第32回ワルシャワ映画祭インターナショナル・コンペティション部門正式出品
ポーランドから生まれた新たな才能、アダム・グジンスキ監督。
思春期の輝きと揺らぎを描いた映画『メモリーズ・オブ・サマー』の日本公開が2019年6月に決定されました。
YEBISU GARDEN CINEMAを皮切りに全国順次公開される本作。
完成したポスタービジュアルと特報もあわせてご紹介します。
映画『メモリーズ・オブ・サマー』ポスタービジュアル
解禁されたポスターは、回転ブランコに乗る主人公ピョトレックと母、そして母とキスをしている男性の姿が映し出されています。
母の黄色いワンピースと、日の光を受けて金色に輝く髪が夏を感じさせ、さわやかな印象です。
ですが、「少年はあの日、遠い母の背中に夏が通り過ぎていくのを見ていた。」というコピーを読むと、本作が少年の“苦い”成長を描いた作品だと伝わってきます。
母とキスをしているのは誰なのか、笑顔のピョトレックに対して母はどんな表情を浮かべているのか、想像が膨らむビジュアルです。
映画『メモリーズ・オブ・サマー』特報映像
こちらも夏の暑さと、その終わりの切なさを感じさせる特報です。
砂浜で寝ころぶピョトレックと少女。
ピョトレックは少女に好意を抱いているらしく、熱い視線を送っていますが、彼女はお構いなし。
そして雨の中、誰かを見つめるピョトレックが映し出され、映画のタイトルになります。
田舎道を走る汽車と、それを自転車で追いかけるピョトレックと母。
汽車には愛する父が乗っているんでしょうか。
そして涙を流す母と、物言わずに眺めいる父らしき男性の姿が印象的に浮かび上がります。
ピョトレックと少女の、初恋と言うには幼い、淡い関係に懐かしさを憶え、その後の母とピョトレックの言い合いには胸を締め付けられます。
最後はビジュアルにもなっている、回転ブランコのシーン。
楽しそうなピョトレックと母、そして特報だけでは父なのか判別がつかない男性。
その笑顔の3人と、「それはぼくが子どもでいられた最後の夏だった」という言葉が対照的です。
夏の終わり、少年期の終わりを描いた映画だと伝わってきます。
映画『メモリーズ・オブ・サマー』の作品情報
【日本公開】
2019年(ポーランド映画)
【原題】
Wspomnienie lata(英語題:Memories of Summer)
【監督・脚本】
アダム・グジンスキ
【キャスト】
マックス・ヤスチシェンプスキ、ウルシュラ・グラボフスカ、ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ
【作品概要】
アンジェイ・ワイダ、ロマン・ポランスキー、イエジー・スコリモフスキといった巨匠たちに続き、近年、パヴェウ・パヴリコフスキ(『イーダ』『COLD WAR あの歌、2つの心』)、アグニェシュカ・スモチンスカ(『ゆれる人魚』)と次々に実力派監督を生み出すポーランド映画界において、また新たな才能が日本に紹介されます。
デビュー短編『ヤクプ』(1997)がカンヌで絶賛された1970年生まれのアダム・グジンスキ監督。
自身の体験をもとにつくりだした本作『メモリーズ・オブ・サマー』は、子どもと大人の狭間で揺れる12歳の少年の目を通して描かれる、忘れられない一夏の記憶を描く傑作です。
映画『メモリーズ・オブ・サマー』のあらすじ
1970年代末、夏。
ポーランドの小さな町で、12歳のピョトレックは新学期までの休みを母ヴィシアと過ごしています。
父は外国へ出稼ぎ中。
母と大の仲良しのピョトレックは、母とふたりきりの時間を存分に楽しんでいました。
ですがやがて母はピョトレックを家に残し毎晩出かけるようになり、ふたりの間に不穏な空気が漂い始めます。
ピョトレックは、都会からやってきた少女マイカに好意を抱きますが、彼女は、町の不良青年に夢中に。
それぞれの関係に失望しながらも、自分ではどうすることもできないピョトレック。
そんななか、大好きな父が帰って来ますが…。
まとめ
日本初劇場公開となるポーランド映画界の新たな才能アダム・グジンスキ監督の映画『メモリーズ・オブ・サマー』が、2019年6月、YEBISU GARDEN CINEMAを皮切りに全国順次公開されます。
合わせてポスタービジュアルと特報が完成。
母と子を結びつける特別な絆とその崩壊を軸に、初めての恋や友情、性を取り巻く感情に戸惑う思春期の痛々しさを、切実に映し出します。
どこかなつかしさを感じさせる1970年代のポーランドの風景のなか紡がれる、新しい夏休み映画の誕生です。