第39回東京国際映画祭 ガラ・セレクション部門上映作品
2026年10月26日(月)~11月4日(水)まで開催される第39回東京国際映画祭。今回ご紹介するのは、ガラ・セレクション部門に出品された映画『ないものねだりの君に光の花束を』です。
映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023)の原作小説など、10代を中心に人気を集める小説家・汐見夏衛の原作小説を映画化した作品です。
『推しの子』(2024)、『恋わずらいのエリー』(2024)の原菜乃華と、『ひらいて』(2021)に出演したアイドルグループ「ACEes」の作間龍斗がW出演。
監督は、『月と雷』(2017)以来9年ぶりの新作映画となる安藤尋です
「普通」の高校生であることに嫌気が差している影子(原菜乃華)。一方、同じクラスの真昼(作間龍斗)はアイドルとして活動し、勉強も性格も完璧の誰もが羨む「特別」な存在です。そんな真昼と図書委員になった影子は、真昼が誰にも打ち明けてこなかった壮絶な過去を知ることに……。
大切だから、そばにいたい。「恋」よりもずっとずっと尊い2人の物語。
『ないものねだりの君に光の花束を』は、2026年11月20日(金)に全国公開されます!
【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2026』記事一覧はこちら
映画『ないものねだりの君に光の花束を』の作品情報

(C)2026「ないものねだりの君に光の花束を」製作委員会
【日本公開】
2026年(日本映画)
【原作】
汐見夏衛『ないものねだりの君に光の花束を』(角川文庫)
【監督】
安藤尋
【脚本】
狗飼恭子
【エグゼクティブプロデューサー】
植田泰生、春名慶
【プロデューサー】
三宅亜実、小松重之、宮崎大
【キャスト】
原菜乃華、作間龍斗、向井怜衣、八神慶仁郎、喜内優心、荒井啓志、小林和真、春本ヒロ、吉沢悠、戸田菜穂、眞島秀和
【作品概要】
世代を超えてたくさんの感動を呼び映画化された『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023)を手掛けた汐見夏衛の同盟小説を映画化。
監督を務めたのは、『月と雷』(2017)の安藤尋、脚本は、『エゴイスト』(2023)の脚本を手掛けた狗飼恭子が務めました。
W主演を務めたのは、『推しの子』(2024)、『恋わずらいのエリー』(2024)の原菜乃華と『ひらいて』(2021)に出演、アイドルグループ「ACEes」の作間龍斗。
映画『ないものねだりの君に光の花束を』のあらすじ

(C)2026「ないものねだりの君に光の花束を」製作委員会
「普通」であることにコンプレックスを抱える高校生・染矢影子(原菜乃華)。
一方、同じクラスの鈴木真昼(作間龍斗)は、人気上昇中のアイドルグループ「CHROME(クロム)」のメンバーとして活躍し、忙しい中勉強もし、性格もいい、まさに完璧で誰もが羨む「特別」な存在でした。
そんな真昼と図書委員になった影子は、真昼が誰にも見せていなかった顔を知り、距離が縮まっていきます。
とある出来事をきっかけに影子は、真昼が誰にも明かしていなかった壮絶な過去を知ることになります。
「普通」と「特別」ないものねだりの2人の、「恋」よりも尊い物語。
映画『ないものねだりの君に光の花束を』の感想と評価

