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Entry 2021/04/17
Update

映画300スリーハンドレッド帝国の進撃(続編)|ネタバレあらすじ感想とラスト結末の評価。クセルクセスやアルテミシアの前作を凌ぐ激闘!

  • Writer :
  • 秋國まゆ

ギリシア連合vsペルシア軍が大海原で激闘を繰り広げる歴史アクション

ノーム・ムロが監督を務めた、2014年にアメリカで製作された、ギリシア連合が100万のペルシア軍と激闘を繰り広げる歴史アクション映画『300 スリーハンドレッド 帝国の進撃』。

ディリオス率いる1万のスパルタ軍と、テミストクレス率いる3万のギリシア軍で構成された「ギリシア連合」が、亡きレオニダス王たちの気高きスパルタ兵の魂を引き継ぎ、前作を凌ぐ激闘を繰り広げていく姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。

大海原で繰り広げられる、ギリシア連合とペルシア軍の壮絶な流血戦を描いた、アメリカの歴史アクション映画『300 スリーハンドレッド 帝国の進撃』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

映画『300 スリーハンドレッド 帝国の進撃』の作品情報


(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

【公開】
2014年(アメリカ映画)

【原作】
フランク・ミラーの『シン・シティ』

【監督】
ノーム・ムロ

【キャスト】
サリバン・ステイプルトン、エバ・グリーン、レナ・ヘディ、ハンス・マシソン、ロドリゴ・サントロ、イガル・ノール、カラン・マルベイ、ジャック・オコンネル、デビッド・ウェンハム、アンドリュー・ティアナン、アンドリュー・プレビン

【作品概要】
CMディレクター出身のノーム・ムロが監督を務め、前作『300 スリーハンドレッド』のザック・スナイダー監督が本作の製作・脚本にまわったことで7年ぶりの映画化となった、アメリカのR15+指定の歴史アクション作品です。

『アニマル・キングダム』(2010)や『ハンター』(2011)、『L.A. ギャング ストーリー』(2013)のサリバン・ステイプルトンが、本作の主人公テミストクレス役に抜擢されました。

映画『300 スリーハンドレッド 帝国の進撃』のあらすじとネタバレ


(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

かつて託宣者(オラクル)はこう予言しました。「スパルタ軍は敗れ、ギリシアは全滅する」と。

その予言通り紀元前481年。スパルタの王、レオニダス率いる300のスパルタ軍は、ギリシアの灼熱の門(ホット・ゲート)にて、ペルシア帝国の王クセルクセス率いる100万のペルシア軍に奇しくも敗れてしまいます。

クセルクセス王は地に転がるレオニダス王の首を刎ねたのち、石と布と木でできた、宝石のように輝く美しいギリシアの都市アテナイを制圧。

クセルクセス王はレオニダス王の生首を、炎で燃え盛るアテナイの地に投げ捨て、ペルシア兵たちに残虐非道なまでの仕打ちとして、男女子供関係なく殺させました。

この瞬間、残されたアテナイ人に、世界の命運が託されます。彼らアテナイ人は死にません。武骨な船と荒ぶる戦士の血潮がある限り…。

灼熱の門で、スパルタ人にとって栄誉の死を遂げたレオニダス王たちの勝利の物語。生き残ったスパルタ兵ディリオスと、スパルタの民によってギリシア全土に語り継がれていきました。

