映画『焼肉ドラゴン』は、6月22日(金)より全国ロードショー!
岸田國士戯曲賞やキネマ旬報ベスト・テンの脚本賞などに輝く鄭義信が、東京新国立劇場10周年とソウル芸中の殿堂20周年の共同記念公演として上演された同題演目を鄭自身が監督・脚本を担当して映画化。
キム・サンホ、イ・ジョンウン、真木よう子、井上真央、桜庭みなみ、大谷亮平、大泉洋と日韓から実力はキャストが揃った注目の作品です。
映画『焼肉ドラゴン』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【監督】
鄭義信
【キャスト】
真木よう子、井上真央、大泉洋、桜庭ななみ、大谷亮平、ハン・ドンギュ、イム・ヒチョル、大江晋平、宇野祥平、根岸季衣、イ・ジョンウン、キム・サンホ
【概要】
劇作家や演出家として知られる鄭義信による、同名舞台劇『焼肉ドラゴン』を自らの手がけた映画化。
監督自身も在日韓国人であるから、独自な視点とリアリティで描くた、戦後の高度経済成長の日本の姿とは。
店主夫婦を韓国人俳優の『隻眼の虎』のキム・サンホと、『母なる証明』のイ・ジョンウンが出演。またメインキャスト3姉妹を真木よう子、井上真央、桜庭ななみが演じ、長女の幼なじみ哲男役には大泉洋も共演に顔を揃えます。
映画『焼肉ドラゴン』のキャラクターと配役
金龍吉(キム・サンホ)
ホルモン焼き肉屋焼肉ドラゴンの亭主、朝鮮戦争や済州島の四・三事件などの悲劇を乗り越えて伊丹空港近くの国有地に住居(不法占拠)を構える。隻腕。
金英順(イ・ジョンウン)
龍吉の後妻、家族を第一に考えて時には暴走することも。
金静花(真木よう子)
龍吉と前妻との間の長女、哲男と幼い頃に恋人同士だったことも。
金梨花(井上真央)
龍吉と前妻の間の次女、哲男と結婚するが、喧嘩が絶えず静花の存在も気にしています。
金美花(桜庭みなみ)
英順の連れ子。クラブのホステス兼歌手でクラブの長谷川と不倫中。
金時生(大江晋平)龍吉と英順の間に生まれた一家唯一の男子。出自から学校でイジメにあいます。
李哲男(大泉洋)
一家と昔なじみの男、静花への思いを抱えつつ梨花と結婚することに。
長谷川(大谷亮平)
美花の不倫相手。日本人だが龍吉家に偏見持たずに付き合っています。
映画『焼肉ドラゴン』のあらすじとネタバレ
大阪、伊丹空港の下の河川敷の国有地、実質不法占拠でありながら在日韓国・朝鮮人のコリアタウンがありました。
その一角でホルモン焼き肉屋店を営んでいる金龍吉の店は、龍の字をとっていつからか焼肉ドラゴンと呼ばれていました。
そこには龍吉と先妻の間の娘静花、梨花と後妻の英順の連れ子の美花、そして、龍吉と英順の間に生まれた中学生の時生が暮らしていました。
時生はこれから自分たちは、日本で日本人として暮らしていくためにと、清学校の中学に通っていたが、その出自からイジメのターゲットになってしまいます。
やがて、時生は不登校となり、失語症となってしまいます。
そんな金家に久しぶり明るい話題が、昔なじみの李哲男が次女の梨花と結婚することになりました。
ところが、役所の担当者と喧嘩した哲男は、その場で婚姻届けを破り捨ててしまい、梨花を怒らせてしまいます。
梨花は、哲男と長女静花が昔恋人に近い幼馴染であったことも気に入らなかったのです。
何とか夫婦になった二人、しかし、哲男の仕事は長続きせず、夫婦仲は気まずいまま。
その姿を見て静花も心を痛めていました。
静花は足を悪くしていたが、それはかつて、哲男とともに忍び込んだ米軍居留地で、見回りの兵士に追われたときに転倒したことが原因でした。
映画『焼肉ドラゴン』の感想と評価
関西圏在日韓国人・朝鮮人の特殊性
日本でもっとも在日朝鮮・韓国人が多いのが大阪。
本作のほかにも、1981年の井筒和幸監督の『ガキ帝国4』、同監督の2005年の作品『パッチギ!』、2004年の崔洋一監督の『血と骨』、2014年の山本政志監督の『水の声をきく』などに描かれることが多い大阪・関西圏の在日韓国人・朝鮮人。
彼らのバックボーンは、実に複雑であるとともに世界情勢の混乱の中の産物でもあります。
本作品『焼肉ドラゴン』の劇中でも、龍吉が語る部分があるが、朝鮮戦争の混乱の中で済州島では右派と左派の住民が衝突右派系の軍隊が住民を虐殺した事実。
南朝鮮が大韓民国として正式に成立した後も虐殺は続き、島民の5人に1人がなくなり、村の7割が焼き尽くされたといいます。
結果として、これに生き延びた人々の多くは、大阪に移り住むようになっていきました。
大阪・関西の在日を描いた物語に出てくる人物には、二重三重の苦しい過去を背負っている、これが物語に厚みと熱量を持たせているのです。
まとめ
本作『焼肉ドラゴン』が初の映画監督デビューとなる鄭義信。
とはいえ、劇作家としての豊富な経験と実績があり、さらには2004年に公開されたビートたけし主演の映画『血と骨』では、監督を務めた崔洋一とともに脚本を担当し、キネマ旬報ベスト・テン2位を獲得や脚本賞を受賞。
また、同作は毎日映画コンクール作品賞、日刊スポーツ映画大賞作品賞。第78回アカデミー外国語映画賞の日本代表に選出されるなど、骨太の在日の姿を描いたという成果もあげています。
しかも今回臨んだ『焼肉ドラゴン』の映画化は、東京新国立劇場10周年とソウル芸術の殿堂20周年の共同記念公演として、上演した舞台劇を鄭義信自らが監督と脚本を担当して映画化です。
すでに舞台を観劇した人も、今回の映画化で初めて鑑賞する人も注目の作品!
映画『焼肉ドラゴン』は、6月22日(金)より全国ロードショーです。
ぜひ、ご覧いただきたい作品になっています。