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映画『永遠の故郷ウクライナを逃れて』あらすじ感想評価レビュー。今のウクライナから避難する人々を活写する意義とは⁉︎|いま届けたい難民映画祭2024・6

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

連載コラム『いま届けたい難民映画祭2024』第6回

難民映画祭は、難民をテーマとした映画を通じて、日本社会で共感と支援の輪を広げていくことを目的とした映画祭で、世界各地で今まさに起きている難民問題、1人ひとりの物語を届けています

第19回難民映画祭では、困難を生き抜く難民の力強さに光をあてた作品をオンラインと劇場で公開します。公開される6作品をCinemarcheのシネマダイバー・菅浪瑛子が紹介します。

今回紹介するのは、ウクライナから避難する映画『永遠の故郷ウクライナを逃れて』(2023)。

難民映画祭は2024年11月7日(木)〜30日(土)までオンラインにて開催されます。

監督自身が車を運転し、ウクライナ市民が避難する様子を撮影したドキュメンタリー。

車の中で繰り広げられる故郷を去る人々の思い、悲しみ、怒り……ウクライナの人々のリアルな声を映し出します。

【連載コラム】『いま届けたい難民映画祭2024』一覧はこちら

『永遠の故郷ウクライナを逃れて』の作品情報

【日本上映】
2024年(ポーランド、フランス、ウクライナ)

【監督】
マチェク・ハメラ

【原題】
In the Rearview

【作品概要】
ポーランドで生まれ育ったマチェク・ハメラ監督は、2014年2月にウクライナで起きた「マイダン革命」をきっかけにウクライナに興味を持ち、その歴史、現状を見つめるようになったといいます。

2022年2月24日、ロシア軍によるウクライナへの侵攻が始まった直後にマチェク・ハメラ監督は、バンの購入やバスの手配などをし、国境付近に向かいました。ポーランドの活動家団体のテレグラムチャンネルを通じ避難を求める人々を国境まで送り届けてはウクライナに戻り、また国境まで送り届けるという日々を過ごしました。

撮影は事前に説明し行い、人々のリアルな声を映し出しました。

映画『永遠の故郷ウクライナを逃れて』のあらすじ

2022年2月24日、ロシア軍がウクライナへ侵攻します。

マチェク・ハメラ監督は、ポーランドの人道支援団体等と連絡を取り合いながら、自ら車を運転し、避難を求めるウクライナの人々をポーランドの国境まで送り届けます。

避難する車内での様子を映し出したドキュメンタリー。

監督が運転する車に乗った一家。やむを得ず家に置いてきた牛のことを話し始めます。

爆撃によって破壊され、失った家、街のこと。この先の不安。ロシアに対する怒り、悲しみ……彼らが吐露する言葉に込められたものとは。

映画『永遠の故郷ウクライナを逃れて』の感想と評価

ロシアの侵攻によりウクライナから避難し、ポーランドの国境に向かう人々。

避難中の車内で語られる家族の想いをカメラが捉えたドキュメンタリー『永遠の故郷ウクライナを逃れて』です。

監督を務めたのは、ポーランドで生まれ育ったマチェク・ハメラ。

マチェク・ハメラ監督は、2014年の「マイダン革命」で、ドキュメンタリーの撮影を行ったことが、ウクライナに関心を寄せるきっかけになったといいます。

『永遠の故郷ウクライナを逃れて』は、監督自身が運転手としてウクライナの人々の避難支援を行い、その様子を映し出しました。

2022年2月24日の侵攻以降、各国のメディアやドキュメンタリー作家が、ウクライナの現状を世界に伝えようとカメラを回してきました。

粉砕された町の現状やまさに爆撃の場面、重傷を負った人々の様子などショッキングな映像も多く伝えられてきました

ウクライナで起きていることの過酷さを伝える必要は十分にありますが、ウクライナの人々の生の声が伝えるものの大きさも十分にあります。

本作は、過酷な戦禍の様子をあえて映し出すことを避け、車内での様子を映し出すことでよりウクライナの人々に寄り添った生の声が映し出されています

事前に撮影をすることを伝えて、撮影を行ったといいますが、映像を通して私たちに伝わってくるのは、“聞いてほしい、知ってほしい”というウクライナの人々の思いではないでしょうか。

ロシアによるウクライナへの侵攻から2年が経ち、後数ヶ月で3年になろうとしています。支援疲れやメディアでの報道が減るなど人々の関心が下がっていることをひしひしと感じさせます。

私たちは安全に暮らすことが出来ている、しかし、それ奪われた、奪われ続けている人がいることを忘れてはいけないということを改めて考え、胸に刻んでおくべきです。

まとめ

避難中の車内で語られる家族の想いをカメラが捉えたドキュメンタリー『永遠の故郷ウクライナを逃れて』。

映画の中で、今までの暮らしや、故郷を追われることへの思いを語る人々は決して絶望しているだけではありません。

妻に頼まれたものを探して困っていたり、冗談を言ったり、私たちと変わらない人々の姿も映し出されています。

だからこそ、爆撃がきて身構える場面などふとした場面で、私たちの日常とは違う、戦禍に見舞われないウクライナの現状、その緊迫感が伝わってくるのです。

難民映画祭は2024年11月7日(木)〜30日(土)までオンラインにて開催されます。

難民映画祭詳細はHPにて

【連載コラム】『いま届けたい難民映画祭2024』一覧はこちら



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