普段戦さを好んでしないレオニダス王の妻、王妃ゴルゴは、ディリオスたちスパルタ兵と共に、スパルタ海軍の艦隊に乗ってある場所へ向かいます。

その道中、王妃ゴルゴはディリオスたちに、ギリシアとペルシア帝国が争うきっかけを生んだ、10年以上前のある戦いの話をしました。

それは、ギリシアのマラトンで起きた、「マラトンの戦い」です。

10年以上前、当時のペルシア帝国の王ダレイオスは、自由を謳うギリシアに怒り、制圧すべくマラトンへ向かいました。

ダレイオス王率いるペルシア軍の数は、マラトンで迎え撃とうとしていた、当時のギリシア勢の3倍にも及びます。

ギリシア勢の先頭に立つアテナイ軍は、1ヶ月の船旅で足元がおぼつかないペルシア軍の意表を突き、敵の体勢が整う前に勝負に出ました。

この捨て身の奇襲戦法を考案したのは、若きアテナイの戦士、テミストクレスです。

豪雨が降り注ぎ、雷鳴轟く荒天のマラトン。アテナイ軍とペルシア軍は、血しぶきが飛び交う激しい死闘を繰り広げ、敵味方問わず、数千の戦士が命を落としました。

そんな混戦の中、訪れた勝機を見逃さなかったテミストクレスは、海岸から海上の艦隊にいるダレイオス王を、咄嗟に構えた弓矢で仕留めます。

この瞬間。ただの名もなき戦士が権力を握った、後世に残る瞬間となったのです。

ところがテミストクレスは、勝利に浸ることなく、自分が犯したある重大な過ちにに気づきます。

そう、ダレイオス王を背後から支えた、彼の息子クセルクセスの目に、憎しみの炎が宿っていると感じたからです。

テミストクレスは思わず、「この時クセルクセスも殺しておくべきだった」と後悔しました。

その大きな過ちと後悔は、テミストクレスの生涯につきまとうだけでなく、のちに大きな戦禍を招くことになってしまいます。

マラトンの戦い後、ペルシア帝国の海軍司令官アルテミシアは、部下を連れてペルシア帝国に帰還します。

アルテミシアは帰還してすぐ、床に伏したダレイオス王と傍に寄り添う、クセルクセスに面会。

ダレイオス王は、クセルクセスにはない軍才と、残忍さをしのぐ美貌と忠誠心を持つ、百戦錬磨のアルテミシアをまるで娘のように気にかけていました。

ダレイオス王は駆け寄るクセルクセスの手を握りながら、彼ら2人にこう告げます。

「卑しいギリシア人どもは放っておけ。奴らに勝てるのは神だけだ」

アルテミシアは涙を流しながら、そう告げるダレイオス王の胸に突き刺さる矢を引き抜き、瀕死の彼を安らかな死へ導きました。

ダレイオスの王の死後8日目。悲嘆にくれるクセルクセスに、アルテミシアは狂気の種を植えつけます。

「お父様の言葉は警告ではなく、挑戦だ。奴らに勝てるのが神だけならば、クセルクセスが神の王になればいい」

その後アルテミシアは、ペルシア帝国中から僧侶や魔術師が集め、彼らが作った秘薬に浸したキムメリオスの薄布でクセルクセスを覆い、砂漠へ送り出します。

激しい熱と渇きに襲われたクセルクセスは、逃げ込んだ洞穴で人の心の闇に潜む、虚ろな目をした魂の抜け殻に遭遇。

クセルクセスは闇の中で、身も心も完全に、邪悪な力の虜となってしまいます。

ペルシア帝国に帰還したクセルクセスに、もう人間の部分など残っていませんでした。

クセルクセスの目は赤色に輝き、毛がひとつもないなめらかな身体を持つ、神の王へと生まれ変わったのです。

その間、アルテミシアは夜の闇に紛れ、クセルクセスの側近や彼が育てた者、彼に助言した者を容赦なく殺していきました。

そうとは知らず、クセルクセスがペルシア帝国の新たな王として、群衆の前に躍り出た時。

彼はアルテミシアの完全な操り人形と化してしまったのです。

クセルクセス王はアルテミシアが命じるがまま、南北からペルシア軍を侵攻させ、ギリシアを戦さへと引き摺り込もうとします。

それを知ったギリシアの英雄、テミストクレスは弱腰のギリシアの民衆に、アルゴス・コリント・メガラ・アテナイと、ギリシアの各都市が一丸となってギリシアを守るために戦うべきだと説きました。


(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

さらにテミストクレスは、レオニダス王率いる300のスパルタ軍に、100万のペルシア軍に勝てる見込みはないだろうと踏み、自らスパルタに赴いて共闘を申し込みます。

しかし、既にペルシアの使者が訪れ、クセルクセス央から服従するよう要求されていたスパルタ軍。

それを訓練場にいたディリオスから聞いて知ったテミストクレスは、それでもなお王妃ゴルゴに共闘を申し込みました。

「レオニダスたちスパルタ軍が、既にペルシア軍と戦おうとしているなら好都合だ。私がギリシア連合軍を指揮する」

「スパルタ軍も船を出してほしい。エウボイアの北岸にギリシアの全ての船を集め、エーゲ海でペルシア軍を叩きのめすために」

当然王妃ゴルゴたちスパルタ軍も、この共闘の申し出を受け入れるかと思われましたが、彼女の答えはNO。スパルタ軍はギリシア連合には参加しないと言います。

テミストクレスは落胆し、スパルタからアテナイ市内へ帰還。その際、アルテミシア率いるペルシア海軍の動向を探るべく、スパイとして潜入させていた仲間のスキリアスと落ち合いました。

