硬軟織り交ぜた極上エンターテインメント
世界3大映画祭で受賞歴を誇るポール・トーマス・アンダーソンが、『タイタニック』(1997)のレオナルド・ディカプリオを主演に迎えて手がけた監督作。
元革命家が、ひとり娘を狙われたことから、次々と現れる刺客たちとの戦いを強いられる姿を描きます。
ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロら名優をはじめ、レジーナ・ホール、テヤナ・テイラー、チェイス・インフィニティが出演します。
自堕落に隠遁生活を送っていた元革命家ボブが、愛娘を守るために奔走する様がスリリングに描かれます。数多くの映画賞を受賞した名作の魅力をご紹介します。
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映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』の作品情報

(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
【公開】
2025年(アメリカ映画)
【監督・脚本】
ポール・トーマス・アンダーソン
【編集】
アンディ・ユルゲンセン
【キャスト】
レオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、レジーナ・ホール、テヤナ・テイラー、チェイス・インフィニティ、ウッド・ハリス、アラナ・ハイム
【作品概要】
ベルリン、カンヌ、ベネチアの3大映画祭で受賞歴を誇る、『パンチドランク・ラブ』(2003)の巨匠ポール・トーマス・アンダーソン作品。
第98回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞など12部門で、計13ノミネートされました。
トマス・ピンチョンの小説「ヴァインランド」からインスピレーションを得た物語で、冴えない元革命家の男ボブが、ひとり娘をさらわれたことから戦いを余儀なくされ、逃げる者と追う者が入り乱れる追走劇を展開します。
主人公ボブを『タイタニック』(1997)のレオナルド・ディカプリオが演じます。
ボブの宿敵であり、娘ウィラに執拗な執着をみせる軍人ロックジョーを『デッドマン・ウォーキング』(1996)のショーン・ペンが怪演。
ベニチオ・デル・トロ、レジーナ・ホール、テヤナ・テイラー、チェイス・インフィニティが共演。
映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』のあらすじとネタバレ

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かつては世を騒がせた革命家でしたが、いまは平凡で冴えない日々を過ごすボブ。
そんなある日、大切なひとり娘ウィラが、とある理由から命を狙われることとなってしまいます。
実は、ボブの本名はパット・カルフーンといい、元は極左革命グループ「フレンチ75」のメンバーでした。一緒に活動していた黒人女性ペルフィディア・ビバリーヒルズとは恋人同士でした。
収容所から移民を救出する作戦中、ペルフィディアは指揮官のロックジョー警部を屈辱的に扱います。ロックジョーは、タフでセクシーなペルフィディアに異常な性的執着を抱くようになりました。
様々な施設への攻撃を繰り返す中、ペルフィディアは爆弾を設置しようとしていたところをロックジョーに見つかってしまいます。ロックジョーは、モーテルに来るようペルフィディアを脅迫してから解放し、その後関係を持ちました。
ペルフィディアは娘シャーリーンを出産した後、革命活動を優先し、やがてパットと娘を捨てて出て行きます。
銀行強盗に失敗して逮捕されたペルフィディアは、ロックジョーの提案でフレンチ75の仲間を密告する代わりに、証人保護プログラムに入ります。
情報を得たロックジョーは、フレンチ75のメンバーを次々と射殺したり逃亡に追い込み、組織を解体させました。パットと娘シャーリーンは、それぞれボブとウィラという名に変え、バクタン・クロスに身を隠します。
ペルフィディアはロックジョーの監視をかいくぐり、メキシコへ逃亡しました。
映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』の感想と評価

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息もつかせぬノンストップストーリー
「次から次へと戦いが続く」というタイトル通り、ピンチが途切れず訪れて先が予測できない、極上のアクション・エンターテイメントです。
革命家としてハードな活動をしていた主人公パットは、逮捕された妻の密告によって組織が解体されたため、幼い娘を抱えて偽名を使って逃げることとなります。
隠居して自堕落な生活を送っていたボブでしたが、執拗に娘ウィラを狙う軍人のロックジョー大佐を相手に戦いに身を投じることとなりました。
ウィラの本当の父親は誰なのかという大きな謎、ボブに協力するウィラの空手の師匠・セルシオ、そしてロックジョーが所属する白人至上主義結社。様々なピースが複雑に絡まり合い、物語に強い求心力を持たせています。
クライマックスは、勾配の激しい一本道。アメリカの大地の広大さに思わず息を飲みます。
ジェットコースターかのように、先が見えないアップダウンの厳しい道を、3台の車が追い追われる様はスリル満点です。
物語がシリアスな展開を見せる中での、レオナルド・ディカプリオの喜劇役者ぶりは実に見事です。
色男ぶりをすっかり押し隠し、ズルズルした部屋着姿のまま家を飛び出す羽目になる、ヤク中の冴えない中年男・ボブになりきっています。
遙か昔の合い言葉を忘れてしまい電話口で大げんかする間抜けさや、なかなか携帯の充電をさせてもらえず右往左往する様には、思わず笑ってしまうことでしょう。
最後の戦いがすべて片付いた後に現れる、ボブの間の抜け方は清々しいほどです。自らの知恵と勇気で生き残ったウィラの素晴らしさが尚更際立ち、デコボコな親子関係が微笑ましく映し出されます。
ベテラン勢の巧さにうならされる

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主演のレオナルド・ディカプリオの演技は素晴らしいのですが、さらに本作を輝かせているのはベテラン名優たちの巧さです。
悪役ロックジョーを演じるのは、数々の作品で変幻自在の演技を見せてきた名優ショーン・ペンです。年齢を重ねても太くムキムキな腕は迫力たっぷり、半端ない現役感を醸し出しています。
ロックジョーは白人至上主義結社に所属しながら、支配される快楽にとりつかれて黒人のペルフィディアと関係を持ちます。そして、自身の娘かもしれないウィラを捜し出すために、大がかりな作戦に乗り出すのです。
冷酷人間なのに娘に自身で手を下せない甘さや、結社から殺し屋を送り込まれた身でありながら再入会を求めて結社をのこのこ再訪する間抜けさ。どこか哀れさを感じさせる悪役を、魅力的に演じています。
ボブに手を貸す、空手の師匠セルヒオを演じるベニチオ・デル・トロの存在感も圧巻です。渋さがたまらなく魅力的で、間抜けなボブとの対比で尚更クールさが際立ちます。
芯の強い愛娘ウィラを好演しているのは、本作が銀幕デビューとなる新人チェイス・インフィニティ。革命家だった母・ペルフィディアの血を感じさせる、タフで純粋な少女を演じきっています。
まとめ

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スリリングで予測不能なストーリー、ド派手なアクションにカーチェイス、そして思わず吹き出してしまう抜群のコメディ感覚。素晴らしいバランスで、すべてがギュッと詰まった極上のエンターテインメント作品です。
登場人物の誰もが魅力的で、いつの間にか彼らの演技に魅入られ、物語を夢中になって追ううちにあっという間に時が経ってしまいます。見終えた後は「ああ、面白かった!」と嘆息せずにはいられないことでしょう。
本作は、これぞ映画!と思わせてくれる一級品! 心温まる家族愛も必見の、珠玉の一作をどうぞ堪能してください。



































