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Entry 2018/06/22
Update

【ネタバレ】空飛ぶタイヤ|ラスト結末の考察解説。爽快感で実話を超えた魅力とは⁈《本木克英監督×長瀬智也おすすめ代表作》

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

大企業によるリコール隠しを巡る、さまざまな人々のドラマを描く、映画『空飛ぶタイヤ』は2018年6月15日から全国公開されました。

この作品は個性豊かな演技派の俳優が多数集結しました。

今回は映画『空飛ぶタイヤ』の魅力をたっぷりとご紹介します!

映画『空飛ぶタイヤ』の作品情報


(C)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

【公開】
2018年(日本映画)

【監督】
本木克英

【脚本】
林民夫

【キャスト】
長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生、深田恭子、岸部一徳、笹野高史、寺脇康文、小池栄子、阿部顕嵐、ムロツヨシ、中村蒼、柄本明、佐々木蔵之介、和田聰宏、木下ほうか、浅利陽介、六角精児、大倉孝二、津田寛治、升毅、谷村美月、近藤公園、村杉蝉之介、渡辺大、矢野聖人、田口浩正、斎藤歩、岡山天音、矢島健一、津嘉山正種、毎熊克哉、加藤満、筒井巧、中林大樹、井上肇、小久保丈二、高川裕也、木下隆行、木本武宏、池上紗理依

【主題歌】
サザンオールスターズ

【作品概要】

走行中のトラックの脱輪事故により、主婦が亡くなる事故が発生。

整備不良を疑われ、会社の窮地に直面した運送会社社長の赤松を中心に、事故を巡る大企業のリコール隠しに戦いを挑む、人々のドラマを描く。

監督は『超高速!参勤交代』シリーズなど、数々の話題作を手掛けた、本木克英。

映画『空飛ぶタイヤ』のあらすじ


(C)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

父親から運送会社を受け継いだ赤松徳郎は、従業員と、その家族の事を第一に考え、専務の宮代と共に「赤松運送」を経営していました。

ある日、「赤松運送」のトラックのタイヤが、走行中に脱輪し、歩道を歩いていた親子の母、柚木妙子に直撃、妙子が死亡する事故が発生。

トラックの製造元である「ホープ自動車」にて調査が行われ、整備不良が原因とされます。

事故は事件になり、「赤松運送」に刑事の高幡を先頭とした警察の内部捜査が入りました。

赤松は若い整備士、門田の整備不良を疑い、一方的に解雇しますが、警察の内部捜査時に、門田の整備ファイルが発見され、基準以上の細かい整備が行われていた事が分かります。

赤松は門田に謝罪し「赤松運送」へ復職させ、同時に整備不良ではない、他の原因を疑い始めます。

「ホープ自動車」カスタマー戦略課の課長、沢田は「赤松運送」からの度重なる再調査依頼にうんざりしていました。

ですが、品質保証課の室井が「赤松運送」からのクレームを探りに来た事が気になり、同期の小牧に探りを入れさせます。

小牧からの情報により、沢田は品質保証課の秘密会議、通称「T会議」の存在を知ります。

「T会議」の目的はリコール隠し、数年前にもリコール隠しを行い「ホープ自動車」の業績が悪化した事があり、同じ過ちを繰り返している事実に、沢田の怒りが爆発します。

「ホープ銀行」の井崎一亮は、「ホープ自動車」の次期社長と呼ばれている常務取締役、狩野威の融資希望を受けていました。

予定していた業績計画を平気で下方修正し、追加融資を求めて来る「ホープ自動車」に井崎は心底うんざりしていました。

井崎は、大学時代の友人で雑誌記者でもある榎本優子から、「ホープ自動車」のリコール隠しの情報を得た事により、狩野からの圧力を受けながらも、徹底的な調査を開始します。

独自に脱輪事故の原因を調査していた赤松は、数年前にも「ホープ自動車」のトラックが同様の事故を起こしていた事を知ります。

事故を起こした運送業者の社長、野村からトラックのハブに原因があった事を聞かされた赤松は「ホープ自動車」の、トラックそのものに不具合があった可能性を考え、独自にハブを解析する事を決意します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『空飛ぶタイヤ』ネタバレ・結末の記載がございます。『空飛ぶタイヤ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
沢田は、赤松のハブ返却要請を無視しながら、「T会議」の実態を調査する為、品質保証課のパソコンに不正アクセスするなど、小牧と共に独自調査を開始します。

そして、沢田は週刊誌が「ホープ自動車」のリコール隠しの取材を進めている事を知り、カスタマー戦略課が優位になるように、実名で内部告発を行います。

内部告発の書状を入手した狩野は、沢田の人心を掌握し、これ以上の暴挙に出ないように指示を出します。

沢田は人事部から商品開発課への異動を提案されます。

憧れでもあった部署への異動に沢田は喜び、「赤松運送」の件を早期解決させようとします。

「ホープ自動車」を訪れた赤松は、沢田からハブを返却できない代わりに、1億円の補償金を出す事を提案されます。

脱輪事故後、世間からの信用を失っていた「赤松運送」は、得意先が減少し、会社の運転資金も足りない状況でした。

赤松は宮代の助言もあり、一度はこの提案を受け入れようとしますが、柚木妙子の夫、柚木雅史とその子供を目の当たりにし、失った柚木妙子の命の重さを実感、沢田の提案を断ります。