スキリアスはテミストクレスに、「海の殺し屋」として恐れられているアルテミシアが、千隻以上の強固な艦隊に乗ったペルシア海軍と共に、ギリシアへ攻め込んでくると知らせます。

元はギリシア人であるアルテミシアが、何故ペルシア海軍にいるのか。その理由は、彼女の噂を知っているテミストクレスの口から語られていきました。

幼いアルテミシアは家族と暮らす村を、暴走したギリシアの市民兵たちによって焼き払われ、目の前で父親を殺されました。

アルテミシアの母親は父親の隣で、ギリシアの市民兵に強姦されたのち、殺害されてしまいます。

幼いアルテミシアもまた、奴隷船の中で何年もの間監禁され、ギリシアの市民兵の慰み者にされた挙句、道端に捨てられました。

そんなアルテミシアを拾い、戦士として育てたのが、通りすがりのペルシアの使者でした。

ギリシアへの強い憎しみを抱くアルテミシアは、ペルシア帝国の最強の戦士へと成長し、ダレイオス王に血の忠誠を誓って、彼の右腕にまでのし上がったのです。

こう仲間に話すテミストクレスは、スキリアスからレオニダス王率いる300のスパルタ軍が、灼熱の門へペルシア軍を迎え撃つつもりであることを聞かされます。

しかし、神の祭りの時期に戦さをするなど御法度。テミストクレスはレオニダス王と、彼の親衛隊に勝ち目などないと考えつつ、アテナイの存亡を担うのは彼らだと思っていました。

テミストクレスはスキリアスや、仲間のアエスキロスら古参の戦士を集め、アテナイ市民に住む農民や詩人、彫刻家らを出来うる限りの時間で戦士に育て上げます。

テミストクレス率いるアテナイ軍は、日没に50隻あまりのボロボロの艦隊に乗ってペルシア海軍の本隊を目指し、逃げ場のないエーゲ海で敵を叩き潰す作戦にうって出ました。

そんなアテナイ軍の艦隊を見たアルテミシアは、「あれで海軍のつもりか?口ほどにもない」と罵ります。

アルテミシアが、「今回の戦さで手柄を立てた者を、副司令官に任命する」と言うと、ペルシア帝国の将軍バンダリが名乗りを上げました。アルテミシアはバンダリ将軍に先陣を切らせます。

バンダリ将軍率いる艦隊は、テミストクレスの策略にまんまと嵌められ、強固な船首がある艦隊の横から左右にアテナイ軍の艦隊に押し潰され、エーゲ海に成すすべなく沈められていってしまうのです。

アルテミシアは渋々、「今日だけは敵に花を持たせてやる」と言い、その場を一時撤退。敵の侵攻を食い止めたテミストクレスたちは、寄せ集めの軍がまさかここまで戦えるとは思わなかったと感心しました。

次の日。二度目のアテナイ軍との戦いに備えるアルテミシアは、テミストクレスの守備戦法を賞賛する反面、バンダリ将軍ら自らの部下たちに失望していました。

バンダリ将軍は弁明する暇もなく、重い手枷を嵌められたまま海に放り投げられてしまいます。

アルテミシアは部下たちに、自分の失望と不満をぶつけると、彼女の部下カシャニ将軍が、「日没までにギリシア連合を皆殺しにする」と名乗りを上げました。

以下、『300 スリーハンドレッド 帝国の進撃』ネタバレ・結末の記載がございます。『300 スリーハンドレッド 帝国の進撃』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

