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映画『木樵』あらすじ感想と評価解説。ドキュメンタリーで見せる‟山の護り人”が雄々しく生きる姿|映画という星空を知るひとよ114

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第114回

現代の木樵である林業に焦点をあて、山と生きる「護り人」である彼らに密着したドキュメンタリー映画『木樵』。

岐阜県下呂市で林業をする実家を離れていた映画監督の宮﨑政記は、30年ぶりに帰郷し山と生きる木樵たちと再会します。

木樵の稼ぎは木を伐採した量で決まるのですが、30年前から比べると現代は1/4程度にしかなりません。それでも彼らは木樵を続けます。

彼らは、なぜ山にこだわり、その技術を次の世代に継承していこうとしているのでしょうか。

山を護ろうとする彼らの生き様を映像に残すべく、監督が密着した渾身のドキュメンタリーをご紹介します。

映画『木樵』は、2022年10⽉1⽇(土)CINEX、名演書劇場ほか先行公開。2022年10月14日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー!

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映画『木樵』の作品情報


(C)2021「木樵」製作委員会

【公開】
2022年(日本映画)

【語り】
近藤正臣

【プロデューサー】
益田祐美子

【監督・撮影・編集】
宮﨑政記

【テーマ音楽】
「久遠」日景健貴 

【横笛】
雲龍

【出演】
面家一男、澤和宏、瀧根清司 他

【作品概要】
‟木樵”を生業とする父の背中を見て育った本作の監督・宮﨑政記。

父の跡を継ぐことを断念した宮崎は、映画の道を志し、30年がたちました。

宮﨑は、父と同じ木樵の兄弟、面家一家・瀧根清司に出会って、今なお誇りをもって木樵をする彼らの「生き様」を映像に残そうと密着して本作を作り上げました。

映画『木樵』のあらすじ


(C)2021「木樵」製作委員会

岐阜県下呂市で生まれた宮﨑政記。‟木樵”である父の背中を見て育ちますが、高度成長期による木材の需要の最盛期を過ぎ、林業が長い不況を迎えました。

父の跡を継ぐことを断念した宮崎は山を離れ、映画の道を志します。

それから30年、宮﨑は父に抱いた憧れを胸に岐阜の山へと帰郷し、父と同じ木樵の兄弟、面家一家や瀧根清司に出会います。

機械化が進んだ近年は林道を作り、機械を現場に入れて木を切り出すことが多い。しかし彼らはそれをしない、山が荒れないよう架線を引いて木材を運び出します。

「木を伐ることは誰でもできる、問題はそれらを土場まで出す技術で、それを俺たちは持っている」

木樵たちはその仕事に誇りを持っていました。彼らの背中を見て育つ若い木樵たち、兄弟の顔に林業不況や人材不足に対する悲壮感など全くありません。

木樵見習いとして過ごして2年、宮崎は彼らの「生き様」を映像に残したいと思い立ち、記録を始めました。

映画『木樵』の感想と評価


(C)2021「木樵」製作委員会

81分という長さのドキュメンタリー映画『木樵』。木樵を生業とする面家一男を中心に撮影されました。

捉えられているのは、余すところなく映し出された山奥の大自然の様子と、1本1本の大木をチェーンソーで伐採する木樵たちの姿

木の根の方でまず小さな三角形に幹を切り取り、反対側に木が倒れていくように細工をします。

そこから本腰を入れての切り倒しが始まるのですが、伐採をするだけでなく周囲の木の成長を妨げないよう、細心の注意が払われて作業は続いていました。

その技術は、次世代を担う若い面家の1番弟子、2番弟子へと伝授されていきます。

仕事の様子と同時に、樹木を始めとする自然や山の生き物に対しての優しさがスクリーンを通して伝わって来ます。

そして、イベントや大仕事を終えたあとでの仲間たちとの慰労会。木樵たちの間にある人と人との温かな繋がりも、カメラは見逃しません。

仲間たちと集う笑顔も素敵な木樵たちは、自然を護って仕事をしているという誇りに満ち溢れています

まとめ


(C)2021「木樵」製作委員会

21世紀の時代において、いや、未来において、林業はどうなっていくのでしょう。

将来を見据えるように、木樵たちは山の中で暮らし、伐採をしても植樹をし、未来への資源も育てています。

限りある資源を無駄にせず、そこにあるものを大切に使用するような彼らの姿に、忘れ去った自然への賛美を思い起こすのではないでしょうか

木樵は木を切るばかりではありません。山をはじめとする自然が壊れないよう、護っています。

雄々しい山の護り人である木樵の姿にご注目ください。

映画『木樵』は、2022年10⽉1⽇(土)CINEX、名演書劇場ほか先行公開。2022年10月14日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー!

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。




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