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Entry 2016/12/15
Update

映画『グランドフィナーレ』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

年末の風物詩といえば、「第9交響曲」もその1つ。

有名なベートーベンの名曲が全国のコンサートホールで響きますね…。

今回ご紹介する映画『グランドフィナーレ』の主人公は引退した音楽家です。

才能豊かな著名な人物たちが、自己の夢を実現した後に、ある場所で出会い起きたこと…。

人生の美しさと残酷さを見つめてみましょう!

映画『グランドフィナーレ』の作品情報

【公開】
2016年(イタリア、フランス、スイス、イギリス)

【脚本・監督】
パオロ・ソレンティーノ
【キャスト】
マイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル、レイチェル・ワイズ、ポール・ダノ、ジェーン・フォンダ、スミ・ジョー、パロマ・フェイス、ビクトリア・ムローバ
【作品概要】
パオロ・ソレンティーノ監督は、『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男』(2008)で、カンヌ国際映画祭審査員賞受賞、『グレート・ビューティー 追憶のローマ』(2013)では、アカデミー外国語映画賞受賞などに輝いた実力派で知られたイタリアの映画監督。

俳優のマイケル・ケインを主演に、スイスのアルプスにある高級ホテルを舞台として、引退後のイギリス人作曲家の描いた幻想的な作品です。

映画『グランドフィナーレ』のあらすじとネタバレ

グランドフィナーレ
(C)2015 INDIGO FILM, BARBARY FILMS, PATHE PRODUCTION, FRANCE 2 CINEMA, NUMBER 9 FILMS, C – FILMS, FILM4

アルプスの高級リゾートホテルで引退後の余生を過ごす作曲家フレッド・バリイジャー。

彼のもとに訪れた特使たちから、女王陛下からの勲章授与と、その式典へ出演して欲しいという依頼が舞い込みます。

フレッドを世界的に有名にした名曲「シンプル・ソング」を、今一度、フィリップ殿下の誕生日に指揮して欲しいという要望付きでした。

しかし、彼は引退した身だと頑なに拒みます。

現役の頃のフレッドは、ロンドンやニューヨーク、ヴェネチアの楽団で指揮を務め、作曲と指揮の両面でその才能を開花させいました。

80歳を過ぎてた現在では、これまでの活動のような活力も湧かないようです。

そんなフレッドとは、古くからの親友である映画監督のミック・ボイルも同じホテルに宿泊しています。

しかし、ミックの場合はフレッドとは違い、まだ現役監督を続け、若いスタッフたちと新作映画『人生最後の日』という、脚本執筆に励んでいる。

他のホテル宿泊客も風変わりで、20世紀のサッカー界に名を残す元名選手(ディエゴ・マラドーナでしょうね?)や、

かつて出演したロボット映画の役名で呼ばれることに嫌気をさすハリウッドスターのジミー・トリーなどが宿泊しています。

彼らは、その世界で頂点を極めたセレブですが、それぞれに悩みを抱えているようです。

精神的に無気力になっていたフレッドは、健康診断やマッサージなどを淡々とこなしています。

医師からは身体には異常がないと診断をされますが、フレッドの身体はこれまでの疲労が溜まっているようです。

そんな、フレッドの唯一の楽しみといえば、親友ミックとの昔話やたわいもない悪戯悪するぐらいでした。

ある日、フレッドが自室に部屋へ戻ると、夫ジュリアンと2週間のバカンス旅行に出かけたはずの娘レナが泣いています…。

以下、『グランドフィナーレ』ネタバレ・結末の記載がございます。『グランドフィナーレ品名)』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
ジュリアンの父でもある、親友のミックに、「君の息子が私の娘を捨てた」と告げるフレッド。

