『ザ・コントラクター』ネタバレあらすじ結末と感想評価。復讐アクションおすすめ洋画をクリス・パインが熱演

連載コラム「B級映画ザ・虎の穴ロードショー」第105回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画ザ・虎の穴ロードショー」第105回は、タリク・サレ監督が演出を務めた、映画『ザ・コントラクター』です。

国家に忠誠を誓った世界最強の兵士ジェームス。軍事任務での負傷により、エリート特殊部隊から強制的に除隊させられた彼が家族を養うため行き着いた先は、退役軍人で構成された凄腕の民間軍事組織でした。

その組織のリーダーからの命により、ジェームスはかつての戦友と精鋭チームを組み「テロ組織が持つ生物兵器のデータの奪取」という極秘任務に挑みます。しかし任務終了間際、たった1人死地に取り残され追われる身となってしまいます……。

2022年製作のリベンジ・アクション映画『ザ・コントラクター』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

CONTENTS

映画『ザ・コントラクター』の作品情報
映画『ザ・コントラクター』のあらすじとネタバレ
映画『ザ・コントラクター』の感想と評価
- 大金に目が眩んだ者たちの恐るべき陰謀
- 戦友の裏切り
まとめ

映画『ザ・コントラクター』の作品情報

【公開】
2022年（アメリカ映画）

【脚本】
J・P・デイビス

【監督】
タリク・サレ

【キャスト】
クリス・パイン、ベン・フォスター、ジリアン・ジェイコブス、エディ・マーサン、J・D・パルド、フロリアン・ムンテアヌ、キーファー・サザーランド

【作品概要】
『Walad Min Al Janna』（2022）で第75回カンヌ国際映画祭の脚本賞を受賞したスウェーデン出身のタリク・サレが自身初の映画作品として監督を務めた、アメリカのリベンジ・アクション作品です。

「スター・トレック」シリーズや「ワンダーウーマン」シリーズのクリス・パインが製作総指揮・主演を務めています。

Cinemarche

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映画『ザ・コントラクター』のあらすじとネタバレ

アメリカ陸軍特殊部隊の空挺レンジャーに所属する一等軍曹だったジェームス・ハーパー。

彼は軍事任務での2度にわたる膝の負傷、そして膝の治療で用いていた禁止薬物のステロイドや筋肉増強剤などが4種血液検査で検出されたことにより、組織改革の一環も相まって強制的に名誉除隊させられてしまいます。

退職金も恩給も出ず、ジェームスとその家族には借金ができてしまいます。家族を養うために彼が職を求めて行き着いた先は、退役軍人で構成された凄腕の民間軍事組織でした。

その民間軍事組織の屈強なリーダーであるラスティ・ヘインズの命により、ジェームスはかつての上官であり戦友でもあるマイク・ホーキンスが率いる精鋭チームと共に、アメリカからドイツ・ベルリンへと飛び立ちます。

ジェームスたちに与えられた極秘任務は、ウイルス学を専門とするフンボルト大学の名誉教授サリム・モハマド・モーシンが研究する生物兵器のデータを奪うことです。

ベルリンに到着後、ジェームスは1人、サリムを数日間にわたって監視・電話の盗聴を行いました。そこへマイクから、現地から引きあげてチームと合流するようにとの連絡が入りました。

マイクは自身のチームと、合流したジェームスにサリムに関する資料を渡し、その内容を読み上げます。その資料によると、サリムは42歳の既婚男性、シリア出身で身長185㎝、体重86キロ。左の耳にハート形の痣、右の手首に丸い痣があるのが特徴的です。

ハーバード大学医学部を卒業したサリムは、政府からの助成金を受けてインフルエンザウィルスを研究していました。H1N1型と鳥インフルエンザの変異株です。ですが助成金は打ち切られてしまい、サリムは研究を続けるために家族とベルリンに移住しました。

サリムの研究の出資者はファルーク・オジェ、イスラム主義を掲げるスンナ派ムスリムを主体とした国際テロ組織「アルカイダ」とつながりがある慈善団体「アル・ダワー」の設立者です。

ジェームスたちは研究所にいたサリムを尋問し、生物兵器のデータが入っているパソコンを回収。サリムを火災による事故死を装い殺害しました。

任務が無事終了する間際、何者かの罠に嵌ってベルリン州警察の警官たちによる弾雨を浴びたチームは壊滅状態に陥ってしまいます。

ジェームスはマイクを連れて下水道のトンネルに逃げ込み、負傷した彼の傷の手当と自分の血を使った輸血を行いました。そのおかげでマイクは動けるまでに回復しましたが、ジェームスは膝の痛みですぐに体を動かすことができません。

2人は48時間後にベルリンのホテルで落ち合うことを約束し、マイクは先にデータを持ってトンネルから脱出。ジェームスも1日体を休めてからトンネルを脱出しました。

ジェームスはマイクが待つホテルの部屋へと自力で辿り着くも、そこにマイクの姿はありません。代わりに「データの引き渡しは完了、10時に戻る。6時間おきに薬を2錠服用するように」というメモと、ベルリン脱出のためのパスポートと荷物が置いてありました。

しかし翌朝、約束の10時になってもマイクは戻ってきません。ジェームスはマイクが手配したであろうパスポートと荷物を持ってホテルを後にしました。

ジェームスはアレクサンダープラッツ駅の構内にある店で、変装用の帽子とプリペイド携帯を購入。ラスティにマイクの行方を尋ねると、マイクはベルリンに来ていないと知らされます。

ジェームスの現在地を把握したラスティは、救出チームを派遣したエルセン橋の北西の角へ向かうよう指示しました。

ジェームズはラスティの指示に従い、エルセン橋の北西の角へ向かいます。ところが、茶色のBMWの車と2台のバイクに乗って現れた救出チームがジェームスを銃撃してきたのです。

