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Entry 2018/08/09
Update

奥山和由映画『熱狂宣言』あらすじ。松村厚久の今に迫るダイレクトシネマ

  • Writer :
  • かりごめあき

日本映画界のレジェンダリープロデューサー奥山和由が苛烈な人生を全身全霊で生きる一人の男に迫った新しいドキュメンタリー映画が誕生

映画『熱狂宣言』は、2018年11月4日(日)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズにて熱狂ロードショー!!

本作の被写体は、若年性パーキンソン病を抱えながらも、圧倒的な才気で会社を東証一部上場企業にまで押し上げた経営者の松村厚久

「企業PRのための成功者のサクセスストーリー」でも「難病と闘うカリスマ経営者の感動巨編」でもない、奥山和由による新しいドキュメンタリー映画をご紹介します。

映画『熱狂宣言』の作品情報


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

【公開】
2018年(日本映画)

【製作・監督】
奥山和由

【キャスト】
松村厚久

【音楽】
木下航志

【プロデューサー】
江角早由里

【作品概要】

「制作・宣伝・興業すべての手法において、今までにあり得ない映画を創る」をコンセプトに掲げる「フリーシネマプロジェクト」の第1弾上映作品。

被写体に身近な人間にカメラを預け、観るものに主体性を置いた「ダイレクトシネマ」という撮影手法を用いたドキュメンタリー映画。

松村厚久の今を見つめるドキュメンタリー


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

松村厚久、51歳は、かつて「外食界のスター」「革命児」「天才」「ビックマウス」「不思議ちゃん」など数々の異名を持つ男。

それは東証一部上場企業のDDホールディングス代表取締役社長であり、従業員約1万人、約500店舗を経営、年商約500億円。

自らを“幸運な人間”だと断言する松村厚久ですが、13年前から難病・若年性パーキンソン病を患いました。

なぜ、彼はこんなにも多くの人を惹きつけるのか


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

本作の被写体は、若年性パーキンソン病を抱えながら、“熱狂宣言”を掲げ、圧倒的な才気で会社を東証一部上場企業にまで押し上げた経営者です。

彼の映画と聞いて、企業PRのための成功者のサクセスストーリーとみる者もいれば、「難病と闘うカリスマ経営者」という感動巨編を思い浮かべる人も多いでしょう。

しかし、これはそのどちらでもありません。

得も言われぬ一人の男のプリズム状になっている光をダイレクトに伝えるべく、彼を写し撮った一種のダイレクトシネマ(≒観察映画)であり、人間観察眼に秀でた奥山和由による新しいドキュメンタリー映画です。


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

松村厚久のプロフィール


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

1967年3月29日、高知県出身。

ダイヤモンドダイニング創業者、現DDホールディングス代表取締役社長・グループCEO。

現在、ダイヤモンドダイニング・ゴールデンマジック・バグース・The Sailing・ゼットン・商業藝術・SLDなどの複数の会社を有し、グループ全体で国内外合わせて約500店舗を展開。

従業員数、社員・アルバイト含め約1万人を束ねる経営者です。

大学在籍中に、飲食業の面白さを体験し、卒業後はサービス業を極めることを目的に日拓エンタープライズに入社します。

ディスコの企画・運営に携わり、類稀なる企画力と集客力で、バブル末期の大都会東京で「黒服四天王」の異名を取りました。

1995年に独立し、資金集めのため日焼けサロンを展開します。

2001年念願の飲食業に参入し、銀座に1号店「VAMPIRE CAFE」をオープン。

都内を中心に「アリスのファンタジーレストラン」「ベルサイユの豚」「わらやき屋」などエンターテインメント性溢れる個性的な店舗を次々と展開します。

「フード界のファンタジスタ」「食とエンターテインメントを融合させた天才」「レストラン業界のタブーに挑み、勝利した男」と絶賛される一方、「異端児」「無計画経営者」「目立ちたがり屋」「ビックマウス」と揶揄されることも少なくありませんでした。

