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Entry 2021/04/24
Update

ファルコン&ウィンターソルジャー|ネタバレ感想考察。最終回×シーズン2予感のラスト結末まで解説【固定観念と正義を巡る戦い】

  • Writer :
  • 糸魚川悟

アンソニー・マッキー&セバスチャン・スタンW主演ドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』

ついに“フェーズ4”へと到達し、2021年からは映像配信サービス「Disney+」にてマーベルスタジオによる公式ドラマが始動した大人気シリーズ「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」。

そして第1弾『ワンダヴィジョン』に続いて製作されたMCUドラマ第2弾こそが、『ファルコン&ウィンターソルジャー』(2021)です。

アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)にて初代“キャプテン・アメリカ”のスティーブから盾を譲り受けた“ファルコン”ことサムと、>スティーブの相棒であり“ウィンター・ソルジャー”の過去に苛まれ続けるバッキーが主人公の本ドラマ。

本記事では、新たな“キャプテン・アメリカ”をめぐる物語『ファルコン&ウィンターソルジャー』をネタバレあらすじを交えてご紹介させていただきます。

ドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』の作品情報


(C)2021 Marvel

【配信】
2021年(Disney独占配信)

【原題】
The Falcon and the Winter Soldier

【監督】
カリ・スコグランド

【脚本】
マルコム・スペルマン

【キャスト】
アンソニー・マッキー、セバスチャン・スタン、ダニエル・ブリュール、エミリー・ヴァンキャンプ、ワイアット・ラッセル、ジョルジュ・サンピエール

【作品概要】
マーベル・コミックス作品の映像化を行う「MCU」シリーズの『ワンダヴィジョン』に続く“フェーズ4”第2弾となる配信ドラマ。

監督を務めたのは『ザ・ラウデスト・ボイス-アメリカを分断した男-』を始め、多くのドラマ監督を務めるカリ・スコグランド。

ドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』のあらすじとネタバレ


(C) 2021 Marvel

“ファルコン”ことサムは“キャプテン・アメリカ”ことスティーブ・ロジャースから彼の象徴でもあるヴィブラニウム製の盾を受け継いでいましたが、盾を自身のものと思うことができず博物館に寄贈してしまいます。

その一方で、バッキーは「ヒドラ」の暗殺者“ウィンター・ソルジャー”だった頃、暗殺を目撃された日本人を殺害してしまった記憶の悪夢にうなされていました。

暗殺者としての過去を恩赦する代わりにカウンセリングの受診を強要されたバッキーは、サムからの連絡を無視し続けていること、現代に友人と呼べる人間がいないことをカウンセラーに指摘されます。

またサムは、テレビのニュースで国防総省が新たな世代の“キャプテン・アメリカ”を選出したことを知ります。

2代目キャプテン・アメリカに選出されたジョン・ウォーカーは、過酷な訓練を遂げ仲間を思う強い勇気もあるものの、“キャプテン・アメリカ”の名が持つ重圧を常に感じていました。

ある時、ミュンヘンに統一世界を目指すゲリラ組織「フラッグ・スマッシャーズ」のアジトがあることを突き止めたサムは単身任務へ向かおうとしますが、“2代目キャプテン・アメリカ”の存在とサムが盾を手放したことに納得のいかないバッキーが現れます。

ついには任務先にまでバッキーは着いてきてしまい、サムは嫌々ながらもバッキーと任務を共にすることになってしまいます。

「フラッグ・スマッシャーズ」が薬品を積み込んだトラックを走らせる様子を見た2人は、その運搬を阻止しようとしますが、「フラッグ・スマッシャーズ」は予想以上に高い戦闘力を備えていたことでサムとバッキーは苦戦を強いられます。

そこに盾を持ったジョンと彼の戦友ホスキンスが現れ4人は共闘することになりますが、全員がトラックから落とされ「フラッグ・スマッシャーズ」を取り逃してしまいます。

帰路、サムとバッキーは“世界の秩序”を守るため組織された「世界再定住評議会(GRC)」の人間であったジョンとホスキンスに勧誘を受けますが、“2代目キャプテン・アメリカ”の存在をどうしても受け入れられない2人はその誘いを断ります。

