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Entry 2024/05/30
Update

【ネタバレ】猿の惑星キングダム|あらすじ感想と結末の評価解説。ノヴァの正体は?シーザー亡き時代で時系列の“初代”へ向かうリブート第4作

  • Writer :
  • もりのちこ

人間が退化した世界。猿の王国に君臨するキングとは。

地球の支配権をかけ、人間と猿の抗争を描いた人気SF映画「猿の惑星」シリーズ。そして『猿の惑星:創世記』から始まったリブートシリーズの第4作『猿の惑星 キングダム』は、猿の王国における内戦の模様が描かれます。

300年後の地球。世界は荒廃し、人類は言葉も使えないほどに退化。そんな地球を支配していたのは、高い知能を持った猿たち「エイプ」でした。

鷹使いの種族「イーグル族」のノアは、成人の儀式を前に、猿の帝国のリーダーであるプロキシマス・シーザーにより故郷を滅ぼされます。

連れ去られた仲間を助けだそうと旅に出るノア。途中で年老いたオランウータンのラカと、ひとりの人間の女ノヴァと出会い行動をともにするも、帝国軍に捕らえられます。

はるか昔、人間と猿が共存していた時代があったことを知ったノア。またシーザーは、実はノヴァを探していました。果たしてその目的とは。

ノアは、一族を救えるのか。映画『猿の惑星 キングダム』を紹介します。

映画『猿の惑星 キングダム』の作品情報

【日本公開】
2024年(アメリカ映画)

【監督】
ウェス・ボール

【脚本】
ジョシュ・フリードマン、リック・ジャッファ、アマンダ・シルバー、パトリック・アイソン

【キャスト】
オーウェン・ティーグ、フレイヤ・アーラン、ケビン・デュランド、ピーター・メイコン、ウィリアム・H・メイシー

【作品概要】
1963年発行、フランスの作家ピエール・ブールの同名小説を原作に映画化された『猿の惑星』(1968)。その後オリジナル版は5作続き、SF映画でも人気のシリーズとなりました。

そして、『猿の惑星』の起源を解き明かすリブートシリーズの第1作『猿の惑星:創世記』(2011)が公開。第2作『猿の惑星:新世紀』(2014)、第3作『猿の惑星:聖戦記』(2017)に続き、ついに第4作『猿の惑星 キングダム』が公開されました。

監督は「メイズ・ランナー」シリーズで知られ、VFXアーティスト、グラフィックデザイナーの経験も持つウェス・ボール。

猿の主人公ノアを演じたのは『To Leslieトゥ・レスリー』(2022)のオーウェン・ティーク。動作や細かな表情までもCGに落とし込む、パフォーマンス・キャプチャーによる演技にも注目です。

映画『猿の惑星 キングダム』のあらすじとネタバレ

今から300年後、猿に支配された世界。荒廃し森と化した土地で人類は知能が低下、言葉もしゃべれない野生動物のような存在となっていました。一方、鷹とともに暮らすイーグル族のノアは、立派な鷹使いの父を目標に成人の儀式の準備をしています。

仲間とともに、小高く危険な場所に作られた鷹の巣から卵をいただくノア。懐で温め孵化させた鷹は、自分のパートナーとなる大切な存在です。

その日の夜、家の外に出たノアは、人間の女が村に潜入しているのを発見。小競り合いの末に卵を割ってしまいます。明日の儀式の前にどうしても卵が必要なノアは、仲間のスーナたちに「明日までには戻る」と告げ、ひとり鷹の巣を探しに出かけました。

途中、偵察に出ていたはずのイーグル族軍が帝国軍にやられているのを目撃したノアは、急いで家へと引き返します。しかし、すでに村は帝国軍に襲撃され、火の海と化していました。

「鷹の塔」にいる父の元へ駆け上るノア。しかし帝国軍は父を塔の上から突き落とし、仲間を捕らえ去っていきました。なすすべもなく嘆き悲しみながらも、ノアは父の最期を見届けると、母と仲間を救うための旅に出ます。

近付いてはいけないとされていたトンネルを抜け、初めて足を踏み入れた場所でノアは、年老いたオランウータンのラカと出会います。

最後の仲間を失い孤独だったラカは、ノアと旅をともにすることに。ラカは、伝説で語られる“最初”のリーダーである「シーザー」の遺産「レガシー」を守っていました。

レガシーの正体とは多くの書籍であり、教えでした。「エイプ、一緒なら強い」「エイプはエイプを殺さない」ラカはノアに、猿と人間が共存していた300年前の物語を聞かせます。

知能の高さで皆を率いた最初のリーダー、シーザーの誕生について。そして、文明を築き高度な技術を持っていたという人間たち……ノアにとっては、これまで想像したこともない話でした。

ノアとラカの前に、村に侵入していた女が再び姿を現します。どうやらノアの後をつけていたようです。人間に寛大なラカは食べ物を分け与え、女に「ノヴァ」という名を授けました。