荒天だった昨日とは違い、穏やかな天候と波に恵まれたエーゲ海。

今度はカシャニ将軍率いるペルシア海軍と、テミストクレス率いるアテナイ軍が戦います。

アテナイ軍はわざと後退してペルシア海軍を誘き寄せ、敵が岩礁にぶつかって身動き取れないうちに、艦隊に乗り込んで接近戦に持ち込みました。

お互いの戦士の血しぶきが舞う激しい死闘の末、テミストクレスがカシャニ将軍を討ち取り、この日もアテナイ軍は勝利をおさめます。

拠点を築いたエウボイアの北岸に帰還したテミストクレスたち。彼らは敵が、自分たちギリシアの戦士の剣と祖国への愛、自由な精神に恐れていると確信しました。

歓喜に沸くアテナイ軍へ近づく、ペルシア海軍の一隻の小舟。そこに乗っていたペルシア兵は、テミストクレスにアルテミシアが待つ中立海域へ来るよう要求します。

アルテミシアはやって来たテミストクレスを歓迎し、船室へと案内し、酒を交えながら「まるで海神ポセイドンの子孫のような、素晴らしい守備戦術だった」と賞賛。

アルテミシアは先王ダレイオスを討ち取ったのが、テミストクレスと知った上で、彼にすり寄り甘い言葉を囁きました。

「戦士の数は1000対1、船は100対1。我らの強大なペルシア軍の艦隊は、数週間いや、いざとなれば数か月かけても戦える」

「ギリシアの自由のために、私と組め」

「あなたは何も悪くない。ギリシアの評議員どもが己の保身のために、あなたを死へ戦さへ送り込んできただけ」

「それでもなお戦うのは、アテナイで待つあなたの家族を守りたい一心から?」

テミストクレスはこう答えます。
「家族を持つ暇はなかった」「成人になって心底惚れ込んだのは1つ、ギリシア艦隊」「情熱を燃やすのは、お前を倒すこと」

アルテミシアは、自分を屈服させるために家族も愛も諦め、さらなる剣と肉体の快楽、生と死の悦楽を求めてきたテミストクレスにうっとりと微笑みました。

アルテミシアはテミストクレスに、「私と組み、最期まで私のものでいるなら、お前が望む自由と悦楽を無条件で与えよう」と色仕掛けをします。

ところが、それに屈して乱暴な性行為に浸ったと思われたテミストクレスは、アルテミシアの提案を断ったのです。

アルテミシアは逆上し、テミストクレスを衛兵を使って追い出します。仲間の元に戻ったテミストクレスは、彼らにこう言いました。

「次アルテミシアと戦うときは、全力で叩きにくるぞ」と。

次の日。アルテミシアは黒い泥を纏わせた親衛隊を海に放ち、テミストクレス率いるアテナイ軍の艦隊を襲わせます。

親衛隊にテミストクレスたちが手間取っている隙を突き、アルテミシアはマラトンの戦いで彼がやったように、弓矢を構え3本の矢を放ちました。

その3本の矢は、息子のカリストと戦っていたスキリアスの体に命中。その次は、先頭に立つペルシア海軍の艦隊の甲板から、ペルシア兵が砲丸投げの要領で、火がついたランタンを放り投げてきました。

いち早く気付いたテミストクレスが、仲間に指示を出してペルシア兵目掛けて槍を投擲。ペルシア兵に見事命中し、振り回していたランタンの火で火だるまになった彼は、そのまま海へ落下します。

しかしその際、壊れたペルシア海軍の艦隊から燃料が漏れだしており、ペルシア兵を蝕む炎に引火。ペルシア海軍と、漏れ出す燃料を浴びてしまったアテナイ軍の艦隊に火が燃え移ってしまうのです。

アルテミシアはそれに意も介さず、火鉢の火を纏わせた矢を放ちます。

その矢は黒い泥を纏った1人の親衛隊に命中。一連の流れを見ていたテミストクレスは、親衛隊が纏う黒い泥の正体がオイルだと分かり、仲間に船を捨てて海に飛び込むよう指示しました。