2010年には、かねてから目標にしていた外食業界初の“100店舗100業態”を達成。

その後もM&Aによって事業を拡大、現在はアミューズメント事業やウエディング事業も行なっています。

難病指定となっている若年性のパーキンソン病を抱えており、30代後半で発症してから約10年間、社員にも誰にも打ち明けることなく仕事に邁進し続けてきました。

しかし、2015年に東証一部上場とほぼ同時に、書籍『熱狂宣言』(幻冬舎文庫・小松成美著)ではじめて世間に公表。

数々のノンフィクションを手がけてきた小松成美氏による書籍は、経営者のノンフィクションとしては異例の実売約10万部を記録しました。

故郷である高知県の観光特使も務めており、2014年からよさこい祭りに参加し、地域活性化などにも尽力しています。

奥山和由監督のプロフィール


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

1954年12月4日、東京都出身。

20代後半からプロデューサーを務め、『ハチ公物語』『遠き落日』『226』などで興行収入40億を超える大ヒットを収めます。

一方、『その男、凶暴につき』で北野武、『無能の人』で竹中直人、『外科室』で坂東玉三郎など、それぞれを新人監督としてデビューさせます。

『いつかギラギラする日』『GONIN』『ソナチネ』などで多くのファンを掴む他、今村昌平監督で製作した『うなぎ』では、第50回カンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞しました。

1994年には江戸川乱歩生誕100周年記念映画『RAMPO』を初監督、1998年チームオクヤマ設立後第1弾の『地雷を踏んだらサヨウナラ』は、ロングラン記録を樹立。

スクリーン・インターナショナル紙の映画100周年記念号において、日本人では唯一「世界の映画人実力者100人」のなかに選ばれています。

近年も中村文則原作「銃」などをプロデュース。

受賞歴は、日本アカデミー賞優秀監督賞・優秀脚本賞、日本映画テレビプロデューサー協会賞、Genesis Award(米国)他多数。

奥山和由監督から映画ファンへの言葉


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

「私は、一年間彼を観察することにした。なぜ、自分が惹かれたのか、その引力の原因も含め、言葉にし難い力を持つ彼を通じて、奥底にある人間、そのものの本質に迫ってみたいと思ったのだ。

しばらく、カメラマンを連れていって撮影したが、彼はなんとなく“撮れ高”を意識して、カメラを意識したサービスをしているようで、どうも不自然だ。心意気は嬉しいが、困った。これでは作品にならない。

そこで私は、最も身近な人間、日常的に接している社員を選んでカメラを持たせることにした。「とにかくどんなシーンでもいい。松村さんの日常を撮ってください。キタキツネを撮影するように(笑)。これは松村さんの観察映画ですので」と言って、まるっと預けたのだ。
社長と社員という関係上、上司の姿を立派に撮らなくては…という忖度も生まれるかと危惧したが、そのあたりの人選は私なりに観察して選んだつもりだった。

撮っている社員は、もちろんプロではない。どーでもいいシーンも、山のように撮影している。しかし、結果として、この映画のキモになっているシーンは、全て身近な人間が撮影したものになった。

私は、映画用に回した映像の他に、過去の社員たちが記録として撮影していた膨大な動画も目を通した。単眼のレンズで覗いていても、見えてこない。複眼的なレンズで捉えていかなければ、立体感も出ないので、素人含め、いろんな人間が撮影したものを組み合せて作っていった。

この映画は、書籍「熱狂宣言」に擬えて作られた物語ではない。ストーリーもない。ナレーションも入っていない。何を話しているかも聞き取れない。でも彼に接している気持ちで、いろんなことを感じて欲しい。

今でも松村厚久という男を言葉で表すことができない。言葉にすると必ず何かがこぼれ落ちるのだ。だから、本能的に映画に…映像と音楽にしたかったのだと思う、彼と1年間接して感じたこと、鏡のように映ったものを、1つの結論にすべく、この映画を完成させた。

歯が浮くような言葉で、立派に固定するつもりはない。

ただ、主題歌として完成させた曲は、この映画、松村厚久に、最高にぴったりだと自信を持っている」

観る者に主体性を置いたダイレクトシネマ


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

1960年代のアメリカで、50年代末に開発された16ミリ・カメラや同時録音の技術を用い、同時にカメラの前の出来事・事実をそのままに伝えようとした手法がありました。