やがて情報を得るため、バッキーはサムを連れボルティモアの老人イザイアを訪ねます。イザイアはかつてバッキーが「ヒドラ」の手先だった頃、アメリカ軍兵士としてバッキーと対峙した超人兵器の1人でした。

しかしイザイアは国のために働いたにも関わらず、超人兵器の存在を隠すために政府に逮捕・拘束された過去を持っていたため、バッキーたちは話を聞くことすらもできません。またサムも、黒人の超人兵器が政府から酷い扱いを受けていることに憤慨し、彼の存在をスティーブにすらも黙っていたバッキーに怒りを募らせます。

また超人兵器を作り出す血清が元は「ヒドラ」に開発されたものであることから、サムとバッキーは「ヒドラ」に詳しい人物に話を聞くため、かつてバッキーを洗脳し「アベンジャーズ」を内戦状態に陥らせたジモを訪ねることにしました。

今も「アベンジャーズ」の一員であることを理由に、バッキーはサムを置いて刑務所に収監中のジモと面会します。ジモはバッキーが洗脳状態から脱していると知った上で、彼から超人兵士を作り出す血清が出回っていることを聞きます。

超人兵士の存在はジモの理念にとっても目障りな存在であり利害は一致しましたが、ジモの出した協力の条件は彼を脱獄させることでした。その話を聞いたサムは強く反対しますが、バッキーによって既にジモは脱獄しており、サムの前に現れます。

監視下に置くことを条件に2人はジモと協力することになり、早速ジモの知る手がかりの1つである売人セルビーのもとへ向かいます。

無法地帯と化している街「マドリプール」でセルビーと会った3人は、彼から超人血清はマドリプールの王と呼ばれる“パワー・ブローカー”がネイゲル博士に作らせたものだと聞かされます。しかしその直後、何者かによってセルビーが射殺され、セルビー殺害犯として3人は多額の懸賞金をかけられてしまいます。

追われる3人を助けたのは、スティーブのかつての恋人ペギーの姪であるシャロンでした。彼女はジモが起こした「アベンジャーズ」の内乱時にスティーブへ肩入れしたことで国を追われ、マドリプールでのブローカー業で大金を得ていました。

ネイゲルの行方をシャロンなら突き止められると考えたサムは、シャロンの恩赦を勝ち取ることを対価にネイゲルをシャロンに探させます。

シャロンは早速ネイゲルの研究所を突き止め、3人は彼と接触します。ネイゲルは“パワー・ブローカー”のもとで「ヒドラ」とCIAが研究を進めていた超人血清を完成させ、その総数は20人分にもなると明かします。

しかし、全ての血清が「フラッグ・スマッシャーズ」のリーダーのカーリによって奪われており、唯一の手がかりはカーリが救おうとしていたマダーニという女性の名だけでした。話を聞き終えると、ジモがネイゲルを射殺してしまいます。

サムとバッキーは不安を抱えながらもシャロンを残し、マダーニという女性が病死したとされるラトビアへと向かいます。

マダーニのいた収容施設に入る前、追手の存在に気づいたバッキーは1人路地へと入り追手を誘き寄せます。そこには、かつてジモに国王を奪われたワカンダの国王親衛隊「ドーラ・ミラージュ」のメンバーであるアヨがいました。

6年前、スティーブにバッキーを託されたワカンダのアヨとシュリは、長い時間をかけてバッキーを「ヒドラ」の洗脳状態から解放しました。それ故にアヨは元凶であるジモをバッキー自身が解放したことに納得が出来ず、8時間後にジモを明け渡すように告げ去っていきます。

マダーニの葬儀の場へと赴く3人に、追いかけていたジョンとホスキンスも加わります。2人はカーリを見つけ次第、サムが対話での解決を行うという条件で3人に同行することにします。

葬儀の場でカーリと2人きりになったサムは、彼女が抱える世界への問題意識に同意する一方で、殺人を含む行為の愚かさを説き彼女の信頼を得ていきますが、約束を破り突入したジョンによって話し合いは決裂してしまいます。