沢田からの提案を拒否した赤松に、会社倒産の危機に直面している宮代は呆れてしまい、精神的に追い込まれていた従業員の高嶋が退職します。

赤松は、榎本が取材した「ホープ自動車」のリコール隠しの記事に期待をしますが、「ホープ自動車」からの圧力がかけられ、記事が握りつぶされてしまいます。

更に追い打ちをかけるように、脱輪事故の責任を否定していた赤松に、柚木雅史からの訴状が届きます。

絶体絶命の状況に追い込まれた赤松でしたが、榎本から、過去に「ホープ自動車」を相手に泣き寝入りをしなければならなくなった中小企業のリストを渡されます。

赤松はリストの企業を1社ずつ周り、富山の運送会社に勤める相沢から、ある資料を入手します。

一方、商品開発課へ異動した沢田でしたが、社内で飼い殺しの状態になっていました。

そんな中、小牧と「ホープ自動車」のネットワーク管理者、杉本から「T会議」に関する議事録が入ったパソコンを渡されます。

不具合を起こし、「ホープ自動車」の管理外となったパソコンを使い、沢田はある賭けに出ます。

赤松は、相沢から得た資料を、港北署の高幡に渡した後、再び自ら「ホープ自動車」を訪れます。

沢田の後任、北村に富山の運送会社で起きた事故を話し「ホープ自動車」のトラックに欠陥があった事を指摘しますが、北村は整備不良を盾に相手にしません。

ですが赤松は、ある事実を伝えます。

富山で事故を起こした「ホープ自動車」のトラックは、新車だったのです。

赤松から「ホープ自動車」が過去に国土交通省に提出した資料が、改ざんされた可能性があると情報を得た高幡は、「ホープ自動車」の内部調査を開始。

赤松から得た資料と、沢田から得た「T会議」の議事録が入ったパソコンを証拠に、取り調べで狩野を落とします。

また、井崎も「ホープ自動車」に警察の捜査が入ったという情報を入手します。

圧力に抵抗し、不正な融資を拒否し続けた井崎の静かな戦いが終わりました。

1年後、柚木妙子に花を供える赤松の前に、沢田が姿を現します。

同じ敵を相手に戦った2人ですが「あんたの顔は二度と見たくない」「俺もだよ」と言葉を残し、それぞれ別の方向に立ち去りました。

映画『空飛ぶタイヤ』の感想と評価


(C)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

映画『空飛ぶタイヤ』は、実話に着想を得た社会派作品でありながら、エンターテインメントに特化した作品です。

脚本を担当した林民夫さんは、「背景をあまり描かずに事象でたたみかける」という事を考え、「スピード感のある展開」を初稿脚本の段階から意識していました。

本作はスピード感がありながら、登場人物それぞれのキャラクターもしっかりと描かれており、素晴らしい作品になっています。

また、演出は抑え気味になっており、例えば会社の倒産に直面した赤松の苦しみを表現する為に、遠い目をした赤松が、運転している車のスピードをどんどん上げて行き、我に帰って急ブレーキをかけるというシーンで、自暴自棄になった赤松の心情を表現しています。

全体的に抑えめの演出が、作品全体に緊張感を与え、高い完成度となっています。

本作は、実際に起きたある大企業のリコール隠しがモデルになっており、「T会議」のように、全てを隠蔽しようと各セクションが動いていた事や、下請け企業が泣き寝入りするしかない状況など、実際にあったエピソードも盛り込まれています。

原作者の池井戸潤は、「これほど怒りに駆られて書いた作品はない」と語っており、中小企業の社長や、組織の一部である課長が「絶対に勝てない敵」に対して戦いを挑み、最後に逆転する物語は、実話を反映させた物語だからこその爽快感がありますよ。

まとめ

本作のメインキャラクターである、赤松と沢田、井崎は決して正義の為に動いた訳ではなく、それぞれの立場と、責任の為に戦っていました。

自身の保身と面子のみを守っていた狩野とは、最初から志が違っていたのです。

プロフェッショナルである事のかっこよさ、それを感じさせる作品です。

豪華キャストが揃った本作の中で、存在感が凄かったのが、狩野威役の岸部一徳さんです。

本作の最大の悪役とも言える狩野を、実に憎たらしく演じており、それ故のラストの爽快感に繋がっています。

ただ、スピード感を意識したからか、小説の井崎パートが少し削られすぎているような気がしまして、「ホープ自動車」の圧力に皮肉で対抗する井崎の姿も見たかったなと、個人的には思います。

映画が気に入った方は、原作もオススメですよ。

現在の邦画の本気を感じた、映画『空飛ぶタイヤ』は、2018年6月15日から全国公開中です。

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