史上最大の”ミッション”発令!イーサン・ハントの今回の使命は!?
トム・クルーズが捨て身で挑む「M:I」シリーズ映画の第6作『ミッション:インポッシブル フォールアウト』。
2015年の前作『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』に続いて、クリストファー・マッカリー監督が演出を担当し、シリーズで初の2作連続で手腕をふるいました。
共演キャストには、シリーズおなじみのサイモン・ペッグ、ビング・レイムス。また前作から続けて登場するレベッカ・ファーガソンのほか、ウォーカー役で『マン・オブ・スティール』のヘンリー・カビルが初参加。
今回のミッションは、盗まれた3つのプルトニウムを回収するイーサン・ハントと仲間たちであったが、回収を目前で何者かによってプルトニウムを奪われてしまうと…。
CONTENTS
映画『ミッション:インポッシブル フォールアウト』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
Mission: Impossible – Fallout
【監督】
クリストファー・マッカリー
【キャスト】
トム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、ヴイング・レイムス、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ショーン・ハリス、アンジェラ・バセット、ヴァネッサ・カービー、フレデリック・シュミット、ミシェル・モナハン、アレック・ボールドウィン
【作品概要】
トム・クルーズ主演の人気シリーズ、第六作。トム・クルーズ扮するIMFのエージェント、イーサン・ハントはプルトニウムを奪って世界を破壊しようとするテロリスト組織を阻止するため、謎の男に成りすまして敵に接触を試みる。
組織はイーサンがかつて逮捕したテロリストのボスを取り返すことを企んでいた。騙し騙されのスパイ戦が今始まる!
映画『ミッション:インポッシブル フォールアウト』のあらすじとネタバレ
ジュリアと愛の誓いを交わしていたはずが、国際犯罪組織「シンジケート」のボス、ソロモン・レーンが現れ・・・。そんな悪夢にうなされ、IMFのエージェント、イーサン・ハントは目覚めました。
ドアがノックされ、合言葉を交わしたあと、封筒を受け取ったイーサンは、今回の指令を静かに聞いていました。
IMFの仲間、ベンジーたちとベルリンに飛んだイーサンはマフィアと取引をし、金を払ってプルトニウムを受け取る予定でしたが、「シンジケート」の残党の「アポストル(神の使徒)」がルーサーを人質にするという自体が発生。
イーサンたちがルーサーを助けているすきにまんまとプルトニウムを奪われてしまいます。
テレビでは、イタリア、エルサレム、メッカが核攻撃を受けた様子が放映されていました。
イーサンは車の事故で入院中の過激主義者のデルブルック博士を訪ね、声明文をテレビで流す代わりに、核爆弾のコードを解除するよう取引します。
解除した途端、病室だったはずの場所が透明のガラスケースで作られた取調室であることが判明。先程までほくそ笑んでいた博士が驚きの声を上げ青ざめました。
テレビニュースもフェイク。全てはイーサンたちが仕組んだ罠だったのです。
コードを解除することには成功しましたが、プルトニウムは依然敵の手に渡ったままです。
手がかりは“ジョン・ラーク”という男の名前と“ホワイト・ウィドウ”と呼ばれる謎めいた女の存在のみ。イーサンは“ジョン・ラーク”に成りすまし、ホワイト・ウィドウに接触を試みるという計画を練ります。
しかし、IMFとイーサンの動きに不信感を持つCIAの長官は、敏腕エージェントのウォーカーを監視役に同行させます。
パリに飛んだイーサンとウォーカーはホワイト・ウィドウが主催する慈善事業のパーティーに潜入し、トイレでついにラークを発見します。
ラークを気絶させ、彼のマスクを作り、イーサンがそれをかぶって彼になりすます計画をたてていたのですが、ラークは拳法を使い反撃。あまりの強さに苦戦していると、そこにイギリスのMI6の諜報員のイルサが乱入し、ラークを射殺してしまいます。
イルサはまだ諜報員を続けているのか!?驚くイーサンでしたが、ラークの死体を片付けると、ラークの顔を知るものがないことを逆手にとり、彼に成りすましてホワイト・ウィドウに接触しようと試みます。
慈善事業の会場では銃撃戦が起こり、ラークに成りすましたイーサンはホワイト・ウィドウを無事会場から連れ出し、彼女の信頼を得ることに成功します。
彼女はアポストルとの仲介役を務めていました。
