『猿の惑星』シリーズのプリクエル3部作、シーザーの物語がついに完結!
主演のアンディ・サーキスのアカデミー賞主演男優賞ノミネートが噂される話題作。
『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』をご紹介します。
以下、あらすじや結末が含まれる記事となりますので、まずは『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』の作品情報をどうぞ!
CONTENTS
1.映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』の作品情報
【公開】
2017年(アメリカ映画)
【原題】
War for the Planet of the Apes
【監督・脚本】
マット・リーブス
【キャスト】
アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、スティーブ・ザーン、カリン・コノバル、アミア・ミラー、テリー・ノタリー、タイ・オルソン、マイケル・アダムス、トビー・ケベル、ガブリエル・チャバリア、ジュディ・グリア
【作品概要】
2011年『創世記(ジェネシス)』、2014年『新世紀(ライジング)』、そして本作『聖戦記(グレート・ウォー)』。
名作『猿の惑星』へと繋がるプリクエル3部作がついに完結。
見応え充分のアクションとドラマが結集した注目作です。
主人公・シーザーをパフォーマンス・キャプチャーの第一人者であるアンディ・サーキスが熱演。
『猿の惑星』へと繋がる謎がついに明らかに!
2.『猿の惑星』シリーズとは
1968年に公開されたSF映画の名作『猿の惑星』。
映画史上最も衝撃的なラストが有名な作品です。
大スターのチャールトン・ヘストンが主演し、大ヒットを記録。
当時経営難に陥っていた20世紀フォックスを救ったとも言われています。
1968年といえばあのキューブリックの名作『2001年宇宙の旅』が公開された年でもありました。
リアルタイムで観ていた方々にとってはきっと忘れられない年になったことだと思います。
その猿はメタファー(隠喩)で白人から差別されていた黒人ではないかという意見があったり。
はたまた、原作者のピエール・ブールが第二次大戦時に日本軍の捕虜になった経験から、蔑称でイエローモンキーと呼ばれた日本人がモデルではないかという見方もあります。
そんな大ヒットを記録した作品はどんな運命を辿るのかというと、、、
それはもちろんシリーズ化でした。
1970年『続・猿の惑星』
1971年『新・猿の惑星』
1972年『猿の惑星・征服』
1973年『最後の猿の惑星』
それぞれの出来不出来は置いておくとして、映画史に残る人気シリーズであることは間違いありません。
そして、長い時を経て1968年公開の1作目のプリクエル(前日譚)全3部作の企画が始動。
実に約38年ぶり、正統のシリーズ作品が2011年に『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』としてスクリーンに帰ってきました(2001年のティム・バートン版は忘れたことにします)。
その後、2014年にその続編『猿の惑星:新世紀(ライジング)』。
そして、今回のプリクエル完結作『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』へ繋がります。
3.「パフォーマンス・キャプチャー」とは
まずその前進技術であるモーション・キャプチャーの説明から。
マーカーと呼ばれる装置を実際の演者に取り付けてその動きを読み取り、それをCG映像に精細に反映させる技術。
これによって映画やゲームの中のCGキャラクターに、より実在感を伴った動きをさせることが可能になりました。
参考映像:映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』メイキング
日本でも『シン・ゴジラ』を野村萬斎がモーション・キャプチャーで演じていることが昨年大きな話題になりました。
そして近年これがさらに進歩を遂げ、パフォーマンス・キャプチャーと呼ばれる技術が完成しました。
原理はモーキャプと同じですが、こちらは筋肉の微細な動きまでを読み取れるようになり、演者の表情や細かな動作を再現することができます。
顔の細かな表情を読み取るフェイシャル・キャプチャー、身体全体の微細な動きを読み取る進化したモーション・キャプチャー、この2つを同時に行えるようになった技術がパフォーマンス・キャプチャーです。
映画の演技において役者の表情は重要なものであり、それをより正確に伝えられるようになったことでCGのさらなる可能性が広がりました。
参考映像:ここがすごい!『猿の惑星:新世紀(ライジング)』メイキング
特にモーション・キャプチャーの第一人者と言われていたアンディ・サーキスが前作『新世紀(ライジング)』で披露した迫真の演技は、世界に衝撃を与えました。
参考映像:War for the Planet of the Apes | Making History | 20th Century FOX(英語版)
さらに進化を遂げたパフォーマンス・キャプチャーは、今作で一体どのような映像体験を届けてくれるのでしょうか。
映画の技術革新にはまだまだ未来がありそうです。
4.映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』のあらすじとネタバレ
地球に蔓延したウィルス(猿インフルエンザ)により、耐性を持つ一部を除き、そのほとんどが死に絶えた人間たち。
