Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

『レッド・ツェッペリン:ビカミング』あらすじ感想と評価レビュー。メンバー自らが語る、史上最高ロックバンドの起源|だからドキュメンタリー映画は面白い89

  • Writer :
  • 松平光冬

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第89回

今回紹介するのは、2025年9月26日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかIMAX®同時公開の『レッド・ツェッペリン:ビカミング』

伝説的ロックバンド「レッド・ツェッペリン」のメンバー初公認による、ファン必見のドキュメンタリーです。

【連載コラム】『だからドキュメンタリー映画は面白い』記事一覧はこちら

映画『レッド・ツェッペリン:ビカミング』の作品情報

(C)2025 PARADISE PICTURES LTD.

【日本公開】
2025年(アメリカ・イギリス合作映画)

【原題】
Becoming Led Zeppelin

【製作・監督・脚本】
バーナード・マクマホン

【共同製作・共同脚本・音楽監修】
アリソン・マクガーティ

【製作総指揮】
アレックス・タートルトーブ、マイケル・B・クラーク、シンシア・ヒューシング、デビッド・キステンブローカー、デューク・エリクソン、サイモン・モラン、ジェド・ドハーティ

【編集】
ダン・ギトリン

【キャスト】
ジミー・ペイジ、ジョン・ポール・ジョーンズ、ロバート・プラント、ジョン・ボーナム(音声アーカイブ)

【作品概要】
イギリスのロックバンド「レッド・ツェッペリン」のメンバーが初めて公認したドキュメンタリー。

1960年代末、イギリスで産声を上げて以降、デビューアルバムでいきなり世界を熱狂の渦に巻き込んだバンドの知られざる起源を、メンバー自身の証言で構成します。

音楽ドキュメンタリー「アメリカン・エピック」4部作(2022)のバーナード・マクマホンが監督を務めました。

映画『レッド・ツェッペリン:ビカミング』のあらすじ

(C)2025 PARADISE PICTURES LTD.

1960年代末に、ギターのジミー・ペイジ、ベース/キーボードのジョン・ポール・ジョーンズ、ドラムスのジョン・ボーナム、ボーカルのロバート・プラントによって、イギリスで結成されたレッド・ツェッペリン。

4人は1969年リリースのデビューアルバム「レッド・ツェッペリン I」で世界を熱狂させ、約12年間の活動でロックシーンに革命を起こします。

その知られざる起源をたどるべく、1980年に32歳で急逝したボーナムの未公開音声をはじめ、メンバーの家族写真やプライベート映像、初期のライブ映像など貴重なアーカイブ素材とともに、オリジナルメンバー自らがバンドの歴史を語ります。

史上最強ロックバンドはこうして生まれた

(C)2025 PARADISE PICTURES LTD.

1968年、イギリスのロックバンド「ヤードバーズ」に所属していたジミー・ペイジが、ロバート・プラント、ジョン・ボーナム、ジョン・ポール・ジョーンズに声をかけて結成された「ニュー・ヤードバーズ」。後に「レッド・ツェッペリン」とバンド名を改めた4人は、1969年にファーストアルバム『レッド・ツェッペリン I』を発表します。

飛行船ヒンデンブルグ号の爆発炎上をジャケットにあしらったデビューアルバムは、同年1月にアメリカ、3月にイギリスでリリースされ、やがてあらゆる国々を熱狂の渦に巻き込んでいきます。

今も史上最強のロックバンドのひとつに数えられるレッド・ツェッペリン。ですが、彼らは長らくの間一貫してメディアを避け、インタビューにも応じる機会もありませんでした。

本作『レッド・ツェッペリン:ビカミング』では、そんなベールに包まれていた4人のデビュー経緯や背景が明かされます。

2017年、監督のバーナード・マクマホンが緻密にまとめた構成台本や企画プランをペイジに提示し、了承を得たのを皮切りに、ポール・ジョーンズとブラントも、マクマホンが手がけた音楽ドキュメンタリー「アメリカン・エピック」の出来栄えを気に入ったことで、制作がスタート。

1980年に不慮の死を遂げていたボーナムに関しては、生前にオーストラリア人ジャーナリストが行ったとされるインタビュー音源を1年かけて発掘。

まさしくメンバー初公認、ポール・ジョーンズの言葉「自分たちの言葉で、初めて自分たちの物語を語るときが来たんだ」が示すように、4人全員の「証言」が揃ったことになります。

メンバー自ら語る真実、メンバーが初めて目にする貴重映像

(C)2025 PARADISE PICTURES LTD.

