Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

まとめ記事

Entry 2021/07/13
Update

『刑事コロンボ』名作ベストおすすめドラマ5選。名優ピーターフォークの演技力と独自スタイルを見る

  • Writer :
  • 星野しげみ

刑事コロンボの魅力いっぱいの作品をピックアップ!

世界で最も有名といえる刑事コロンボ。冴えない外見とは裏腹に、名推理で難事件を解決するコロンボ刑事の傑作ミステリードラマが、U-NEXTで配信中です。

ミステリードラマ『刑事コロンボ』は、1968年にアメリカで制作され、その後1978年までの間に放映された全45作品が旧シリーズと呼ばれ、1989年~2003年まで米ABCで放送された全24作品が新シリーズと呼ばれています。

ドラマは犯人が完全犯罪に仕立てた難事件を、コロンボ刑事が巧妙な推理力で解決していく1話完結型で、シリーズ中どこからでも観ることができます。

コロンボ演じるピーター・フォークの親しみやすい笑顔と飄々としたスタイルも魅力的! 2011年に逝去されたピーター・フォークを偲び、全部で69話のドラマから、1970年代を中心にした人気作品をご紹介します。

ドラマ『刑事コロンボ』について

ドラマ『刑事コロンボ』の主人公は、ヨレヨレのコートに、ぼさぼさ頭、安葉巻をくわえて捜査に当たるロス市警の刑事・コロンボ。

一見愚鈍でさえない風貌のコロンボは、推理作家や美術評論家など、完全犯罪を目論む知的な犯人たちを、鋭い観察眼と粘り強い捜査で追い詰めていきます。

加えて本作は、サスペンス作品のように最初から犯人が分かるストーリーとなっています。犯人の手口を最初に観ることで、犯人の見落としや矛盾をコロンボが見つけたときに驚かされることでしょう。

犯人との心理戦や、コロンボが犯人を追いつめていく姿をじっくり堪能することもできます。このストーリー展開は、後に『ドラマ古畑任三郎』でも採用されました。

また1988年のヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン・天使の詩』では、姿の見えないはず天使が見れるという設定で、ピーター・フォーク本人の姿で演じています。



第5位『二枚のドガの絵』(第6話)


(C)1971 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.(C)1988 Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

『二枚のドガの絵』の作品情報

【公開】
1972年

【原題】
SUITABLE FOR FRAMING

【演出・監督】
ハイ・アバーバック

【脚本】
ジャクソン・ギリス

【キャスト】
ピーター・フォーク、ロス・マーティン、キム・ハンター、ドン・アメチー

【声のキャスト】
小池朝雄、西沢利明、関弘子、八奈見乗児

『二枚のドガの絵』のあらすじ

コロンボ警部は、自宅で射殺されたアートコレクターのルディマシューズの殺害を調査します。殺人者は死んだ男の甥であり、美術評論家のデール・キングストン。

美術評論家のデイルは、射殺した叔父の遺体に電気毛布をかけ、部屋を荒らし、犯行に使った拳銃と2枚の小さなドガの絵を、共犯で愛人の画学生に渡します。

その後デイルは、アリバイ作りのため、画廊のパーティーに出席。現場に残った愛人も、ある工作をして裏口から走り去りました。

コロンボは盗まれたドガの絵から、ある疑いを持ちます。

『二枚のドガの絵』のおすすめポイント

本作に登場する題材は踊り子のパステル画で、フランスの印象派の画家・彫刻家のエドガー・ドガの得意分野とされている絵です。

有名なドガの絵を題材にした本作は、コロンボの犯人を窮地に追い込む抜群の会話術と推理によって、「あっと驚く」結末を迎えます。

ピーター・フォークならではのコロンボ像が誕生した作品でもあるでしょう。

第4位『魔術師の幻想』(第36話)


(C)1971 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.(C)1988 Universal City Studios, Inc. All Rights

『魔術師の幻想』の作品情報

【公開】
1977年

【原題】
Now You See Him

【演出】
ハーベイ・ハート

【脚本】
マイケル・スローン

【キャスト】
ピーター・フォーク、ジャック・キャシディ、ロバート・ロジア、ボブ・ディシー、ネヘミア・パーソフ

【声のキャスト】
小池朝雄、田口計、草薙幸二郎、野本礼三、立川勇三

『魔術師の幻想』のあらすじ

魔術師サンティーニは、昔ナチ親衛隊員でした。その過去を魔術クラブのオーナーに知られ、金を支払わなければ証拠の手紙を移民局に送るとゆすられます。

困り果てたサンティーニは、鍵をかけて水槽の中に沈められた箱から脱出するというマジックの最中に抜け出して、オーナーを殺害しました。

箱が開けられるころステージへ戻り、マジックは見事成功し、殺害も発覚!

