実写版『私、アイドル辞めます』が、2022年2月18日(金)より「アップリンク吉祥寺」「イオンシネマ板橋」にて、1週間限定公開
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SNSで約40万いいねを記録したWeb漫画『私、アイドル辞めます』を原作に、1人のアイドルが引退するまでのドラマを描いた、実写版の映画『私、アイドル辞めます』。
世界最大のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL 2021」から誕生した、ソロ企画「ソロTIF」のオーディションにて、メインキャストが決まった本作は、引退を決意するアイドルの物語を、現役のアイドルが演じるということでも話題になっています。
アイドルだけでなく、それを支えるファンの存在にもスポットを当てた、本作の魅力をご紹介します。
映画『私、アイドル辞めます』の作品情報
【公開】
2022年公開(日本映画)
【原作】
はなさく
【監督・脚本】
川井田育美
【キャスト】
実玖、工藤菫、古牧みず、桜田華奈、シイカ、新庄愛、夏目ベール、大山大、TAISEI、後藤龍馬、和道巧、中藤契、小池誠、徳藤原健、上瀬一輝、落合亜美、愛鈴、柳瀬すみれ、木村和幹
【作品概要】
はなさく原作による、Web漫画『私、アイドル辞めます』を実写映画化。
引退を決断したアイドルと、それを取り巻く人々を描いたヒューマンドラマ。
「ソロTIF」の企画で、メインキャストが選ばれており、主役の太田千優里を、「九州女子翼」の実玖が演じる他、「アップアップガールズ(仮)」の工藤菫、「星空☆彡DayS」の古牧みず、「きみとのワンダーランド」の桜田華奈、「リリスリバース」のシイカ、「メイビーME」の新庄愛、「純情のアフィリア」の夏目ベールという、現役アイドルが多数出演しています。
監督と脚本は、オムニバス映画『おかざき恋愛四鏡』(2019)の一編『はちみつイズム』を手掛け、つんく監修の「中2映画プロジェクト2022」にも参加するなど、活躍を見せる川井田育美。
映画『私、アイドル辞めます』のあらすじ
幼い頃からアイドルに憧れていた、千優里。
千優里は、オーディションに合格したことで上京し、アイドル活動を開始して4年が経ちます。
自分を支えてくれるファンや、共に活動するメンバーと共に、アイドルとして上を目指して、努力を続ける千優里。
ですが千優里は次第に、現実の壁と、世間の厳しさを実感するようになります。
それでもファンと約束した夢に向かい、努力を続けていた千優里でしたが、限界を感じたことで、アイドル引退を決意します。
そして千優里は、これまで自分を支えてくれたファンに謝罪する為、最後のライブに挑みますが…。
映画『私、アイドル辞めます』感想と評価
引退を決意したアイドルと、その周囲の人々のドラマを描いた、映画『私、アイドル辞めます』。
ひと昔前まで、アイドルと言えば、大規模なオーディションを勝ち抜き、スターへの階段を約束された、まさに「シンデレラストーリー」という言葉が当てはまる存在でした。
しかし、現在アイドルと言えば、CDデビューを勝ち取る為に、努力する姿が印象的だった「モーニング娘。」や、グループ内のセンターを「総選挙」という形で争わせる「AKB48」のように、「努力して戦いながら、自分の夢を掴み取る」存在に変わってきています。
さらに2010年前後は、全国でご当地アイドルや、いわゆる地下アイドルが多数誕生し「アイドル戦国時代」と呼ばれる程、多くのアイドルグループが誕生しました。
2010年前後に、大手の芸能事務所も、多数のアイドルグループを世に出しましたが、この時期に活躍していたアイドルグループの多くは、解散や活動休止状態になっており、グループ名は残っていますが、初期メンバーが全員いなくなってるということも珍しくありません。
つまり、アイドルと言う存在は、昔のようにスターの階段を昇る華やかな存在とは違い、国民的な人気グループとして成功するどころか、グループを存続させることすら難しい、厳しい世界にいるのです。
『私、アイドル辞めます』の主人公、千優里も、そんな厳しい世界で活動を続けています。
千優里は、歌やダンスの練習に力を入れるだけでなく、他のアイドルのパフォーマンスを研究したり、ファンとの交流を心から大事にしたりして、真剣にアイドルとして、上を目指し努力をしています。
ですが、アイドルグループである以上、千優里だけ頑張っても結果は出ません。
千優里は次第に、他のメンバーとの意識の違いに悩むようになります。
また、アイドルで活動するには、これは残酷ではありますが、時間との戦いという部分もあります。
本作でも触れられていますが、アイドルには「若さや新鮮さ」が求められる為、4年続けている千優里は苦しい状況に立たされています。
もちろん、独自のパフォーマンスに磨きをかけ、10年以上活動をしているアイドルグループもいますので、一概には言えませんが、メンバーと心を1つに出来ず悩んでいる千優里にとって、やはり苦しい状況であることは間違いありません。
そんな中でも、千優里はファンと約束した夢を叶えようと、懸命に活動を続けます。
『私、アイドル辞めます』では、千優里だけでなく、千優里を長く支えてきたファンの物語も描かれています。
2021年の新語・流行語大賞に「推し活」という言葉がノミネートされましたが、これは2000年代から使われている言葉で、もともとはアイドルグループのファンが、自分のお気に入りのメンバーを、支える為の活動を意味しています。
作中でも「千優里は頑張ってるけど、他のメンバーが足を引っ張ってる」という会話をファン同士がしますが、どこかのアイドルグループを応援した経験のある人なら、必ず一度は口に出した言葉ではないでしょうか?
千優里のファンは、長く支えて来た千優里の引退を聞き、当然ながらショックを受けますし、千優里自身も、ファンを裏切ったことを悩み続けます。
そして、迎える引退ライブで、千優里は長く支えてくれたファンと、最後の交流を行います。
この引退ライブの場面では、1人のアイドルがいなくなるとは、どういうことか?という、人間ドラマを感じる演出になっており、そこには川井田監督の、千優里への優しさが込められているように感じ、必見です。
千優里は、国民的なアイドルグループに所属していた訳ではありません。
前述したように、生き残ることすら過酷なアイドルの世界で、世に出るのは一握りでしょう。
ですが、アイドルと呼ばれる存在も、当たり前ですが1人の人間ですし、そこには期待をしてくれる存在がおり、その期待に応える為に頑張って来た、歴史があるのです。
1人のアイドルがいなくなる瞬間。
それは、とてつもなくドラマチックなことなのだと、本作で感じました。
まとめ
引退を決意したアイドルと、その周囲のドラマを描いた『私、アイドル辞めます』。
本作は、アイドルの世界に興味が無いと楽しめないか?というと、そうではありません。
過酷な世界なのは、一般社会も同じで、仕事を続ける為には、スキルアップを常に目指し、結果を出し続けないといけません。
「自分は頑張っているのに、何故認められないのか?」と不満や焦りを感じたことはありませんか?
そういう経験のある人なら、本作の千優里に間違いなく感情移入できるでしょう。
最近「報われない努力」という言葉が話題になりましたが、努力の結果が、望んだものではなかったとしても、誰かの心を動かしたり、次の何かに繋がったりと、決して無駄ではないはずです。
『私、アイドル辞めます』は、何かに取り組み一生懸命になっている人の心に、間違いなく響く作品となっています。
実写版『私、アイドル辞めます』が、2022年2月18日(金)より「アップリンク吉祥」「イオンシネマ板橋」にて、1週間限定公開。