デビューアルバムの1曲目「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」から本編がスタートし、メンバー4人が少年時代を振り返り、いかにして音楽の魅力に惹かれたか、そして成長して出会い、バンド結成に至るまでを、各自の言葉で振り返っていきます。

ドキュメンタリー映画では、評論家やジャーナリストといった第三者を介して、被写体のパーソナルな部分をひも解く構成をよく目にしますが、本作で証言をするのはツェッペリンのメンバーだけ

ペイジ、プラント、ポール・ジョーンズに個別インタビューを敢行し、最初に顔を合わせた際の印象や初セッションの模様、北欧ツアーに出かけた後にファーストアルバムの制作に突入した時の思い出などを、それぞれの切り口で語っていく。そこにあるのは真実のみ

レコード会社から制作費を借りず、演奏はセパレート録音ではなくライブ録音。さらに完成した音源の権利(原盤権)を自ら所有し、何から何までセルフで制作したなど、興味深いエピソードが綴られます。

初期のライブ映像に関しては、メンバー当人たちでさえ初めて目にすると語るほど貴重なものばかり。既存で発表されているライブ映像の中には、別アングルで収められた(隠し撮りも含む)ものも発掘したというほどの手の混みよう。

そして何よりも、ボーナムの生前の音声に耳を傾けるメンバーの表情は、本作最大のハイライトと断言しても過言ではないでしょう。

(C)2025 PARADISE PICTURES LTD.

本作は、あくまでもレッド・ツェッペリンの起源に重きを置いた「はじまりのはじまり」ドキュメンタリー。言い換えれば、彼らが続けてサード、フォースとリリースアルバムを重ねて、さらに名声を高めていく過程を追う楽しみが残されています。

もしかしたら、本作で初めてレッド・ツェッペリンに触れたという人もいるかもしれません。そうした方はこれを機に彼らのナンバーをディグしていけるでしょうし、かたや長年のファンの方は、あらためて彼らの偉大さを再認識できることでしょう。

次回の連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』もお楽しみに。

【連載コラム】『だからドキュメンタリー映画は面白い』記事一覧はこちら

松平光冬プロフィール

テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。

ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューのほか、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219



関連記事

連載コラム

【東京国際映画祭2019】『猿楽町で会いましょう』児山隆監督ほかレッドカーペットに登場!|TIFF2019リポート1

第32回東京国際映画祭は2019年10月28日(月)から11月5日(火)にかけて10日間開催! 2019年にて32回目を迎える東京国際映画祭。令和初となる本映画祭がついに2019年10月28日(月)に …

連載コラム

映画『プロジェクトV』あらすじネタバレとラスト結末の解説。ジャッキー・チェンがこだわる決死のアクション|すべての映画はアクションから始まる26

連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第26回 日本公開を控える新作から、カルト的に評価された知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を時おり網羅してピックアップする連載コラム、『すべての映画 …

連載コラム

『喜劇 愛妻物語』ネタバレあり感想考察。脚本家の足立紳として“元ネタ・リスペクト新藤兼人版”との違いから解説|映画道シカミミ見聞録51

連載コラム「映画道シカミミ見聞録」第51回 こんにちは、森田です。 今回は9月11日(金)より全国ロードショー中の映画『喜劇 愛妻物語』を紹介いたします。 基本的には嘘がないという、足立紳監督の自伝的 …

連載コラム

地獄が呼んでいる2話ネタバレあらすじ評価と結末の感想解説。キャストのパク・ジョンジャ(シングルマザー役)の正体とは!?

Netflixドラマ『地獄が呼んでいる』を各話完全紹介 『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)とその前日譚の長編アニメ映画、『ソウル・ステーション パンデミック』(2016)を公開し、一躍世 …

連載コラム

【SF・ホラー】2020年映画ランキングベスト5|洋画・邦画人気作から感動と想像の力を描く作品まで《シネマダイバー:糸魚川悟選》

2020年の映画おすすめランキングベスト5 選者:シネマダイバー糸魚川悟 2020年は新型コロナウイルスの影響により、映画業界にとっても厳しい1年となりました。 『ムーラン』や『ソウルフル・ワールド』 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学