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Entry 2021/02/18
Update

『オーバーエベレスト』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。アクション映画で役所広司らしい演技力を魅せる

  • Writer :
  • 秋國まゆ

ヒマラヤ救助隊が、世界を揺るがす陰謀を阻止するアクション映画

ユー・フェイが脚本・監督を務めた初の映画監督作品であり、2019年製作の日本・中国合作のスペクタクル・エンターテインメント・アクション映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』。

エベレスト南部に墜落した飛行機には、ヒマラヤ地区の平和的局面を脅かす可能性がある機密文書が積まれていたため、それを取り戻すべく派遣された特別捜査官を自称する2人の男の勇姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

氷点下50度の雪山の頂・デスゾーンに挑むミッションの背後で、世界規模の陰謀が動き始めていく、日本・中国合作のスペクタクル・エンターテインメント・アクション映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』の作品情報


(C)Mirage Ltd.

【公開】
2019年(日本・中国合作映画)

【脚本・監督】
ユー・フェイ

【キャスト】
役所広司、チャン・チンチュー、リン・ボーホン、ビクター・ウェブスター、ノア・ダンビー、グラハム・シールズ、ババック・ハーキー、プブツニン

【作品概要】
「M:I-2」「レッドクリフ」シリーズで知られるプロデューサー、テレンス・チャンが製作指揮を執り、 ユー・フェイが脚本・監督を務める日中合作のスペクタクル・エンターテインメント・アクション作品です。

『ローレライ』(2005)や『最後の忠臣蔵』(2010)、『十三人の刺客』(2010)、『清須会議』(2013)、『日本のいちばん長い日』(2015)など、数々の話題作に出演している日本を代表する名優の役所広司が主演を務めています。

映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』のあらすじとネタバレ


(C)Mirage Ltd.

標高8848mもある世界最高峰の山、エベレストに登る登山客を救助するため、ヒマラヤ救助隊『チーム・ウィングス』は、日々危険なミッションに臨んでいました。

『チーム・ウィングス』を率いる隊長は、かつて“ヒマラヤの鬼”と呼ばれた一流クライマーのジアン・ユエシュンです。

ジアンの優秀な愛弟子シャオタイズ、若く情熱を持つパイロットのハン・ミンシャン、ジェームスにスヤ、タシが主要メンバーでした。

エベレストの山頂付近で突如起きた雪崩事故から3日後、『ウィングス・バー』にハンたちといたジアンは、スヤからシャオタイズをチームに戻してほしいとお願いされます。

ジアンは3日前の雪崩事故で、無茶な行動に出て危うく死にかけたシャオタイズを厳しく叱り、チームのワッペンを取り上げ、チームメンバーから外していたのです。

その話を煙に巻いたジアンは、ハンたちと一緒に記念写真を取り、バーで開いた宴を楽しみました。

ジアンはハンたちと一緒に、財政難に陥り、このままではチームが解散する危機に直面したチームの今後を話し合います。

そこへスヤは、新たなクライアントと称して、インドの特別捜査官を自称するヴィクター・ホークと、その弟マーカス・ホークを皆に紹介しました。

ヴィクターは早速、ジアンたちに3日前に起きた雪崩事故の原因を話します。

政治状況が不安定のなか、ヒマラヤ周辺国家はヒマラヤ地域の平和のため、長年いがみ合ってきた関係を改善するべく、カトマンズで『ヒマラヤ公約』を締結するサミットを開催しようとしていました。

サミットが開催される3日前、インド軍の機密文書を積んだ飛行機が、ネパール側に位置するエベレスト南部、通称『デスゾーン(120名の登山客の遺体が残された、エベレスト山頂付近のこと)』に墜落しました。

その機密文書には、国際関係を揺るがす恐れがある、極めて重要なものが含まれていたのです。

ここまで話したヴィクターは、ジアンたちに、サミットが開催されるまでの65時間以内に、標高およそ8,700m地点のデスゾーンに墜落した飛行機から、機密文書を取り戻してほしいと依頼します。