部屋には特殊な鍵がかかっていたので、コロンボはすぐにサンティーニを疑いますが……。

『魔術師の幻想』のおすすめポイント

コロンボの口癖は「うちのカミさんがね」。この作品では、そのカミさんのプレゼントである新品のコートでコロンボが登場します。

「悪の温室」で登場したウィルソン刑事や3度目の犯人役としてジャック・キャシディも出演する本作。

劇中のマジックショーも華やかな仕上がりで、ますます多彩になる事件のトリックと、ゲストのキャスト陣の顔ぶれも魅力の一つとなりました。

第3位『逆転の構図』(第27話)


(C)1971 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.(C)1988 Universal City Studios, Inc. All Rights

『逆転の構図』作品情報

【公開】
1975年

【原題】
NEGATIVE REACTION

【演出】
アルフ・ケリン

【脚本】
ピーター・S・フィッシャー

【キャスト】
ピーター・フォーク、ディック・バン・ダイク、アントワネット・バウアー、ジョイス・バン・パタン、デイビッド・シェイナー、マイケル・ストロング

【声のキャスト】
小池朝雄、新田昌玄、阿部寿美子、加藤道子、石井敏郎、緑川稔

『逆転の構図』あらすじ

口やかましい妻との生活に心底嫌気が差した写真家のガレスコは、妻を殺害した後、誘拐事件として偽装します。

以前から手なずけていた元囚人の男を廃車置き場に呼び出し、いすに縛り付けた妻を写した写真と脅迫状に指紋をつけさせた後、男を射殺しました。

自らの足も撃ち抜き、身代金の受け渡しの際に犯人に撃たれたように装いましたが……。

『逆転の構図』のおすすめポイント

この物語の犯人の職業は写真家です。コロンボは故意に裏焼きした写真をガレスコに見せて、プロの優越感を見事に逆手に取ります。

犯人しか知り得ない犯行に使われたカメラを選ばせるというトリックで、ガレスコの犯罪を証明するという発想の素晴らしさ!

緻密な構成と華麗なトリックが見もので、プロ意識がかえって墓穴を掘ることになるということを証明するような作品でした。

第2位『忘れられたスター』(第32話)


(C)1971 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.(C)1988 Universal City Studios, Inc. All Rights

『忘れられたスター』の作品情報

【公開】
1977年

【原題】
Forgotten Lady

【演出】
ハーベイ・ハート

【脚本】
ビル・ドリスキル

【キャスト】
ピーター・フォーク、ジャネット・リー、ジョン・ペイン、モーリス・エバンス、サム・ジャッフェ

【声のキャスト】
小池朝雄、鳳八千代、小林昭二、浮田佐武郎、巖金四郎

『忘れられたスター』のあらすじ

往年の名女優グレース・ウィラーは現在はほとんど仕事がありません。ですが、過去の名作ミュージカルの名場面を集めた映画が公開され、再び脚光を浴びます。

女優として仕事に没頭するために夫に資金の援助を懇願しますが、聞き入れてもらえません。

仕方なく、グレースは睡眠中の夫を自殺に見せかけて殺害します。

完全犯罪と思われたグレースの犯行でしたが……。

『忘れられたスター』のおすすめポイント

往年の大女優・グレースを演じたのは、ヒッチコック監督の映画『サイコ』のヒロインとして有名なジャネット・リー。

ジャネット・リーの日本語吹替版は、宝塚歌劇団出身の鳳八千代が担当し、過去の大女優の生き様を力強くも切なく表現し、ピッタリのキャスティングでした。

日本人の心にしっくりとくるタイトルとストーリーに、ホロリとさせられます。

第1位『別れのワイン』(第19話)


