『ナイスガイズ!』は、今、乗りに乗っているライアン・ゴズリングと演技派、ラッセル・クロウががっちりタッグを組んだアクションコメディーです。
以下、あらすじやネタバレが含まれる記事となりますので、まずは『ナイスガイズ!』映画作品情報をどうぞ!
映画『ナイスガイズ!』作品情報
【公開】
2017年(アメリカ)
【原題】
THE NICE GUYS
【監督】
シェーン・ブラック
【キャスト】
ラッセル・クロウ、ライアン・ゴズリング、アンガーリー・ライス、マーガレット・クアリー、キム・ベイシンガー、マット・ボマー
【作品概要】
示談屋のヒーリーと私立探偵のマーチはそれぞれアメリアという若い女性に関わることで出逢い、大きな陰謀に巻き込まれていきます。1970年代のロサンゼルスを舞台に繰り広げるアクションコメディー。
映画『ナイスガイズ!』あらすじとネタバレ
アメリアを捜せ
1977年カリフォルニア州ロサンゼルス。ある家の少年が親のベッドの下から大人の雑誌を拝借したところに、ガードレールを突き破った車が飛び込んで来ました。
間一髪で難を逃れた少年が駆けつけるとグラマラスな女性が血を流して倒れていました。「私に乗りたい? ビッグボーイ」と女は呟くと息をひきとります。女はミスティ・マウンテンズというポルノ女優でした。
腕力で揉め事を解決する「示談屋」稼業のジャクソン・ヒーリーは、アメリアという若い女性から彼女につきまとう二組の人間をこらしめて欲しいと依頼を受けます。
私立探偵のホランド・マーチは妻を亡くし、幼い娘と二人暮らし。アメリア捜索のため、バーの閉店を狙いガラスを割って侵入しょうとしますが、手首を切ってしまい出血多量で救急車に運ばれる騒ぎに。なかなかドジな探偵のようです。
ヒーリーがマーチの家にやってきました。マーチが顔を出した途端、鼻っ柱に一発喰らわせ「アメリアを捜すのをやめろ」と告げると左腕を折ってしまいます。悲鳴を上げるマーチ。
手首には包帯、腕にはギプスをはめたマーチは依頼人のリリー・グレンという老女のところに来ていました。グレンは姪のミスティ・マウンテンズを探してほしいと彼に依頼していたのです。
ミスティは亡くなったはず。しかし、グレンは確かに窓辺に立っている姪を見たといいはります。「あなたが姪だと思ったのはアメリアという女性です」とマーチが言うと「アメリアと話をしてみたいわ」とグレンはいいます。
事件から手をひきたいマーチは帰ろうとしますが、グレンに小切手帳をチラつかされて、気が変わるのでした。
ヒーリーは家に戻ったところを二人組の男に襲われます。男たちはアメリアを捜しており、何か知っているだろうとヒーリーを問い詰めます。
ヒーリーの部屋を調べていた赤いブレザーの男が「何か隠しているぞ」と叫び、もう一人の男がバックを開いた瞬間、青い染料が飛び出し、顔が真っ青になってしまいました。男は激怒して、ヒーリーが飼っている金魚を掴み、おまえに食べさせてやると騒ぎ始めました。
ヒーリーは「それでもプロか? バカなやつには協力したくない」と怒りを爆発させ、ついに撃ち合いになりますが、うまく脱出します。
なぜ、アメリアは追われているのか? アメリアの身が心配になったヒーリーは、マーチを訪ね、お前を雇いたい、アメリアを探してくれと依頼します。
提示された400ドルに目がくらみ、依頼を受けることにしたマーチ。彼がアメリアを探している理由を話します。
「グレンという婆さんが、姪の遺品を片付けにいったら家に姪がいて車で走り去ったというんだ。監視カメラを調べると別の女が映っていて、車のナンバーからそれがアメリアという女だっていうのがわかったのさ」。
早速アメリアを見つけたというマーチの知らせを受け、ヒーリーはロサンゼルス市庁舎にやってきました。入り口付近では若者が大気汚染の抗議活動をしていました。
これはアメリアが主催しているデモだ、ここにアメリアがいるはずだとマーチはいいますが、逃げている人物がこんなところに現れるかとヒーリーは納得しません。
若者たちから聞き出したところによると、3日前に彼女のボーイフレンドのディーンが死んだそう。映写技師をしているという青年がディーンの家に連れて行ってくれました。
映画関係者の死
着いてみれば、ディーンの家は全焼していました。彼は映画を作っており、家にあった大量のフィルムが引火して焼け死んでしまったそうです。
近所の子どもから、彼が最近撮っていた映画の話を聞き出し、ミスティという女が出ていたこと、シド・シャタッックという男がプロデューサーだということを知ります。
マーチとヒーリーはシドに会ってみようと屋敷に出かけていきますが、パーティーの真っ最中。友達の家に泊まりに行ったはずのマーチの娘ホリーが車のトランクに潜んでついてきてしまいました。
二手に分かれて捜索することとなり、ヒーリーはシドの部屋を探索します。壁にはストライプのブレザーがけられており、ミスティと名札がついていました。映画の衣装のようです。
次々手渡される酒をぐいぐいあおったマーチはすっかり酔っ払って、バルコニーから転落してしまいます。その拍子に拳銃を落としたので、探していると、若い女がこちらを見ています。声をかけるとすぐに逃げてしまいました(実は彼女こそアメリアでした)。
やっと拳銃をみつけ、ひと休みしていると、隣に男の死体が! 必死の思いで声を出してヒーリーを呼ぶマーチ。「なぜそんなところにいる?」と不思議がって降りてきたヒーリーも死体を見て驚きます。死体はシドでした。
