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Entry 2018/11/23
Update

映画『レディinホワイト』ネタバレ感想レビュー。吉本実憂演じる如月は覚悟とは⁈

  • Writer :
  • 田中比奈

大塚祐吉監督の映画『レディinホワイト』。

社会があたしを必要としてるの♪と、猛毒新卒モンスターが、ゲス上司と社畜を巻き込んで大騒動!

すべてのフレッシャーズに贈る“真っ黒”サクセスストーリー『レディinホワイト』をご紹介します。

映画『レディinホワイト』の作品情報


(C)テレビ大阪サービス
【公開】
2018年

【監督】
大塚祐吉

【キャスト】
吉本実憂、波岡一喜、矢本悠馬、笛木優子、宮川浩明、國本鍾建、中島広稀、久住小春、小山田サユリ、いとうまい子、利重剛、吹越満

【作品概要】
『国民的美少女』優勝者であり、演技力にも定評のある吉本実憂が破天荒な新卒社員を熱演します。

資産家の令嬢として何不自由なく育ってきた主人公・彩花は、就職先の上司と衝突してばかり。

とうとうクビを宣告されると同時に実家が破産し…?

監督は『スープ 生まれ変わりの物語』『罪の余白』などの大塚祐吉。

俳優陣は波岡一喜、吹越満、矢本悠馬など、ブラックコメディにふさわしいクセのある実力派が揃っています。

映画『レディinホワイト』のあらすじとネタバレ


(C)テレビ大阪サービス
名古屋随一のプラスチック製品会社に就職した如月彩花(吉本実憂)は、自由奔放な資産家のお嬢様。

服はいかなる時でも白、敬語は適当、自分が正しいと思った事は押し通すという独特の感性の持ち主です。

入社面接でもその傍若無人ぶりを発揮し不合格かと思われましたが、何故か部長・酒田(吹越満)の強い押しで採用されました。

彼女は企画部の浪岡(松山翔平)のアシスタントとして配属されます。

浪岡は企画部のエースである一方、部下にはパワハラめいた恫喝をする暴君として君臨していました。

前任のアシスタントである猪瀬(矢本悠馬)も毎日なじられ、胃の痛い日々を送っています。

猪瀬は如月の教育係となりますが、サポートも甲斐無く、如月が浪岡の命令を拒否した事で初日から大げんかしてしまいました。

企画部には大口のコンペが迫っていましたが、浪岡と製造部の板挟みになり精神も体力も追い詰められた猪瀬の代わりに、如月がプレゼンに参加する事となりました。

如月は浪岡の理不尽さに憤りながらも、自分の才能には絶大な自信を持っており、プレゼン参加に大喜びします。

コンペの前日、猪瀬は「黒いスーツを着てこい」と指示しますが、如月はやはり無視し白いドレスでプレゼンに臨みました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『レディinホワイト』ネタバレ・結末の記載がございます。『レディinホワイト』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
浪岡の手腕でプレゼンは大成功しましたが、コンペ終了後、浪岡は如月に激怒します。