(C)2026「ないものねだりの君に光の花束を」製作委員会
世代を超えてたくさんの感動をよび映画化された『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023)を手掛けた汐見夏衛の同盟小説を映画化。
「普通」と「特別」。誰もが普通な自分に嫌気がさし、特別な誰かになりたいと思ったり、羨んだりした経験はあるのではないでしょうか。
そしてそんな人々の心情をより可視化し、加速させたのがSNSなのかもしれません。
自分の都合よく解釈し、自分の理想を芸能人や推しに当てはめてしまう……。つい、画面の向こうにいる人が自分と同じ人間であることを忘れてしまいます。
ひどいことを言われれば傷つくし、芸能人だからといって何の欠点もない完璧な人間でもなく、完璧に見せているのは、影なる努力があるのかもしれません。
そのようなSNSが加速した現代社会の問題と、普遍的な「普通」と「特別」というテーマを描き出した本作は、W主演を務めた原菜乃華、作間龍斗のまっすぐな感情と共に描き出します。
ともすれば説教くさくなってしまう映画を青春映画らしい眩しさで観客に伝えるために、監督はできる限り影子と真昼の生々しい感情で伝えることに意識したと言います。
影子が思っている「普通」は、真昼にはないもので、影子が「特別」だと思っている真昼は、その特別さによって苦しんでいる……。
互いにぶつかって、感情を言葉にしたからこそ、分かり合える、互いに信じ合える関係になっていきます。青春映画は、青春と共に恋愛が必ずと言ってもいいほど描かれてきました。
しかし、本作はそのような、よくある恋愛映画とは違った関係性を影子と真昼を通して描き出します。単なる友情とも違う2人の関係。本来人と人の関係は必ずしも言葉に当てはめる必要はないのかもしれません。
自分は脇役で、何の個性もないと思っている「影子」という名前のような「影」の存在だと思っていた影子ですが、「普通」は必ずしも悪いことではなく、人はそれぞれその人なりの良さがあることを影子は知っていきます。
一方で、愛されるための努力をし続けてきた真昼は、本当に信頼し合える人に出会い、自分の感情を伝えるようになります。
「普通」と「特別」はもしかしたら紙一重で、どちらがいい悪いでもないのです。
映画『ないものねだりの君に光の花束を』安藤尋監督Q&Aレポート

(C)Cinemarche、安藤尋監督
映画の上映後は、安藤尋監督によるQ&Aが行われました。
『月と雷』(2017)以来9年ぶりの新作であり、監督として東京国際映画祭に参加するのは初めてだと語った安藤監督。
W主演を務めた2人について聞かれると、撮影のスケジュール等の関係で、ラストシーンやクライマックスにつながるシーンを撮影の最初の方に撮らなくてはいけないことになり、原菜乃華さんに「難しかったら言ってください」と言ったが、原さんは「いつでも大丈夫です」と見事に演技をし、俳優としてのプロ根性を感じたと話しました。
作間さんに関しては、身近でダンスシーンを見て、あまりのうまさにこんな近くで見られてよかったと話し、アイドルらしい輝きがあるが、こちらを緊張させない安心する人でファンになってしまったと言います。
会場には、作間さんのファンも多く来場し監督はお気に入りのシーンを聞かれた際に「弱った時の真昼くんの表情が良くて、愛おしい」と真昼が弱っている場面を上げました。さらに「スタッフにも弱った真昼くんファンは多い」と言います。
また、「普通」と「特別」といったテーマや、「影子」「真昼」といった名前にも表れているように、本作では光の映し方にも気を使って何度もテスト撮影を重ねたと話しました。
特に、2人の距離が縮まるきっかけとなる図書館のシーンでは、窓からの光などこだわって撮影したり、トンネルの場面では暗い中でどうやって2人の動きをみえるようにするか考えた末、昼間に撮影し、VFXで加工するという手法したりしたと撮影の裏側を語りました。
まとめ

(C)2026「ないものねだりの君に光の花束を」製作委員会
「普通」の高校生であることにコンプレックスを抱く影子(原菜乃華)と、アイドルグループのメンバーとして活躍し、勉強も性格も完璧な真昼(作間龍斗)。
少しずつ互いを知り合っていくなかで、2人は「恋」とも違う尊く大切な絆で結ばれていきます。
真っすぐな感情をぶつける2人の眩しさも見どころの一つですが、2人を見守る大人たちの姿も印象的です。
それぞれの考え方で真昼を大切に思う両親や、真昼を見つけアイドルとして成功するために支えるマネージャーなど、大人たちの距離感も、見る人に刺さるものでしょう。
『ないものねだりの君に光の花束を』は、2026年11月20日(金)に全国公開されます!
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