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Entry 2023/02/27
Update

【ネタバレ】呪餐 悪魔の奴隷|結末あらすじ感想と考察評価。続編の“悪魔から逃げた”一家を襲う新たな恐怖の正体とは⁈

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

脱出不可能となった高層アパートで巻き起こる、不可解な恐怖の連続!

4年前に悪魔教団から逃げ出し、新たな場所に移住した家族が直面する恐怖の一夜を描いた『呪餐 悪魔の奴隷』

2017年に公開された『悪魔の奴隷』の続編となる本作は、高層アパートを舞台に、悪魔の恐怖を描くだけでなく、前作で謎のままだった部分について、語られている作品でもあります。

今回は『呪餐 悪魔の奴隷』の魅力と共に、本作で明らかにされた部分も含めて、考察していきます。

映画『呪餐 悪魔の奴隷』の作品情報


(C)2022 Rapi Films

【日本公開】
2023年映画(インドネシア映画)

【監督・脚本】
ジョコ・アンワル

【キャスト】
タラ・バスロ、エンディ・アルフィアン、ネイサー・アヌズ、ブロント・パラレー、

【作品概要】
1980年に製作された『夜霧のジョギジョギモンスター』のリメイク作『悪魔の奴隷』の続編。

前作で母と祖母を亡くしただけでなく、蘇った死者に襲われるという恐怖を味わったリニ。今度は引っ越した先の高層アパートで、更なる悪魔の恐怖に襲われます。

『呪餐 悪魔の奴隷』は、本国インドネシアで640万人を動員、インドネシア映画の歴代興行収入3位を記録する程の、大ヒット作品となっています。

映画『呪餐 悪魔の奴隷』のあらすじとネタバレ


(C)2022 Rapi Films

1955年、オカルト専門の記者であるブディマンは、インドネシア軍の高官から呼び出されます。

呼び出されたのは、教会のような場所で、死者が蘇ったと思われる痕跡が残されていました。

ブディマンは、インドネシア軍の高官に「この事を、多くの人に伝えてくれ」と依頼されます。

1988年、所持品の整理をしていたブディマンは、ある写真を発見します。

その写真から、ブディマンはかつての友人の孫で、4年前に命を救ったリニに、危険が迫っていることに気付きます。

4年前に祖母と病気の母親を不可解な形で亡くしたリニ。

リニは、過去に母親が関係していたと思われる、悪魔を崇拝する教団から逃げる為、父親と弟のトニー、ボンディと4人で高層アパートに引っ越していました。

リニは、工場で働いていましたが、工場長から薦められ大学に通うことを考えるようになります。

新たなアパートに引っ越して以降、優しく家族思いだった父親は変わってしまい、無口で不愛想になっていました。

更に、父親は自身の仕事について一切語らず、謎のケースを持って朝に出かけて、夜に戻って来る毎日を送っています。

リニの住む高層アパートは、母子家庭の少年や、水商売で生計を立てている少女、暴力的な父親に悩む家族など、決して裕福とはいえない人達が多く住んでいます。

また、最近謎の連続殺人が多発しており、リニは暗い気持ちを抱えていました。環境を変える為、リニは家を出て、大学に通う事を決意します。

ですが、その次の日に、リニが住む高層アパートでエレベーターが落下し、多くの住人が亡くなるという、悲惨な事件が起きます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『呪餐 悪魔の奴隷』ネタバレ・結末の記載がございます。『呪餐 悪魔の奴隷』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2022 Rapi Films

ブディマンは、リニと一家を救う為、高層アパートに向かおうとします。ですが、インドネシアに大型の嵐が発生し、リニの住む高層アパートは浸水、近付くことすら難しくなっていました。

浸水の影響で、高層アパート全体が停電となります。リニは、同じ階に住む母子家庭の少年を助ける為、少年の部屋にいました。

トニーは、同じアパートに住む牧師に頼まれて、マンションの各部屋を見回る事になりました。

各部屋には、エレベーターの事故で死亡した住人の死体が、放置されたままになっており、トニーは恐怖を感じます。

見回りをする中で、トニーはある部屋に入ります。その部屋で見たのは、悪魔教団に関わりがあると思われる、男達の写真でした。

一方、ボンディは友達とアパート内を探検していました。そして、偶然入った部屋で、このアパートがかつて、何かの施設だった写真を見つけます。

その施設こそ、1955年にブディマンが、死者が蘇った痕跡を確認した場所だったのです。つまり、このアパートそのものが、悪魔教団に関わりがある建物でした。

リニは、アパート全体が停電になったことを利用し、眠っている父親から謎のケースを盗み出します。

途中で合流した2人の弟と、アパートの住人と共にケースを開けると、中から人体の一部を切り取った、大量の肉片が出て来ました。

恐怖を感じたリニたちは、その場から逃げ出しますが、そこへ父親が現れます。父親は「全てお前たちの為」と説明しようとしますが、リニたちは父親の説明を聞かずに逃げ出します。

何とか逃げ出そうとするリニたちですが、アパート内に白いスカーフを纏った、女性の幽霊が現れます。その姿は、4年前にリニ達を襲ってきた、今は亡き母親の亡霊でした。

同時に、各部屋に放置された死体が蘇り動き始めます。次々に亡霊の餌食になっていく、マンションの住人たち。逃げ場を失ったリニの前に、行方不明になっていた弟、イアンが現れます。