アポストルはパリに護送されてくるソロモン・レーンを奪還しようと企んでいました。イーサンが逮捕した後、彼は各国をたらい回しにされているのです。
イーサンはホワイト・ウィドウからプルトニウムを手渡され、ようやく一つを回収することが出来ましたが、そのかわりに、レーンを脱獄させる役目を担わされます。
アポストルの計画通りにことは進んでいましたが、イーサンはレーンの乗った護送車に、自身が乗り込んだトラックを体当たりさせ、セーヌ河に突き落としてしまいます。
警官たちが懸命に脱出する中、手錠で繋がれたレーンは車とともに海の底に沈んでいきました。
その彼を水中で助けたのは、なんとベンジーとルーサーでした。
一方、イーサンはパリ警察から追跡され、猛スピードでパリの市内を逃走していました。しかしこれも念入りに計画されたもので、狭い路地でトラックがつかえてしまうと、イーサンとウォーカーは予め用意していたオートバイに乗り換えました。
しかしバイクのエンジンがなかなかかからず、イーサンはウォーカーを先に行かせます。ようやくエンジンがかかり、懸命に逃げますが、警官に追いつかれそうになってしまいます。
ここまでか、と思われたとき、イーサンは橋の袂にジャンプ! ボートで迎えに来ていたベンジーたちが彼を迎えて、まんまと警官たちの視界から姿を隠してしまいます。
レーンを奪い、車で護送するイーサンたちを追ってくる一台のバイク。それはイルサでした。彼女はレーンを射殺しようと、何度も発砲してきます。
イルサはMI6からレーンを暗殺するよう指令を受けていたのでした。一旦はMI6から開放された彼女でしたが、祖国からは裏切り者扱いをされ、それを晴らすために、諜報員を続けざるをえないという境遇に陥っていたのです。
レーンは最もイギリスで長く勾留されたため、各国が彼からイギリスの秘密事項を聞き出そうとしており、イギリスにとって、彼は抹殺すべきターゲットとなっていました。
イーサンは合流したIMFのハンリー長官から思いがけない話を聞かされ、愕然とします。
CIAはイーサンこそが本物の「ジョン・ラーク」であり、アポストルと組んだテロリストであると疑っているというのです。
イーサンはレーンのマスクを作り、ベンジーに装着させます。替え玉をアポストルに引き渡すという計画です。ベンジーは及び腰ですが、イーサンは彼を連れ、部屋を出ていきました。
残ったウォーカーは囚われのレーンのところにやってくると、彼に一緒に来るよう声をかけました。実はウォーカーこそが、「ジョン・ラーク」だったのです。
「私はここに残り、借りを返す」と言い張り動こうとしないレーンにウォーカーは「面倒なやつだな」と苛立ちを隠せません。しかし、ふと思いたち、レーンの顔に手をやると、レーンと思っていた男はマスクをかぶったベンジーでした。
罠にはまったウォーカーはハンリー長官を殺害し、逃走します。ベンジーが彼に発振器を装着していたので、イーサンはベンジーの指示に従って、ウォーカーを追跡します。
ベンジーのどたばたな指示で、イーサンはとんでもないコースを追いかけるはめになりますが、ようやくターゲットに追いつきました。
ウォーカーは自分に追跡装置がつけられていたことに気が付きますが、ビルの屋上に仲間を迎えに来させており、イーサンをまいてヘリコプターで逃走してしまいます。
レーンも敵の手に渡ってしまいました。しかし、これはイーサンがプルトニウムのありかを突き止めるためにわざとしたことでした。レーンにも追跡装置が付けられていました。
彼らの行く先はカシミール地方でした。ここは彼らが以前、天然痘をばらまいた場所です。レーンはここで残りの2つのプルトニウムを起動する計画を立てていました。
この地域の河川が放射能で汚染されれば、世界の3分の1の人口が失われてしまいます。
2つの爆弾は連動しており、一つを処理するともう一つが起動するよう作られていました。
現地には天然痘の治療をするために大掛かりな医療キャンプが来ていました。その中で働く医師の中にイーサンの妻、ジュリアの姿がありました。
イーサンはジュリアに自分のために人生が変わってしまったことを謝ります。彼女は同じキャンプの医者と再婚していました。
その医者が言うには、ここの治療に当たるに際して、膨大な援助があったというのです。全てはアポストルが念入りに計画したことでした。
ジュリアとの再会を喜ぶのも束の間、イーサンは爆弾を探してその場を離れます。レーンは自分に追跡装置がついていたことに気付き、すでに取り外していました。彼の居場所もつきとめねばなりません。
一個の爆弾が見つかり、ルーサーがその処理を引き受けました。
もう一つの爆弾を発見するべくイーサンのあとを追ってきたイルサと、ベンジーが奔走する中、イーサンは起爆装置を持つウォーカーを追跡します。
