「鬼の千葉なくして、沖縄返還なし」とも言われ、アメリカと激しい交渉を繰り広げた千葉一夫。
ノンフィクション「僕は沖縄を取り戻したい 異色の外交官・千葉一夫」を原案に、2017年8月にNHKBSプレミアムで放送されたドラマに新たな映像を追加。
再編集された新しいバージョンとして、映画『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』は、2018年6月30日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開。
CONTENTS
映画『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【監督】
柳川強
【キャスト】
井浦新、戸田菜穂、尾美としのり、中島歩、みのすけ、チャールズ・グラバー、吉田妙子、平良進、津波信一、佐野史郎、大杉漣、石橋蓮司
【作品概要】
NHKのテレビドラマを再編集した劇場版。沖縄の日本返還にあたりアメリカとの交渉にあたった外交官の千葉一夫を軸に知られざる近代史ドラマ。
千葉役を井浦新が演じ、その妻の惠子役を戸田菜穂が務めます。そのほかの共演に尾美としのり、佐野史郎、石橋蓮司たち実力派俳優が集結。
また、2018年に死去された故・大杉漣出演。さらにナレーションを仲代達矢が担当。
井浦新のプロフィール
井浦新(いうらあらた)は、1974年9月15日生まれの東京都日野市出身。旧芸名、ARATA(あらた)。
俳優、ファッションモデル、ファッションデザイナーとして活躍しています。
東京経済大学在学中、スカウトされたことでモデルとして活動。1998年に是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』で主演で俳優デビューを果たします。
その後、2002年に松本大洋の人気コミックを曽利文彦監督が映画化した『ピンポン』。
2008年に蜷川幸雄監督の『蛇にピアス』、2007年に若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』、また同監督の2010年の『キャタピラー』に出演しています。
2012年に梁英姫監督の『かぞくのくに』では、第55回ブルーリボン賞の助演男優賞しました。
多くの著名な監督の作品に精力的に出演する俳優の井浦。しかし、当初は俳優になることに興味がなかった彼ですが、今では日本映画の実力派俳優の1人に成長しました。
2019年公開予定の横尾初喜監督の『こはく』でも主演を務めます。
映画『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』のあらすじ
1960年代、沖縄の返還交渉が始まる外交交渉の最前線に千葉一夫いました。
本土から切り離され沖縄はアメリカの統治下にありました。
そこは米軍がベトナム戦争へ出撃する拠点であり、核兵器まで配備されていました。
沖縄から核兵器を撤去させ、ベトナム戦争の出撃拠点にならないようと、千葉はアメリカと激しい外交交渉を重ねます。
さらに、何度も沖縄に足を運んでは、そこで暮らす住民たちの苦悩する言葉に真摯に耳を傾けもした。
千葉が貫いたものとは、“日本のこと”、“沖縄のこと”は、自分たち住民や国民の意思で決められるようにするという信念でした。
千葉の心境の根っこにあった、想像を絶する体験とは?
そして、千葉の傍にいて挫折しかけた彼を支え続けた、夫婦愛と絆とは…。
映画『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』の感想と評価
現在の沖縄にも重なる背景⁈
実力派俳優の井浦新が主演を務める本作『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』。
元々は2017年8月12日にNHKBSプレミアムで放送されたもに、新たに追加映像を加え、再構成し直したものが劇場版の作品です。
テレビ放送で1度見た人も、まだ未見な人も大きなスクリーンで井浦新の演技が見られるので、今回は要注目かもしれませんね。
ジャーナリストの鳥越俊太郎は、この作品を観た感想を次のように述べています。
「沖縄の辺野古に基地が新しく造られようとする今、この映画の登場は大きな希望の光を与えてくれる。「いつか、沖縄を取り戻す」を心に秘め沖縄返還交渉にあたった外交官が日本に実在した!驚きと感動の映画だ」
あなたもニュースなどでご存知の沖縄の状況から見ても、鳥越俊太郎の述べた、“「いつか、沖縄を取り戻す」を心に秘め沖縄返還交渉にあたった外交官が日本に実在した”と言うのは「希望の光」ですよね。
また、製作に着手したNHKも意気込みも感じさせる作品です。
脇役キャストもズラリと演技派で固め
アメリカからの沖縄返還に着手した外交交渉の最前線にいた、実在の外交官の千葉一夫。
井浦新は実在した千葉本人をという難しい役を演じるほか、妻の惠子役に戸田菜穂の存在も光る配役ですね。
また、脇役の演技達者メンツも豪華!尾美としのり、佐野史郎、大杉漣、石橋蓮司と誰もがバイプレイヤーであり、主役を演じられるツワモノな役者が揃っています。
さらにナレーションは、日本映画界の生き字引的名優の仲代達矢が独自の語り部を聞かせてくれることも、やはり注目ですね。
渋く静かに燃える井浦新を見る!
「沖縄を取り戻す! 日本を取り戻す! それが僕の仕事だ」と意気込む若き日の千葉一夫の姿から幕開けるストーリー展開のほか、千葉が駐米大使、そして琉球政府主席とやりあう交渉のぶつかりあい見せ場も注目!
実在の千葉という人間像をなぞり書きで演じるのではない井浦新の演技は、アメリカとの返還交渉を進める場面や、地元の人々の苦悩に耳を傾ける場面から感じることができるはずです。
井浦新は千葉一夫に関して、次のように述べています。
「真剣に、本気で生きる千葉一夫さんの姿が、深く胸に突き刺さった。千葉さんが見た沖縄、そして闘い続けた日本は、あれからどう変わったのだろうか。僕たちは真実を知らなくてはならない」
井浦新の深く努めた千葉一夫の演技は、日本の近代史を知れる作品として、ふたたび劇場で蘇ります。
本作を上映する劇場は
【北海道・東北地区】
北海道 札幌シアターキノ 近日
【関東】
東京 ポレポレ東中野 6月30日(土)〜
東京 東京都写真美術館ホール 8月11日(土)〜
茨城 あまや座 近日
神奈川 シネマ・ジャック&ベティ 近日
【中部・北陸地区】
愛知 名演小劇場 近日
【関西】
大阪 シネ・リーブル梅田 近日
【中国・四国】
広島 イオンシネマ広島 7月6日(金)〜
【九州・沖縄】
沖縄 桜坂劇場 7月7日(土)〜
*上記の劇場情報は5月8日現在のものです。作品の特性上、セカンド上映や順次上映する映画館が拡大するされることも予想されます。お近くで鑑賞が可能な劇場をお探しの際は、必ず公式ホームページをご参照ください。
まとめ
本作の監督を担当したのは、NHK連続テレビ小説『花子とアン』などで演出を担当した柳川強監督。
キャストは『かぞくのくに』の井浦新、『ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女』の戸田菜穂、『転校生』の尾美としのり、『夢見るように眠りたい』の佐野史郎、『HANA-BI』の大杉蓮、『浪人街』の石橋蓮司。ナレーションは『七人の侍』よりの重鎮・仲代達矢。
芸能界のご意見番的な存在でもある美輪明宏は、本作の鑑賞を終えて、このような思いコメントも残しています。
「おごれる戦勝国、米国にとって従順ならざる日本人が、白洲次郎以外にもここに居たのである。これは特に政官界人達必見の映画である。演出も俳優陣も素晴らしい」
再構成された映画版『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』は、2018年6月30日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開。
沖縄を知る良い機会です、お見逃しなく!