乱戦状態に陥る中、先回りしていたジモがカーリから超人血清を奪い破壊。しかしジョンはジモを昏倒させ、残った1つの超人血清をポケットへとしまいました。

カーリを逃してしまい再度の作戦を練り直すサムとバッキーでしたが、ジョンとホスキンスはすぐにでもジモを刑務所へと戻そうとします。そして「ドーラ・ミラージュ」を引き連れたアヨも現れますが、混乱の隙を突きジモは姿を消しました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ファルコン&ウィンターソルジャー』のネタバレ・結末の記載がございます。『ファルコン&ウィンターソルジャー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C) 2021 Marvel

カーリはサムに会いたいと連絡し誘き寄せる一方で、「フラッグ・スマッシャーズ」のアジトへ突入したジョンとホスキンスを襲撃。サムとバッキーはカーリの誘いが罠であることに気づき、ジョンとホスキンスの救援に向かいます。

窮地に陥ったジョンは超人血清を自らに打ち超人化したことで事態の対処を試みますが、カーリに隙を突かれます。ジョンを守るためカーリにタックルしたホスキンスは、柱に強く投げ飛ばされて絶命してしまいます。

その後、サムとバッキーの加勢により「フラッグ・スマッシャーズ」は散り散りになって逃げ出しますが、ホスキンスの死に怒るジョンは構成員の1人を捕まえ、多くの人間がカメラを向ける中で盾を使い構成員を殺害しました。

錯乱するジョンを追いかけ廃工場へとたどり着いたサムとバッキーは、ジョンに出頭と盾の譲渡を求めます。しかし、自身の行為は正当なものだと主張するジョンと2人はぶつかり、壮絶な戦いの末にサムとバッキーはジョンを倒し盾を奪いました。

盾の意味に悩むサムはイザイアのもとを訪れます。

イザイアは第二次世界大戦の際に超人血清を打たれた黒人が全員殺され、同じく超人血清を打たれながらも白人であったスティーブのみが“キャプテン・アメリカ”としてアメリカの顔となったことに納得が出来ていませんでした。

サムは時代が変わったと言いますが、過去の苦しみを持つイザイアはその過去が消えるわけではないとサムを諭します。

一方、家族を失ったソコヴィアの廃墟の前に佇むジモの前にバッキーが現れます。ジモは「カーリはすでに殺すしかない段階に入っている」とバッキーに忠告しますが、バッキーは「俺らのやり方でケリをつける」と答えます。

バッキーはジモに銃を向けたものの、殺害することはなく彼をアヨに引き渡しました。

公衆の面前で人を殺害したジョンは、全ての権限を剥奪されてしまいます。ヴァルと名乗る謎の人物だけはジョンが血清を打ったことを評価しますが、ジョンは国に全てを捧げたにもかかわらず全てを失ってしまい、失意に暮れます。

盾の意味を考えながら家族と過ごすサムのもとにバッキーが現れ、2人はお互いの持つ悩みを語り合います。バッキーはスティーブと自分が深い考えもなしに黒人であるサムに盾を軽い気持ちで渡したことを謝罪し、サムはバッキーの「ヒドラ」関係者への復讐が単なる自己満足でしかないことを指摘し歩み寄ります。

サムは盾を自身のものにする決心を固め、何日も盾のトレーニングを行います。

「GRC」が難民を強制的に移送する法案を採決する当日、その採決を阻止すべく動こうとするカーリの動きを感じたサムは、法案の採決会場があるニューヨークへ。またいち早く現地に到着したバッキーは、サムがあらかじめ呼んでいた増援のシャロンと合流します。

「フラッグ・スマッシャーズ」は「GRC」首脳陣を誘拐するとヘリコプターとトラックに分かれ逃走。単身バイクで追いついたバッキーはカーリたちとの戦闘に突入しますが、敵の数が多く苦戦します。

カーリたちはバッキーが苦戦している間に人質の殺害を目論みます。ところがその場に盾を自作したジョンが現れ、ホスキンスの敵討ちのためカーリを殺害しようとします。

しかし、人質の命が危険に晒されていることを知ったジョンは復讐よりも人質の救助を優先。“キャプテン・アメリカ”のスーツを身に纏い盾を構えたサムとバッキーに合流し、3人は人質を救助した上でカーリたちを追います。