(C)1971 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.(C)1988 Universal City Studios, Inc. All Rights

『別れのワイン』の作品情報

【公開】
1974年

【原題】
Any Old Port In A Storm

【演出】
レオ・ペン

【脚本】
スタンリー・ラルフ・ロス

【キャスト】
ピーター・フォーク、ドナルド・プレザンス、ジュリー・ハリス、ジョイス・ジルソン、ゲイリー・コンウェイ、ダナ・エルカー

【声のキャスト】
小池朝雄、中村俊一、大塚道子、北島マヤ、加茂嘉久、神山卓三

『別れのワイン』のあらすじ

エイドリアン・カッシーニは、腹違いの弟が所有するワイン醸造会社の経営をまかされていました。

ワイン作りをこよなく愛するエイドリアンに対して、弟リックは経営には無関心で、ワイナリーを売却することを兄に告げ2人は口論になります。

逆上したエイドリアンは、リックを殴打して気絶させてしまいます。エイドリアンは気を失ったリックをそのままワインセラーに運び、空調を切って置き去りにしたままニューヨークへと旅立ちます。

数日後、帰宅したエイドリアンは遺体を海へと投げ落とし、スキューバダイビング中の事故に偽装しました。

『別れのワイン』のおすすめポイント

犯人を追い詰めるコロンボと堂々と構える犯人。ワインを酌み交わしながらも心理的な攻防戦が繰り広げられました

それでも、ワインを通じてコロンボと犯人が心を通わす場面や、殺人を犯してまで愛するワインを守ろうとした犯人に共感できます。

犯人のエイドリアンを演じたのは、映画『007は二度死ぬ』での悪役や、『ミクロの決死圏』、『大脱走』などの出演で知られるドナルド・プレザンス。さすがの風格で演じるラストシーンに注目です。

まとめ

『刑事コロンボ』はユニヴァーサル映画制作。ウィリアム・リンクとリチャード・レビンソン原作・原案によるテレビミステリー・シリーズ69話がU-NEXTで配信中!

コロンボドラマの特徴として、最初に完全犯罪を企む犯人の周到な犯行を視聴者に見せてくれます。その後、パッと見て隙のなさそうな犯行現場から、犯人が見落としたほんの僅かな手がかりを元に、コロンボが犯行を突き止める物語となっています。

主人公のコロンボは、ヨレヨレのコートに、ぼさぼさ頭、安葉巻をくわえた風采の上がりませんが、温厚で親しみやすさがあります。人間味のある刑事としてその人気は絶大!

人気の出た1970年代のシリーズの中から、コロンボらしい推理と人格が感じられて、人気の高いものを5選チョイスしました。コロンボの魅力たっぷりの作品をお楽しみください。



関連記事

まとめ記事

【2018年に亡くなった俳優・監督】故人を偲び活躍した映画人の代表作を振り返るレクイエム5選

2018年も残すところわずかとなりましたが、本年も著名な俳優や監督といった映画関係者が亡くなりました。 映画『マン・オン・ザ・ムーン』 ここでは、そんな鬼籍入りしたフィルムメーカーたちの中から、5名を …

まとめ記事

ワンピース映画おすすめランキングベスト10【フル無料動画一覧】スタンピード公開前におさらい!

劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』は2019年8月9日公開! “MANGA”は日本が世界に誇る現代文化のひとつであり、日本漫画を指す世界の共通語となっています。 そんな“MANGA”の中で …

まとめ記事

デスノートミュージカル2017キャスト評判と公演日程一覧

週刊少年ジャンプに連載された大場つぐみ原作、小畑健作画の人気少年漫画『DEATH NOTE』。 テレビアニメ、映画、テレビドラマ、ミュージカルと、ありとあらゆるビジュアルを展開していますが、2015年 …

まとめ記事

キーラ・ナイトレイ映画おすすめ5選!美しすぎる顔と演技力で魅了!

(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE E …

まとめ記事

映画『夜空〜』の主演女優の石橋静河のプロフィールとその家族は

2017年5月13日から新宿ピカデリーで公開される『夜空はいつでも最高密度の青色だ』。 人気俳優の池松壮亮の相手役のマドンナとして、ダブル主演を果たした女優の石橋静河とは、どんな人物なのでしょう? 初 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学