アカデミー長編アニメーション賞を受賞したディズニー/ピクサー最新作!
明るくカラフルな“死者の国”を舞台に描かれる感動のファンタジー・アドベンチャー。
3月16日(金)より公開中の『リメンバー・ミー』をご紹介します。
1.『リメンバー・ミー』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
Coco
【監督】
リー・アンクリッチ
【キャスト】
アンソニー・ゴンサレス、ガエル・ガルシア・ベルナル、ベンジャミン・ブラット、アランナ・ウバック、レニー・ビクター、ジェイミー・カミル、アナ・オフェリア・ムルギア、ナタリア・コルドバ=バックリー、ソフィア・エスピノーサ、アルフォンソ・アラウ、ガブリエル・イグレシアス、エドワード・ジェームズ・オルモス、ロンバルド・ボイアー、ダイアナ・オルテッリ、ブランカ・アラセリ、チーチ・マリン、ルイス・バルデス、ジョン・ラッツェンバーガー
【日本語吹き替え】
藤木直人(ヘクター)、松雪泰子(イメルダ)石橋陽彩(ミゲル)横山だいすけ(パパ)渡辺直美(フリーダ・カーロ)大方斐紗子(ママ・ココ)大抜卓人男性(マリアッチ)カイミ(「死者の国」の旅行者)、シシド・カフカ(ロス・チャチャラコス)、鈴木拡樹(コーンを持った男)、高柳明音(女性マリアッチ)、多田野曜平(パパ・フリオ)、立木文彦(フアン・ハノキョーセー)、チョー(事務官)、恒松あゆみ(お母さん)、寺田ちひろ(「死者の国」の旅行者)、茂木欣一(ロス・チャチャラコス)、安野希世乃(修道女)
【作品概要】
アカデミー長編アニメーション賞を受賞!
ディズニー/ピクサー最新作は、誰も観たことがない明るくカラフルな“死者の国”を舞台に、時を越えた“家族のつながり”を描く感動のファンタジー・アドベンチャー。
監督を務めるのはアカデミー賞受賞作『トイ・ストーリー3』(2010)のリー・アンクリッチ。
名曲『リメンバー・ミー』を生み出しのは『アナと雪の女王』(2014)で『レット・イット・ゴー』を手掛けたロペス夫妻。
日本語主題歌はメキシコ出身のシシド・カフカと東京スカパラダイスオーケストラによる奇跡のコラボが披露されます。
ディズニー/ピクサーの魅力がたっぷり詰まった新たなる金字塔が誕生!
2.『リメンバー・ミー』のあらすじとネタバレ
メキシコのとある町、サンタ・セシリア。
12歳のミゲル少年は音楽の一切を禁止するという堅い掟が定められた一家で育ちました。
ミゲルのひいひいおじいちゃんが音楽のために家族を置き去りにしたことがその原因でした。
残されたひいひいおばあちゃんのイメルダは、靴の製造業で家計を支え、一人娘のココを育て上げました。
その後、靴の製造業は軌道に乗り、今では代々家族で経営を行なうのが決まりになっています。
イメルダはすでに亡くなっており、祭壇に飾られている写真にはココを抱いたイメルダ、そしてその隣に立つ父親の姿が写っています。
しかし、家族を置き去りにしたその父親の首から上は破り取られ、どんな顔をしているのか誰にもわかりませんでした。
ミゲルには家族に絶対内緒のある秘密がありました。
それはメキシコの伝説的な歌手であり俳優のエルネスト・デラクルスに憧れて、ギターを弾いていることです。
デラクルスに熱中するミゲルは音楽を愛し、将来は彼のようなスターになることを夢見ていました。
メキシコで祖先の霊を迎えるために毎年行われる「死者の日」が今年もやってきます。
ミゲルはその日に広場で開催される音楽コンテストへの出場を望んでいましたが、家族の監視の目は厳しくその希望は叶いそうにありませんでした。
落ち込んだミゲルは、いつものように仲良しの野良犬ダンテと一緒に秘密基地に向かいました。
