Cinemarche編集後記:2018年7月便
先日、東京を訪れた大学の後輩を誘って、ちょっとした宴席を設けた。
彼は映画監督をしている大学時代の後輩で、自身の作品が海を渡り、ドイツで上映されたのだった。
盃を傾けながら、2018年上半期の映画の話に花を咲かす。
自分が、二ノ宮隆太郎の監督の『枝葉のこと』と、岩切一空監督の『聖なるもの』を1、2だと推すと、後輩の彼は「それは待ってください」と、彼が来ているTシャツを指す。
「コレです、1番は!」
上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』 のTシャツだ。
思えば、かつて2016年の『シン・ゴジラ』や『君の名は。』という、モンスター級のヒット作が誕生したが、2018年は邦画の話題作品が実に目白押し。
2018年は邦画の“真の意味での当たり年”だと言い切っても良いだろう。
『カメラを止めるな!』の快進撃!
上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』は、監督&俳優養成スクールのENBUゼミナールが、「シネマプロジェクト第7弾」として制作した作品。
6月23日の公開されて以来、チケットが満席状態で取れることができない状態になっており、公開当初は2館のみの上映でしたが、SNSなどの口コミによって話題となり、現在全国で100館以上で上映が決定しています。
実は自分も公開直後に、ケイズシネマへ足を運びましたが、満席で入れずに渋々帰ったのでした。
現在もネットでは、『カメラを止めるな!』と、西浦正記監督の人気テレビドラマシリーズの映画として公開中の『劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-』が、話題と人気を拮抗させている状態です。
2018年上半期を振り返ってみると
洋画ではアカデミー賞の本命候補だった『スリー・ビルボード』を、それまで前例のないモンスター映画『シェイプ・オブ・ウォーター』が駆逐しました。
邦画では、日本人21年ぶりのカンヌ・パルムドールの快挙を果たした是枝裕和監督の『万引き家族』。
現在進行形で監督自身のヒット記録を更新しているものの、今夏公開の『未来のミライ』など話題作が次々と目白押し。
1月にはスマッシュヒットを飛ばした、長澤まさみと高橋一生の共演した『嘘を愛する女』を皮切りに、その後も阿部寛主演のミステリー映画『祈りの幕が下りる時』など、記憶する邦画を上げれば枚挙にいとまがない。
『羊の木』『リバーズ・エッジ』『犬猿』『サニー32』『素敵なダイナマイトスキャンダル』『赤色彗星倶楽部』『泳ぎすぎた夜』『娼年』『いぬやしき』『ミスミソウ』『孤狼の血』『友罪』『海を駆ける』『Vision』『焼肉ドラゴン』『菊とギロチン』『カランコイエの花』などなど…。
2018年の日本映画は、実に面白いラインナップになっているといえるでしょう。
2018年後半にもオススメ作品は目白押し
この秋公開予定の三宅唱監督の『きみの鳥はうたえる』は是非必見です。
佐藤泰志の原作ををもと、若手実力派俳優の柄本佑、石橋静河、染谷将太が出演した青春映画。
公開は9月1日(土)より新宿武蔵野館、渋谷ユーロスペースほかにて全国順次公開となっていますが、本公開に先駆けて、北海道では函館シネマアイリスにて、8月25日(土)より先行公開されます。
この作品は、実に俳優の顔にシビれた映画で、それぞれの役者の演技力の高さに唸ってしまった。
それぞれの役者が醸し出す情感の豊かさに、ニューエイジたちの青春が見事に描かれており、かつて観たアメリカン・ニューシネマ並みの格好よさが観られる作品です。
そして、もうひとつ、気になる作品が…。
塚本晋也監督の最新作『斬、』が、第75回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されています。
今秋11月24日から公開される映画『斬、』は、塚本監督が監督、出演、脚本、撮影、編集、製作を務めた初の時代劇。
開国に揺れる江戸時代末期の農村を舞台に、時代に翻弄されるの浪人と周囲の人々の姿を描いた作品です。
この映画祭のコンペティション部門で審査員長を務めるのが、あのモンスター・ラブストーリー映画『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督で、映画祭は8月29日から開催されます。
下半期の邦画も実に目が離せませんね!
まとめ
今回は、これから是非劇場で見てもらいたい邦画を紹介しました。
何をみるか迷ったら、ぜひ、映画情報サイトCinemarcheを読んでいただきたい!
夏バテなど全く見せない邦画たちをぜひ劇場でお楽しみください。
最後に
今回、中国地方を中心とした豪雨災害に際し、被災者の皆様にシネマルシェライター一同、心よりお見舞い申し上げます。