どんなに気象が良くても、ヘリは標高6,000mまでしか上がれず、3日間もデスゾーンに居れば生存も危ういと、ハンとタシは訴えました。

しかもエベレストの山頂は気象が不安定で、時に風速52m、気温-83度になる事もある危険な山であり、今まで285名の登山客が命を落としています。

政治が絡んだ任務なんて断ると言うジアンに、ヴィクターは「現場に案内するだけで、50万ドルの報酬を支払う」と言い、スヤも滅多にない大仕事だぞと説得しました。

ジアンは悩んだ末、チームの今後の活動の為に、この仕事を引き受けることを決めます。

ヴィクターはマーカスを連れてその場を立ち去ろうとしましたが、マーカスは何故か自分の名にすぐに反応せず、ハンに促されてやっと動き出しました。

その事を怪しく思うジアンは、ハンたちと別れた後、亡き娘より早く作った大きな折り鶴を作った女性、シャオタイズをトリブバン空港まで迎えに行きます。

シャオタイズは、エベレストで遭難した恋人を探すため、チームを外れろと言われても、単身でエベレストに登ろうとしていたのです。

そんなシャオタイズに、ジアンは亡き娘の面影を重ねて見ており、危険な場所へ行って欲しくないと思い、彼女をチームに戻すことを渋っていました。

距離を取って街中を歩く2人、シャオタイズはジアンに、「お金はいらないからチームに戻してほしい」と懇願します。

5年前の2014年5月18日、デスゾーンで遭難した恋人を探し出したいシャオタイズは、これがどんなに無謀なことだと言われようと、諦めたくなかったのです。

シャオタイズの覚悟を聞いたジアンは、夜空に光る白鳥座を指さし「北の空に昇る白鳥座は諦めが悪いという」と話しました。

ジアンはシャオタイズに、ひよこのシールを追加したチームのワッペンを返し、遠回しにチームへの復帰を認めます。

その翌朝6時30分、サミット開催まで残り55時間を切った頃、ジアン、ハン、ジェームス、シャオタイズたち「チーム・ウィングス」とホーク兄弟は、ヘリに乗って墜落した飛行機の捜索を行いました。

エベレスト山頂部の様子を監視する管制室に残ったスヤとタシは、ジアンたちに逐一エベレスト山頂部の様子を報告します。

雪崩事故のせいでルートがなくなったため、歩きながらルート工作しなくてはなりません。

ジアンたちはべースキャンプの上方、標高5,700m地点に降り立ち、標高4,930m地点のロブチェで待機するハンと別れます。

GPS端末機を腕につけたジアンたちは、吹雪く雪山をお互いに助け合いながら登っていき、日暮れまでに標高7,158m地点にあるキャンプ3へ無事到着しました。

黄色いテントに入ったジアンは、密かに無線機を使ってタシと連絡を取ります。ジアンは実は、タシにヴィクターたちの調査をするよう命じていたのです。

タシはドイツ軍の友人から聞き出した結果、ヴィクターたちの派遣は事実なことを確認しました。

しかしタシは、マーカスが吸っていた葉巻は「トリニタッド」という高級な葉巻のため、普通の公務員ではないと話します。

ジアンはタシに引き続きヴィクターたちのことを調べるよう命じました。

その頃シャオタイズは、夜空に浮かぶ星が結集して鳥の形をしたものが、自分に寄り添うように飛んでいるのを見て、恋人の姿を重ねて涙を流していました。

そんなシャオタイズに、ジェームスとルート工作に行こうとしていたジアンが声を掛けます。シャオタイズはジアンに、恋人が遭難した時のことを話しました。

シャオタイズとその恋人シャーベットは、1つの魂を2つに分けた半身のように大事に想い合う恋人であり、最高のクライミングパートナーでした。

標高8,000m級の14山のうち、13山も一緒に登ってきたシャオタイズたちは、いよいよ最後の山、エベレストに登ります。

しかしデスゾーンに差し掛かった時、突如天候が悪化して猛吹雪となったため、シャオタイズたちは遭難してしまいました。

その後駆けつけた救助隊員が救助したのは、シャオタイズだけでした。

救助隊員に助からないと判断され、デスゾーンに置き去りにされたシャーベットは、最後にずっとシャオタイズと繋いでいた手で、「2030」とモールス信号を送ります。

シャオダイスはその後、「2030」の意味を探るべく、各地を飛び回りましたが、結局その答えを見つけることは出来ませんでした。

そう話すシャオダイスに、ジアンは「彼がお前に伝えたかったのは、それだけじゃないと思う。秘密ってのはな、最後の最後に明かされるものだ」と伝えます。

ジアンはシャオタイズに、アストロラーベ(天体観測用の機器)を渡し、呼びに来たジェームスと一緒にルート工作しに行きました。

シャオタイズはテントに戻ると、ジアンのテントから着信音が聞こえ、彼の代わりに着信に出ます。

電波が悪く、途切れ途切れにしか音は聞こえませんでしたが、タシはシャオタイズに、ヴィクターたちの正体と本当の目的を伝えました。

本物のホーク兄弟は、2日前にカトマンズで遺体で発見されており、ジアンたちの所にいるのは、彼らに成りすました人物でした。(以下、偽ヴィクターと偽マーカスと表記します)

