ディズニーの名作アニメ『リトル・マーメイド』が実写映画でスクリーンに!
アンデルセン童話を原作とする1989年製作のディズニーアニメが、『シカゴ』(2002)の名匠ロブ・マーシャルによって、実写化。映画『リトル・マーメイド』は、冒険心にあふれた美しく元気な人魚、アリエルの物語です。
海の王国を司るトリトン王の末娘で、世界で最も美しい声を持つ人魚姫アリエル。まだ見ぬ人間界に憧れる彼女は、嵐に巻き込まれ海で遭難しかけた人間のエリック王子を助けました。人間界への思いを抑えきれなくなったアリエルは、海の魔女アースラと取引をします。それは、3日間だけ人間の姿になる代わりに、美しい声をアースラに差し出すというものでした。
主人公アリエル役には、歌手でもある新人女優ハリー・ベイリーが抜てきされました。名だたるキャスト陣に加え、アニメ映画版も手がけた巨匠アラン・メンケンと、『モアナと伝説の海』(2017)のリン=マニュエル・ミランダが音楽を担当し、美しいハーモニーが物語を彩ります。
映画『リトル・マーメイド』をネタバレあらすじ有でご紹介します。
映画『リトル・マーメイド』の作品情報
【日本公開】
2023年(アメリカ映画)
【原題】
The Little Mermaid
【監督】
ロブ・マーシャル
【脚本】
デビッド・マギー
【音楽・作曲】
アラン・メンケン
【作詞】
ハワード・アシュマン
【新曲作詞】
リン=マニュエル・ミランダ
【キャスト】
ハリー・ベイリー、ジョナ・ハウアー=キング、ダビード・ディグス(声)、オークワフィナス(声)、ジェイコブ・トレンブレイ(声)、ハビエル・バルデム、メリッサ・マッカーシー
【吹き替えキャスト】
豊原江理佳、海宝直人、木村昴、高乃麗、野地祐翔、大塚明夫、浦嶋りんこ
【作品概要】
本作は、ディズニーアニメ『リトル・マーメイド』の実写版です。監督はロブ・マーシャルが務め、アニメ映画版も手がけた巨匠アラン・メンケンと、『モアナと伝説の海』(2017)のリン=マニュエル・ミランダが音楽を担当。
主人公アリエル役には新人女優ハリー・ベイリーを抜てきし、エリック王子を『ベラのワンダフル・ホーム』(2019)のジョナ・ハウアー=キング、魔女アースラを『ゴーストバスターズ』(1984)のメリッサ・マッカーシー、トリトン王を『ノーカントリー』(2007)のハビエル・バルデムが演じています。
カニのセバスチャンの声はトニー賞受賞者のダヴィード・ディグス、魚のフランダーの声はジェイコブ・トレンブレイ、カツオドリのスカットルの声はオークワフィナスと、こちらも名優が集結しました。
映画『リトル・マーメイド』のあらすじとネタバレ
海の底には人魚がいて、嵐を呼んでは人間を海に引きずり込むという噂がありました。このため、船乗りたちは人魚を恐れ、陸に住む人間たちも海の神を恐れていました。
一方、海は海の神トリトン王が治めていました。‟七つの海”に一人ずつトリトン王の娘である人魚を遣わし、海の平和と秩序を保っています。トリトン王の末娘・アリエルは他のお姉さん人魚たちと違い、いたって元気で冒険好き。好奇心も旺盛で人間に興味を持っていました。
執事長のカニのセバスチャンはアリエルのお目付け役、魚のフランダーとカツオドリのスカットルはアニエルと仲良し。
