「定年って、生前葬だ」大手銀行に勤めるも、出世コースからはずされそのまま定年を迎えた男。
妻からは愛想を付かれ、暇を持て余す「終わった人」。
映画『終わった人』は、仕事一筋でやってきた男の定年後を描く、ハートフルコメディです。
主人公・田代壮介の実家が岩手県盛岡市の設定ということで、盛岡市でも2017年の春・夏にかけて撮影が行われました。
今回は、映画に登場するロケ地をご紹介していきます。
CONTENTS
映画『終わった人』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【監督】
中田秀夫
【原作】
内館牧子『終わった人』
【キャスト】
舘ひろし、黒木瞳、広末涼子、臼田あさ美、今井翼、ベンガル、清水ミチコ、温水洋一、高畑淳子、岩崎加根子、渡辺哲、田口トモロヲ、笹野高史、野澤しおり
【作品概要】
NHK連続テレビ小説「ひらり」「私の青空」など、数々のヒット作を手掛ける脚本家、内館牧子の同名小説を映画化。
舘ひろしと黒木瞳の豪華共演も話題となりました。
監督は映画「リング」や「劇場霊」などホラー作品を多く手掛ける、中田秀夫。
脚本家・内館牧子と盛岡について
実は、映画『終わった人』のロケ地になった盛岡市と、脚本家・内館牧子さんとは、とても縁の深い関係にあります。
岩手では、毎年年末恒例の「文士劇」が上演されるのですが、内館さんはこれに毎年出演されています。
「文士劇」とは、盛岡在住作家・高橋克彦が発起人となり、岩手や盛岡にゆかりのある作家、文化人、地元アナウンサーなどが出演する演劇です。
毎年チケットが入手困難になるほど、地元では人気の公演です。
内館さんは秋田県の出身ですが、お父様が岩手県の出身という縁で、この「文士劇」に出演されています。
内館さんのコミカルな演技と、盛岡弁を取り入れたセリフを楽しみに通う方も大勢います。
そんな盛岡市との縁深い内館さんの小説となれば、盛岡市がロケ地になったことも納得です。
ご本人は、映画の中で壮介が通うジムのメンバーのひとりとしても出演されています。
映画『終わった人』のロケ地、盛岡について
さんさ踊り
「盛岡さんさ踊り」は、盛岡市で毎年8月1日から4日間行われるお祭りです。世界一の和太鼓の数のお祭りとしてギネスにも認定されています。
さんさ踊りの掛け声「さっこらちょいわやっせー。」の「さっこら」は「幸呼来」とも書かれ、幸せを呼ぶ掛け声とされています。
映画『終わった人』では、壮介が定年退職をした日に送られてきた、実家の母と姉からのメッセージ映像の中で、また、壮介がボロボロになって故郷に帰ったとき、同級生たちと一緒に踊ったのが「さんさ踊り」でした。
石川啄木と宮沢賢治
岩手が生んだ偉人、石川啄木と宮沢賢治。
この2人は同じ中学の先輩後輩として青春期を盛岡で過ごしています。
どちらのファンも多く、盛岡では啄木派か賢治派か?という派閥まで生まれるほど。
映画の中でも、啄木と賢治はキーワードになっています。
壮介は啄木好きで、啄木の研究をするために大学院に入ろうとします。
また、啄木の本が縁となり古本屋で知り合った女性・久里は、岩手の花巻市出身で賢治に憧れ、童話作家を目指しています。
啄木派の壮介と、賢治派の久里の、恋の行方にも注目です。
岩手山と街風景
映画の中でもひと際美しい姿を見せていた岩手山。
盛岡出身の方は、故郷に帰られたとき、岩手山を見て「帰ってきたなぁ」と感じるのではないでしょうか?
岩手山の山頂が雪解けで、鷲が羽を広げた姿に見えると、地元の人は春を感じると言われています。
その他、運の開く橋と書いて「開運橋」、桜山神社の趣ある商店街、桜の名所「米内浄水所」、歴史ある建物「一ノ倉邸」など盛岡を象徴する風景が数々登場します。
映画『終わった人』のあらすじとネタバレ
終わった人、1日目。朝、いつもの時間に目を覚まし、会社に行かなくていいんだと、改めて定年したことを実感。やることもなく、昔の思い出に浸り過ごします。
終わった人、2日目。散歩をしながら時間のつぶし方を探しますが、公園、図書館、ジムにまで老人があふれています。自分はこんな老人にはならない!と決心。
しかしやることなすこと空回り。手に職を付け現役で働いている妻には邪魔にされ、人生やり直したいとウジウジ愚痴ばかり。
そんな壮介は、高校の同級生に再会します。自分の夢を語る同級生に、自分もやりたいことを模索し始めます。
壮介の定年後、第二の青春が動き出しました。
恋に仕事にどんどん人生が輝き出します。
映画『終わった人』の感想と評価
どん底になって故郷に帰った壮介に、同級生が「思い出と戦っても勝てない。大事なのはそこからどうやって生きるか。人は歳をとってみるとそんなに大差ないんだ。」と声をかけます。
楽な人生ばかりを歩んで歳をとる人はいないのです。
誰もが辛い事、悲しい事を経験し歳をとっていくのです。
人生100年時代と言われています。
定年してからの人生が、健やかで平安な時間になるよう、自分と向き合っていく事が必要だと感じました。
舘ひろしのダンディーさを抑えた演技と、黒木瞳のいつまでも可愛らしい容姿にも注目です。
まとめ
今回は映画『終わった人』のロケ地、盛岡についてご紹介しました。
盛岡の美しい景色と、趣ある建物が、映画の雰囲気によく合っています。
盛岡市では映画の公開と同時に、撮影地を紹介するロケ地マップを作成しています。
主なロケ地や登場シーンなど12ヵ所を紹介し、撮影の様子を映した写真やエピソード、また盛岡の観光や歴史も掲載されています。
ぜひ、映画ファンの聖地巡礼に役立てて下さい。