銃を探しているところを女に見られたので死体を早く別の場所に移さなければ疑われるとマーチが言うので、二人は死体を移動させ、フエンスの向こう側に投げ捨てました。
しかしそこでもパーティーが開かれていて、死体がディナーのテーブルに直撃。二人は大あわてで逃げ出します。
殺し屋たち
そのころ、ホリーは知らない女から声をかけられていました。「アメリアを探しているのなら会わせてあげる」。案内されて乗り込んだ車には顔が青く染まった男が乗っていました。
ヒーリーが屋敷に戻ると、あの赤いブレザーの男が! 男は拳銃を取り出し、二人は激しく揉み合います。死闘の末、男を倒すと、男に二度と顔をみせるなと約束させます。
配車係の男がマーチを見つけ、娘さんがあの車に乗っていると知らせてきました。マーチは手身近にあった車に乗り込んで後を追います。
青い顔の男はアメリアを見つけ、撃とうとしますが、ホリーが機転をきかせてドアを思いっきり閉めたため弾ははずれ、男は負傷。その間にホリーは車を降り、アメリアと一緒に逃げ出します。
マーチの車がやってきますが、男に発砲されて、木に激突。男はホリーたちを追ってきますが、ちょうど通りかかった車にはねられてしまいます。
ヒーリーがやってきてホリーに助けの車を呼んでくるよう指示すると、男の首を締めてとどめをさしました。死ぬ前に男は「ジョン・ボーイという男がやってくるさ」と言い残すのでした。
みつからないと帰ってきたホリー。そこへようやくマーチがやってきます。警察の取り調べを受けた二人に司法省のタリーという女性が声をかけてきました。
彼女の上司である司法省長官と面会することになった二人。彼女は自動車会社の排ガス規制の訴訟とポルノ規制を担当しているといいます。そしてアメリアが彼女の娘であること、反抗期で全ての黒幕は母親だと考えていることなどを聞かされます。
関連のある人々が次々に死んでいることから娘を捜してくれるよう彼らに依頼するのでした。
アメリアが残したメモから彼女の居場所を推測し、なんとか見つけ出すと、マーチの家に保護しました。アメリアは「ママはあいつらの仲間なの。裏で企業とつながっていて排ガス訴訟も証拠不十分で不起訴にするつもりなのよ」とまくしたてます。
警察もマスコミも信用できないから世間の注目を集めるため自分たちで実験映画を作ったのだそうです。公開されればママはおしまいよ、それがママの知るところとなってみんな殺されてしまった、と彼女は続けました。
タリーから呼び出しがありマーチとヒーリーが出かけたところに医師だと名乗る男がやってきます。ホリーは咄嗟に怪しいと感じ、父の銃を向けますが、相手が一枚も二枚も上手。彼こそジョン・ボーイでした。そこにマーチたちが帰ってきて大銃撃戦となりました。
パトカーのサイレンが聞こえ始め、ジョン・ボーイは逃走。アメリアは家を抜け出し、道路で車に乗せてもらおうと駆け寄りますが、運悪くそれはジョン・ボーイの車でした。彼女はあっけなく撃ち殺されてしまいます。
タリーの呼び出しは彼らを家から離れさせるためのフェイクでした。やはりアメリアの母親が黒幕なのでしょうか。警察に訴えても、全く埒が明きません。
映画『ナイスガイズ!』の感想と評価
開始早々、ワウワウ・ギターのリズムが威勢よく流れ、70年代の世界に引きずり込まれます。
冒頭、画面奥の窓ガラスからガードレールをつきやぶって斜面を下ってくる車が見えています。数秒後に車は家に激突してくるわけですが、ここを筆頭にして、とにかく落ちて落ちまくる作品になっています。
とりわけ、ライアン・ゴズリング扮する主人公の私立探偵マーチが落ちる、落ちる! 酔っ払ってかなり高いテラスから落ちて、あとからきたラッセル・クロウ扮するヒーリーに呆れられます。
終盤にも同じように高いテラスから敵と一緒に落ち、幸い、真下にプールがあったことで命拾いします。ラストの一連のバトルではガラスを突き破って落ちています。
また、アメリアの居場所を訪ねてホテルにやってきた際は、エレベーターで上がっていくのですが、ドアが開くと目の前で殺し合いが起きており、降りないでそのままドアを閉めて下っていくシーンが笑えます。ガラス張りのエレベーターから外を落ちていく人が見えたりします。
私立探偵といえば、よく後頭部を殴られて気絶しますが、本作の探偵はかなり過酷です。それをライアン・ゴズリングが楽しそうに演じています。『ラ・ラ・ランド』でゴズリングのファンになった方には是非このドジでタフな私立探偵役も見ていただきたいです。
まとめ
アクションたっぷり、笑いたっぷりの本作ですが、社会派の側面もあり、70年代の世相を背景に現代のアメリカ社会に痛烈な皮肉を投げかけます。アメリカの自動車産業への言及がそうでしょう。
電気自動車の開発はまだまだこれからというところですが、今やデトロイトの自動車産業は破綻してしまっています。
また、マーチとヒーリーの間でニクソン元大統領に関する笑い話が交わされるのですが、最初はタランティーノ映画的な、愉しい無駄話かと思って観ていたのですが、あとでニクソンの登場シーンがあってびっくり。
マーチがプールに落ちて生死をさまよっている時に、背広を着たまま泳いできたニクソンに「来るな!」と叫ぶ夢のシーンがあるのです。先の話が「ニクソン=死」を意味していたのであわてて逃げたのでした。
10年ほどたてばこんなふうに映画にトランプが出てきて皮肉られたりするのかもしれませんね。
飲んだくれで頼りないが気はいいマーチと腕っ節がつよくて正義感のあるヒーリーのコンビは相性抜群なので、是非シリーズ化してほしいものです。