アリエルは難破船の中から人間の持ち物を持ち出して、自分の秘密の洞窟に運び込み、陸の上の生活を空想しては楽しんでいました。仲間たちとの海でも生活は楽しいものでしたが、アリエルは海から出て陸へ行きたくて仕方がありません。
そんなアリエルの様子を知ったトリトン王は、人間や彼らの世界に関わるものに近づかないよう警告します。トリトン王は人間は危険だと考えていて、アリエルの身を守りたかったのです。
トリトン王からきつい警告を受けたアリエルですが、ふと海面の向こうに不思議な光を見つけました。それはアリエルの好奇心に火をつけます。
アリエルは海の底から光をめざして海面へ向かいます。海の上では、夜空に虹色の花火が打ち上げられていました。そして乗組員でにぎわう船が見えました。
船の上では、その国のエリック王子の誕生日を祝っていました。エリック王子は冒険好きな明るい若者でした。アリエルは船に横付けにされたボートの中に忍び込み、こっそりと人間たちのすることを見ていました。
その時突然、大雨が降り出し、大きな波が船に襲い掛かり、前後左右に揺らします。嵐が近づいてきたようです。元気なエリック王子も嵐には勝てず、ついに船は岩に打ち付けられて炎上しました。
エリック王子は「船を捨てて海に飛び込め」と命令をだし、乗組員を海に逃がします。自分も海に飛び込もうとしますが、愛犬マックスが逃げ遅れていることに気が付き、マックスを助けに船の中に行き、助け出した後、自分は船が壊れる衝撃で海に投げ出されてしまいました。
海の底へどんどん落ちていくエリック王子を助けたのは、アリエルでした。エリックを抱えて陸の波打ち際まで行き、海岸にエリックを寝かせます。
そして甘い歌を歌いながら、エリックの住む世界に思いをはせます。全てを物陰からみていたセバンスチャンはアリエルに海に帰るよう促します。
朦朧とした意識の中、アリエルの歌声が記憶に残ったエリックですが、目覚めたときはすでにアリエルは海へ戻った後でした。
海へ戻ったアリエルは、エリック王子のことが忘れられません。気もそぞろな様子のアリエルに気が付いたトリトン王は、セバスチャンを呼び出し、問い詰めます。セバスチャンはとうとう、アリエルが嵐の夜に溺れかかった人間を助けたことを話しました。
激怒したトリトン王は、アリエルの秘密の洞窟へ行き、「もう二度と人間と会わないと約束しなさい」と命じます。しかし、アリエルは約束できませんでした。
怒ったトリトン王によって壊されたアリエルのコレクションを前に、アリエルは失意のどん底にいました。
そんなアリエルに、海の魔女アースラが話しかけてきました。彼女はアリエルを人間に変えて助けてくれると言います。そこでアリエルはアースラの隠れ家へ行き、アースラと取引をします。
その内容は、アリエルの声をアースラに渡すのと引き換えに、アリエルを人間に変えて陸へあげてくれるというものでした。しかし、3日目の日没までにエリック王子と真実のキスをしなければ、アリエルは人魚に戻され自由を失ってしまいます。
魔女とのやりとりを物陰から見ていたセバスチャンは「やめろ」と言いますが、アリエルは成約の印として、自分のウロコを1枚アースラに渡して、取引は成約してしまいました。
映画『リトル・マーメイド』の感想と評価
実写映画の見どころは?