自らで編集したデラクルスのベストをデッキに入れ、ミゲルは一緒にギターを鳴らしながらその映像を観ています。
音楽にかぶれているミゲルの将来を案じたおばあちゃんのエレナは、靴職人としての仕事をミゲルに任せることにしました。
両親が喜ぶ中、本当は音楽をやりたいミゲルは素直に喜ぶことができません。
そんな時、ひょんなことからイメルダの写真が祭壇から落ちてケースが割れてしまったので、ミゲルがそれを拾って見つめていると、折ってある部分が存在することに気付きます。
そこにはミゲルのひいひいおじいちゃんが左手で持っているギターが隠されていて、よく見るとそのギターはデラクルスのものに間違いありませんでした。
デラクルスと血が繋がっていた事実に喜び、ミゲルはコンテストに出場することを決意します。
しかし、こっそり家を抜け出そうとしていたところをエレナに見つかり、ミゲルのお手製ギターは粉々に破壊されてしまいました。
ショックを受けたミゲルは走り出し、コンテスト会場に向かいますが、楽器を持っていないと出場することはできません。
焦ったミゲルはデラクルスのお墓に彼のギターが飾ってあることを思い出し、それを少しの間だけ借りようと思い付きました。
お墓に忍び込んでギターを手にし、一弾きすると不思議な光が一瞬ミゲルの身体を包みます。
すると、ミゲルは生者の国の人間からは見えなくなり声も聞こえなくなり触れることもできなくなってしまいましたが、逆に死者の姿を目にし声を聞き触れることができるようになりました。
ミゲルは生きていながらあちら側の世界に足を踏み入れてしまいましたが、ダンテは変わらずミゲルのことを認識し、彼の後を付いてきます。
ちょうどお墓を訪れていた祖先たち、大叔母のロシータとヴィクトリア、ひいおじいちゃんのフリオ、ひいひいおばあちゃんの双子の兄弟オスカルとフェリペと出会います。
イメルダが生者の国に渡れない問題も含め、彼らはミゲルと共に一度死者の国に戻ることにしました。
マリーゴールドの花びらで作られた大きな橋を渡ると、とてもカラフルな死者の国が見えてきます。
死者の国から生者の国に渡るには、オフレンダと呼ばれる祭壇に写真が飾られていることが条件。
イメルダが生者の国に来られないのはミゲルが写真を持っているからでした。
死者の日に祭壇からギターを盗むという行為をしてしまったために呪いをかけられたミゲルを救うには、家族からの許しが必要です。
日の出までに呪いを解かないとミゲルの身体は骸骨となり、二度と生者の国に戻ることができなくなってしまいます。
イメルダはミゲルに許しを与えますが、二度と音楽に関わらないことを条件に付け加えました。
呪いが解け生者の国に戻ったミゲルは掟を無視し、早速ギターを弾きます。
すると、あっという間に死者の国に舞い戻ってきてしまいました。
死者の国の家族からも音楽を反対されたミゲルは、ひいひいおじいちゃんのデラクルスから許してもらおうと思い付き、そこから逃げ出します。
デラクルスの居場所を探すミゲルの耳に変装で無理やり生者の国に渡ろうとして警察に捕まったヘクターという人物の声が聞こえてきました。
デラクルスの知り合いだと豪語する彼の助けを借りようと、ミゲルは話を持ちかけます。
ヘクターは生者の国にどうしても渡りたいため、ミゲルが戻った際に写真を飾ってもらうことで取引は成立しました。
生身のままだと目立ってしまうので、ミゲルは骸骨のように顔をペイントし、ダンテとヘクターと共にデラクルスの居場所を探します。
死者の国でもちょうど音楽コンテストが開催されており、優勝者にはデラクルスが住む高層ビルで開かれているパーティーへの参加権が与えられます。
