマホのロックを解除した途端、翔から「女は落ちたか?あと10分でそっちに行く」と電話がかかってくるのです。
黒斗は日菜にホテルから撤退するよう命じますが、日菜はそのまま拓海の側に倒れ込んでしまいます。そう、拓海も日菜に睡眠薬を盛っていたのです。
階段からホテルの部屋へ向かった黒斗たちは、眠った日菜を無事救出します。その後、部屋に到着した翔は拓海を殴って起こし、他のホスト3人に日菜の捜索を命じました。
翔と拓海は黒斗曰く、客を睡眠薬で眠らせて落とすという汚い手口を使っていたのです。日菜と和輝と一緒に事務所に戻ってきた黒斗は、実務担当の悠哉に翔の尾行を命じます。
その間和輝は、黒斗から「お前の客はまだこの街にいる」と聞かされました。
映画『クロガラス1』の感想と評価
売れない新人ホストの和輝が、都市伝説として歌舞伎町内で噂されている解決屋『クロガラス』に、ツケを払わず逃げた常連客の捜索を依頼する話でした。
舞衣を捜索し、ツケを払ってもらうだけだったはずが、いつの間にか歌舞伎町の裏の顔を知ることになる事態へ発展していきます。
翔たちホストは、舞衣たち女性客を犯して薬漬けにし、加奈井組は翔たちホストに麻薬を売り捌いてもらうという、繁華街を巣食う闇です。
それを黒斗たちが、翔・和輝・加奈井組それぞれから依頼されて解決するという凄技に、誰もが騙され驚かされることでしょう。
翔たちホストは黒斗たちのやり方で制裁を受け、舞衣たち女性客も解放され、加奈井組も金を回収することが出来ました。
利益になることはしない主義の黒斗たちは、まるで現代版の伊賀忍者のようでした。
上映時間が80分と少し短めなので、物語の進み具合が早く感じます。
しかし三つ巴の争いには発展せず、翔に振り回された和輝たちも加奈井組も、双方が得をする結末になっていたので、裏社会ものには珍しいハッピーエンドで面白いです。
まとめ
売れない新人ホストが、繁華街ではよくあるトラブルに見舞われて、解決屋『クロガラス』に仕事を依頼するといったアクションエンターテインメント作品でした。
本作が映画初主演作だった崎山つばさですが、ホストと戦うアクションは2.5次元舞台で培った、鮮やかで鋭い蹴りとパンチを繰り出されていて格好良かったです。
植田圭輔演じる悠哉や、最上もが演じる日菜も黒斗と一緒に解決屋を営んでいるだけあって、彼とはまた違った凄さを見せてくれるので、そのたびワクワクドキドキさせられます。
「金」だけが全ての冷徹な男に見える黒斗は、実際には困っている人を放っておけない優しさがあることが最後に描かれているので、ギャップがある男性に弱い女性は一気に黒斗ファンになることでしょう。
菅井俊は加奈井そのものだと感じるほど、威圧感があって昔のヤクザらしい強さがひしひしと画面越しに伝わってきます。
裏社会ものでも、繁華街のトラブルを解決する解決屋とヤクザが円満に終わったアクションエンターテインメント映画が観たい人に、ぜひオススメしたい作品です。