イアンは4年前に、7歳の誕生日に悪魔に体を乗っ取られ、母親の亡霊と共にリニたちに襲いかかってきた「悪魔の子」でした。

絶望の中、リニは意識を失います。

リニが目覚めると、アパートの地下室で、教団の信者たちが不気味な儀式を行っていました。「神を蘇らせる」という、この儀式は「悪魔復活」の為の儀式でした。

抵抗する気力もなく、意識が朦朧とするリニ。そこへ、ブディマンが乗り込んできて、教団の信者を次々に銃で撃ち抜いていきます。

リニと弟たちは、ブディマンが用意したボートでアパートから逃げ出します。

ブディマンによると、リニの父親は、悪魔の教団と関係を持っていましたが、教団から抜け出すことを望んでいました。

教団から抜け出すには、1000人の人間を殺し、殺したことを証明する必要があったのです。最近ニュースになっていた、連続殺人鬼の正体も父親だったのです。

ブディマンと共に、リニとトニー、ボンディはアパートから逃げ出しました。次の日の朝、アパートに戻って来た若い2人の男女が、レコードの音楽と共に踊り出します。

2人が住んでいる部屋は、トニーが写真を発見した、悪魔教団の関係者の部屋でした。

映画『呪餐 悪魔の奴隷』の感想と評価


(C)2022 Rapi Films

閉鎖された高層アパートで、蘇った死者や母親の亡霊に襲われる恐怖を描いた『呪餐 悪魔の奴隷』

本作は、2017年に公開された『悪魔の奴隷』の続編で、『悪魔の奴隷』のラストで一家が引っ越した高層アパートが新たな舞台となります。

『悪魔の奴隷』と比べると『呪餐』は全体的に画面が暗く、ジメジメとした嫌な印象を受けますが、4年前に悪魔教団に幸せを壊された、リニたち家族の暗い心情を感じることが出来ます

『呪餐』は続編ではありますが、何も知らなくても、不可解な現象が次々に起きる心霊ホラーとして楽しめます。

ですが、前作を鑑賞済みだと間違いなく楽しめる作品となっており、そのポイントを紹介します。

人格が変わってしまった父親の秘密

前作『悪魔の奴隷』では、リニの父親は亡くなる前の病弱な母親と、子供達の為に尽くしている、明るく優しい性格でした。

ですが『悪魔の奴隷』中盤で、突然消息を絶ち、後半に戻って来ます

「その間に何をしていたか?」は『悪魔の奴隷』本編では語られていませんでしたが、前半では神や信仰に関して否定的だった父親が、戻って来て以降、神への信仰心を語るなど、人が変わった様子を見せていました。

そして『呪餐』では完全に性格が変わってしまい、無口で不愛想な雰囲気になっています。

『呪餐』のラストで、教団との関係を断つ為に、殺人を繰り返していたことが分かりますが、おそらく『悪魔の奴隷』で姿を消していた間に、教団へ交渉に行ったのでしょうね

アパートは悪魔教団の本拠地だった

『悪魔の奴隷』では、リニの住む一軒家が舞台になっていましたが、『呪餐』では舞台がアパートにスケールアップしています。

本作の後半では、多数の死体が放置されたアパートが停電になってしまい、それだけでも嫌な展開ですが、更に蘇った死者や亡霊が、次々にアパートの住人に襲いかかります

ですが、本当に不気味なのは、このアパートの住人のほとんどが、悪魔教団の信者だった可能性があることです。

『呪餐』の序盤では、リニ達を監視するように、不気味な動きを見せる住人達が登場します。

もちろん、普通の人々も暮らしていますが、全員が家庭に事情があり裕福ではない人たち。

教団は、そういった「行き場の無い人たち」を利用しようとしていたのかもしれません

『悪魔の奴隷』で、一軒家から逃げ出すリニたちに、父親が「住むところは決まっている」と言っていました。

教団は、リニたちをこのアパートに入居させることで、自らの監視下に置いたのでしょうね。

ラストに登場する2人の男女の謎

『悪魔の奴隷』『呪餐』共通のラストとして、謎の男女2人組が登場します。

この男女は、上品な雰囲気を醸している美男美女で、必ずレコードをかけて踊り出します。

会話の内容から、悪魔教団の幹部的な立場なのは間違いないですが、今後もリニたちを狙い続けるようです。

『呪餐』のラストは、シリーズ3作目を示唆させていますが、今後はリニと2人の弟、ブディマンが教団と決着をつける展開になるのでしょうか?

まとめ


(C)2022 Rapi Films

『悪魔の奴隷』『呪餐』共に素晴らしいのは、ホラー演出が非常に丁寧な部分です。

ラジオから突然流れる不気味な声、テレビの砂嵐に浮かぶ母親の亡霊、ダストボックスに潜む何者かなど、新しさは無いですが、王道のホラー演出を丁寧に組み合わせている印象です。

そして、クライマックスで一気に恐怖を加速させるんですが、恐怖の連鎖は、2022年に話題になった『女神の継承』に近いかもしれません。

『呪餐』はインドネシアで大ヒットしたホラー作品ですが、今後もアジア発のホラー映画が熱いかもしれませんね。



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