刑事とホテルマンの「異色のバディ」が帰ってきた!
ファントムの仮面を被った悲しき殺人犯の正体とは。
東野圭吾のベストセラー小説「マスカレード」シリーズから『マスカレード・ナイト』が、実写映画化となりました。
2019年公開の『マスカレード・ホテル』に続く、木村拓哉と長澤まさみの共演で実写映画化第2弾となります。
今回の舞台は、ホテル・コンテシア東京で開催される年越しカウントダウンパーティー「マスカレード・ナイト」。パーティー参加者500名、全員仮装、全員容疑者。
敏腕刑事・新田と優秀なホテルマン・山岸の、立場も考え方も真逆な2人が、共に熱い想いで犯人逮捕へと挑む。果たして、仮面を被った犯人の正体とは。映画『マスカレード・ナイト』を紹介します。
映画『マスカレード・ナイト』の作品情報
【公開】
2021年(日本映画)
【原作】
東野圭吾
【監督】
鈴木雅之
【キャスト】
木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、泉澤祐希、東根作寿英、石川恋、中村アン、田中みな実、石黒賢、沢村一樹、勝村政信、木村佳乃、凰稀かなめ、麻生久美子、高岡早紀、博多華丸、鶴見辰吾、篠井英介、石橋凌、渡部篤郎
【作品概要】
数々の傑作ミステリーを世に送り出し、これまで「探偵ガリレオ」「新参者」シリーズをはじめ多くの作品が実写映画化されてきたベストセラー作家・東野圭吾。
今回は、そんな東野圭吾の「マスカレード」シリーズから、2019年公開の『マスカレード・ホテル』に続き、『マスカレード・ナイト』が実写映画化公開となりました。
前作に引き続き、刑事・新田役に木村拓哉、相棒となるホテルマン・山岸役を長澤まさみが演じます。
監督は、前作同様『HERO』(2001)『プリンセス・トヨトミ』(2011)の鈴木雅之監督。
出演者は、お馴染み警察メンバー、ホテルメンバーの再演に加え、ホテルを訪れる怪しい客の面々には、沢村一樹、麻生久美子、木村佳乃、高岡早紀、博多華丸などバラエティーに富んだ豪華キャストが勢揃いです。
映画『マスカレード・ナイト』のあらすじとネタバレ
ここは、ホテル・コルテシア東京。ホテルマンたちは、お客様に最高のひとときを提供すべく、日々最高のおもてなしを心がけています。
その中にいて、常にお客様の要望に応え、様々な手続きや手配を請け負うサービスのプロ、コンシェルジュ。山岸尚美は、一見わがままにも聞こえるお客様の要望に、誠心誠意尽くす優秀なコンシェルジュです。
今日も、部屋から見える景色を気に入らないと言うお客様のために奮闘する山岸。「ホテルマンは無理という言葉は使わない」が信念の真面目過ぎるホテルマンです。
一方その頃、都内のマンションの一室で不可解な殺人事件が発生していました。被害者はトリマーをしている女性で、ロリータファッションを身にまとい、死因は感電死。
警察に届いた匿名の密告書によると、この事件の犯人が大晦日にホテル・コルテシア東京で開催される仮装カウントダウンパーティー「マスカレード・ナイト」に現れるといいます。
ホテル・コルテシア東京と言えば、以前にも事件現場となり潜入捜査を行った場所です。警察は直ちに協力を申しだてました。「あいつを呼べ!あいつを」。捜査一課係長の稲垣が声をあげます。
捜査一課刑事の新田浩介は、アルゼンチンタンゴに高じていました。ダンスインストラクターの女性をデートに誘うも呼び出しを食らいます。向かった先は、ホテル・コルテシア東京。
以前の潜入捜査でホテルマンの心得を嫌というほど山岸に叩き込まれた新田は、身だしなみを整えるとそれなりに一流のホテルマンに見えました。
「またですか」。ホテルで再会した新田と山岸。「相変わらず人を疑ってばかりですね」。「君は人を信じすぎる」。立場も考え方も真逆な2人でしたが、お客様の命を守るため今回も協力しあうことになりました。
12月31日、大晦日。今夜11時から、カウントダウンパーティー「マスカレード・ナイト」が開催されます。出席者500名は全員仮装。この中に犯人と密告者が紛れていると思われます。
ホテルの中は、宿泊客とパーティーへの参加者、そして潜入捜査をする刑事たちでごった返していました。
コンシェルジュの山岸に宿泊客の日下部篤哉が近寄ってきます。やや横柄な態度の日下部は、彼女にプロポーズをするためにレストランを貸し切りにし、薔薇の花びらを散らした道を作ってほしいと要求します。
その後も、なんだかんだと山岸に無理難題を持ち掛ける日下部。新田は、山岸の身を心配し、日下部をチェックします。日下部は偽名を使いこのホテルに宿泊していました。
また、宿泊客・中根緑はひとりでチェックインしたにも関わらず、主人の誕生日を祝うためケーキを用意して欲しいと言います。後で来ると言っていた旦那様の姿を見た者はいません。
疑われた中根緑は、山岸と新田に事の真相を話します。昨年の大みそか、彼を癌で亡くした彼女は、彼と来るはずだったこのホテルで最後のお別れをしようとしていました。
