墜落までの猶予は97分!潜入捜査官がハイジャック事件に挑むスカイアクション!
ティモ・ヴオレンソラが監督を務めた、2023年製作のイギリスのスカイアクション映画『97ミニッツ フォールアウト』。
アメリカ・ニューヨーク行きの飛行機・420便がテロリストによってハイジャックされた事件が発生。
機長は銃撃されて瀕死状態にあり、墜落までの猶予は97分しかありません。
刻一刻と迫る墜落の時、テロリストの1人アレックスは実はインターポールの潜入捜査官で、何とかして乗客の命を救い、大惨事を回避しようと策を考えますが………。
映画『97ミニッツ フォールアウト』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『97ミニッツ フォールアウト』の作品情報
【公開】
2023年(イギリス映画)
【脚本】
パヴァン・グローバー
【監督】
ティモ・ヴオレンソラ
【キャスト】
ジョナサン・リース=マイヤーズ、アレック・ボールドウィン、マイアンナ・バーリング、ジョー・マーティン、パヴァン・グローバー、ヴァレリー・ダンコ、マイケル・シロウ、アンジュル・ニガム、デイバー・トミック、スラフコ・ソビン、ルーク・JI・スミス、カシア・コレチェク、オースティン・パーソンズ、クリス・ウィルソン、ピーター・ブルック
【作品概要】
『アンスピーカブル』(2002)のパヴァン・グローバーが脚本を、「スターレック」シリーズのティモ・ヴオレンソラが監督を務めた、イギリスのスカイアクション作品です。
『マイケル・コリンズ』(1996)や『ELVIS エルヴィス』(2005)などに出演するジョナサン・リース=マイヤーズと、『レッド・オクトーバーを追え!』(1990)や「ミッション:インポッシブル」シリーズなどに出演するアレック・ボールドウィン、「トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン」シリーズのマイアンナ・バーリングが本作の主演を務めています。
映画『97ミニッツ フォールアウト』のあらすじとネタバレ
ロンドン・ヒースロー発、ニューヨークのJFK国際空港行きのオーシャニック航空420便は、アメリカ国境まで1770キロ地点にある北大西洋の上空を航行していました。
逆風の影響で少し時間は遅れるものの、1時間半後にはニューヨークに到着すると、機長からの機内アナウンスが流れた直後、武装したテロリストたちによるハイジャック事件が発生。
機長は銃撃を受けて瀕死状態に、テロリストたちに立ち向かおうとした女性航空保安官は殺され、他にもCAが何人か殺されてしまいました。
挙げ句の果てに、燃料が切れるまであと97分しかなく、420便は墜落の危機に瀕してしまいます。
テロリストたちをまとめるボスのアナンと、機体操作に詳しいマルコが操縦室を占拠。
他のテロリストたち、ゴランとオルカ、ライカ、アレックスは乗客の見張りをします。
燃料切れまで残り77分。アメリカ国家安全保障局(NSA)は、突如応答が途絶え、進路が分からなくなってしまった420便の行方を捜していました。
またその機内には、「ステーキナイフ」というコードネームで呼ばれている、アメリカ政府の下で働くインターポール(国際刑事警察機構)の潜入捜査官であり、昨年末からウクライナの過激派組織に潜入中の諜報員がいるのですが、応答がありません。
NSAの女性チーフのトーインとその部下レミーからの報告と、彼からの最後の通信で発した「ナズナス(大量虐殺を意味する暗号)」と聞いたNSAの長官ホーキンスは、驚きの決断を下します。
地上にいる罪なき人々を生かすために、ステルス戦闘機F22を使って、乗客やテロリストもろとも飛行機を撃墜しようというのです。
理由は、頼みの綱である安全装置は何らかの形で解除されており、機内の情報を知ろうにも諜報員とは通信が途絶えてしまった、もはや希望はないと判断したからでした。