偽ヴィクターたちの正体は、ヒマラヤ地域で手広くやっている武器商人の一味であり、戦争を起こさせるために機密文書を取り戻したかったのです。

そう伝えるタシは、背後から迫る男に殴殺されてしまいます。その通信後、シャオタイズがいるテントに怪しい影が映り、彼女も身の危険を感じてテントを飛び出して逃げました。

崖まで追い詰められたシャオタイズは、偽ヴィクターに突き飛ばされ、崖から転落してしまいます。

偽ヴィクターは突き飛ばした際、シャオタイズのダウンからチームワッペンを奪い取りました。

偽ヴィクターは、スヤに連絡を取ります。裏で子供の臓器を平気で売っていたスヤは、実は偽ヴィクターたちとグルだったのです。

スヤは、家族同然の仲間を殺すなんて聞いていないと抗議します。これに対し偽ヴィクターは、報酬を倍額にするから、このまま協力しろと脅しました。

ルート工作から戻ったジアンたちは、いなくなったシャオタイズを探します。

その声で意識を取り戻したシャオタイズは、か細い声でここにいると言いますが、ジアンたちには届きませんでした。

ジアンたちは偽ヴィクターたちに、シャオタイズの姿を見ていないか尋ねます。

偽ヴィクターたちは見ていないと言い、「それよりも時間がない。先を急ごう」と急かしました。ジェームスは怒って、偽ヴィクターたちと言い争います。

これを宥めたジアンは、連絡が取れない場合は下山して捜索すると言い、偽ヴィクターと一緒に墜落した飛行機へ向かうことにしました。

ジェームスと偽マーカスは、赤と黄色のテントに分かれて、キャンプ3で待機します。

以下、『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』ネタバレ・結末の記載がございます。『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)Mirage Ltd.

