連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第57回
日本公開を控える新作から、カルト的に評価された知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を時おり網羅して、ピックアップする連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』。
第57回は、2026年2月6日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開の『射鵰英雄伝』。
“香港のスピルバーグ”と称されるツイ・ハーク監督と、ドラマ『陳情令』(2019)などで日本でも人気のシャオ・ジャン主演で贈る壮大なスペクタクル映画の見どころをご紹介します。
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映画『射鵰英雄伝』の作品情報

(C)2025 CHINA FILM CO.,LTD.ALL Rights Reserved.
【日本公開】
2026年(中国映画)
【原題】
射鵰英雄傳:侠之大者(英題:Legends of the Condor Heroes: The Gallants)
【製作・監督・脚本】
ツイ・ハーク
【原作】
金庸・著「射鵰英雄伝」
【キャスト】
シャオ・ジャン、ジュアン・ダーフェイ、レオン・カーフェイ、フー・ジュン、チャン・ウェンシン、バヤルトゥ、アールーナー、エイダ・チョイ、ウー・シンクオ
【作品概要】
『天上の剣』(2001)、『セブンソード』(2005)のツイ・ハーク監督が、これまで幾度にもわたり映像化されてきた武侠小説『射鵰英雄伝』を壮大なスケールで新たに映画化。
大ヒットドラマ『陳情令』で知られるシャオ・ジャンが伝説の英雄・郭靖(かく・せい)を、ドラマ『春うらら金科玉条』のジュアン・ダーフェイがヒロインの黄蓉(こう・よう)をそれぞれ演じます。
その他のキャストに、『シャドウズ・エッジ』(2025)のレオン・カーフェイ、『おじいちゃんはデブゴン』(2017)のフー・ジュン、『君を見つけた25時』(1999)のエイダ・チョイ。
中国では2025年1月29日に旧正月映画として公開され、初日興収55億円を記録する大ヒットとなりました。
映画『射鵰英雄伝』のあらすじ

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12世紀前半、金の侵攻により北宋は滅び、南宋が建国されたものの屈辱的な従属を強いられていました。
蒙古ではチンギス・ハーンが勢力を拡大し、金との戦いが激化。蒙古で育った宋人の青年・郭靖は黄蓉と出会い、桃が咲き乱れる桃花島での修行を経て成長していきます。
いつしか愛しあうようになるも、陰謀と戦乱により引き裂かれることになった郭靖と黄蓉。国と民族、そして黄蓉のため、信念の拳で宿命に立ち向かう郭靖でしたが……。
“香港のスピルバーグ”が挑む中国武侠物語

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中国歴史超大作『1950 鋼の第7中隊』(2021)で世界興行収入約1130億円を記録し、その圧倒的な映像演出で再評価を得たツイ・ハーク。名実ともに認められる巨匠が新たに挑んだのは、中国文学界の巨匠とされる金庸の武侠小説『射雕英雄伝』です。
過去、金庸の『秘曲 笑傲江湖』原作の「スウォーズマン」シリーズ(1990~93)の監督・脚色に携わっているハークですが、本作『射雕英雄伝』は、それ以来およそ30年ぶりとなる金庸原作への挑戦となります。
主人公の青年、郭靖の活躍を軸とし、これまで幾度となく映画・テレビドラマ化されてきた『射雕英雄伝』ですが、ハークは原作終盤にあたる第34~40章「侠之大者」篇を抜粋。郭靖が国を背負う“侠(己の信条に従い正義のために行動する精神)”へと至る過程にスポットを当てています。
郭靖は、「侠之大者、為国為民(侠【きょう】の中の侠とは、国と民のために生きる者)」という言葉で象徴される“義の化身”であり、中国文学における崇高なヒーロー像の1人に挙げられる人物。
13世紀初頭の中国で、対立する2つの王朝・南宋と金に、勢力を拡大するモンゴルも交えた戦乱のさなか、武術の達人となった郭靖が国境を守り、国と民のために戦う侠へと成長していく姿を描きます。
気鋭あふれるキャスト陣によるダイナミックアクション
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ハークが「射雕英雄伝」の映像化で挑んだのは、単なるリメイクでもノスタルジーの回収でもなく、「武侠映画とは何か」という問いそのものへの再定義。
内モンゴルの草原やフフホト近郊にある大規模ロケーションスタジオで撮影を敢行し、草原戦、山岳攻防、馬上格闘といった大スケールの戦闘を、実技とワイヤー、そして最小限のVFXで繋ぐことでリアリティを追求しました。
金庸作品では欠かせない要素となる、武術秘伝書「九陰真経(きゅういんしんけい)」と、郭靖が会得する伝説の技「降龍十八掌(こうりゅうじゅうはっしょう)」ももちろん登場。とりわけ降龍十八掌は、金庸の「天龍八部」を映画化した『シャクラ』(2024)で、ドニー・イェン扮する喬峰(きょうほう)の得意技としてもおなじみ。
まるでアメコミヒーローかと言わんばかりの、数々の武技によるダイナミックな無双アクションを、最新の映像技術と感覚で再構築されています。
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「超人的なヒーローではなく、地に足のついた人間として描きたかった。彼の強さは武芸ではなく、信念と優しさに宿っている」とハークが理想とする郭靖像を見事に体現したのが、若手実力派俳優のシャオ・ジャン。
ドラマ「陳情令」の世界的ヒットで一躍スターとなり、これまで多くの時代劇アクション作品に出演してきたジャンは、乗馬や弓術、モンゴル語の習得に加え、体幹や可動域の鍛錬、掌打の精度まで追求。降龍十八掌を己の身体そのものの動きで表現しました。
かたや郭靖の宿敵となる欧陽鋒(おうよう・ほう)を演じるのはレオン・カーフェイ。
『シャドウズ・エッジ』での強烈な敵役も記憶に新しいカーフェイですが、本作では金庸作品随一の悪役として知られる「西毒」欧陽鋒を、典型的な悪役ではなく、名声や富にとらわれず、武術界の覇者となるという己の目的を追う執念の人物として再構築しました。
さらに、ヒロインとなる黄蓉役に『長安のライチ』で注目を集めたジュアン・ダーフェイ、チンギス・ハーンの娘・コジン役に本作でスクリーンデビューを飾ったチャン・ウェンシンをそれぞれ抜擢。郭靖、黄蓉、コジンによるロマンスの三角関係も、物語の大きな焦点の1つとなっています。
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“侠”とは、剣を振るう者ではなく、剣を収めることを知る者である──。
金庸が筆で描いた「義と情の物語」を、映像という剣で未来へと受け継いだツイ・ハークの挑戦を、是非ともその目で確認してください。
次回の『すべての映画はアクションから始まる』もお楽しみに。
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松平光冬プロフィール
テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。
ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューの他、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219)

