優勝を狙うためミゲルたちはギターを調達しにいきます。
ヘクターの知り合いチチャロンはギターを持っており、彼はそれを貸す前に一曲聞かせてくれとヘクターに頼みました。
ヘクターが歌い終わるとチチャロンは消滅。驚くミゲルに、ヘクターは「最後の死」と呼ばれるものがあることを教えてくれます。
それは、生者の国の誰もその死者のことを覚えていないと死者の国からもその存在が消滅してしまう二度目の死のことでした。
ヘクターは自らも最後の死をもうすぐ迎えるであろうことを感じており、焦っていました。
一方、イメルダたちはアレブリヘと呼ばれる魂の精霊・羽の生えた巨大なヒョウの姿をしたペピータの嗅覚を頼りにミゲルを捜索しています。
3.『リメンバー・ミー』の感想と評価
今回もさすがピクサーと唸るような完成度を誇る作品でした。
メキシコの文化や思想を徹底的にリサーチ。
家族の中でおばあちゃんが絶対的な権力をもっていること。
導入の語りで出てくる万国旗のようなものは、パペル・ピカドというメキシコ伝統の切り絵細工。
劇中の重要なアイテムとなるマリーゴールドの花びらは、実際に死者の日で使われる生者と死者の世界を繋ぐもの。
アレブリヘも実際にメキシコで作られている色鮮やかな木の民芸品。
メキシコ的な陽気さや色彩感覚によって、見たこともない程にカラフルな死者の国が作り上げられました。
作品の核を担う音楽も実際に活躍するメキシコのミュージシャンたちによって、メキシコ音楽で使われる楽器を多く用いてレコーディングされ、聞いていて楽しくなる素晴らしい楽曲に仕上がっています。
驚くべきことに、ギターの細やかな指使いも実際の映像を参考に、アニメーションとして忠実に表現することに成功。
ストーリーは、自分の生き方を家族に反対されたミゲルが祖先たちとの交流を通して自分が今生きている意味を知る物語になっています。
今の自分があるのは一生懸命生きてきた祖先のおかげで、亡くなった人たちに対する愛情を失ってはいけないよという本当に正しく素晴らしいメッセージ。
随所に日本への強いリスペクトが見られた昨年の話題作『KUBO 二本の弦の秘密』にも近いフィーリングを感じました。
また、実際に会ったことはないはずなのに見た瞬間にミゲルのことを認識し大切に思う祖先の人たち、この辺は割とさらっと描かれていますが物凄く奇跡的で感動的なシーンでした。
骸骨の顔で見た目に違いを出すのは非常に難しいはずですが、その難題もきっちりとクリアしつつ、子どもが観ても怖さを感じないデザインにしっかりと落とし込まれています。
タイムリミットサスペンスを盛り込んでしっかりとハラハラさせ、ビジュアルや音楽的にも楽しく、最後には音楽と家族の力を信じた感動的な結末で泣かせる。
本当に大人から子どもまで楽しめる最高のエンターテインメント作品だと思います。ぜひ親子で観ていただきたい素敵な作品です。
まとめ
現世の人から完全に忘れ去られることで訪れる二度目の死。
ここだけは本当に恐ろしく、ディズニー/ピクサーが伝える正しさから外れた人たちはどうなるのかと考えるとゾッとします。
家族も身よりもなく孤独に亡くなってしまった人はあっちの世界でも冷遇され、ましてや存在が消滅するなんてあまりにも切なくやりきれないものがあります。
この辺りはさすが『トイ・ストーリー3』で超怖いオモチャの死を描いたリー・アンクリッチ監督。
全世界の子どもたちが目にするためどうしても最大公約数に近いものにせざる負えないのはわかりますが、そこにもっと突っ込んだ内容も観てみたかったですね。
それにしてもこのタイミングでのアカデミー長編アニメーション賞受賞は素晴らしい。
この映画がきっかけでメキシコという国への理解がより深まっていくのではないでしょうか。