夜が明けた頃、シャオタイズは自力でキャンプ3へ帰還し、赤いテントの中に入りました。

そこには酸素マスクを着けて眠るジェームスがいたのですが、顔が酸素マスクで隠れていたため、シャオタイズは彼だと気づいていません。

シャオタイズはザックを持ち、寝返りを打ったジェームスの近くにある無線機を取ろうとします。

するとその瞬間、ハンがジェームスに連絡したため着信音が鳴り響き、ジェームスが起きてしまいました。

シャオタイズはそれに驚き、急いでザックと無線機を持ってテントを出ます。

そんなシャオタイズを追いかけ、自分だから安心しろとジェームスは宥めました。

しかしジェームスの背後から、ピッケルを持った偽マーカスが襲い掛かってきます。

ジェームスは好意を寄せていたシャオタイズを逃がすため、偽マーカスと死闘を繰り広げていきました。

ジェームスは偽マーカスに覆い被さり、彼の顔を何度も殴ります。

それでも倒れない偽マーカスは、隠し持っていた銃でジェームスの体に何発も銃弾を撃ち込み、最後にピッケルで彼を刺して殺しました。

シャオタイズは崖の真下の窪みに隠れ、悴む手で無線機を操作し、ハンに助けを求めます。

シャオタイズは、寒さと恐怖に震えて上手く発声できません。そのため、ハンには何も聞こえず、一度切られてしまいました。

そこでシャオタイズは、もう一度ハンに連絡を取り、モールス信号を使って自分だと伝えます。

ハンは昨夜ヘリの中で見つけた、シャオタイズのメモ帳にあったモールス信号だと分かり、彼女が連絡してきたことに気がつきました。

ハンはシャオタイズに、「キャンプ2まで来れるか?」と尋ねます。

合流場所を話し合おうとした途端、シャオタイズが持っていた無線機は、電池切れで使えなくなってしまいました。

シャオタイズたちはとりあえず、標高6,474m地点にあるキャンプ2へ向かうことにします。

ハンはヘリに乗って出発する前に、スヤに救助隊のヘリを寄越すよう、要請しました。

サミット開催まで残り24時間をきった頃、シャオタイズたちは無事、キャンプ2で合流します。

あとはヘリにシャオタイズを乗せるだけでしたが、そこへマシンガンを構えた偽マーカスが現れました。

偽マーカスはヘリの後ろからマシンガンを連射してヘリを墜落させ、ハンに止めを刺そうと近づきます。

ヘリの残骸を背に凭れていたハンは、必死にロープを持つ手を動かし、偽マーカスの足に引っかけて転倒させました。

仰向けに倒れた偽マーカスに、シャオタイズが飛び掛かり、持っていたピッケルで彼の左肩の付け根を突き刺します。

偽マーカスは自力でピッケルを引き抜きましたが、すかさず飛び掛かってきたハンにマガジンを抜かれてしまいました。

さらに偽マーカスは、シャオタイズに酒を浴びせられ、ハンからは火のついたライターを放り投げられてしまいます。

今度は熱さに絶叫する偽マーカスは、ふらつく足でそのまま崖から転落してしまいました。

シャオタイズたちは近くの洞窟に避難します。シャオタイズは、腹を怪我したハンの手当てをしました。

そこでシャオタイズたちは、彼らを紹介したスヤはグルなのかもしれない、そうなると自分たちを誰も助けに来ないのではと話していました。

その頃ジアンは、仲間と連絡が取れない状況の中、さらにヘリの爆発音も聞いて、一度下山して仲間の捜索に向かいたいと進言します。

これを聞いた偽ヴィクターは、一瞬ジアンをピッケルで殺そうかと考えましたが踏みとどまり、彼を説得して先を急がせました。

手当てを受けたハンは、シャオタイズが持っているアストロラーベを見て、ジアンの娘の話をします。

アストロラーベを宝物にしていたジアンの娘は、ジアンから厳しい指導を受ける反面、彼から「いつか自分を超える存在になる」と期待された、天才クライマーでした。

しかしある日、ジアンの娘は1人でエベレストへ登りに行き、そのまま還らぬ人となってしまったのです。

そう話すハンは、シャオタイズにアストロラーベの座標を弄ってみろと言います。

ハンの言うとおりに、シャオタイズが動かした座標「2030度」は、白鳥座を指していました。

サミット開催まで残り6時間、カトマンズの開催地には、ヒマラヤ周辺国家の要人たちが、続々と集まってきます。

ハンはシャオタイズに、「俺を置いて、お前だけでも下山するべきだ」と言いました。

これに対しシャオタイズは、ハンに直して貰ったGPS端末機を動かし、「上手くいけば、墜落した飛行機の無線を使って助けを呼べるかも」と答えます。

サミット開催まで残り5時間、キャンプ4を出てデスゾーン付近まで登ってきたジアンたちでしたが、「仲間の命を優先して下山するか、機密文書を優先して先に進むか」で言い争っていました。

その際、ジアンの投げ捨てたザックから落ちた、酸素ボンベを2人で拾おうとしますが、間に合わず崖から転がり落ちてしまいました。

さらにジアンたちが立つ足場も崩れ始め、2人はピッケルを安全な場所へ突き刺し、崩落を免れます。

ジアンの後に続いて、安全な場所に立った偽ヴィクターでしたが、足を踏み外してそのまま落ちそうになりました。

それを助けたのはジアン、彼はヴィクターの両腕を掴み、彼を助けます。

しかしその際、ジアンはヴィクターのダウンの腕の部分に、シャオタイズのチームワッペンがあるのを見て、彼らが嘘をついていたことに気づいてしまいました。

問い詰められた偽ヴィクターは開き直り、「俺をこのまま殺せば、二度と愛弟子には会えないぞ。墜落機にまで案内すれば、愛弟子の居場所を教えてやる」と銃を突きつけて脅しました。