できるだけ自然に、静かにカメラが被写体に寄り添う事により、カメラの存在をも次第に消していくことで、リアルで自然体な被写体の姿を絵に納めたものです。

このような映画をダイレクトシネマと呼びました。

本作は、一人の人間をひたすら観察し、ドラマティックなナレーションも入れず、明確なメッセージを持つテレビとの差別化をしています。

観客側に主体性を持たせ、映画にふさわしいメッセージは音楽で彩るという方法をとった、奥山和由監督による新しいダイレクトシネマです。

奥山監督のアイデア「フリーシネマプロジェクト」


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

この映画は「フリーシネマプロジェクト」の第1弾として上映されます。

奥山和由監督は、フリーシネマプロジェクトについて次のようにメッセージを寄せています。

「“映画は無限に自由だ”そのことが、自身の映画作りにおけるカタルシスだった。

激変していく時代の中で、既存の常識にとらわれることなく、全てにおいて、一つひとつの映画を、どのように世に生み出していくか。プロデューサーとして、40年以上やってきた映画人として、後世に何を残していけるのか。

今一度そのあり方を見つめ直し、問いながら、これからの映画の可能性が広がればと願う」

奥山和由監督の語る「“映画は無限に自由だ”そのことが、自身の映画作りにおけるカタルシス」とは、かつて“大船調”といわれる伝統を重んじた松竹スタイルの映画に新風を巻き起こした、1980年代半ばに始まります。

松竹にいた当時、1984年に藤田敏八監督の作品『海燕ジョーの奇跡』、1989年には五社英雄監督の『226』、また1992年に深作欣二監督の作品『いつかギラギラする日』を製作しました。

これらはある種、松竹の掟破りといったアクション映画路線と、大船調(松竹スタイル)を持たない映画監督を起用しました。

そのほかにも1989年に北野武を映画監督に押し上げた『その男、凶暴につき』の製作を務め、1997年には今村昌平監督の『うなぎ』ではカンヌ国際映画祭でパルムドールという実績を挙げるなど、近年の映画界においては稀にみる映画界の寵児でした。

そのような奥山和由が「映画は無限に自由だ」と、新たに立ち上げたのが、フリーシネマプロジェクトなのです。

フリーシネマプロジェクトの映画的な戦略


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

【コンセプト】
制作・宣伝・興業すべての手法において、今までにあり得ない映画を創る。

【制作】
ダイレクトシネマ。被写体に身近な人間にカメラを預けて撮影。

【興業】
TOHOシネマズ六本木ヒルズ単館ロードショー決定。“東京ど真ん中、一点勝負!”

【宣伝】
手のひらに収まる名刺サイズの「熱狂カード」を10万枚作成し、人から人へ手渡すという最もアナログな方法で展開。

カードのQRコードは、予告編やSNSでの口コミ(#止まったら死ぬぞ)や最新のニュースまで、本作に関する全ての情報を集約させたHPへの入り口になっているという、アナログとデジタルを掛け合わせた宣伝

東京国際映画祭レッドカーペットで激写!

©︎Cinemarche

10月25日に開幕した、第31回東京国際映画祭。

レッドカーペットイベントが、東京・六本木ヒルズアリーナにて開催されました。

Cinemarcheが激写した華やかな様子を写真でお届けします!

©︎Cinemarche

まとめ


Ⓒ2018 吉本興業/チームオクヤマ

ダイヤモンドダイニング創業者で、現DDホールディングス代表取締役社長・グループCEOの松村厚久の半生を描き、2015年に発売された書籍『熱狂宣言』(幻冬舎文庫・小松成美著)。

書籍を読んだ映画プロデューサー奥山和由の、松村厚久に会ってみたいという衝動から映画『熱狂宣言』はスタートしたそうです。

松村厚久の最も身近な存在である社員にカメラを預けるという撮影方法や、10万枚もの「熱狂カード」を手渡しで配布するという宣伝手法、そして「止まったら死ぬぞ!」のキャッチコピーなどなど、エキサイティングな発想にあふれた作品です。

映画『熱狂宣言』は、2018年11月4日(日)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズにて熱狂ロードショー!!

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