ノヴァははじめ言葉をしゃべらず、怯えているようでした。しかし旅の途中で望遠鏡を見つけたノヴァは、慣れたようにレンズを覗きこみます。その姿は、どこかこの世界を理解しているかのようでした。

ノアたちは森の中を流れる川で、野性化した人間の群れに遭遇。自分と同じ格好の人間に近付くノヴァ。ノアはここで彼女と別れることを決め、ラカにノヴァのことを託し、ひとり帝国へと向かいます

その時です。馬に乗った帝国軍が一斉に現れ、人間たちに襲いかかります。実は帝国軍が探していたのは、人間の中でも賢いとされるノヴァでした。

草の中に身をひそめるノヴァは、異変に気付き戻ってきたノアの姿を見つけると、大声で叫びます。「ノア!」初めて聞いたノヴァの声に、弾かれるように救出に向かうノア。飛び込んでくるノヴァをしっかり抱え、帝国軍の攻撃をかわします。

無事逃げ切り、ラカとも合流を果たし、目的地付近までやってきました。目の前に、濁流の大きな川が現れます。しかしノアたちが橋を半分まで渡ったところで、待ち伏せしていた帝国軍の挟み撃ちにあってしまいます。

川に落ちてしまったノヴァを助けるため、ラカは自ら川に飛び込み犠牲となります。しかしノアとノヴァは、とうとう捕まってしまいました。

以下、『猿の惑星 キングダム』ネタバレ・結末の記載がございます。『猿の惑星 キングダム』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

現在の帝国軍のリーダーで、冷血非道で知られるプロキシマス・シーザーは、伝説のリーダー「シーザー」の名を利用し、砦に巨大な帝国「キングダム」を築こうと目論んでいました。

帝国軍に捕らえられた他種族のエイプたちは、捕虜となり危険な労働を課せられています。それは、この帝国の山に現れた巨大な門をこじ開けることでした。

そこには、イーグル族の母とスーナの姿もありました。ノアは再会を喜ぶも、要塞と化した帝国から脱出することは不可能でした。

一方ノヴァは、プロキシマスに仕える人間トレヴェイサンに会います。彼は書籍をエイプたちに読み聞かせ、かつての人間たちの知恵を教える変わりに、良い暮らしをさせてもらっていました。ノヴァにも、ここの暮らしに馴染むよう勧めます。

ノヴァの本名は、メイ。メイは、この帝国の巨大な門を開ける術を知っていました。扉の向こうには、かつて人間が文明を築いていた時代の貯蔵庫があり、大量の兵器も保管されていました。

プロキシマスが捕虜たちを犠牲にしてこじ開けるより先に、メイは貯蔵庫に保管されているデータを手に入れ、兵器を破壊させる必要がありました。

メイとノアは、協力して貯蔵庫に入る計画を立てます。仲間のスーナたちも一緒です。高い所に登ることが得意なイーグル族。断崖絶壁を門の上まで駆け上がります。

屋上の窓から中に侵入したノアたちは、かつて人間が暮らしていただろう居住区の様子に驚きます。そこには電気という火とは異なる灯りがあり、フカフカの寝床、見たこともないコンピュータの数々がありました。

メイはノアたちの目を盗み、探していたデータを手に入れます。あとは海岸の砦に仕掛けておいた爆弾を起爆させ、海水を貯蔵庫へと流し込む手筈です。

しかし、門を開けると待っていたのはプロキシマス率いる帝国軍でした。シーナを人質にとられたノアは、エイプか人間か、どちらを助けるかの選択を迫られます。

メイは手にしていた銃を発砲し、用意していた爆弾を起爆させました。激しい爆発で砦が吹っ飛び、大量の海水が貯蔵庫の中に押し寄せてきます。

外にいたエイプたちも、貯蔵庫の中へと流され溺れていきます。どんどん水位が増していく中、ノアたちはイーグル族を屋上の出入り口へと導きます。

脱出したイーグル族の前にプロキシマスが姿を現れ、ノアを崖へと追い詰めます。「みな、跪け!」プロキシマスの怒号に震えるエイプたち。

その時です。空に、逃がしていた鷹たちが戻ってきました。ノアは父を習い、鳥の歌を奏でます。不安定な声色に反応しない鷹。

ノアの声に合わせ、イーグル族が歌い出します。父の鷹、誇り高き赤毛の「イーグル・サン」がノアの腕に止まりました。

空を舞っていた鷹が、一斉にプロキシマスに飛びかかります。鷹たちの攻撃に怯むプロキシマスは足を踏み外し崖の上から落ちていきました。「さあ、家に帰ろう」ノアはそう口にしました。

父の跡を受け継ぎ、ノアは鷹使いとして村を守っていました。そこに、馬に乗ったメイが「お別れを言いにきたの」と訪ねてきます。

「人間は地上を独り占めするまで諦めないのだな」ノアは人間をまだ信用できないようです。メイは「人間の叡智はエイプのものではない。エイプと人間は共存できるのか?」と尋ねます。その後ろ手には、拳銃が握られていました。