ジアンは葛藤の末、偽ヴィクターの言う事に従うことを決めます。

墜落した飛行機へ向かう前に、ジアンは偽ヴィクターたちがこうする目的を問いました。

偽ヴィクターは、「ガキの頃からずっと、野良犬扱いされてきた俺たちが認めて貰うには、戦争を起こして儲けるしかなかった」と答えます。

しかし、そんな偽ヴィクターたちを散々利用してきたくせに、今更ヒマラヤ地域の平和のためにサミットを開き、『ヒマラヤ公約』が締結されようとしているのです。

それに腹が立った偽ヴィクターたちは、戦争を起こしてサミットを台無しにするべく、今回の計画を思いついたのでした。

一方シャオタイズは、ジアンにGPS端末機を使って、自分が先に墜落した飛行機へ行くとモールス信号で伝えます。

シャオタイズは出発する前に、ハンに「この数日で色んな人を失った。でもこれからは違う。あなたは見捨てない、隊長のことも。もう誰も見捨てないわ」と誓いました。

サミット開催まで残り1時間、ジアンたちは同じ場所をグルグルと歩き回り、シャオタイズはピッケルとアイゼンを駆使して氷壁を登っていきます。

偽ヴィクターはこの時、ジアンがわざとルートを外れて歩き、自分たちの計画を阻止しようとしていることに気がつきました。

激怒した偽ヴィクターは、持っていた銃でジアンを殺そうとしますが、凍っていて使えません。

偽ヴィクターは銃を投げ捨て、ピッケルを持ってジアンに襲い掛かります。

ジアンもピッケルを持って対抗し、2人は猛吹雪の中、死闘を繰り広げていきました。死闘の末、敗れたのはジアンでした。

偽ヴィクターにピッケルで腹を深く突き刺されたジアンは、「あいつには追いつけん、誰も」と言い残して倒れます。

先に墜落した飛行機のところへ辿り着いたシャオタイズは、タイムリミットを過ぎた頃、無線機の代わりに機密文書を見つけました。

シャオタイズが立ち去った後、偽ヴィクターも遅れて到着しましたが、アタッシュケースの中に機密文書は入っていませんでした。

代わりに入っていたのは、大量のドル札と蛇のネックレスです。

そのネックレスは偽マーカスが首につけていたもので、偽ヴィクターのネックレスと合わせると、1つの形になるものでした。

偽マーカスの死を悟った偽ヴィクターが悲しんでいると、外から突然ドンッと音がしました。

慌てて墜落したヘリから出た偽ヴィクターが上を見上げると、標高8848mのエベレスト山頂でシャオタイズが信号弾を撃っていました。

偽ヴィクターは山頂へ登り、発煙筒で機密文書を燃やそうとするシャオタイズに、取引を持ち掛けます。

それに一切耳を貸さなかったシャオタイズは、「あなたは自分の事しか考えていない。でも大切な人から教わった、“人はもっと気高い”って。あなたが望んだものが、お金も野望も虚栄心も、全部ここに詰まってる」と言い、発煙筒の火で機密文書を燃やしました。