その一方で高い知性を手に入れた猿たちは、リーダーのシーザーによって統率され、人間との共存を望んでいました。
しかし、自身の過去の虐待経験から人間を恨んでいた過激派のコバがシーザーと対立し、人間との戦いを始めました。
二つの派閥のリーダーによる一騎討ちはシーザーが勝利を治めましたが、多くの犠牲者を出した人間との戦争はすでにもう戻れない段階まで進んでしまっていました。
何年にも渡り猿VS人間の戦いが繰り広げられ、劣性を強いられる人間サイドは焦っていました。
そんな情勢の中、人間の軍隊によって猿たちの基地が襲撃されます。
一気呵成に攻められる猿たちでしたが、その報せを聞きつけたシーザーたちがやって来ると形勢逆転。
生き残った軍人たちに、和平を望んでいるとのメッセージを軍隊のリーダーである大佐に伝えるように頼み、シーザーは彼らを生きて返しました。
亡くなった猿たちを弔っているシーザーたちの元に新居地を探してきたシーザーの息子であるブルーアイズ、そして同行者のロケットが帰還。
新天地への大移動を明日に控える中、その晩に大佐率いる軍隊がシーザーの住処に侵入しました。
すぐに異変に気付いたシーザーは仲間たちと共に侵入者を撃退していきます。
ブルーアイズに託した、妻と二番目の息子の無事を確認しにシーザーが急いで寝床に駆け上がると…
ブルーアイズをシーザーと勘違いした大佐によって、すでに妻とブルーアイズは見るも無惨な姿にされていました。
激昂したシーザーは逃げる大佐を殺そうとしますが、掴んだロープを切り離され、そのまま逃げられてしまいました。
しかし、二番目の息子コーネリアスは隠れていたおかげで生きており、その姿を見たシーザーはホッと息を撫で下ろします。
翌朝、猿たちは新天地への移動を始めますが、復讐に心を囚われたシーザーは一人別のルートで大佐を追うことを決意します。
そんなシーザーを心配したモーリス、ルカ、ロケットは彼を守るために一緒に行動することに。
4頭の猿たちによる生きて戻れる保証のない危険な旅が始まります。
5.映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』の感想と評価
アンディ・サーキスのアカデミー賞主演男優賞ノミネートが噂されている本作。
パフォーマンス・キャプチャーの役者のノミネートはもちろん史上初、映画の歴史が代わる瞬間をぜひ見てみたいものです。
映画ファンには『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズと『ホビットの冒険』シリーズのゴラム役や、2005年『キング・コング』のキング・コング役などモーション・アクターの第一人者としてすでに認知されていることでしょう。
12月公開の『スター・ウォーズ』最新作にもシスの総大将であるスノーク役として出演するスター俳優です。
今作『聖戦記』においても進化した技術のおかげでより細かな表情をキャラクターに反映させることが可能になりました。
CGであるはずの、猿であるはずのシーザーの葛藤に大きく心を揺さぶられた方が多いのではないでしょうか。
アンディ・サーキスの素顔はこんな感じです!(写真真ん中)
Hello #NYCC! Excited for the #WarForThePlanet panel with the team! pic.twitter.com/a7hLKrksSG
— Andy Serkis (@andyserkis) October 7, 2016
間違いなく彼の代表作となる一本であり、シーザーは映画史に残る英雄として記憶されていくに違いありません。
技術の進歩もさることながら、誠に骨太な人間ドラマというか猿ドラマが本作一番の見どころでしょう。
タイトルからも想像できる通り、本作は一貫して聖書を下敷きに物語を構成しており、ラストの結末は最初から決まっていたものでした。
シーザー(カエサル)と名付けられた一頭の猿が知能を持ち、猿たちを従えるリーダーへと成長。
その後、対立するコバとの戦いに勝利し、真の指導者に。
そして、今作で本物の英雄になる。
今作でも、仲間の代わりにむち打ちを受けたり、十字架に張り付けられたり、水と食べ物を恵んでもらったりなど、キリスト的なイメージが非常に多く用いられています。
もしかしたら第1作目の主演であるチャールトン・へストンの代表作『ベン・ハー』を意識しているのかもしれません。
そして、大佐はおそらく『地獄の黙示録』でマーロン・ブランドが演じたカーツ大佐を意識してキャラクター像を作り上げています。
こういった映画ファンの心を少しくすぐるようなテイストはとても楽しいものでした。
さらに、今回はバッド・エイプというお喋りで可愛らしくコミカルな役割を担ってくれるキャラクターも登場し、観ていて飽きがありません。
お猿さんばかりが出てくる中で、ノバ役のアミア・ミラー(鑑賞後にネットで調べてみたら本物の美少女でした)も一服の清涼剤として上手く機能しています。
3部作の最後ですので、もちろん前2作を観ていた方がより気持ちを込めて鑑賞することができますが、この作品は一本の映画として本当によくまとめられているので、これを観た後に復習として見直すという方法もアリだと思います。
シリーズものと敬遠することなくぜひ劇場に足を運んでいただきたい作品です。
まとめ
私が思うハリウッド大作の理想の姿は、親子で観に行っても楽しめるものです。
そして、最先端の撮影技術にワクワクし、「凄かったね」なんて雑な感想を語り合う。
子どもの頃のそんな出来事を思い出させてくれるようなステキな一本です。
2010年代の技術で古い作品を甦らせるという映像革新としても意義のある3作品であり、近年増えているリメイク作としては突出した質を誇るシリーズでした。