「わからない」と答えたノアは、ラカの形見であるペンダントをメイに差し出し「でも、大切な事だ」と語りました。

メイは人間が研究を続ける軍事施設に戻り、回収したデータを渡します。すると衛星が動き出し、世界中の基地と無線がつながりました。人間が集結する時が迫っています。

ノアは、旅の途中で見つけた望遠鏡にスーナを連れていきました。望遠鏡から見える夜空、そこに広がる宇宙。人類は、エイプは、果たしてどこに向かうのでしょうか。

映画『猿の惑星 キングダム』の感想と評価

『猿の惑星』(1968)から、およそ56年。一番の違いは何かといえば、映像技術の向上です。現代のVFX技術には本当に驚かされます。

CGが導入されたリブートシリーズ第1作『猿の惑星:創世記』(2011)が公開された時も驚きましたが、『猿の惑星 キングダム』ではさらに細かい表情や仕草のリアルさに誰もが驚くことでしょう。

身体のモーション・キャプチャーと、顔のフェイシャル・キャプチャーを同時に行うパフォーマンス・キャプチャーにより、俳優の表情や声、自然な演技がそのまま反映。違和感のないエイプの姿に、満足な没入感を得ることができます。

いかにも被り物だった猿が、現実に存在しているかのような賢い猿「エイプ」へと進化を遂げ、さらには人間より賢いという、恐ろしい時代になったものです。

猿が人類を支配する世界「猿の惑星」の起源を描いたリブートシリーズですが、本作は初代『猿の惑星』(1968)へとつながるであろう展開を見せています

リブートシリーズ第1作『創世記』現代医学で開発されたアルツハイマー病の新薬開発の過程で、知能の高いチンパンジーが誕生。人間の神経学者ウィルは、母猿を亡くした赤ちゃん猿を「シーザー」と名づけ育てました。

しかし人間の愚かさに失望したシーザーは、猿のリーダーへと崇められ、第2作『新世紀』(2014)、第3作『聖戦記』では彼が望んでいない人類とエイプの戦いが描かれていきました。

本作では、さらにシーザーの時代から300年後が描かれています。文明も滅び荒廃した世界で、人類は野生動物化し、猿が支配する帝国が築かれています。

伝説のリーダー「シーザー」の教えは、没後も猿たちの間で語り継がれていたようです。それは、人類が残した書物から歴史を学び、そして団結の精神と平和を愛する心でした。

主人公ノアが旅の途中で出会う年老いたオランウータン・ラカは、シーザーの教えを良く理解していた唯一の猿です。一方で帝国軍のリーダーであるプロキシマス・シーザーは「シーザー」の名の下で団結の精神を掲げ、力で猿たちを支配していました。

ラカは間違った教えを解く帝国に屈することなく、人類との共存を諦めていませんでした。ノアはラカから多くのことを学びます。

人類はかつて地球を支配し、知恵によって文明を築いていた。「人類との共存」なんて想像もしたことがないノアは驚きます。そんなノアが、人間のメイとの出会いで、自分が知らなかった歴史があることに気付きます。

しかしノアはメイに、そう簡単に心を許すことはできませんでした。それは目的が果たされた後も一触即発な雰囲気は残り、ノアとメイはそれぞれ別の道に進むことに。やはり、人類とエイプは分かり合えないのでしょうか。

ノアの旅の途中では、野性化した人間の群れが、馬に乗った帝国軍に狩られるシーンがあります。どうしても「人間目線」で映画を観てしまう人間には、とてもショッキングなシーンです。

またプロキシマス・シーザーの帝国には、エイプに媚びて暮らす人間のトレヴェイサンが登場します。誇り高き人間の姿はどこにもありません。

そんなエイプが支配する時代にあっても、人間の再興を諦めないメイの執念さは、頼もしくもあり人間のエゴの塊にも思えてきます。協力して悪のリーダーを倒した猿のノアと人間のメイでしたが、最後は別々の道を選びます。

それぞれに守りたいものがある。種族の誇りと平穏な暮らしを守りたい気持ちは同じです。なぜ両者は分かり合えないのか。このモヤモヤ感はずっと続くことになります

まとめ

猿と人間の政権争いを描いた「猿の惑星」シリーズ。リブートシリーズ第4弾『猿の惑星 キングダム』を紹介しました。

猿に支配された世界で、人間はどうなっているのか。猿の帝国で見つかった人間の産物とは。

今作がシリーズ1作目『猿の惑星』(1968)へと続く振りとして、ラストシーンにその片鱗をみることができます。

過去の文明から大事なものを取り戻した人類は、どこに向かうのか。あなたは知性を持った人間ですか?それとも知性を失くした野生動物ですか?


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