どんな要求にも「かしこまりました」と、笑顔で対応する山岸に、新田は呆れながらもコンシェルジュとして成長した彼女の姿にどこか嬉しそうです。
警察は、ホテルのフロントでパーティーのチケットを手にした人物の身元を片っ端から調べていました。しかし、パーティーが近づくにつれ仮装したままホテルを訪れる客が現れます。仮面に隠された素顔を見ることができません。
警察はホテル側に、客室への立ち入りの許可を要求しますが、お客様のプライベートを重視するホテル側との対立が続きます。新田は山岸の協力を得ながら、怪しい人物をマークし捜査を続けます。
刻一刻と迫る「マスカレード・ナイト」。ここにきて、新田の読み通り、宿泊客の浦辺幹夫が被害者の女性と接点があったことが判明します。
ホテルにゴルフバックを持ち込んだ浦辺を、山岸が珍しいお客様と言ったことが気になり、新田は浦辺をマークしていました。服に付着していた犬の毛から、トリマーだった被害者との接点が導き出されました。
ホテルのパーティー会場には、仮面をつけた招待客が集まっています。「さぁ、マスカレード・ナイト開催です」。司会の合図とともに音楽の演奏が始まりました。
映画『マスカレード・ナイト』の感想と評価
東野圭吾のベストセラー小説「マスカレード」シリーズから、実写映画化第2弾となる『マスカレード・ナイト』が公開となりました。
刑事の新田浩介とホテルマンの山岸尚美がバディを組み、事件解決に挑むミステリーシリーズ。
前作の『マスカレード・ホテル』に続き、今作も舞台はホテル・コルテシア東京。ひとときの極上の時間を求め、お客様はみな仮面を被ってやってきます。
お客様の仮面を守るホテルマンと、仮面を剥ごうとする刑事。相容れない2人が力を合わせた時、犯人の仮面が剥がれ落ちるのです。
実写映画化では「探偵ガリレオ」シリーズの福山雅治、柴咲コウのコンビに継ぐ美男美女バディ、木村拓哉と長澤まさみが絶妙な掛け合いをみせてくれます。
前作では、敏腕でありながら身なりには無頓着な新田刑事が、潜入捜査のためにホテルマンに化けたところで基本が全くなっておらず、優秀なフロントクラークの山岸尚美に、徹底的に指導を受けるという姿が滑稽で見どころのひとつでした。
今作では、手慣れた様子でホテルマンに変身する新田刑事の成長ぶりに関心するも、やっぱり鋭い目つきは変わらず、すべてを疑う刑事魂は健在です。
演じる木村拓哉の眩しさも相変わらずで、今作ではアルゼンチンタンゴを披露しています。初めての挑戦とは思えないほどのクオリティーの高さに驚きます。
原作者・東野圭吾が、木村拓哉を当て書きしたと言われる新田浩介。原作者の予想を超えるはまり役となっています。
緩いパーマの髪型で情熱的なタンゴを踊るキムタク。キッチリとした髪型のホテルマン姿のキムタク。仮面をつけさせたら日本一セクシー。改めて「キムタクってスター」と、ウットリすること間違いなしです。
そして、フロントクラークからコンシェルジュへと抜擢された山岸は、お客様の要望には「無理です」と絶対に言わない、熱いホテルマンに成長しています。
演じる長澤まさみも、前作に引き続き、ホテルの制服が本当に良く似合う。凛とした佇まいと、綺麗な笑顔が一流ホテルのコンシェルジュそのものです。
『マスカレード』シリーズでは、新田と山岸の恋の行方も気になるところですが、相変わらずくっつきそうでくっつかない。さらに、遠距離になってしまう2人にもどかしさマックスです。
互いの成長のために尊重し合う2人の関係は、恋愛ではなく同志のような、強い絆を感じます。今後の展開も気になるところです。
そんな主人公2人の成長も見どころですが、何と言っても東野圭吾ワールド、次々現れる怪しい宿泊客の面々に、謎解きの面白さが止まりません。
ただでさえ仮面を被ってやってくるホテルという空間で、仮装パーティーに犯人が紛れ込むという難易度。見る者は最後まで犯人が誰か分かりません。
さらに、それぞれの宿泊客を演じた豪華キャストの名演技によって騙されてしまうことでしょう。
一癖も二癖もある俳優たちに混ざり、今作ではお笑いコンビ「華丸大吉」の博多華丸が、キーパーソンとなる人物を演じています。ほどよい怪しさとピュアさでストーリーを盛り上げます。
そして、最後に暴かれる犯人は誰なのか。何枚もの仮面を被って生きてきた犯人。犯人の目的とは。悲しき殺人鬼が誕生した背景にも考えさせられる問題がありました。
事件の裏にある物語にスポットをあて、正義だけでは片付けられないこの世の不条理を嘆く、胸が痛むストーリーとなっています。まさに、東野圭吾作品の醍醐味が詰まっている作品です。
まとめ
映画『マスカレード・ホテル』に次ぐ、シリーズ実写映画化第2弾『マスカレード・ナイト』を紹介しました。
今作も、木村拓哉と長澤まさみの華麗なバディと、東野圭吾の極上のミステリー世界を堪能できる作品となっています。
原作を読んでから映画を見るのも良し、映画をみて原作を読むのも良し。まずは、原作の新作が待ち遠しい今日このごろです。