その直後、1人の親衛隊のオイルに引火し、彼を起爆剤にアテナイ軍の艦隊は崩壊。テミストクレスたちは海に逃げ込んだものの、謎の巨大海洋生物に襲われてしまうのです。

テミストクレスとアエスキロス、カリストたち少数のギリシアの戦士は何とか生き延びたものの、海岸には多くの仲間の死体があがり、エーゲ海は血に染まっていました。

10年以上前に自分が犯した過ちを、取り消そうとした結果がこれかと悔やむテミストクレス。

そんな彼の手を握りながら、瀕死のスキリアスは最期にこう言い残し、息を引き取りました。

「聞け、テミストクレス。戦うんだ」「息子よ、私の代わりに戦え」

一方、灼熱の門。レオニダス王たちスパルタ軍は敗れ、クセルクセス王はレオニダス王の首を刎ね、ペルシア軍をアテナイへ侵攻させます。

その際、クセルクセス王はこの戦いの中で、自軍に下ったスパルタ人のエフィアルテスに、ある伝令を託しました。

「レオニダスの剣をアテナイへ届け、“次はお前たちだ”と告げろ」「宝石のごとく輝く都市、アテナイは歴史から消える」

その頃、レオニダス王と途中まで共に戦った、アルカディアの軍勢を率いるダクソスが、アテナイ軍の元へ到着。

「スパルタのはみ出し者がレオニダスを裏切ったせいで、スパルタ軍は全滅した」

ダクソスからこう聞いたテミストクレスは、彼に灼熱の門が陥落したことを、ギリシア全ての都市と村に知らせるよう告げます。

テミストクレスはアエスキロスに、残ったアテナイ軍の艦隊をサラミス湾に戻すよう言い、一足先にアテナイへ帰還しました。

アテナイには既に、レオニダス王の剣を持ったエフィアルテスが、クセルクセス王の伝令を届けに来ていました。

ペルシア帝国の金と女欲しさに、祖国を裏切ったエフィアルテスに、テミストクレスはこんな伝令を託します。

「レオニダス王の死は敗北ではない、栄誉の勝利だ」

「彼らの純粋な勇気により、敵を倒すという1つの目的のために都市国家が集結し、ギリシアを結束させる」

「神王にこう伝えろ。“我々は残った船をかき集め、サラミス湾で決着をつける”」

「“大勢の犠牲など百も承知。覚悟の上だ”と」

その後、テミストクレスは再びスパルタに共闘を申し込みましたが、王妃ゴルゴの心は変わらずNO。

しかし、彼から差し出されたレオニダス王の剣を見て、王妃ゴルゴの決心は揺らぎ始めます。

物語の冒頭に戻り、クセルクセス王はアテナイを火の海にして制圧。そこへエフィアルテスとアルテミシアが合流しました。

エフィアルテスから、テミストクレスの生存を知ったアルテミシアは、クセルクセス王の忠告を聞き入れようとせず、サラミス湾に進軍しようとします。

この時、クセルクセス王とアルテミシアの間に、亀裂が生じてしまうのです。

「私に戦いの指図するつもり?」

「私は神王。私がレオニダスを倒し、私がアテナイを灰と化した。お前の王だ」

「レオニダスは殉死者となった。アテナイは唯一無二の美しい都市だった」

「(クセルクセス王に頬を叩かれて激怒)海軍を総動員してギリシア軍を叩く。王になれたのは誰のおかげ?安全な玉座から黙って見物してなさい」

サラミス湾に到着したテミストクレス率いる、生き残りのアテナイ軍。彼らはそこで、祖国が滅ぶ様を見ており、それによってアエスキロスたちの不満が噴出します。

テミストクレスはそれに対し、彼らにこう告げるのです。

「私は危険な賭けをして、結局数で負けた」

「たとえ諸君が私と祖国に背を向けたとしても、咎めはしない。引き留めはしない、諸君は自由だ」

「(誰1人欠けることなく、その場に留まった仲間を見て)よく分かった。では敵の艦隊をギリシアから蹴散らそうぞ!」

「今日の戦さは我らの晴れ舞台。数千年後まで語り継がれることだろう」

「我らの最後の抵抗を歴史に刻み、世に示そう」

「服従するくらいなら、自由を守るために死ぬと!」

サラミス湾に停泊させた艦隊に乗り込む、テミストクレス率いるアテナイ軍。

出撃直前、テミストクレスは他の戦士同様、顔に黒と白のペイントを施したカリストに、スキリアスの最期の言葉を伝えます。「立派な戦士になった」と。

アテナイ軍の6隻の艦隊と、その倍以上のアルテミシア率いるペルシア海軍の艦隊が、サラミス湾で最終決戦に挑みました。

アテナイ軍はわざと艦隊をぶつけ、接近戦に持ち込んで敵を殺していきましたが、増援に駆けつけたアルテミシアたちに斬り殺されてしまいます。