逃げるカーリはシャロンと遭遇。カーリはシャロンこそが闇の世界の売人として名を馳せる“パワー・ブローカー”であることを知っており、銃でシャロンを撃ちます。

カーリがシャロンにトドメを刺そうとしたその時、サムが現れて彼女と戦闘になります。戦いの果てにサムはカーリに追い詰められますが、シャロンが彼女を撃ち殺しました。

一方、バッキーとジョンは協力して「フラッグ・スマッシャーズ」の残党を警察へと引き渡しました。

カーリの死体を抱えるサムは救出された「GRC」首脳陣の前に現れ、テレビ報道陣を含む大量の群衆の前で、カーリの死の意味を正しく見つめ直すよう説きます。

黒人である自身が“キャプテン・アメリカ”のスーツと盾を身に着けていることに偏見の目が向けられていることを感じながらも、星条旗を掲げる自分を誇りながらその場を去ります。

数日後、黒い“キャプテン・アメリカ”のスーツを身に纏うジョンはヴァルに「USエージェント」として雇われます。

バッキーは意を決し、“ウィンター・ソルジャー”の時代に殺害してしまった日本人の親のヨリに、自身の罪を告白し謝罪。

サムはイザイアのもとを訪れ、過去の人間が血を流し作ったアメリカという国を“キャプテン・アメリカ”として胸を張って支えていくと誓います。さらにイザイアを歴史博物館に連れて行き、歴史上から抹殺されていたはずのイザイアを英雄として称えるコーナーを彼に見せます。

一方、「フラッグ・スマッシャーズ」との戦いの功績が評価されたシャロンは過去の罪を全て放免され、かつて務めていたエージェントとしての復帰を許可されます。

しかし、“パワー・ブローカー”としての闇の顔を持つシャロンは、この状況を武器の密売に利用しようと新たに画策するのでした。

ドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』の感想と評価


(C) 2021 Marvel

「星条旗」を背負う“キャプテン・アメリカ”と今対峙する

1941年に創造されたキャラクター“キャプテン・アメリカ”は、「星条旗」をデザインコンセプトとし、アメリカ合衆国を象徴するキャラクターとして長い人気を博すことになります。

そして初代“キャプテン・アメリカ”であるスティーブ・ロジャースは「金髪・碧眼の白人男性」というステレオタイプな当時のアメリカ人像が反映されているキャラクターでした。

時代は移り変わり、人種や性別による差別が少なくなってもなお「キャプテン・アメリカは白人男性」という強いイメージは残っており、現に『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の公開当時も、2代目“キャプテン・アメリカ”に黒人キャラクターであるサムが就任した際には一部ファンからの批判も起こりました。

本ドラマでは、アメリカの象徴と化したキャラクター“キャプテン・アメリカ”が現在まで抱え続けてきた「ステレオタイプなアメリカ人像」という課題に真正面から描き、「そういう時代だから」という便利な言葉で逃げない作品となっていました。

過去シリーズ登場キャラクター/ヴィランが再び


(C) 2021 Marvel

本ドラマは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)と深くリンクしており、スーパーパワーを持たない普通の人間でありながら強い復讐心のみで行動し「アベンジャーズ」の内乱を引き起こしたヴィランであるジモが再登場します。

ジモに道具として利用されたバッキーと、ジモのせいで法を犯すこととなったサムが共闘する展開が熱いだけでなく、スティーブのかつての恋人ペギーの姪であるシャロンも再登場

一筋縄ではいかないキャラクターたちに挟まれ、心に傷を負うバッキーと自身の行動に迷いが生まれるサムが、どのように成長しスティーブの不在を乗り越えていくのか。今までのMCUシリーズのキャラクターたちの登場にも注目してほしいドラマシリーズです。

まとめ


(C) 2021 Marvel

スティーブから盾を受け継ぎながらも手放してしまったサムと、正式に2代目“キャプテン・アメリカ”に就任しながらもその名の責任に苦悩し空回りし続けるジョン。そして、真の2代目になるためにもがく2人を“キャプテン・アメリカ”の友人として支えるバッキー。

それぞれの思惑が“キャプテン・アメリカ”という概念を中心に動き回る世代交代のドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は、“キャプテン・アメリカ”というキャラクターが好きな方にこそ観てほしいドラマです。




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