理由は、如月の白い服が審査員の気を一瞬逸らせたから。

浪岡は「コンペには何億の金が懸かっている。一分でも無駄にはできない。お前はクビだ」と宣言しました。

侮辱されショックを受けた如月は、同時に企画部に配属された真相を知ります。

もともと、企画部にはすぐにクビにできる馬鹿をよこせ、と人事に打診したのは猪瀬でした。

浪岡は大の新人嫌いで、大きなミスをする人材ならすぐ解雇できるという打算があったためです。

更にその夜、如月は実家の破産を両親から知らされます。

必要のない人材として雇われ、あげくにはクビにされ、頼りだった財産も失い打ちのめされる如月。

猪瀬は身の丈に合った暮らしをして社会に溶け込むようアドバイスしますが、それでも如月は断固として拒否します。

何としても会社に残ろうと如月は酒田部長に交渉しました。

引き続き浪岡のもとでプレゼンの修行をする、という条件と引き替えに、酒田の計らいで如月のクビは撤回されます。

浪岡と如月は反発し合いながらも、少しずつ師弟としての絆を作り上げていきます。

そんな中パチンコの筐体会社から、女性向けの筐体デザインコンペの依頼が舞い込みました。

絶対に勝たなければいけない、会社の命運を左右するコンペです。

その上、競合相手には浪岡の元部下であるやり手の結城(笛木優子)が参加していました。

浪岡は強いプレッシャーに晒された上、相変わらずマイペースな如月に苛立ちます。

更に、苦心の上打ち出したデザイン案を「全然良いと思わない」と如月に一蹴された事で、如月が異動しなければこのコンペには出ない、と言い始めました。

浪岡の理解者でもある酒田は「如月がお前に無いものを持っているから苛つくんだろう」と諭します。

浪岡はその言葉を否定しません。如月の企画力を誰よりも認めていたのは浪岡でした。

一方如月は、何としても浪岡を起用したい上層部から異動を打診され、またしてもやる気を失ってしまいます。

友人からもアパレルショップの仕事に誘われた事で、如月は酒田に辞意を告げました。

ところが酒田はそれを受け付けず、逆に如月を説得します。

「辞めるのはまだ早い。コンペに浪岡が出ないのなら、お前がやってみろ。責任は俺が持つ」と力強く励まされ、どうせ辞めるのなら・・・と如月は一念発起しました。

如月の真っ直ぐさに感化された猪瀬も協力し、如月が主導する企画がスタートします。

浪岡もその姿を見て影からサポートしていきました。

コンペ当日、如月が提案したデザインは、真っ白な筐体。

如月の白へのこだわりと、女性がパチンコに惹かれる理由を融合させ、ジュエリーボックスをコンセプトに作り上げました。

メインの審査員である桜田(小山田サユリ)は、そのデザインと如月のキャラクターに目を留めます。

とは言え、デザインにはまだ改善点がある、と指摘する桜田を如月は突っぱねました。

今までそんな態度で良い事あった?と問われ、いいえ、と素直に認めます。

変えるつもりはないのか。絶対に私だけが正しいのか。その場で熟考した桜田は「協議します」と返事しました。

後日、如月のデザインはコンペに勝ちました。

更に桜田から引き抜きの誘いを受けますが、如月は辞退し、代わりに浪岡を推薦します。

浪岡は優遇された条件で桜田の会社に転職する事となります。

成長した如月を認める言葉を残し、浪岡は去って行きました。

如月は退職する日、なぜ自分を採用したのかを酒田に問います。

俺は人を見る目があるから、がその答えでした。

その後、如月は友人のアパレルショップに転職したものの、満足できず再び会社に戻ります。

やがて再び新卒採用の季節がやってきました。

リクルートスーツで身を固めた学生達の中に、一人だけノーネクタイの若者がいます。

「能力よりも格好が大事なんですか」と反発する若者を、「あなた面白いわね。私が鍛えてあげようか」と面接官の如月が呼び止めました。

映画『レディinホワイト』の感想と評価


(C)テレビ大阪サービス

本作品『レディinホワイト』は、まるで子供のように、むしろ子供よりも気ままで純真に振る舞う如月を、見事に演じきった吉本実憂が印象的でした

とぼけた感じの吹越満、吉本実憂と松山翔平の凸凹コンビなど、配役も絶妙で小気味よく楽しめます。

集団の規則や慣習に溶け込まない如月のような人物は、能力の欠けた人物として扱われがちなのが社会の実情です。ただ、本当にそうなのでしょうか。

社会の枠に押し込める事は正しい育成につながるのか。そんな疑問を本作は投げかけてきます。

作中に「どんなものでも売り込むのが企画の仕事だ」という浪岡の言葉がありますが、如月はまさにその力に長けた人物と言えるでしょう。

他人が何と言おうとも、自分の信じたものを堂々とアピールしゴールさせる才能は、本作の中で一際輝いて見えます。

社会性と個性が対立するのではなく、個性の上に積み上がっていく信頼や実績こそがその人の財産になり、やがて社会性につながっていくのかもしれません。

浪岡もやはり強い個性を持っていますが、すでに実績を出しているがゆえに典型的なトップダウンとして部下の個性を潰しかねない存在となっています。

これも会社という組織では避けられない問題です。

どんなに能力が高くてもたった一人の個人に過ぎないのに、上にさえ立てばその人の意見が絶対に正しいという空気ができあがってしまいます。

その空気にNOと言える勇気を持てば、仕事は少しずつ面白くなっていくのかもしれない。そんな希望を感じさせてくれる映画でした。

まとめ


(C)テレビ大阪サービス

社会のジレンマを軽快に描写し、如月唯花という破天荒なヒロインを生み出した作品『レディinホワイト』

如月はただ身勝手ではなく「私にはこの生き方しかできない」という覚悟を持った一面もありました。

どんな人生を歩むにしろ、覚悟と信念こそが道を切り開いてくれるのかもしれません。

吉本実憂は如月役をとても楽しんだとの事ですが、またこのような演技を再び見たいものです。

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