ホーキンスはトーインたちに、犯人とその目的の特定、レーダーでしか追跡できない420便の監視を命じます。
一方機内では、テロリストの1人アレックスが、医者のキムに機長の治療を任せ、乗客の命を救う方法を模索します。というのも、実はアレックスの正体は、ウクライナの過激派組織に潜入中のインターポールの潜入捜査官だからです。
アレックスの正体を彼の口から聞いたキムは、機長とその息子のサミュエルに言い、機長に応急処置を施します。
しかし、アレックスとキムの会話を聞いてしまったゴランから襲撃される2人。アレックスは死闘の末に倒したゴランを、ギャレー(厨房)のテーブル下に隠しました。
その直後、ゴランが機体を撃ったせいで機内の気圧がどんどん上昇してしまったのです。
このまま気圧が上がり続ければ機体が破裂してしまう、とアナンから聞いたアレックスは、圧力の調整方法を知る機長のもとへ急行。
キムたちに頼んで乗客から大量の薬を貰い、それを機長に投与して起こそうとします。
意識が戻った機長はアレックスに、「手動になってしまってるから、バルブを回して自動にすれば圧力を調整できる」と言い、そのバルブがある場所を教えました。
アレックスは急いでバルブを回し、手動から自動に切り替えます。これにより、気圧は少しずつ下がっていき、事なきを得ました。
ですが、その方法を聞き出すために規定量以上の薬を投与してしまったせいで、機長はアレックスに息子を助けてくれと頼んだことを最後に、静かに息を引き取ってしまいました。
自分が無理を言って薬を投与させたせいで機長を死なせてしまったと、自責の念に駆られるアレックス。
テロリストたちにバレないようにこっそり彼の後を追いかけたキムは、化粧室の鏡を殴ったことで負った手の傷を治療しました。
その際、キムは実は医者ではなく、元夫に洗脳されたせいで研修医で辞めたことを打ち明けます。
元夫との喧嘩が続き睡眠時間が減っていったある日、キムはカルテを見ずに患者に薬を投与しました。しかしその薬はすでに投与されていたのです。
そのことが原因で、キムは元夫と離婚しました。そう語る彼女に、アレックスは首から提げている榴散弾は、当時7歳だった息子の命を奪ったものだと明かしました。
そしてテロリストたちが持つ3Dプリンターで作った銃を見せ、本物と同じ仕様で2発弾が装填されていることとその使用方法を教えました。
その直後、アレックスが持つ衛星通信機とNSAの通信が回復。アレックスは簡潔に機内の現状を伝えて、次の指示を乞います。
彼らの通信内容を横で聞いていたホーキンスは、「10分後に安全装置を遠隔操作する」と伝えるよう、レミーに命じました。
そんなのは嘘で、しかもホーキンスはF22が2機、6分後に現場に到着して420便を撃墜することも教えませんでした。
アレックスと連絡がとれてもなお、420便の撃墜を決行しようとするホーキンスに愕然としたトーインは、レミーと一緒にどうにかして彼に警告しようとします。
しかし通信内容はホーキンスにも筒抜けであるため、シグナルにモールス信号を混ぜて警告することにしました。
モールス信号を受け取ったアレックスは、床下貨物室へ。任務のことを忘れて乗客に気を取られすぎている彼を不審に思い、アナンは機内通話システムを使って、オルカに消息不明のゴランの捜索を命じます。
それを知らないアレックスは、「右舷から45秒後に撃たれる」との警告を受け、油圧ケーブルを強く引っ張ってミサイルの被弾を回避します。
何かに狙われていることを察したアナンは、マルコを連れて操縦室の床下貨物室へ。積み込ませておいた高帯域伝送装置(HBTD)を使って、レーダーを無効化させます。
HBTDとは、冷戦中にソ連の爆撃機が使用していたものです。
一方ホーキンスたちは、付近に大型機を発見。F22のパイロットに2発目のミサイル発射の中止を命じます。