テミストクレスは船内に隠していた馬に跨り、近くの艦隊を踏み台にアルテミシアたちに接近。アルテミシアはすかさず馬を攻撃し、テミストクレスを落馬させます。

テミストクレスはそれでも負けず、アルテミシアの部下たちを次々と斬り殺し、彼女との一騎打ちに挑んでいきました。

テミストクレスは1本の剣、アルテミシアは両手に2本の剣を持ち、激しい死闘を繰り広げ、お互いの首に剣を突きつけます。

その瞬間、1万人の死の叫びの声できしむ帆柱にそよいだ風が、アルテミシアの長い黒髪を優しく撫でました。

やがてそれは大きな風となり、ギリシアに「自由」のメッセージを何度も送り続けます。

そしてその風は、今は亡きレオニダス王を自由の戦士に選んだのです。

レオニダス王たちの遺志を引き継ぐ、王妃ゴルゴとディリオス率いる1万のスパルタ海軍と、3万のギリシア連合がサラミス湾に現れ、ペルシア海軍を挟み撃ちにするように接近。

それに目を奪われたアルテミシアは、その隙を突かれてテミストクレスに立場を逆転され、降伏するよう要求されます。

しかしアルテミシアは降伏などせず、テミストクレスに斬りかかっていきましたが、彼に腹を剣で深く貫かれ、命を落としてしまいました。

戦士のように敵を斬り伏せていく王妃ゴルゴとスパルタ海軍。彼らはテミストクレスと共に、ペルシア海軍を殲滅せんと特攻していきます。

その一部始終を海岸から眺めていたクセルクセス王は、黙って踵を返し、ペルシア軍の地上部隊の元へ向かいました。

映画『300 スリーハンドレッド 帝国の進撃』の感想と評価


(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

10年以上前、マラトンの戦いにてダライオス王を討ち取り、ギリシアの英雄になったアテナイの戦士テミストクレス。

彼はそこで大きな戦禍を招く過ちを犯してしまうのですが、彼のマラトンの戦いでの勇猛果敢に敵に挑む姿は、本当に格好良かったです。

それに、ダレイオス王を討ち取ったのが、咄嗟に戦場で拾った弓矢ということに、剣で討ち取るのではと思って観ていた人を、良い意味でその期待を裏切ってくれます

また、テミストクレス率いるアテナイ軍と、アルテミシア率いるペルシア海軍。

灼熱の門で戦ったスパルタ軍同様、アテナイ軍は圧倒的に敵より数が劣っていたのですが、最後まで諦めず奮闘するところが観ている人をワクワクさせてくれます。

二度も勝利をおさめたアテナイ軍ですが、次第にアルテミシアたちも本気でぶつかってくるようになり、戦うにつれて多くの死傷者を出してしまうのです。

絶体絶命のピンチに追い込まれてもなお、戦い続けるアテナイ軍。それに立ち向かうアルテミシアの剣撃と、巧妙な罠。

そしてアルテミシアが、テミストクレスのように、弓矢で敵を討ち取ろうとしてきた場面なんて、歴史アクション映画が好きな人を特に大興奮させたことでしょう

まとめ


(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

テミストクレス率いるアテナイ軍と、アルテミシア率いるペルシア海軍が、エーゲ海とサラミス湾で激闘を繰り広げる、歴史アクション作品でした。

テミストクレスとアルテミシアの戦いは勿論、海上やペルシア海軍の艦隊内で繰り広げる腹の探り合いは、ドキドキハラハラする場面ばかりです。

一瞬アルテミシアの誘惑に負けたかに見えたテミストクレス。しかし彼は、最後までギリシアの戦士として、戦い続けることを選びました。

その結果、レオニダス王たちの遺志を引き継いだスパルタ海軍と、ギリシア連合が最後の最後で応援に駆けつけてくれたのです。

ただ唯一残念だったのは、スパルタ海軍とギリシア連合が、テミストクレスたちアテナイ軍と共に戦う場面が予想より少なかったことです。

クセルクセス王も最後は観ているだけでした。これは続編が出るよう期待しましょう。

圧倒的な戦力差にも負けず、勇敢なスパルタ兵の遺志を引き継ぐ者たちが、力を合わせて敵と戦う歴史アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

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