その事に驚いたミックは、すぐに息子を呼び出すのですが、ジュリアンは新しい恋人を連れてくる始末。

フレッドは、娘レナを慰めようとしますが、逆に責め立てられ、「音楽が全てでママのことなど一切顧みなかったパパに夫婦の愛情の何が分かるの」と言われてしまいます。

そのようなフレッドのもとに、再び女王の特使が現れ必至で説得をしてきます。

やがて、フレッドは思い口を開き本当の理由を語り出すのです。

名曲「シンプル・ソング」は、フレッドの妻が歌うために作られ贈られ作られた曲だというのです。

その妻も、今では老いの病を発症してしまい、歌うことができない現状。

父親の初めて母へ想いを聞いたレナは、思わず涙します。

そんな折、ミック監督の映画に長年出演していたブレンダ・モレルが映画祭に行く合間にホテルを訪れてくれます。

ミック監督は、次回作についてブレンダに語ります。

しかし、ブレンダは、映画女優からテレビ女優への出演に老いた女優としての活路を見出していることを告げ、次回作の映画主演をミックに断ります。

このままでは映画予算もつかず、映画製作は中止に追い込まれると悩んだミック。

ホテルに宿泊していた、共同脚本を執筆していた若いスタッフをホテルから帰します。

ついに、脚本『人生最後の日』は完成させることのできなかったミック。

ミックは、脚本にも書けなかった最後の言葉フレッドに告げます。

「君の音楽は驚きや新しい感動をもたらした」と告げると、フレッドの目の前で窓から飛び降り自死。

フレッドは、親友ミックの言葉を胸にしまい込み、特使の勲章授与と記念ステージを受けることを決意。

その前にヴェネチアで暮らす病いの妻のもとをフレッドは訪ねます…。

そして、フレッドは、人生最後のステージで指揮を振るのです。

映画『グランドフィナーレ』の感想と評価

グランドフィナーレ2
(C)2015 INDIGO FILM, BARBARY FILMS, PATHE PRODUCTION, FRANCE 2 CINEMA, NUMBER 9 FILMS, C – FILMS, FILM4

この作品の主演を務めたマイケル・ケインは、米アカデミー助演男優賞を2回受賞しているイギリスが誇る名優。

脇を固めた俳優陣もハーヴェイ・カイテル、レイチェル・ワイズ、ポール・ダノ、ジェーン・フォンダなど、豪華俳優がそれぞれに異彩を放つ作品です。

アルプスの高級リゾートホテルを舞台に、誰もが羨むような頂点を手に入れた彼らでしたが、セレブというよりも、どことなくサナトリウムでの療養者にも見みえてきます

成功と名声を手に入れた彼らが、過去の栄光からどのように「下山」するのかが、この作品のテーマです。

それぞれの人生の頂点からの下り方に注目することが見どころになのです。

よく登山者は、“山は登る時よりも下る時の方が難しい”と言います。

それを栄光のある人生の頂上に登頂した者に重ね合わせた感じと言えばよいでしょうか。

その最たる象徴は、映画監督のミックの飛び降り自死です。

他にも往年の大女優ブレンダが、ミックの死を知り飛行機から降りられない様子、

宿泊者の老登山家が、若い女性を抱きかかえパラグライダーで降りる姿、浮遊する仏教僧など、

それぞれが、“過去の栄光からどのように「下山」するのか”という象徴として存在しています。

人生の幕引きは、ミック監督が、「人生最後の言葉」に悩んでいたように、どのような名声のある人にも難しい事なのかもしれませんね。

まとめ

grandfinale
(C)2015 INDIGO FILM, BARBARY FILMS, PATHE PRODUCTION, FRANCE 2 CINEMA, NUMBER 9 FILMS, C – FILMS, FILM4

パオロ・ソレンティーノ監督の脚本を活かした、豪華俳優陣の演技も素晴らしいものがありました。

それを更に引き立たせたのは、舞台となった高級ホテルです。

作家トーマス・マンが、『魔の山』を執筆したといわれる、伝説のホテルをロケに使用した点は、映画の幻想的な効果に成功させています。

このホテルは、元々はサナトリウムであった場所らしく、映画全体の雰囲気作りに一層独特なものにしているのです。

元サッカー選手(マラドーナ?)のテニスボールを使ったリフティングや、浮遊する仏教僧は、夢なのでしょうか、幻想なのでしょうか、それとも現実なのか?

この作品は、じっくり、あなたの目で味わっていただきたい作品です。

ぜひ、大きなスクリーンで見ることをオススメしたい作品です!

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