しかし時すでに遅し、2発目のミサイルは発射され、その大型機の後部に命中。その残骸がF22と420便に襲いかかります。
その結果、F22が2機とも墜落。万が一に備えて、ホーキンスが送り込んでおいた3機目が、420便の監視にあたります。
トーインたちがカタールの空港の駐機場で機体整備をした時の映像を解析した結果、整備士は420便に約13キロの重さがあるHBTD以上の物を載せたことが判明。
2人から報告を受けたホーキンスは、ソ連の崩壊後、冷戦時代にソ連が開発した低出力の機器(核爆弾)の半分が消えたことを思い出します。
その核爆弾は何年も前にリトアニア経由で密輸され、NSAがその追跡を試みていました。
その直後、420便にその核爆弾「ナズナス」が仕掛けられていることが確認され、ホーキンスたちは420便の撃墜を中止することに決めました。
一方、アナンはマルコにあるものを見せました。それはナズナスと記されたロシア製の核弾頭です。
アメリカとロシアに戦争でもさせる気かと言うマルコに対し、アナンは「俺は超大国のない世界を望んでるんだ。これは終わりの始まりなんだよ」と答えました。
映画『97ミニッツ フォールアウト』の感想と評価
ウクライナの過激派組織に属している5人のテロリストが起こした、オーシャニック航空420便ハイジャック事件。
物語の終盤までずっと、いつテロリストに潜入捜査官の存在がバレるのか、テロリストたちがいつ乗客たちに手製の銃を向けるのかとハラハラドキドキします。
乗客の命を救おうと奮闘しテロリストたちを倒してくれた主人公のアレックスこそ、インターポールの潜入捜査官だとキムたち登場人物たちも視聴者も誰もがそう信じていたその時。
実は彼こそが、このハイジャックを計画したテロリストたちのリーダー、エニドであったことが明かされた時はとても衝撃的でした。
エニドとNSAの長官ホーキンスには過去に因縁があり、それぞれ最愛の子供を失いました。彼らは被害者であり加害者でもあったのです。
最初はホーキンスへの復讐のために420便をハイジャックし、NSA本部に墜落させようと考えていたであろうエニド。
燃料が足らず墜落するかもしれないという土壇場で、彼は再びキムたちを救うために立ち上がったのです。
インターポールの潜入捜査官マルコに成りすましてキムたち乗客と関わっていくにつれて、自分の復讐のために彼らを殺してはならないと思いはじめ、エニドは復讐心との間で葛藤していたのではないかと考えられます。
エニドの復讐のために命を落としたハイターたち乗客と機長、乗務員のことを考えると心苦しいですが、キムたちがエニドによって無事生還できたことに心の底から安堵しました。
まとめ
NSAの報復によって、最愛の息子を亡くしたテロリストとそれに利用された者たちによるハイジャック事件を描いた、イギリスのスカイアクション作品でした。
本作の主人公アレックスもといエニド・スロリス役を演じたジョナサン・リース=マイヤーズによる機内でのアクションはとても格好良いですし、何より乗客の命を救わんとするインターポールの潜入捜査官としての顔と、それに成りすましていたハイジャック事件の首謀者としての顔を完璧に上手く演じ分けられた演技力の高さに脱帽します。
エニドと因縁の仲であるNSAの長官ホーキンス役のアレック・ボールドウィン。F22を使ってハイジャックされた飛行機を墜落させようとする悪役を演じたかと思えば、事件の真相に近づくにつれて乗客の命を救おうと策をめぐらせ、一度は非難した部下の長官になる夢を応援する良き上官を演じています。
この2人の圧巻の演技力がこの物語をさらに熱くさせていくのです。
衝撃的なエンディングに、二度視聴したくなること間違いなし! ジョナサン・リース=マイヤーズとアレック・ボールドウィンの圧巻の演技力で魅せるハラハラドキドキのスカイアクション映画が見たい人に、とてもオススメな作品となっています。