『リトル・マーメイド』は、冒険心旺盛で人間界に憧れる人魚姫が人間の王子に恋をして苦難の末に夢を叶える物語。アンデルセン童話やディズニーアニメでも大ヒットとなり、ついに今回は実写化となりました。
人魚から人間界に飛び込むアリエルは、情熱と勇気を持つこと、他者を恐れずに前進することの大切さを教えてくれます。アニメでもそれは伝わるものでしょうが、本作では実写ならではの臨場感を観客に突きつけます。
1989年のアニメ映画『リトル・マーメイド』のために作られたポピュラー曲『アンダー・ザ・シー』は、本作でも歌われました。
大海原のど真ん中で魚たちが自由に旋回し、飛び跳ね、海中の快適な生活を歌と踊りで大アピールします。カーニバルのようなその様子は、水をかく音、髪の毛や生物たちの触手やヒレの揺れ具合など、細やかな部分までリアル感を醸し出します。
実はこの歌には、1フレームに500体以上の生物たちが同時に登場するシーンがあります。キャストはアリエル役のハリー・ベイリーひとりで、あとはダンサーの動きで作り出したCGたちのみ。壮大な海の底のダンスシーンは、想像以上に軽やかで楽しく観客も踊り出したくなるほどで、これは本作一番の見どころです。
次に印象深いのは、冒険に出かけたアリエルとエリック王子がボートに乗るシーン。セバスチャンのアイデアで、ラブリーなムード高める自然界の歌『キス・ザ・ガール』が流れます。甘い虫の声、草木の囁き、星のまたたき。実写ながら幻想的なシーンがスクリーン一杯に広がり、ロマンティックな恋人たちの夜を演出しました。
これらはすでにアニメでも使用されている名場面の曲ですが、本作での細やかな表情の動きや陰影のはっきりとしたインパクトある風景によって、より一層印象深いシーンとなりました。
これらの音楽を担当したのは、アニメ『リトル・マーメイド』(1989)でアカデミー賞の作曲賞と主題歌賞を受賞したアラン・メンケンです。音楽監修兼プロデューサーは、マイク・ハイアムが担当。素晴らしいミュージカルナンバーが本作を一層興味深いものにしてくれました。
好演光るキャスト陣
人間を信じ、自分の信念を貫いて真実の愛を手に入れたアリエル。愛するエリックと一緒に新しい世界へ旅立つ姿は、観る者に一歩前進する勇気と力強さを与えてくれます。
こんなアリエルを演じるのは、歌手でもあるハリー・ベイリー。伸びやかで美しい歌声は男性だけでなく、聞く人をみな虜にすることでしょう。
映画製作についてキャストが最も重要なことだと言うロブ・マーシャル監督が、ハリー・ベイリーを初めて見た時に、まるで別世界から来た人のようだと感じ、この大抜擢に繋がったと言います。
また、特異なカリスマ性と佇まいを持つメリッサ・マッカーシーは、魔女アースラにピッタリだったとも。メリッサは驚くほどの深みと、弱さ、激しさ、ユーモアをアースラに吹き込んでいました。
ハビエル・バルデム演じるトリトン王は、娘をこよなく愛する父親でした。言葉少な目ですが威厳のある顔つきと目力で、娘アリエルの幸せを願う父を表現します。
アリエルの仲間たちのセバスチャン、フランダー、スカットルの声のキャスト陣の存在も絶大で、なかでも執事長という役目のセバスチャンがとてもいい味をだしています。
おせっかいとは言えませんが、小さな体を上手く使って、ありとあらゆる場所に隠れてアリエルのことを見守っていました。彼は憎めないユニークなカニです。これからカニ料理を食べるには少し罪悪感を感じるかも知れません。
実写映画『リトル・マーメイド』は、卓越した個性を持つキャストたちの好演と大勢のスタッフやダンサーたちの奮闘と協力があって完成されたと言えます。
まとめ
アンデルセン童話の『人魚姫』を原作とする、1989年製作の名作ディズニーアニメ『リトル・マーメイド』の実写映画をご紹介しました。
ディズニーシリーズの音楽を手がけたアラン・メンケンと『モアナと伝説の海』(2017)のリン=マニュエル・ミランダが音楽を担当。この2人の強力なタッグで、幻想的で美しくまた元気の出るミュージック映画となっています。
人魚と人間。2つの世界で踊るダンスに注目すると、その見た目の違いは、2本の足があるかないか、でした。足を使って踊る島でのダンスはとても楽しそうで、海の生物たちが泳いでダンシングするのも可愛らしく映し出されます。
結局、生き物が楽しむカーニバルは、海の中も陸の上も、どこの世界も同じでした。それに加えて、アリエルとエリック王子の強さと優しさが、魔女の魔法も打ち破り、人魚と人間の区別のない新しい世界を築いたのです。
本作はファンタジックなミュージカル映画です。悩みがあるときには前向きに生きる勇気ももらえることでしょう。
ぜひ劇場でご覧になり、スクリーンいっぱいに広がる海の世界をお楽しみください。