以下、『ザ・コントラクター』ネタバレ・結末の記載がございます。『作品タイトル』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

壮絶な銃撃戦の末、ジェームスはバイクに乗った2人の男、救出チームの2人を殺害。唯一生き残った救出チームの男を尋問しました。

元アメリカ海兵隊の偵察部隊にいた退役軍人であるその男は、ラスティからの命によりジェームスたちの救出任務のためベルリンへ。

しかしエルセン橋でジェームスの姿を確認した直後に指示が変更され、ジェームスを始末するように言われたといいます。彼ら救出チームも、ラスティに裏切られたのです。

男はマイクは無事であること、実は隠れ家があると伝え、ジェームスに自身の家族写真を手渡します。その写真の裏には暗号が記されていました。

男はそれを使って迎えを呼ぶよう、ジェームスに言いました。自分の携帯を使って任務完了の暗号「トマホーク」とメッセージを送れば、しばらく時間を稼げるはずだ、と。

ジェームスは男の指示に従い、まずラスティに「トマホーク」とメッセージを送ります。

次にサリム一家の家を訪れ、彼の子供を人質に取って「夫の研究データの保管場所は？」と彼の妻を脅迫し、研究データが入ったタブレット端末を入手。そして公衆電話に暗号を入力し、隠れ家に助けを求めました。

その隠れ家に住むヴァージルという男は、隠れ家の場所を知る海兵隊員とは知り合いではないといいます。また「任務を果たすのが兵士、そのためなら敵を殺し味方を殺す」と考えているからか、ジェームスが海兵隊員を殺したと知っても、ヴァージルは動揺することも怒ることもなく、彼の膝を治療し匿いました。

しばらくして意識を取り戻したジェームスは、タブレット端末の中身を調べました。そこにはサリムが死を覚悟して息子に宛てたメッセージ動画が記録されていました。

その動画によると、サリムは生物兵器を研究していたのではなく、自身の生涯をかけて人類の未来の危機に備えて致死率16％の鳥インフルエンザ（H5N1）に効くワクチンを研究していたといいます。サリムが命の危機にさらされていたのは、そのワクチンを悪用する権力者たちがいるせいです。

ジェームスはヴァージルが作った料理を食べながら、彼の話を静かに聞いていました。ヴァージルには妻と娘がいますが、自分が近づくと心の中の怪物が暴れ出てしまうから、家族を自分から守るために13年前からこの家に住んでいるといいます。

しかし2人が料理の感想を言って笑いあった瞬間、突如外にいる何者かから銃撃され、ヴァージルが射殺されてしまったのです。

ジェームスはろうそくに火を灯し、ガス管を開けます。それから部屋の隙間を埋めて密閉された空間を作り、可燃性の一酸化炭素ガスがたまる状態にした上で、ジェームスは荷物を背負って2階の窓から木をつたって脱出。

直後に家に乗り込んできた男たちが部屋の扉を開けた瞬間、バックドラフトが発生。ジェームスはその衝撃で吹き飛ばされたものの、ヴァージルの車に乗って逃げました。

その道中で服を着替えたジェームスは、ついに国境を越えて隣国のポーランドへ逃亡。そこから脱出用のパスポートを使って飛行機に乗り、アメリカに帰国しました。

ジェームスは「もしも俺に何かあった時、お前から家族に伝えてほしい」とマイクに頼まれたとおり、バイクに乗って彼の家へと向かいました。するとまるで何もなかったかのように、妻子と幸せそうに過ごすマイクの姿があったのです。

その翌日。自分を死地に置き去りにしたマイクの真意を確かめるべく、ジェームスは家から出た彼の車を追跡。街の立体駐車場で彼を問い詰めました。

最初はデータを強奪するだけでした。でもサリムが研究していたウィルス治療薬のワクチンのデータを売ることで大金が得られることに気づいたラスティたち組織の上層部は、それで荒稼ぎしようと企みます。

マイクはそのことを知っていましたが、治療法のない難病を患っている息子の治療と支援には大金が必要でした。

それを聞いたジェームスが「俺の家族はどうなるんだ」と尋ねると、マイクは「安心しろ、お前の家族には400万ドル支払われた、一生金には困らない」と答えました。

ですが、追われる身となってしまったジェームスは、家族のもとに帰ることはできません。

ジェームスは「戦場で苦楽を共にした仲なのに、お前を助けるために血を分けてやったのに、その仕打ちがこれか？」とマイクを糾弾すると、彼はただすまなかったと謝罪しました。

ジェームスは涙を堪えながら、自分を同じ根っからの兵士になるよう育てた軍人の父が、自分と同じように除隊となってゴミみたいに捨てられ、遺書も遺体もなく消えてしまったことや、そんな父の遺品を庭に埋めて1人で葬式をしたこと。父から貰ったガラクタを埋めた穴を見て、自分は決して家族を見捨てはしないと誓ったことを告白します。

この逃亡生活に終止符を打つべく、ジェームスはマイクと共にラスティの居住地でもある組織のアジトを襲撃。

退役軍人同士による銃撃戦の末、ジェームスたちによって組織は壊滅状態に陥り、マイクとラスティは一騎討ちとなり互いに瀕死状態に陥りました。

ラスティを追い詰めたジェームスは、彼に止めを刺しました。ジェームスはマイクを連れて互いの家族の元に車で帰ろうとしましたが、その道中でマイクは息絶えてしまいました。

翌朝、ジェームスは車もろともマイクの遺体を燃やしました。そして平和に暮らす妻子を優しいまなざしで見つめながら、妻と手をつないで歩く息子ジャックの名を呼びました。

Cinemarche