慌てて散っていく機密文書を拾おうと駆け出す偽ヴィクター、シャオタイズはすれ違いざまに、彼から無線機を奪い取ります。

瞬時に反応した偽ヴィクターは、シャオタイズの服を勢いよく掴みました。

揉み合った2人はバランスを崩し、山頂から落ちてしまいますが、 シャオタイズが装着していたハーネスと繋がるロープのおかげで助かります。

そこへ駆けつけたのはジアン、彼は2人を引き上げようとロープを引っ張りました。

しかし2人分の体重に耐えきれず、足場が崩れ落ちたジアンも2人と一緒に落ちてしまいます。

咄嗟にシャオタイズを抱きかかえたジアンは、彼女のダウンから緊急用のパラシュートを開き、浮上しようとしました。

それに気づいた偽ヴィクターは、シャオタイズに掴まっているジアンの足にしがみつきます。

このままでは3人とも死ぬ、そう思ったジアンはシャオタイズを守るため、彼女と繋いでいた手を自ら離しました。

落ちる直前、ジアンはシャオタイズに、「白鳥座の意味は、物語の終わりであり、別の物語の始まりだ」と微笑みながら告げます。

自分を守るために、偽ヴィクターを道連れにして死を選んだジアンが落ちていく姿を、シャオタイズは涙を流して目に焼き付けました。

風に煽られながら、パラシュートを操縦していたシャオタイズでしたが、氷壁の間に落ちてしまいます。

氷の中を滑り落ちたシャオタイズは、氷で覆われた洞窟に辿り着きました。

そこには、凍った地面の中にエベレストで落ちて死んだ登山者と、氷の中で眠るシャーベットの遺体がありました。

シャオタイズはやっと見つけたシャーベットの遺体に、微笑みながら氷越しに寄り添います。

5年前のあの日、シャーベットは酸素ボンベの残量が0になり、意識を失ったシャオタイズを救うため、自分の酸素マスクを宛がって命を繋ぎとめようとしました。

そんなシャーベットの最期に見せた顔、幸せだった頃の2人の日常に、思いを馳せていたシャオタイズは、最後に白鳥座を思い出します。

そしてシャオタイズは立ち上がり、上を見上げました。自力で洞窟を抜けたハンの元へ、救助隊のヘリが駆けつけ、無事救助されました。

管制室にいたスヤは、一度現金を持って逃走しようとします。

しかし、通報を受けたネパール警察が駆けつけた時には、スヤは自らの頭を銃で撃ち抜いて自害していました。

後日、無事サミットが開催され、『ヒマラヤ公約』が締結されたとニュースで報道されました。

病院に搬送されたハンは、ネパール警察から「匿名で通報があった」と聞かされます。ハンはシャオタイズが通報し、救助を要請したのだと知りました。

そのシャオタイズは、後日山の中で捜索が行われましたが、見つかりませんでした。

しかもまるで初めからいなかったかのように、「チーム・ウィングス」の出動名簿には、シャオタイズの名前が載っていなかったのです。

ハンは退院後、もぬけの殻となった「ウィングス・バー」を訪れ、仲間が生きていた頃の光景を思い浮かべます。

涙を流しながら奥へ進んだハンは、バーに設置されたボルダリングの頂上に、シャオタイズが折った大きな折り鶴が飾られていることに気がつきました。

そんなハンは、「カウボーイ」と自分をからかう誰かの声を聞きます。

後ろを振り返ったハンが見たのは、女たらしの自分をそう呼んでいた唯1人の人物、シャオタイズでした。

シャオタイズの幻影に、「また日の出を見にきた?」と笑顔で話しかけられたハンは、笑顔を返します。

最後にハンは、笑顔を浮かべて自分といるジアンたちと、隅っこの方にシャオタイズがいる写真を見つめました。

映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』の感想と評価

(C)Mirage Ltd.

ジアンたちに依頼してきた人物が、まさか戦争を起こそうと企む武器商人の一味だったとは驚きです。

それをタシから偶然聞いたシャオタイズが、偽ヴィクターたちに何度も殺されかける場面は、ドキドキハラハラするばかりです。

偽ヴィクターたちによって、次々と殺されていく「チーム・ウィングス」のメンバーたち。その姿を見て最後のハンのように、号泣すること間違いなしでしょう。

エベレストがどんなに過酷な山であるかが、シャオタイズたちの姿を通じて、痛いほど伝わってきました。

しかも遭難した登山客が、氷に埋まった状態で見つかるなんて知った時は、言葉を失います。

シャオタイズとシャーベットの悲しき再会の場面と、唯一生き残ったハンが、ジアンたちのことを思い出して涙を流すところは、本当に涙が止まらなくなるほど悲しいです。

そして、偽ヴィクターたちとジアンたちが雪山の中で繰り広げる死闘は、どれも地上での戦闘とはまた一味違う、スリルに満ちたアクションばかりで興奮します。

まとめ

ヒマラヤ救助隊の「チーム・ウィングス」が、世界を揺るがす陰謀に巻き込まれていく、スペクタクルエンターテインメント・アクション作品でした。

役所広司演じる“ヒマラヤの鬼”ことジアンは、不器用ながら仲間を想う良きリーダーです。

そんなジアンになりきって演じられたのは、役所広司だからこそであり、役所広司にしか演じられないハマリ役でした。

ジアンが愛弟子を助けるために、偽ヴィクターを道連れに自ら死を選ぶ場面は、シャオタイズとの強い師弟愛に感動する最高の見どころです。

しかも雪の中で繰り広げるアクションは今まであったものの、エベレストという世界最高峰の氷山でやったことがないため、とても新鮮でスリルと迫力を体感できます。

世界最高峰のエベレストで繰り広げる、瞬き厳禁のアクション場面と、世界を揺るがす陰謀を阻止しようとする救助隊の姿が観たい人には、オススメなスペクタクルエンターテインメント・アクションです。




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