映画『ミッション:インポッシブル フォールアウト』の感想と評価
前作『ミッション:インポッシブル ローグネーション』は、シリーズ最高傑作と評されるように、もうこれ以上の傑作を生み出すのは難しいのではないかと思わせる大傑作に仕上がっていました。
ところが、『フォールアウト』はその前作を超える作品に仕上がっているらしいという前評判が聞こえてきました。
あの傑作を超える作品なんて可能なのか!?そんな疑問と期待を胸に封切り日に観た本作は、映画を観る愉しみに満ち溢れていました。
前作と比較すると言うよりは、個人的には『スパイダーマン:ホームカミング』の時に味わったような、観ていて心躍る、わくわくが止まらない至福の体験に近いものがありました。
ベンジーのうっかり具合が相変わらずで、ウォーカー追跡シーンには笑わせられましたし(そもそも冒頭にプルトニウムを盗まれてしまうのもベンジーがあんな中途半端なところにスーツケースを置くからです!)、敵を欺いていく騙しのテクニックに何度もうならされました。
ラストのタイムリミットアクションも手汗握るものでしたが、最高だったのは、トイレでのバトルシーンです。
あのアジア系の男性は一体何者だったのか、今でもよく理解できていないのですが、素晴らしい肉弾戦でした。空間の使い方もお見事でした。
MI6のイルサが前作に引き続き出演ということでどのような役割で、イーサンとどのような再会を果たすのか、楽しみにしていたのですが、このトイレのシーンであっさり出逢うのは存外、拍子抜けで、案外この二人らしいシチュエーションでした。
前作では一度も登場しなかったイーサンの妻、ジュリア。
イーサンが結婚しているという設定はシリーズを続けていく中、次第に邪魔なものになっている部分があり、このまま、登場せずにいつの間にかその設定もなかったことにするのではないか、と邪推もしました。
しかし、本作での筋の通し方は立派だったと思います。やはり、この作品において、イーサンの誠実さは魅力の大きな要素となっており、映画自体が不誠実でいられないと判断したのでしょう。映画がイーサンを模倣したと表現することも可能でしょう。
イーサンのこうした行いを「甘さ」と捉える人もいるかもしれません。スパイの世界でこんな「甘さ」が許されるのかと。
その「甘さ」が彼を通常の倍、またはそれ以上の窮地においやっているのも事実ですが、一人を助け、何万人を救うことを両立させることこそ、イーサン・ハントという男の持ち味であり、魅力なのです。
本作ではそのことが大きな主題となって現れています。
そのおかげで、何倍もの災厄を引き受けねばならず、通常のアクション映画を凌駕したアクションに継ぐアクション、苦闘に継ぐ苦闘、最後の力を振り絞るイーサンの姿が繰り広げられるわけです。それが私たちを興奮させてやみません。
映画のラスト近くのジュリアの台詞にうなずいた人も多いのではないでしょうか!?
「あなたがいてくれるから夜、眠ることができる」
こうした絶対的な安心感、信頼感こそがイーサン・ハントの、そして『ミッション:インポッシブル フォールアウト』の最大の魅力といえるでしょう。
まとめ
そうしたイーサン・ハントを演じるのがトム・クルーズであることがまた、映画的な説得力に満ちあふれています。
今回は撮影中の骨折が報道され、心配しましたが、彼の本シリーズに関する情熱が垣間見えるエピソードです。
ベンジーがサイモン・ペッグ、ルーサーがヴィング・レイムス、イルサがレベッカ・ファーガソンであることもまた非常に説得力があるといえるでしょう。
『ブラックパンサー』の主人公の母親役で貫禄を示したアンジェラ・バセットがCIAの長官役なのもはまり役ですし、ホワイト・ウィドウという謎の女に扮したヴァネッサ・カービーも魅力的でした。彼女は今後、レギュラー出演する可能性があるのではないでしょうか?
アレック・ボールドウィン扮するハンリー長官が亡くなったのはショックでした。実は亡くなっていなかったという展開を希望いたします。
本作はパリを中心に、様々な都市が舞台となります。ヨーロッパを舞台にすると、道幅が狭いので、従来のアメリカ映画のカーチェイスとは違った味わいがあります。
これはマット・デイモン主演の「ボーン」シリーズが開拓した分野だと個人的には思っているのですが、今回は狭い道でトラックが詰まって動けなくなるという狭さを利用した究極のシーンが登場します。
また、凱旋門を取り巻くラウンドアバウトを逆走するシーンも見ものとなっています。
監督は前作に引き続き、クリストファー・マッカリーが務めました。トム・クルーズと何度もコンビを組んでいる監督だけに息もぴったり。
極上のエンターティンメントとなりました。